一般日本人が転生する話。   作:あうん

34 / 44
絵面的にグロいかもしれないです。
朝四時ごろです。


逃走中。ハンターは俺一人。

「う〜ん」

 

朝。今日は雨らしい。雨音が障子越しに聞こえてくる。

薄暗い。今何時なんだろう。時計がない。不便すぎる。

体を起こす。起こせない。マダラのせいで。

 

……。

 

暇だな〜。

マダラに背中を向けて寝ていたせいでタンスが正面に。

 

本読むか?やる気出ないなぁ。気分じゃない。

二度寝するか……。

 

ゲコ。

 

 

ゲコゲコ。

 

えっ何?

 

ゲコゲコゲコゲコ。

 

うるさっ!?

音のする方を見る。俺の頭の方。

 

カエルが。いっぱい。

目の前に。うぞうぞと。

 

「ひいい!?」

 

俺は逃げ出した。しかしマダラにしがみつかられて逃げられなかった!

ちょっとマダラ離して!全然離れない!!本当に無理!何でカエル!?

頭上から無限にカエルの鳴き声が聞こえてくる。ヤダァ!!

 

布団を頭まで被る。カエルの襲来をこれで防げるか!?いやほんとなんでこんな目にあってるの!?朝から最悪すぎる!!

 

布団を引っペがされた。ナンデ!?

 

犯人は。

 

「イズナ。おはようございます」

「ち、父上……」

 

なーに普通に挨拶してんだよお前ェェ!!

 

「かえ、カエルが!父上ぇ!」

「そうですね」

 

何がそうですね!?なの!?

タジマは普通に返してくる。ひょいとカエルの入ったカゴを俺の前に出してきた。

……カゴ?

カエルはカゴの中にギュウギュウ詰めだった。いや怖い怖い怖いわ。

俺は手で目を覆った。

 

「ちょっ、見せないでください!!近い!離してぇ!!」

「……」

 

タジマは背中にカエル入りのカゴを隠してくれた。優しい……。

 

いや騙されてはいけない。タジマのせいだろこれ!

そもそもなんでカエル!?

 

胡座をかいた父を見上げる。

 

「何してくれるんですか朝から!?」

「お前は朝だけでなく四六時中ですけどね」

「そういうの今はいいから!!」

 

タジマはため息をついた。

 

「モミジに頼まれたので捕まえてきたんですよ。お前のために」

 

俺ェ!?!?

 

 

「俺のためって何ですか」

「知りません。私は頼まれただけです」

「……」

 

役に立たない……。

タジマの背中からカエルの大合唱が鳴り響いている。まじでうるさい。

 

「父上が捕まえてきたんですか?」

「そうです」

「いつ?」

「先程」

 

夜中に??

 

「暇なんですか?」

「……」

 

タジマにじろりと睨まれた。うぅっ。

 

「あー、何匹くらい捕まえたんですか?」

「三十匹です」

 

やば!?

 

「やっぱり暇じゃないですか!?」

「……」

 

冷たい目線。ヤダァ!

 

「……ナンデモナイデス」

「そうですか」

 

ため息。カエルのせいで掻き消されてしまっている。

 

「お前のせいで昨日は散々でした」

「え、なんでですか……?」

「モミジにあることないこと言ったでしょう」

「……言ってないです!」

 

言ったかも。

マジで叱られたの?

タジマは俺の言葉を無視した。

 

「常に監視していろと言われても、私も忙しい身です」

「……」

 

カエル探しに行く時間はあったのに……?

また睨まれそうなので言わないことにする。俺は賢いのだ。

俺の目をじっと見るタジマ。なんだかくたびれているように見える。どんだけ叱られたのよ。

 

「ま、まあ母上と仲良く二人きりで良かったじゃないですか!」

 

タジマは顔をしかめた。

 

「……仲良く……?本当に面白くない冗談です」

「えっ」

 

不仲!?!?

いやいやそんなはずないでしょ!?

タジマは話を戻した。大真面目な表情。

 

「とにかく、お前はもう少し落ち着いて行動しなさい。好きで怪我した訳では無いでしょう」

「……う、うーん」

 

確約はできない。

返事を濁す。

タジマの目が赤くなった。

 

「わか、分かりましたぁ!」

「……言ってもどうせ分からないのでしょうけど」

「わ、分かってますって!」

「いつか分かる日が来ることを願います」

 

タジマはため息をついて立ち上がった。

カエルカゴはそのままだ。

 

「ち、父上どこに行くんですか!?」

「仕事が残っています。お前のせいで余計な時間を食いました」

 

人のせいにしないでほしい!

タジマはうるさいカゴを指さして言った。

 

「これを持ってモミジの修行に行きなさい」

「えぇ……!?」

 

近付くことすらしたくないのに……!!?

 

「それと勿論、朝は抜きですからね」

「!?」

 

文句を言う前にタジマは消えていた。

おいおい。マジか、マジか。最悪。

俺は項垂れた。

 

「……」

 

ゲコゲコ。

 

「…………」

 

ゲコゲコゲコゲコ。

 

うるせ〜!!

逃げようにもマダラのせいで動けないし。

耳を塞いでもカエルの合唱が手を貫通してくる。

なんでこんな拷問受けなくちゃいけないわけ!?

タジマ許せねぇ!!

引っぺがされた布団をチャクラ糸で取り戻して頭に被る。全然変わらない。

なんで三十匹も捕まえてくるわけ?どんだけ暇なの?やばいでしょあいつ。カエル大好きかよ。虫取り得意なの?いい歳のくせに。虫取り少年ならぬ虫取り中年??

母がカエル取ってきてって頼まれたって意味分かんない。何に使うんだ?カエルなんか。

 

ゲコゲコ。

 

……。

 

本当にうるさい。

お腹も空いてるのに。

頭おかしくなる。

 

ちょっと離れて欲しい。俺はチャクラ糸でカゴを遠ざけようとした。

ズルズルと奥の方に。地味に重い……。

せめて部屋の端っこまでどかせばこのうるささも多少は……。気持ち和らぐといいなぁ。

 

ちょっとずつ動かしていると一瞬。引っかかりが。畳の縁につまづいた。

カゴが浮く。

 

は?

 

斜めに倒れるカゴ。

蓋が開く。

 

は??

 

カエルが。

 

「はああ!?!?」

 

俺は逃げ出した。のに逃げられない!おま、マダラっいい加減起きーー

 

カエルが目の前を横切る。

 

「ひいぃ!?」

 

部屋の中に三十匹のカエルが暴れ散らかしはじめた。布団を被る。遅かった。布団の中に一匹……!!

 

「ぎゃああ!!」

 

糸で縛り上げる。布団から叩き出した。滑って糸から外れるカエル。一瞬開けた布団の隙間から第二第三のカエルが侵入してくる!

 

ふざけんな!!

 

布団に入ってきたカエルどもを引っ捕らえる。今度は繭のようにグルグル巻きにした。これで抜けれないはず。

外に放り投げたらまたやってくる。こいつらと同居するか!?ありえない……!!

 

ゲコゲコ。布団の外。四方八方からカエルの声が聞こえる。気が狂う……!!

目を閉じる。耳を塞ぐ。何も意味がなかった。

なんで俺がこんな目に……!!

涙が出てくる。何も変わらなかった。

 

「うぅ……」

 

グズグズとしても誰も助けてくれない。

カエルの声が無限に俺を攻めたてる。布団の上にカエルが跳ねた感触が余計俺を苦しませた。

背後のマダラは何なんだよ。温かいだけ。本当に使えない。むしろ俺の邪魔しかしてない。

心臓の音と、呼吸の音が聞こえる。

 

……。

 

 

くそっ。

わかったよ。

蹲ってても、仕方ないんだろ。

 

深呼吸。

 

体を動かせないことを言い訳にしても現実は変わらない。役立たずのマダラに期待なんかしない。

俺を守れるのは俺だけなんだ。

戦わなくては。

活路はそこにしかない。

 

俺は覚悟を決めた。

 

チャクラを練る。チャクラの練り直しなんかする隙はない。一発勝負。

糸を出す。二十八本。繭になった二本。計三十。アイツらにチャクラが見えるのか謎だが、ギリギリ見えないレベルの強度にする。

ここまで糸を大量に操るのは初めてだ。扱いきれるか?まあ一度に全部捕まえる訳じゃないし。数本使って繭を作って別の糸操作に切り替えるだけだ。全部同時に使うとか頭パンクするわ。

 

タジマの言うことを信じるのは癪だ。本当に三十匹いるのか?多い?少ないかも。なんでわざわざそんなに捕まえてくるかな!?

タジマのせいで散々だ。許せない!

 

無限に文句が出てくる。

しかし、考えても仕方ない。

やるしかないのだ。

 

目を見開く。

写輪眼。

 

 

カエルを全て捕まえる……!!

 

 

布団を剥がした。

部屋を飛び跳ねるカエル。

こいつらうっすらチャクラをもってやがる!?

見やすくて助かる。が、大量のカエルの動きに酔いそう。

まとめて捕まえるのはやはり無理。

一つ一つ着実に。だ。焦ってもいいことはない。

視界に入る緑色に糸を伸ばす。

写輪眼があってよかった。こいつらの動きを予測するのは困難を極める。

跳ねた先に糸を配置する。ぶつかった瞬間、絡めて縛り上げた。別に糸と言っても本物の糸じゃない。触れたところから変形させて繭にすればいい。

俺はいつになく冷静だった。頭が冴えている。

視界に入るゴミ共を片っ端からひっ捕らえてーー

 

「くっ!?」

 

視界外からの攻撃。掠ったような気がする。

目に映らないんじゃどうしようもないじゃないか!

無傷での生還は最早諦めた。

今はとにかく傷を浅くすることだ。

布団から頭と手だけ出してゴミ掃除をする。

 

視界に映るゴミはなくなった。

 

今何匹だ……?

一度布団の中に戻った。

繭の数を数える。暗闇の中青白く光っていてよく見える。

中身のカエルが透けてすごい嫌だった。

一、二、三、四……二十匹。残り、十。

まだ十匹もいるの……?

心が折れそう。

布団から顔を出して。

カゴを引き寄せる。

とりあえず捕まえた二十匹をカゴに叩き込んだ。蓋をしっかり閉めておく。

遠ざけようとしたと思ったらこんな近くに……。どうしてこうなるんだ……。

大合唱に鼓膜が破壊されそう。

マダラはスヤスヤだ。ある意味尊敬する。

 

さあ残り十匹。どこにいる?

マダラのせいであまり見えないが一応見渡す。

……いた。全然いる。

見えるものを回収。残り二匹。

もう後はどこにいるのかさっぱり。

チャクラがあるんだから透けて見える。はずなんだが。……。カゴの中にカエル残ってたりしたのかな……?そしたら絶対三十匹に行かない。

やばい確認忘れたせいで……。蓋開けて、一匹ずつ捕まえて数えるの……?無理……。

真横を通り過ぎるカエル。

まだ生き残りがいたのか!!

生き残りはまだいるに決まってる。そう考えた方がいい。楽観視は死を招く。

残り一匹。仮に一匹カゴに取り残されていたとしたら三十で終了。だった。

即座に縛り上げる。

視界外からの奇襲が辛い。

後は、どこだ。見渡す。

いない。

本当に全部捕まえた?

一度小休止。枕に頭を乗せる。ずっと首だけを上げていたせいでちょっと疲れた。

 

正面。カゴを見る。その少し先。その少し上。仄かに青い光。チャクラが見えた。

空中に浮いている……?

 

違う。

 

中にいる。

ヤツは。

 

タンスの中に。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。