一般事務員オペレーター   作:オニギリムシ

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今回マジで注意です。


第10話

「おはよう」

「お、おはようございます」

 

挨拶をしても、ぎこちなく返される。

何故かあの日から、彼女との会話がぎこちない。

ただただ無言で、書類を処理する。

気まずい。気まずすぎて声を掛けることもできない。

それが数日、続いていた。

 

「し、失礼します」

 

そして今日も、挨拶だけで会話が終わってしまった。

彼女はそそくさと執務室を出ていった。

私は見送った後、天を仰ぐ。

何かしでかしてしまったのだろうか、私は。

朝は普通に接していた。つまり、私が帰ってくるまでの間に何かがあったということ。

……考えても分からない。

なら、本人に聞いてみる他無いだろう。

問題は、言ってくれるか、というのと、明日は彼女の休日で、都市にも泊まる。

つまり、明後日になる、ということ。

 

「はぁ……」

 

最低でもあと二日はこの苦しさを抱えなければいけない事に、また天を仰いだ。

私には、もう彼女がいなければ生きていけないというのに。

 

 

 

 

 

私は今、都市を練り歩いていた。

久々の都市だというのに、気分が上がらない。

好きなショップ巡りもやる気が起きない。珍しく何も買わずに歩くだけだった。

原因はもちろん、彼のせいだろう。せい、というのもおかしな話だけれど。

歩いていると、丁度目の前にカフェが現れたので、入って休憩することにした。

 

席に案内され、座った後にコーヒーを頼む。

そして考える。どうして彼にあんな態度を取り続けてしまっているのかを。

最初は、スズランさんにいろいろ言われ、普通に返していた。

そう、普通に返していたはずなのに、とある場所から崩れ始めた。

 

彼が、私のことを好きかもしれない。

 

そこで私がそんな訳ないと言って、その理由を考え、連鎖的に生まれたのが、私はどう思っているか。

肯定的な意見が多く出て、嫌いではない、という結論に至った。

今また冷静に考えてみると、それどころか好ましいというのも浮かび上がった。

しかしこの好ましさは、人として。恋愛ではないと理解できる。

 

……整理すると。

私は彼の事を恋愛的に好ましく思っているのでは?と勘違いし、慌てふためき、私を信頼してくれているはずの彼にあんな態度を取ってしまった。

これ、私が生娘のような勘違いで迷惑を掛けたってこと?

 

「死にたい」

 

私は勢いよく机に突っ伏す。

流石に恥ずかしすぎる。自分でも面の皮が厚いのは理解しているけれど、これは本当にひどい。

 

「あ、あの」

「……あ、すいません」

 

コーヒーを持ってきてくれたウェイトレスさんにチップを渡して、コーヒーを受け取る。

とはいえ、比較的早く気づけたと思う。プラスに考えて行動しよう。

やるべきことは一つ。

 

「お土産を持って、すぐに謝りに行こう。それが一番ね」

 

話のタネが一つ増えた。そうも考えましょう。

私はコーヒーを一気に飲んで、カップにこの都市のお金を入れて、立ち上がった。

 

 

 

 

 

「――はい、奴が出ました。追跡を続けます」

 

 

 

 

 

思ったほど自分の行動がカッコ良くなかった気がすると後悔しながら、いろいろ周りを見てみる。

物は今更ながら重く感じるだろうし、食べ物の方がいいだろう。ネックレスを渡したから本当に今更だけど。

そういえばネックレスを渡すのはどうなんだろうと気になり調べると。

 

「絆を深めたい……束縛したい……永遠に一緒に居たい……」

 

すぐに画面を消して祈った。バレていませんように。

彼と関わってから、どうにも自分のポンコツ感が増している気がする。

見たいのは、彼が真の意味で仲間と打ち解けるのと、恋愛模様。誰も私とのラブロマンスなんて望んでない。

と、そんなことより持ち帰る物を色々探そう。

 

「……ん?」

 

急にどこからともなく、美味しそうな匂いがしてきた。

特に何も考えず、辿っていくとそこには、いくつかの屋台があった。

人も屋台に合わせれば、そこそこいる。

とりあえず私は近くのフランクフルトの屋台に近づき、いくつか注文し、質問も頼んでみる。

 

「お前さん、旅の人かい?」

「ええ、一応」

「だろうな、見ねえ顔だ。ま、特に何でもないけどやってんだよ。暇だったからやってるだけさ」

「なるほど」

「それより、どうだい。何か面白い話は無いか?面白かったらまけてやるよ」

「そうですね……」

 

私は自分の本物を贋作と罵る大バカ者の話をした。

最初は屋台のおじさんだけだったのが、何人か私の近くに寄ってきて、話を聞いていた。

話の最後に、私の着けていたネックレスを見せて終わらせる。

 

「こりゃあ、なかなか……」

「綺麗と私は思います」

「ああ、アンタの話より精巧だ」

「それは残念」

「だがその作品に免じてまけてやる」

「では、私の勝利ということで」

「勝っちゃいねぇよ。負けてもな」

 

そう言って、頼んだ量より多く入れられた袋を受け取る。

 

「いいんですか」

「次会う時までに、俺の話を上手く話せるようにしとけ。後払いってやつさ」

「なんと、高級品でしたか」

 

私達は笑いあって、手を振って別れた。

その後もいろいろ買ったり、たまに食べたりしながら見て回った。

 

 

 

 

 

想定以上に多くなった荷物を抱えながら、私はロドスに戻ろうとしていた。

今日は早めに帰って、関係を修復させて、また混沌を見よう。

ならば、早めに帰るため、人通りの少ない近道を歩こうと思い、路地裏へと歩いていった。

確かに危ないかもしれないけれど、ここは治安が悪い訳でもないと聞いたので大丈夫だろう。

 

 

それが、いけなかった。

 

「!?」

 

突然後ろから口を塞がれ、更に体を拘束されて動けなくなった。

荷物は落としてしまう。

声を出せるわけも無く、拘束する人物も力が強くて抵抗できない。

ならば痛みを軽減するために力を抜いて、唯一動かせる目を動かして、出来るだけ情報を得ようとする。

 

「……はい、拘束しました。護衛も現れません。いないようです。はい、分かりました」

 

視覚と聴覚で分かるのは、少なくとも三人。

私を組み伏せているので一人。誰かと連絡を取っている人が一人。後は周りを監視しているのが一人。

 

……どうしようかしら。どうしようもないのだけど。

 

私は目隠しと手首足首を拘束されて、どこかへと連れていかれてしまった。

 

困る、お土産があるのに。あれも持って行って欲しかった。

 

 

 

 

 

体感は数十分。正確な時間を図るすべは無いので、実際のところは分からない。

手首足首が解放されたと思ったら、左手がどこかに括りつけられてしまう。

そして、目隠しを外される。

 

「よう。暴れると思ったが、思いのほか静かだったな」

 

目の前には大男三人。

場所は廃墟のよう。

左手を見ると、手首が壁に着いているパイプに見たことのない装置で括られていた。

何だろう、似ているのは手錠だけどと思いながら声を掛けてきた男に言葉を返す。

 

「泣き叫んで許してくれるのなら、いくらでもしますが?」

「するように見えるか?」

「まったく」

 

私は微笑みながらそう言う。

 

「肝が据わってんな、お前。まあいい、連れ去られた理由は分かるだろ?」

「いえ、まったく」

 

次の瞬間、腹を別の男に蹴られた。

 

「――げほっ」

 

私は咳き込む。

声を出した男が私の髪を引っ張って目線を合わせる。

 

「嘘を吐くなよ、ロドスの職員さん?」

「……私みたいな平凡な女が入れるとは思いませんがっ!?」

 

今度は顔面を殴られる。

髪は掴まれたままなため、殴られて顔が動く。

顔を殴られた痛みと引っ張られる痛みで防衛本能で涙が出る。

だけど、私は微笑む。

 

「さて、聞きたいのは色々あるんだが……今のままだと割らなそうだな。おい、お前ら」

「いいんすか!?」

「条件は二つ。殺すな、死ぬほどの怪我をさせるな」

 

男はそう言って、どこかへ去っていった。

残った男二人はにやにやと嗤いながら、私に聞こえる声で相談する。

 

「おい、どうする?犯すか?」

「待て待て、その前に痛めつけるぞ。じゃねえと嚙み千切られるぞ」

「ハッ!てめぇの(へき)だろうが。あ、兄貴説明忘れてたな。おい、女」

「なんでしょう?」

「左腕に付いてるそれはな、壊そうとすれば爆発するんだ。それだけじゃねえ、アーツか何かで外したとしても、離れたと認識して爆発。後は、俺達が持ってるボタンでもバンッ!だ」

 

なるほど、それなら抵抗も出来ない、と。

なら、と気になったことを一つ聞く。

 

「貴方達も巻き込まれませんか?」

「てめえを殺せる火力しかねえから大丈夫だとよ!」

 

実験とかして無さそう、この人達も使い捨て程度なんだろうと思ってしまう。

さて、じゃあ始めるか!と傷つけフェチの方が言って、ナイフを取り出す。

 

「まずは……ここだ!」

「……っ」

 

男は私の二の腕を軽く斬る。

戦闘訓練を受けていない私は普通に痛い。

 

「ほら、次はお前の番だ」

「ルールが分かんねえだけど」

「好きなとこを薄く斬って、苦しむのを楽しむんだ。ホントは深く刺したいんだが、それだとすぐに死んじまうからな」

「お前が好きそうだな。ま、折角ならやるか」

 

そう言って、もう一人は太ももを斬る。

痛みを我慢することは出来ないので、愉しませてしまうけど、時間を稼げるのなら、まあいいか。

いざとなったら、死ねるみたいだし。

 

ゲームは続き、横腹、首、耳、頬……あらゆるところを斬られる。

 

 

だいたい五十回くらいになった時にそれは起きた。

 

「よし、これで最後にするか。選ぶのは……よし、女、目ぇ閉じろ」

 

私は言われた通りに瞼を閉じる。

ということは、瞼だろうか。変な綱渡りゲーム、と思いながら、耐える準備をする。

 

「目を潰さないようにするゲーム、いくぜ……」

 

右の瞼に、ゆっくりと、上の方から、刃を下ろす。

ゆっくり、ゆっくり――

 

「うおっ!?」

 

――突然、男からバイブが聞こえた。

携帯のバイブだろう。

そして、男はそれにビックリしてしまった。

 

「――」

 

つまり、目に……

 

 

目に、目にナイフが刺さったのは、事故になるのかもしれない。

 

 

「――あ”」

 

 

痛みで悶えそうになるが、我慢する。

男達の様子を見たかったから、仕方なく我慢する。

開けられる左目で見ると、二人とも慌てている。

それが滑稽で笑いそうになるけど、痛みで叫びそうにもなる。

最終的に男は携帯を取り出して、電話に出た。

 

「も、もしもし……マジすか!?」

「どうした!?」

「ろ、ロドスが来てるってよ!今すぐ応援に来いって!」

「こいつはどうするんだ!?」

「放置でいいだろ!行くぞ!」

 

そう言い放って、二人は走って出ていった。

 

「……」

 

私は考える。

逃げるには、装置を外さなければならない。

しかし壊せば爆破、抜けば爆破。

 

……なら、これしか無いわね。

 

「……う”う……」

 

私は刺さったナイフを引き抜き――

 

 

「ふう……ふう……っ!」

 

 

――左腕に付き刺した。




性癖もっと濃いの出せって言われたので本編でやりました。

やっぱり既存キャラ多めの方がいい?

  • 出せ♡出せ♡
  • 出すな♡出すな♡(出さなくてもいいよ)
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