一般事務員オペレーター 作:オニギリムシ
私は食堂で昼食を食べ、一休みしていた。
彼は仕事でロドスにはおらず、私自身の仕事も少ないので出来る行為。
まるで授業中に先生がいない時みたい、なんてしょうもないことを考えながら、お茶を飲む。
ふう、と一息ついた時に、前に小さな影が現れた。
「こ、こんにちは。ここに座っても、いいですか?」
影は私にそう聞いているようで、私はええ、いいですよと言って離れようとした。
が、待ってくださいという声で引き留められてしまった。
よくその影を見てみると、九つの尻尾のヴァルポの少女だった。
そういえば聞いたことがある、小さなこの少女は優秀な足止めのアーツを使いこなすという……
「なるほど、だから私はいとも簡単に引き留められたわけですか」
「?どういうことですか?」
「お気になさらず」
熱狂的な
私は座り直し、何故か接点の無い私に話しかけた少女と顔を合わせる。
「それで、私に何か?」
「え、えっとですね……」
もじもじしながら言葉を言い出せずにいるスズランさんを見ながらも、他から感じる視線に思考を寄せる。
十中八九、狂信者達の視線だと思うけれど、気持ちは分かる。
……だけど、今回はそれだけじゃないような気がする。いわゆる女の勘、というのがそう私に言ってくる。
思考を目の前の少女に戻す。
まだ言葉は紡がれていない様子に私はどうしようかと頭を悩ませる。
間違いなく彼の事だろうと思いながらも、まあ用事も特に無いしいいかと大人しく待つことにした。
「あの、私はリサ……スズランって言います」
「それはどうも、私は……名乗る名はありません」
「え?それはどうしてですか?」
「ロドスで働く時に名前を持つなんて贅沢だねって取られたんです。CEOに」
「ええっ!?アーミヤさんが!?」
「大きな声では言えませんが、実は事務オペレーターは皆そうなんです」
「そ、そんな!?私、アーミヤさんに返してもらえるようお願いしてきます!」
「嘘ですよ」
凄く驚いた顔で私を見るスズランさんはとても面白い。
目も口も大きく開いて可愛らしい。
私は笑いをなるべく抑えながら、謝って本当の名を伝える。長引かせると、更に視線の圧が大きくなってしまう。
確かにこれほど愛嬌があれば、狂信者も現れるでしょうね。
流石光……尤も、光は時として人を苦しめるのだけど、なんて思いながら話を進める。
「元に戻しますが、何か、お聞きになりたいことでも?」
「……ど、ドクターさんの事なんですが」
「ふうむ、続けて?」
「私、秘書になってみたいんです!」
まあ、予測は出来ていた。
そういえばと前にスズランさんの秘書化計画みたいな紙を渡されて彼が悩んでいたのを思い出す。
「ドクターさんはいつもお仕事大変そうにしているのを見て、それで私、お手伝いしたくて」
「……それで、何故私に?」
「お姉さんは今、ドクターさんの秘書になってますよね?」
「そうですが」
「お願いします!私に秘書のなり方を教えてくれませんか?」
そう言った後のスズランさんの背後に、光が強まった気がした。あと視線も。
さて、どうしよう。
教えると言っても、彼の現状に問題があるわけで、それを私が教えたとしてお互いの関係が進展するわけではないだろうし、そもそも私が見たいのは自主的に進んでいって付き合うところだし、でも
「……うーん」
無意識に腕組みをして、唸ってしまう。
それを見たスズランさんは少し怯えているように見える。その後ろからは怪しい集団がこっちを見ている。
このまま黙った状態もあれだと思い、一つ聞いてみる。
「ドクターさんのこと好きなんですか?」
「ふぇっ!?そ、それは……」
顔を赤くして俯いたスズランさん。答えは顔に出るタイプの少女で安心した。
ただ拒否するだけでも私の命は無さそうなので、とある提案をする。
「じゃあ私の仕事、手伝ってくれる?」
「――これはここでいいですか?」
「ええ、大丈夫です」
私が提案したのは、秘書の仕事を体験させる、というもの。
仕事はしなければならないし、彼は丁度いないしいいだろうという考えでこの選択を選んだ。
場所は彼の執務室で、あまり見たことないのか周りを色々見ながらも、スズランさんはよく働いてくれる。
書類仕事は大体どの仕事でも役に立つだろうから、彼女にとってもいい経験になるだろう。なんて。
「秘書のお仕事を憶えたら、ドクターさんは秘書にしてくれます、よね」
スズランさんもそう言ってやる気を出している。
私は独り言で言っただろうその言葉に微笑み、きっぱりと言う。
「それは分かりません」
「えっ」
「いやあどうなんでしょうね。彼が何故私以外を秘書にしないのか、それは不可解ですね」
「じゃ、じゃあ何で私に秘書のお手伝いを……?」
「もしかしたら貴女が、この仕事を通してその理由を知れるかも、と思いまして」
「それって、何だか探偵さんみたいです」
「ですね」
これはちょっとした実験のようなもの。
少しずつ、ほんの少しずつヒントを出して
前に一度言ったとはいえ、それで進展が無いということはきっと駄目だったということ。
ずっと私だけ知っているというのも彼にとって真に安らげるものでもないと思い、そこで裏表が無さそうなスズランさんにその役目を担ってもらう。
というのが理由の半分。
もう半分というのは。
「聞きたいんですが」
「なんですか?」
「ドクターさんのどこが好きになったんですか?」
普通に恋バナ。
私の言葉にまたまた顔を赤くさせるスズランさん。
こんな幼子も虜にするなんて、罪な男ね、なんて心の中で笑いながら彼を思い出す。
恥ずかしがりながらも、ゆっくりと好きになった経緯を説明するスズランさん。
決定的な何かがあったわけではなく、皆に優しく接し、戦場では皆を必ず生かすために考え動き、しかしよく医療オペレーターに怒られる子どもっぽいところが、好きになった理由らしい。
……ふむ。
やはり思った通り、彼は彼が思っている以上に
もしくはそれも計算かもしれないけれど、少なくとも
優しく接したりとか、色々。
しかし、彼は記憶を失う前の自分をコンプレックスに思っているみたいで、それを演じているつもり……
なるほど。
めんどくさい。
だけどそのめんどくささは私はとても好き。
それで人が成長するところを見るのはもっと好き。
そして彼には支えてくれる人が必要……そこまで考え、スズランさんの声で正気に戻る。
「すいません、ボーっとしてました。何か言いましたか?」
「えっと、ドクターさんは、お姉さんが好きなんじゃないかって……」
「…………誰を好きって?」
「お、お姉さんです」
「どの?」
スズランさんが私の名前を上げた瞬間、手に持っていた書類を全て落とした。
それに目もくれず、スズランさんに質問をぶつける。
「そ、その根拠は?」
「えっ、えっと、まず最初に」
「最初に!?」
「ドクターさんの部屋の鍵を貰ってましたし」
「それはもちろん、私は秘書ですし、勝手に入っていい、とも言われましたし」
「ドクターさんが積極的に会おうとするのはお姉さんだけです」
「それも秘書だからです」
「後は、お、お姉さんの部屋から一緒に出てきましたし」
「あれは休日が被って、一緒に遊んだからです。まあ、揶揄うためにわざとなところもありますが……」
「最後は」
「最後は?」
「ドクターさん、お姉さんと話す時、幸せそうですから……」
その言葉で、私と話す時の彼の顔を思い出す。
確かに、まだ安らぎがある感じはするけれど……
でもそれは、きっとホントの顔を見せられる関係だから。
じゃあ、その関係を何というの?
「……実は、お姉さんに話しかけたのは秘書になりたい、というのもあるんですけど、皆に、お姉さんがドクターさんと付き合ってるか、聞いてきてほしい、って頼まれて……私も、気になったから、ですけど……ごめんなさい、騙すようなことをして」
「……いいえ、気にしてないわ。確かに、そう見えるような行動をしていたことは否定できないわね。でも、私達は違うわ。多分、そういう顔をするのは友達だからよ。だから、違うわ」
そう言いながら、私はスズランさんに近づいて、目線を合わせて微笑む。
確かに距離は一番近いかもしれないけれど、見た目も、若さも、性格も、ここには私以上の人がたくさんいる。
それに私だって……私、うーん……
中性的な顔や体格、抱え込みやすいくせに優しすぎる不器用な性格、遊んだ時に見えた楽しそうな顔……
嫌いではない、けれど。
「あれ?そのネックレス……」
自分でも珍しく思う困惑を頭の中で処理していると、スズランさんが私の身に着けていたネックレスを何故か長く見つめる。
「これ?前に止まった都市にあったお店で買った物よ。これが、どうかした?」
「ドクターさんも、着けていたような、って……」
「それは、私があげたからで」
「……お揃い、ですか?」
その言葉に私は、言葉を創り出せたけど、出てきてくれなかった。
予定よりかなり早く戦闘が終わり、日が変わる前にロドスに戻れた。
朝しか会えなかった彼女はいるだろうか、と執務室に戻ると、目的の人物は珍しくボーっとしてソファに座っていた。
私の方に目を向けないことに驚く。いつもはどんなことをしていても、目を合わせてお帰りなさいと言ってくれるのに、と。
近付いて、肩を軽く叩いてみる。反応しない。
しょうがないので、声を掛ける。
「大丈夫か?体調不良か?」
「……あら?」
「本当に大丈夫か?」
「か、帰ってたの!?お、お帰りなさい、挨拶してすぐで申し訳ないけど、私も寝るわね!お、おやすみなさい!」
おやすみと返す前に彼女は急いで、執務室を出ていってしまった。
口を開けて、唖然としてしまう。
そして、頭の中で最悪な思考が浮かんでしまう。
嫌われたかもしれない。
はい、スズランさんに出演してもらいましたが、合っているか分かりません。違うかったら罵ってください。
原作キャラ出さなかったの把握しきれてないからだったんすよ。ごめんね?
あとイベント今日でほぼ終わりですけどステージ8がクリアできません。助けてぇ!
やっぱり既存キャラ多めの方がいい?
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出せ♡出せ♡
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出すな♡出すな♡(出さなくてもいいよ)