一般日本人が転生する話。 作:あうん
マダラにチャクラコントロールを習得してもらう。
「ーーということで兄さん。母上のとこ行こ」
「なにがということ、だよ!?」
「だから、糸ようじ。兄さんも使えるようになった方が便利でしょ」
「……いや。無理だろ……」
初っ端諦めるやつがあるか!
マダラは俯いてしまった。自信持てよ。お前はすごいんだから。
「兄さんならできるよ!」
「やったことねぇし……」
何事も最初はそうだろ!?
俺にできてお前にできないことなんてないんだ!
「大丈夫だって!絶対できる!」
「……」
「あー俺、兄さんと一緒に修行したいなー!?」
「……!で、でも、」
ちょっと反応した。
それでもなおうじうじするマダラ。
俺は奥の手を使った。
「もー!!母上に会いたくないの!?」
「そ、それは……」
マザコンのマダラは顔を上げた。
「行こ!会いに!!」
小さく頷くマダラ。マダラの手を取った。
ヨシ!
出発!!
「ーーということで、兄さんにもチャクラコントロール教えてください!」
「……難しいと思いますけどねぇ」
「ええ!?」
微笑みの母。
隣のマダラがしょんぼりした。
おい!
「やってみないと分からないじゃないですかぁ!!」
「……そうですね。では、これを」
母は針をマダラに手渡した。
「これは?」
「縫い針です。ここの穴にチャクラを通せるようになってみなさい」
「は、はい!」
俺もやったやつだ。マダラなら楽勝でしょ。
母は俺に向き直った。
「ではイズナ。昨日の続きです」
「は〜い」
母は俺に針、布、糸を手渡した。
産着完成させたいな。
母は日向さんの装束の手直しをし始めた。
縫い縫い。
「イズナ様。お食事のご用意ができました」
「お」
もうそんな時間か。まあ今日はお昼からだったし。
母に縫かけの産着を返す。受け取った産着を見て母は微笑んだ。
「頑張りましたね。明日には完成するでしょう」
「おお!」
俺の頭を撫でる母。元ヤンといえど。その手はやはりタジマとは別格だ。幸せ。
「あ、兄さんはどうだった?」
マダラの方を見る。針を持っていた。苦しそうな顔。
?
チャクラは?
「やはり難しかったようですね」
「え?」
母は微笑んでいる。
「才能がないのでしょう」
「ちょっ」
ひどい!!
「そんなこと言わないでください!」
「事実ですから」
はぁ!?
「じ、事実ってそんなすぐ決めつけないでください!!」
母は首を傾げた。
「チャクラコントロールは才能が物を言います。下手に期待を持たせるよりも、ハッキリと言ってやった方がいいと思うのですが」
そ、そうなの?でも、でもさ。
「でも、もっと!言い方がーー」
「イズナ、いい」
マダラが俺を止めた。
「俺が、できないのが、悪い」
そんなことない。マダラは何も悪くない。
「に、兄さん……でもっ」
「いいんだって、言ってるだろ!」
マダラの目から涙がこぼれた。
あー!なんてことを!!マダラが泣いちゃった!!
どうしよう!
「男子が泣く姿を見せてはなりませんよ」
「も、申し訳、」
母はマダラの顔に手を添えた。顔を覗き込んでいる。
「できないことに固執する必要はありません。お前には、お前にできることを。すれば良いのです」
「母上……」
マダラの涙を拭う母。
「頑張りなさい」
「はい……!」
……。
母に見送られて部屋から出た。
無視女さんは足早に去っていった。お辞儀からの身の翻しが早すぎる。どんだけ俺嫌われてるの??
マダラを見る。もう泣いてはいない。
「……兄さん。あんまり母上の言ったこと気にしない方がいいよ」
「ん?何がだ?」
きょとんとするマダラ。
あれ、ほんとに気にしてない?
「俺には、俺にできることを頑張ればいい」
「……」
「だろ?」
マダラは目元が赤いまま、ニッと笑った。
「……そっか」
俺の方が気にしすぎだったのかな。
食事部屋まで歩く。
……マダラを泣かせてしまった。
慰めることもできなかった。母のおかげで泣き止んだ。けど。……泣かせたのも母の発言が元だけど!いや俺の発言の、せいかな……?い、いや、そんな……。
うん。母のせい!母のせいだから!
……才能がないって。あんな真正面から言うもんかね。ひどい!
チャクラコントロールってそんなに難しいの?こんなの、別に誰だってできる。そう思ってた。
やる気があれば。俺よりもすごいマダラなら、もっと上手に扱えると、思ったのに。
母に褒められて嬉しがっていたマダラを思い出す。大失敗だ。最悪!!
何やってんだ。またマダラを傷付けた。
こんなことばっかりやってて何してるの本当に。
マダラがあんまり気にしてないのは良かった。
……けど、マダラ糸ようじ使えるようになろう計画が頓挫するのはまずい。このままじゃ安心して死ねない。未練タラタラで死ぬのは嫌だ!
マダラには頑張ってもらわないと、才能の有無なんて関係ない。何がなんでも糸ようじは習得してもらう……!
マダラと一緒に夕飯を食べた。タジマはいなかった。なんなのあいつ。
温かくて柔らかいお米を頬張る。美味しい!これが白米だったらもっと美味しいのになぁ!
味噌汁に浮いた豆腐を見る。木綿。俺絹ごし派なんだけど。いや悪くないけどさ。
あぁ〜麻婆豆腐食べたくなってきちゃったよ〜。
早く麻婆豆腐を食べるために頑張らねば。
麻婆豆腐じゃない飯を食べながら考える。
なんでマダラはできなかったんだろう?
あんなのちょっとチャクラ練って、手から出して塊を細くしていくだけだ。
今ご飯を食べながら片手間にできる、その程度の難易度。
マダラには違うのか。
「兄さん」
「ん?」
「さっきはどんな感じでチャクラ糸作ろうとしてたの?」
考え込むマダラ。俺は待つ。
「……」
「……」
「……分かんねぇ」
「はい?」
「そもそも糸を作るって、何だよ」
「……」
えぇ?
「さっき針渡されてたじゃん」
「そうだな」
頷くマダラ。
「穴に通せるようにって言われたじゃん」
「ん」
「じゃあチャクラ出すじゃん?」
「?」
「??」
マダラは困り顔だ。俺も困った。
「さっきまで何してたわけ?」
「針をずっと見てた」
本当に何してんの!?
え、あの時間ずっとそうしてたわけ……?
つ、つらすぎる……。
「見てるだけじゃ何もなんないじゃん!?糸出すんだよ?」
「……糸出せって言われても、わかんねぇよ」
マダラがむすっとした。あーあー。
「やり方わかんなかったんだったら聞いてよ!」
マダラは目を逸らした。
「……二人とも、忙しそうだったから」
……。
「気にしないでよかったのに」
「……」
才能の有無というより、マダラがコミュ障だっただけでは?
「じゃあ。改めて、教えてしんぜよう!」
俺は手からチャクラを出して見せた。マダラにも見えるように圧縮してる。
「ほらこんな感じに出すんだよ」
「……どうやるんだ?」
どうやるって?マダラの方が分かってるよね?
「ほら、火遁使うみたいなもんじゃないの?口から火が出るのと同じ感じで!」
「……印組まないと術は出ないだろ?」
業火球はね!?チャクラ単体なら別にお腹でグルグルしたらできるじゃん!
むしろ手遊びで火遁飛び出る方がおかしくない!?
「これは術じゃないよ!」
「?」
「?、じゃないよ!!?」
何だろう。思った以上に認識が違ったみたい。
「とにかくチャクラ練って!練れる!?」
「あ、あぁ」
写輪眼で見る。確かに練ってる。……俺よりチャクラ量多くない?あ、そんなにチャクラって練れるもんなんだ……。
やっぱマダラすごい。
「手に集めて」
「……」
手の内側にチャクラが集まってる。なんだよできるじゃん。
「それを手の外に出すんだよ」
チャクラが外側に出ていく。そのチャクラはふにゃ〜んと漂って、霧散した。
……。
維持しろよ!?消えちゃってんじゃん!!
チャクラダダ漏れ状態で何の意味もないことをしているマダラ。なんでそうなるのかな!?
「そ、そうじゃなくって!こう!何か、形を維持するの!」
「……?こうか?」
う、うーん。ちょっと動いてるような、空気に流れていってるだけのような。大量の消えていくだけのチャクラ。勿体ねぇ!
マダラはなんでできない?
同じ視点で立つことが大事。
一旦写輪眼を解除した。何も見えない。
チャクラ全然見えない!?量は多くても圧縮してなきゃこんなもんか!?
見えてないんじゃねぇ。どうしろ言われても分からんか。
うわ〜もどかしい!早く写輪眼使えるようになってくれよ!どうやったら使えるようになるの!?
ま、まずいぞ。段々マダラの顔が曇っていく。
アワワ……。
なんかないかなんか……。
俺は湯呑みの茶を一気飲みした。あっつ!舌やけどしたっ!
「に、兄さん。これに入れてみよ!」
「は?」
「チャクラをこれに込めてみるんだよ!そしたら、見えてくるから!」
まずはチャクラを見えるレベルまで濃くすることだ!
マダラの手のひらに、逆さにした湯呑みを押し付けた。
写輪眼で見る。
よし。湯のみ越しにチャクラが入ってるのが見えた。外にも漏れてるけど空気中に無意味に消える量は格段に減った。
湯呑みを斜めにして中を覗く。
「み、見えた!」
「すごいよ兄さん!」
マダラの明るい声。いいぞいいぞ!
見えるなら話は簡単だ。
「じゃあそれを消えないように留まらせるの、できそう!?」
「や、やってみる……!」
マダラはグッと気合いを入れた。
……って待って。
マダラいつまで湯呑みにチャクラ入れ続けてんの?どんだけチャクラ練ったわけ!?
ビシリと音が。
湯呑みに罅が入ったと思った瞬間にはもう遅かった。
原作でも螺旋丸で手と球の間に隙間が存在していたので、チャクラが少ないと視認できないということでいいですか?
(・o・)<いいですよ
ありがとう……!