一般日本人が転生する話。   作:あうん

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百聞は一見に如かず。

「ーーズナ。イズナ」

 

俺を揺する不届者がいる。

めっちゃ激しい。もっと優しく起こせんのか!?

手を掴んだ。揺する力が弱まった。

目を開ける。

黒い目と合う。

マダラだ。

 

「……はよぉ。兄さん」

「おう」

 

マダラがニッと笑った。俺も笑う。

よかった。元気そう。

 

「お前寝坊助だな」

 

は?

ニヤリと笑うマダラ。

 

「もう昼過ぎてるぜ」

「はぁあ!?」

 

そんなに寝ちゃったの!?

 

マダラを連れ立って食事部屋。

ご飯は二人分。俺とマダラの分が冷めた状態で放置されていた。

お米が固くなってる。ヤダァ……。お茶漬けにしたい……。

湯呑みのお茶ぶち込んだらお茶漬けになる……?ならないよねぇ。お茶違いというか。旨みが……!あの緑の美味しいやつ……!

お茶漬けのあられ食べたくなってきたな……。もうあれが本体と言っても過言じゃない。

 

この冷たい飯も電子レンジさえあれば柔らかご飯に早変わりなのにな〜。

……雷遁あるんだからタジマに頼めばやってくれたりしないかな?電子レンジタジマ。

タンスバチバチやってんだからいけるんじゃないか?何ワット出せるんだろう。

……いや、雷遁より火遁……?温めるんだからさ。いい感じに温める術ないのかな?

火遁・電子レンジの術!なんちゃって。

語感悪いな……。火遁と雷遁が混在してて分かりにくい。

火遁・オーブンの術。とかどうよ。悪くないんじゃない?

ピザ食べたくなってきたな。小麦粉あればいけるか……?

小麦粉って……あったかな……?今まで出てきたおやつって小麦粉使ってるの、ある、よね……?

小麦粉。といえば、パン。

ま、まずい!パン食べたくなってきちゃったー!!

 

俺は米派だ!

でもたまにはパン食べたくなるじゃん!!

生まれてこの方パン禁生活……!?狂うだろ。

 

冷えた米を食べる。

噛む。

 

ガリッ。

 

や、ヤダァ!

固いの引いちゃった。これ苦手!!

得意なやつとかいない。

気を紛らわすためにマダラに話しかける。

 

「兄さんいつ起きたの?」

「さっき」

「さっきって?」

「イズナ起こす前」

「……」

 

じゃあそんな変わんねぇじゃん!

何で俺のこと寝坊助とか言ったんだよ!俺をからかいやがったな!?許せねぇ!!

 

「兄さんも大概寝坊助じゃんか!」

「仕方ねぇだろずっと寝てなかったんだ」

 

マダラは平然と固くなった米をかきこむ。よう食えるな。俺は一口ごとに覚悟して食べてんのに。

 

「ずっとって?」

「梁山と戦ってる間?」

「……」

 

一昨日の夜にはいなかった。じゃあ少なくとも一日中寝てなかったの?

つまり、……徹夜!?

いかんでしょ。過酷すぎる……。

五歳児にやらせていいことじゃなくない?タジマさぁ……。

 

「大変だったんだね……」

「そうか?」

 

タジマに洗脳されているマダラには分からないようだ。

味噌汁をすすった。冷たくても美味しい。

 

「初陣の時は三日ぐらい寝なかったぞ」

「やばすぎ!?」

「ははっ」

 

マダラは俺の反応を面白がった。

全然笑えないけど!?

 

「久々の実戦で、楽しかった」

「……ヨカッタネ」

「ああ!」

 

マダラは機嫌が良さそうである。

俺はついていけそうにない。

 

「イズナとの修行も役に立ったんだ」

「修行?」

 

タンスで騙くらかしたこと以外に何かあったっけ。

 

「泥ん中で戦ったからな」

「……」

「イズナと風呂に行く競争したろ?」

 

糸を避ける修行が。役に立った。敵の攻撃を、避けるのに。

 

 

……何だよそれ。

別に、単純に遊びたかっただけ。

そんなつもりじゃなかったのに。

修行とか、そんな。わけ。

 

……。

 

マダラは梁山の攻撃はどうだっただの、どうやって倒しただの。ペラペラと話してくれた。

話盛ってる?

母からもタジマからも戦の話は聞いた。マダラもそんな風に聞ければいいのに。なんだか違う。

楽しくない。

魚の骨を剥ぐ。

俺は、無難な相槌を打ち続けた。

こんな話を笑顔で話せるのが不思議でならなかった。飯が不味くなるだけだろ。

 

「それで、業火球の術を使ってとどめを――」

「兄さん」

「なんだ?」

「嘘は、よくないよ」

 

ちょっとした冗談。前も同じことを聞いた。聞かなきゃよかった。なんで聞いたんだろう。

五歳児に何ができる。バカみたいだ。そんなことできるわけない。って。

あの時は全く信じられなかった。

 

嘘でした。ごめんなさい。そう言ってくれれば良いのに。

マダラは口を尖らせた。

 

「嘘じゃないさ。前、見せたろ!」

「うん」

 

そうだよな。

攻撃を避けるのも。人を倒せるぐらい、とんでもない力を持ってるのも。火遁を使えるのも。全部。

一緒に過ごして、それができるやつだって。できてしまうほどにすごいやつだって。知ってる。知ってるよ!!

お前は天才だから。なんでもできちゃうんだろうな。才能の塊だ。

 

その才能を、そんな風に使うなよ。

そんな。

血腥い。

 

魚の尻尾を食べた。

ジャリって音がした。

焦げていて、苦かった。

 

 

「俺はイズナと違って嘘つかねぇよ」

 

は?なんつった?

 

「俺も嘘ついたことないんだけど?」

「今ついたじゃねーか!?」

「証拠は?」

「しょ、証拠!?いや、それは……」

 

口ごもるマダラ。

口喧嘩の才能はない模様。

 

「ほーら。俺は嘘ついてないじゃないか。兄さんの嘘つき〜!」

「……」

 

マダラを論破した。俺の勝ち!

マダラは黙ってしまった。

 

……。

 

……あ!

……そうだよ。お前は嘘をついたんだ。

反論できないんだから。そういうことだったんだ。

 

全部、嘘。今の話はきっと全部!嘘だったんだ。

俺にいいところを見せたかった。いじっぱりな。兄貴ヅラしたがる。そんな感じの、嘘。

一個でも嘘ついたら、他も全部信じられない。

狼少年だ。お前は。何にも信じてやらないよ。この大嘘つきめ。

 

そもそも見てないものを信じろなんて、無理な話だ。

火遁は見たけどさぁ。

人を、丸焼きにするって。とどめに火遁って。

何それ!普通に考えてありえないじゃん!

なんでわざわざそんなことすんだよ!?

殺るついでに火葬もしてやるぜ〜!!ってか!?

死んでから火葬までの流れが早すぎる。それどころかまだ死ぬ前に燃やしてんじゃん。火葬RTAかな??

もはや笑わせにきてるよね。

 

 

バカバカしい。お前の冗談は底抜けにつまらない。

 

そういうことで、いいよな。

 

 

俺に負けてむすりとしているマダラ見やる。

すぐ拗ねる。ガキだな。

やれやれ。

 

「兄さんが無事に帰ってきてくれて、嬉しいよ」

「……!あ、あぁ。当然だろ」

 

さっきの不機嫌さはどこへやら。マダラは嬉しそうに笑う。

単純なやつ。

俺も、笑った。

 

怪我なく帰ってきた。

それだけでいい。十分だ。

お前が嘘ついたことも、これに免じて許してやるよ。

俺って超絶優しい!

 

作り話って思えばマダラの話も聞ける。

 

「梁山一族以外にも戦ったんでしょ?どうだった?」

 

インシツ千手の回し者だっけ。

 

「そうだな。弱かったぜ」

「ふーん?」

「イズナでも全然勝てたと思う」

「えぇ〜?」

 

マダラは魚を解している。

俺でも勝てるってなんだよ。俺のことなんだと思ってんの?

 

「それは無理じゃない?」

「そうか?」

 

漬物を食べた。しょっぱい。

味の中和のため、米に乗せる。

 

「イズナのチャクラ糸?があれば全然戦えると思うぜ」

「あれそんな強い?」

「あぁ。今はまだ体がちっせぇから無理だけど。もっとでかくなったらすぐだろうな」

「ふ〜ん」

 

マダラが笑う。お前だって小さいじゃん。五歳児の平均よりかデカいのかも分かんないけど。大人と比べりゃさぁ。明らかに。

 

「早く一緒に戦に行きたいよな」

 

……。

つまんない冗談が本当に上手いマダラ。

俺は笑った。

 

「そうだね。一緒に戦ったら、きっと無敵だよ」

「あぁ!」

 

マダラには冗談が通じないらしい。

言葉の裏の裏、読んでくんないかなぁ。忍失格だぞお前〜。

 

米を食べた。

固い。ハズレを引いた。石のように固い米粒を歯で押し潰した。

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