一般日本人が転生する話。 作:あうん
曰く、集中力があまりにも続くのでどこまで保つか確かめたかった。と。
父タジマは俺から目を逸らしながらそう宣った。そういうことは、せめて、俺の目を見ておっしゃってほしいですなぁ?
朝食を食べ、またタジマから呼び出された。そして昼食を抜かれたことについて問いただしたわけだ。おま、普通に虐待では?興味本位で飯を抜く親がいるか!
「……今日は休憩時間を設けましょうか」
「ぜひそうしてください」
さておき。
「今日は数字の勉強です」
はいはい。足し算引き算かけ算わり算。かかってこ〜い。
タジマは懐からジャラジャラと小道具を取り出した。四次元ポケットか何か?
それらを並べて、
「これが、苦無、手裏剣、千本、起爆札です」
「……」
おぉ〜なんだか忍者っぽい。でもなんで数字のお勉強でこんなものの紹介を……。
タジマは手裏剣を数枚取って俺に渡した。金属製の見た目に違わず重い。
「これは何枚か数えられますか」
「さ、三枚です」
「よろしい」
数は数えられるようですね。タジマはそう言って俺の手にさらに苦無を二つ追加した。重いってぇ!
「では、これは?」
「手裏剣が三枚、苦無が二つです!」
「合わせて数えられますか」
「五!」
早く取って!腕がプルプルしてきた。
タジマは俺の答えに頷き、苦無を一つ回収した。
「これは?」
「三枚と一つで四!」
タジマは俺の手に千本を何本も置いた。おいぃ!数が多い!
「三、一、八で十二!!」
「ふむ」
タジマは俺の手にあった物を回収した。重かった……。
「もう少し難しくしても問題なさそうですね」
「また手に乗せるんですか」
「数が多くなるので乗せませんよ」
よーし!バッチこーい!
「忍が二人。同時に手裏剣を四枚投げてきました。手裏剣の数は?」
え!何その例題!?
「八枚です」
「そうですね。では、背後から別の忍三人が苦無を三つずつ投げてきました。合計はいくつですか」
どういう状況?一人に対して殺意がすごいんだが。
「十七です」
タジマは一つ頷いて、苦無に起爆札を貼り付けてみせた。
「この起爆札はチャクラを込めると一定時間後に爆発します。質の悪い起爆札は、爆発し損ねることがあります。
そこで問題です。背後から投げられた苦無の一つに起爆札が付けられています。二十回中、二回は不発になる起爆札です。その起爆札は何割で爆発しますか?」
うええ!意味わからん!
「九割……?」
「正解です」
そこからはタジマから問題を出しまくられ、それにひたすら答える時間が始まった。
「苦無が五十五と手裏剣が八十あります。十五人の忍に均等に分けるとそれぞれ幾つになりますか。余りも答えなさい」
「雨天時、起爆札の起爆割合が半分になるとします。この時に二十五枚の起爆札を使用した場合、何枚が爆発するでしょうか」
「苦無、手裏剣、千本、起爆札をそれぞれ十、持っているとします。苦無を三つ投げ、手裏剣を二枚投げました。その後千本と起爆札を四つずつ使い、手裏剣を一枚回収しました。残りの起爆札全てを一枚ずつ苦無に付けて投げ、手裏剣を五枚投げます。それでは、この時点でそれぞれ幾つ手元に残っていますか」
エトセトラエトセトラ……。
「タジマ様、お食事のご用意ができました」
「ん?時間が経つのは早いですね。お疲れ様でした。よく頑張りましたね」
「……」
機嫌の良さそうな顔のタジマは地獄の勉強時間終了を宣言した。
ずっと計算しまくってて頭が回らない。暗算縛りとか終わってる。こんなん逆にバカになる。
もう疲れた……。ごはんはやく食べたい……。
食後、マダラが待ってましたとばかりに話しかけてきた。元気そうだなマダラ。俺はこんなにもヘトヘトなのに。
マダラは今日の修行について楽しそうに語ってくれる。うんうんすごいねーと褒めておく。
腹もくちくなって今すぐ寝たいのに、マダラに構ってやっている俺。聖人がすぎる。
「イズナ、今日は何を勉強したんだ?」
全然話が終わりそうにない。まじで意識がどっか飛んでいきそう。
まだいるタジマをちらりと見る。暇ならマダラの相手してくれよ……。が、タジマは会話に混じる気はなさそうで、俺たちの様子を微笑ましげに見ている。
俺は眠気覚ましに茶を啜った後、マダラの方を向く。
「数字の勉強を一日中」
「おぉそっか……」
「……」
「……」
言葉に詰まるなら聞いてくんなよ!この沈黙の刹那に俺は寝てやってもいいんだぞ!
「あー、えーと、そうだ!」
まだ何かあるのぉ?
「昼飯!今日は食べれたんだろ?」
俺は稲荷寿司だった!とマダラは笑顔で続けた。
?
「ひるめしだって……?」
「……い、イズナ?」
ひる、めし。昼、飯?昼飯って、お昼に食べるごはんのことかな?あれ、俺どうしたっけ。今日、タジマと最初に約束してたような。
だから俺こんなにヘトヘトなのかな?何だか頭が熱くなってきた感じが。
ミシミシと手に持つ茶碗が軋み始めた。
「父上」
「……」
のんきしていたタジマを見る。やべっ。そんな顔をしていた。
「俺、疲れたせいなのか、覚えていないのですが、お昼って、いただきましたか?休憩、しましたか」
「……」
「……」
「……すっかり忘れていました」
バキリ。
俺の手にあった、茶碗が、砕けた。
お前、お前お前お前ええぇー!!!!
「う〜ん?」
朝だ。いつの間にか寝ていたらしい。よく寝た!元気いっぱいだ。
布団から這い出て、隣の部屋の障子を開ける。
「にいさーんおはよ〜」
マダラは既に起きていて布団を畳んでいるところだった。俺の声にびくりと肩を跳ねさせてこちらに振り返った。
「い、イズナ!」
「わっどうしたの」
「あぁいや、昨日のこと……」
「昨日?」
なんかあったけ、朝ごはん食べて、タジマと勉強して、ごはん食べて……。
「いや!なんでもない忘れろ!」
「ええ?」
変なヤツ……。
昔の日本は一日二食だったらしいですね。