一般日本人が転生する話。   作:あうん

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ストレス耐性ゼロ。

「ーーな!イズナ!!」

「……」

 

なんだぁ?俺が気持ちよく寝ているってのに……。

寝たふりを決め込もうとしたら体をめちゃくちゃ揺さぶり始めた。やめろー!

 

「起きろイズナ!死ぬな!」

 

縁起悪いこと言うなよ!?その大声で死ぬが!?もー、起きる!起きるから!

 

「おはーー」

「死んじゃだめだ!」

「ちょーー」

「目を開けてくれ!!」

「」

 

こいつ……!起きてるっつーの!気付けよ!だー!もおお!うぜえ!!

 

「離せ!!」

 

揺さぶってくる手を振りほどく。

 

「い、イズナ……」

「おはよー……にーさん」

 

全く目覚め最悪である。

文句の一つでも言ってやろうと口を開いて、マダラの表情に閉口する。

真っ青になって涙で顔がぐしゃぐしゃだ。

あわわ……。

 

「に、兄さん大丈夫……?」

 

明らかに大丈夫ではないだろ。質問のセンスが無さすぎる自分に絶望した。

 

「良かった」

「う、うん?」

「死んでなくて、本当に……」

「……う」

 

そもそもなんでマダラは寝ていただけの俺に対してこんな風になったんだ?記憶を巡らす。

ーーそういや、俺、昨日風呂場で気絶したんだったわ。マダラの目の前で。

どうしようこれ。泣き止ませられるか俺に?

 

「えーと、兄さん、俺、すごい元気だから。死なないから。ね!」

「……」

 

俺の語彙がゴミすぎる。

 

「っあーっと、ほら、見て兄さん!すごいでしょ!」

 

俺は逆立ちした。

 

「ど、どう?」

「……?」

 

マダラはポカンとしている。

なんだその反応は!?俺がバカみたいだろ!?今生の俺の数少ない特技なのに!すごいって褒めろ!

 

「逆立ちだよ!知らないの!?」

「し、知ってる……」

「兄さんにはできないでしょ!」

「できる……」

 

何!?

 

「嘘だ!」

「嘘じゃねぇ」

 

そんな!?俺の特技が……。

 

「あ」

 

体勢が崩れる。背中からバターンと行くやつだ。

 

「っあぶねぇ!」

 

マダラが咄嗟に俺の足を掴んだ。おかげで背中を強打せずに済んだ。

 

「おお……」

「危ないことすんな!」

「ご、ごめんなさい……」

 

五歳児に叱られるの、情けねぇ……。

いやね、布団の上で逆立ちしたからね。倒れてもそんなに問題ない場所を選んではいたからね?

マダラは俺をそっと布団に戻した。俺は正座した。

 

「兄さん」

「ん……」

「ほんとに逆立ちできるの?」

「……」

 

ええ……?マダラは眉をひそめた。

俺は疑っている。逆立ちが簡単にできてたまるか!

 

マダラは鼻をすすった後ヒョイ。と逆立ちを見せてきた。鮮やかなまでに倒立だった。軸がまるでぶれない。

す、すげー!!

 

「兄さん……!」

「嘘じゃねぇだろ?」

「かっこいいよ……!!」

「そ、そうか?」

 

こんぐらい誰でもできる。と、マダラは逆立ちから戻って俺の正面に座った。流れるような動作だった。

いやいや。

 

「謙遜もしすぎると嫌味になるよ。兄さん」

「は、けんそん?」

「兄さんは超絶すごいってこと」

「そうか……?」

「そうだよ!!」

 

前世知識のある俺が断言するのだから間違いない。五歳で逆立ち。すごいと思います。

ま、三歳で逆立ちできる俺の方がすごいけどね!俺が五歳になった暁にはマダラを超えてみせる。

マダラは俺に褒められて照れ照れしている。ガキめ。

 

「ってそうじゃねえ!」

 

マダラは話をぶった斬ってきた。おい、そういうの嫌われるぞ。

俺は無理やり話を続けた。

 

「何?側転?俺はできるよ。兄さんは?」

「できる、がそうじゃねぇって!」

 

逆立ちの方が難易度高いしできて当然か。流石マダラだ。

ていうか何?これ以上に重要な話ある?

 

「か、体は大丈夫か?」

「大丈夫じゃないように見える?」

「いや……」

 

元気そうだな……。マダラは口ごもった。

だろ?じゃあ話を戻すぜ。

 

「もちろん兄さんは後ろ向きで逆立ちはできるんだよね?」

 

ちなみに俺はできない。

だって後ろ見えないの怖いじゃん……。

 

「ああ」

「ええ〜?ほんと〜?」

「できるさ!」

 

俺の疑わしい目にムッとしたマダラ。挑発に簡単に乗る。全くガキだな。

マダラが立った。

ま、流石のマダラでもそんな高難易度の技をできるわけがないのだ。失敗して泣いても知らねえぞ!ワハハ!

マダラが構える。

やっぱ無理って言うのは今のうちだぞ〜。

この展開前も見たな?

……。

これマダラが失敗して大怪我したら洒落にならなくない?

ちょっとマダラ。やっぱりやめよ?

俺は口を開いた。

 

「まっ」

 

マダラが舞った。

 

ああ〜!?

 

ど、どうしよう。このまま頭からどかーんっていったら!?痛いで済むか!?布団の上でやれよ!畳の上だとまじで痛いぞ!?マダラのバカ!

う、うわ〜!どうしようどうしよう!さっきのみたいに足を掴む!?俺にはあんな反射神経ねえ!下敷きになるしかない!

 

マダラ!あぶな〜い!

ズザザっ!と畳を滑る。そんな俺をよそにマダラは見事に成功せしめて見せた。

更に言うなら、俺を踏みつけるところだったのを華麗に避けた。

 

「っ危ねぇ!?」

「……」

 

まじ?す、すごすぎる……。

 

「天才か……?」

「大袈裟だろ」

 

マダラは呆れ顔で両足を畳につけた。

最後に両手を上げたら百点満点だったな。いや、ケチをつけるのも、違うな。

俺にできないことを平然とやり遂げたマダラ。

そうだ。

俺は完膚なきまでに負けた……。きっと天才なんだこいつは。

オリンピック選手並みの素質を持った天才に勝てるはずがなかった。

生まれる時代を間違えたなマダラ……。お前なら金メダルを量産できたはずなのに……。

 

「危ねえことすんなって言っただろ!」

「うう……」

 

また叱られた!マダラを思ってのことだったのに!

顔面が畳に擦られてヒリヒリしてきた。マダラのせいだ!

 

「……」

「……」

「あー。イズナはできんのか?」

 

なっ……!

 

「できねぇよ!」

「そ、そうか……イズナもいつかできるようになるさ!」

 

マダラが這いつくばっている俺の頭をぽんぽんする。

五歳児に煽られた……!!

悔しいい!!

目が熱くなる。

涙が出てきた。

 

「ぐすんぐすん」

「お、おい!?なんで泣くんだ!?」

「泣いてない……!」

「泣いてるだろ……」

「目にゴミが入ったんだぁ!」

「ほんとかぁ?」

「俺、嘘つかない……!」

 

俺は普通に嘘をついた。

涙が、畳に擦れたところにしみる。マダラのせいだ!!

心配性なマダラは俺の言葉を信じたんだか信じてないんだか、顔を覗き込もうとする。

俺は顔を逸らした。

 

「どれ、見せてみろ」

「や、やだ!」

 

これ以上俺に恥をかかせないでくれ!!

くそが!余計な嘘をついたせいで面倒なことに……!!

掴んでくるマダラ。咄嗟に目を閉じる。

暴れるが抑え付けれる。五歳児と三歳児じゃ体格の差が。しかもこいつはオリンピック級の天才児。

逃げられない!

 

「ほんとにゴミ入ってたら痛ぇだろ。いいから目開けろって」

「やだぁ!」

 

顔に触れる感覚。瞼……?

こいつ!無理くり目をこじ開けようとしてきやがる……!?

や、やめろぉ〜!

 

抵抗虚しく、視界に映るはギョッとした顔のマダラ。なんだよ。その顔はぁ!?

 

「写輪眼……!?」

 

はぁ?

 

マダラの瞳越しに見える俺の目は赤く光っていた。

 

 

 

 

 

 

「すごいなイズナ!」

「……そう?」

 

マダラは喜んでいる。よかったね。

俺の目はもう写輪眼ではなくなっていた。ひとまず安心。

 

……写輪眼ってなんだっけ?

タジマの話を思い出す。写輪眼があると一人前のうちは、だったか。

後、戦いの中で発現するって言ってたけど……嘘っぱちじゃねーか!

……。

うーん。

 

「兄さん」

「なんだ?」

 

マダラは顔をキラキラさせている。さっき泣いていたから、結構アレだけど。拭くものないかな。

 

「父上には内緒にしてくれない?」

「なんでだ?」

 

確実にめんどくさいことになるから。とは言えず。

 

「えーと。兄さん修行してるでしょ?」

「ああ」

「だから、俺も修行して、写輪眼に見合った強さを手に入れてから報告した方が、父上的にも嬉しいかな〜って」

「そうか?」

 

……。

 

「いいから内緒にしてほしいな!?」

「わ、わかった」

 

俺はゴリ押した。

内緒にする言質はとった。これ以上の追及を避けるために話題転換することにする。

なんかないかな。うーん。

ああ。これ言ってなかったな。

 

「兄さん。助けてくれてありがとう」

 

にっこり笑顔を作って感謝の意を述べる。

 

「何がだ?」

「さっきの、俺が逆立ちした時」

「ああ」

 

別にいいって。こいつほんと謙虚だな。

まあ今のは一の矢。二の矢が本命よ。これは忘れてはならない。

 

「兄さん」

「ん」

「昨日も助けてくれて、ありがとう」

「?俺は、何も……」

「兄さんがいなかったら俺、溺れ死んでた思うし」

「!」

 

風呂火遁事件。あの時マダラがいなかったらチャクラ切れ?で水死体爆誕の可能性があった。

一人でいる時に印を結んでたかどうかはこの際置いておくとして。

 

「兄さんは俺の命の恩人だね〜」

 

だから、ありがとう。感謝は早めに言っとくに限る。この借りはいずれ返すぜ。

マダラがグッと口を引き結ぶ。目がうるうるしてきた。さっき泣いてたし涙腺が緩んでいるのか?この泣き虫め!

更に追撃する。オラッ泣け!

 

「俺のこと守ってくれてありがとう!」

「イズナ……!」

 

感極まったようなマダラ。ヨシ!

マダラは俺に抱きついてきた。おーよしよし。っておま、俺の服に鼻水っ……!

ここで突き飛ばすと台無しだ。堪える。

逆に俺は受け入れるようにマダラの背中に手を回す。トドメだ!くらえぇ!

 

「兄さん大好き!」

 

ちょっときもいかな。ガキ相手だしいいか……。

これでマダラも写輪眼の件は忘れたに違いない。

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