宇佐見蓮子は覚を詠む ~memory read 作:フロウリバー
ある日の夜、亥の刻と呼ばれる時間帯に、私達は引き合うように一つの神社と出会った。
その神社の名は博麗神社。朽ち果てた外観を見るに、今はもう廃れてしまった神社なのかもしれない。
「そういやメリー、あの神社って一体なんなのかしら」
「私に聞かれても困るわよ蓮子。ていうかもう十一時じゃない!」
「どうせ明日は大学ないからいんじゃない?」
「それはそうだけど・・・」
と、秘封倶楽部というサークルメンバー、といっても私含めて二人しかいないのだが・・・メリー、本名マエリベリー・ハーンと話していると、メリーが神社の後ろの方になにかを見つけたのか
「蓮子!あの神社の後ろ!なにかある!!」
と蓮子に向かって叫び、神社の後方に見つけたものめがけて走っていった。
「ちょっとメリー、待ちなさいよ!」
私は呆れ気味にメリーの背中を追いかけた。
・・・
「ほら蓮子、これ、もしかして境界?」
そういえばメリーは境界を見るっていう力があったなぁ、と思いつつ、後ろからなにかやばい怨霊が迫ってきていることに気づき、私はメリーの話に相打ちをしながらささやかな忠告を行う。
「確かに・・・こりゃあなんかの境界かしら・・・とりあえず入ってみる?後ろからやばいものも来てるし」
「そうね・・・って・・・え?やばいもの?」
私の言葉に引っかかりを感じたのかメリーは私にそう尋ねた。
「うん、やばいもの。後ろ見てみなさい」
と、私は後ろを親指で指差して後ろを見ることをメリーに促す。そして誘導されるがままメリーが後ろを振り向くと、包丁を持った男が歩いて近づいてくるのが見えた。
「ちょっ!!やばいやばい!!早く逃げなきゃ!!」
焦るメリーに、私は指示を出す。
「ほら、早く境界に入りなさい。あいつは私がなんとかしておくから」
「ちょ!それ死亡フラグ・・・ええい!!もういい!先行くからね蓮子!!」
「へーい」
メリーは境界の先へと姿を消していった。私はそれを見届けると、ゆっくりと後ろを振り向き、胸ポケットに仕舞っていた御札を取り出す。
「神社にお参りに行ったときに『余ったからあげる』って神主に言われてもらった御札がこんなところで役に立つとは・・・」
そう呟きながら私はは包丁を持った男・・・怨霊に向かって御札を投げつける。すると見事命中し、妖怪は苦しみ悶えながら消滅した。
「ふぅ・・・さーて、私も行くか」
怨霊が消えるところを見届け、私もメリーに続いて境界の中へと入っていく。もしかしたら、もう二度と
結界の隙間を通り抜け、たどり着いた世界は、昔メリーに聞かされた夢の話に出てきた世界と全く似ていた。私が今立っている場所からは、人里離れた山奥の神社が見える。それに、楽しそうにはしゃぐ子どもたちも。ふと、私はあることに気づいた。はしゃいでいる子どもたちの背中には羽が生えていた。それに、髪の毛の色もなかなか奇抜だ。水色の髪、背中には氷の粒のような羽が六本、顔立ちなどは十代前半に見えるが、それにしては身長が低い。そういえば・・・メリーはどこへ行ったのだろうか。とりあえず私はメリーを探しに森の探索に出かけた。
数分後、わりとあっさりメリーは見つかった。なにやら樹の下でうずくまっていたので、
「どうしたの?メリー」
と、メリーに話しかけると、メリーは顔をあげた。そして私を認識した瞬間、とんでもない勢いで私に抱きついてきた。その衝撃で私は地面に倒れ込んでしまった。
「ど、どうしたのメリー!?」
私はメリーにそう尋ねる。するとメリーは
「蓮子ォ!さっき妖怪に襲われがげだの!!怖かったよぉ!!目の前が急に真っ暗になったと思ったら黄色い髪色の妖怪が私を食べようとしてきて!!」
「一旦落ち着きなさいメリー。・・・で、結局貴女を襲った妖怪はどうしたの?」
私が宥めると、メリーは少し冷静さを取り戻したのか、さっきよりも落ち着いた様子で話し始めた。
「・・・私を襲った妖怪はなんとか『ギフト』の力で気絶させたよ。」
「あらそうなの?」
「えぇ・・・それにしても、この世界は前に私が夢で見た世界と似ている気がするわ」
「そういや、これからどうする?メリー」
「うーん、もう一回境界を見つけてそこから脱出するしかないわね。それしか元の世界に戻る方法はなさそうだし」
と、メリーと会話していると、私の後方数メートル先の木陰から物音がしたので振り返ってみると、一人の人間が立っていた。服装は至って地味。白いワイシャツに茶色の長ズボン、茶色いキャスケットに黒のショルダーバッグ。ワイシャツの胸ポケットにはメモ帳が入っている。恐らく記者さんかな?と思いつつ、
「誰?」
と無意識に記者さんらしき人物に尋ねてしまった。すると記者さんは
「ただ通りすがりの新聞記者よ。覚えておかなくてもいいわ」
と答える。どこかで聞いたフレーズだな・・・と思いつつ、私は
「新聞記者?なんで新聞記者さんがこんな森を彷徨いているのさ?」
と問う。
「今日は仕事がオフなのよ。っていうかあなたたちこそなんでこんな鬱蒼とした森をぶらついているのよ?」
と、逆に問い返されてしまった。なので私は
「こことは別の世界に迷い込んじゃったっぽくて。だからここらへんを歩いていたってわけです」
と返す。記者さんはまだ聞きたいことがあるのか、
「名前を聞いてもいいかしら?」
と問う。
「私は宇佐見蓮子。んでこっちの金髪がマエリベリー・ハーン。言いにくいから私は『メリー』って呼んでるんだけどね。で、あなたも名前を教えるべきじゃないかしら。私達も名前を教えてあげたんだから」
相手がタメ口で物を言うので、私もタメ口で問い返す。
「私は泊楼零って言う名前よ。」
どうやら名前は泊楼零というらしい。なんか奇妙な名前だな。
「・・・まぁ、その・・・よろしく」
私は手を差し出し、彼女に握手を求める。
「えぇ、よろしく」
零も手を出し、私の手を握る。私も握り返す。数秒間、私達は握手をしていた。
「さよならぁー」
メリーは零に手を振り、別れを告げる。
「えぇ、じゃあね」
零も別れの言葉を返し、去っていった。さて、これから本当にどうするべきか・・・
「メリー、とりあえずこの世界を見て回ろうか」
「えぇ、そうね」
私達はこの世界を探索がてら、結界の切れ目を探しに出かけることになった。
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とある神社の境内裏から真っ直ぐ進んでいくと、開けた急に開けた場所に出た、と思ったら目の前には白く輝く湖があった。これも、メリーの夢の話に出てきた場所だ。
「この湖の先に行きたいけど・・・どうやって行こうかしら」
メリーがそう呟く。
「『ヘブンズ・ドアー』の能力で行けないことはないけど」
私がそう伝えると、メリーは顔を上げ、
「ホント!?じゃあ早速やってもらうわ蓮子!さぁ早く!!」
と、嬉々として私に詰め寄る。
「わ、わかった。わかったから少し離れなさいメリー」
メリーの気迫にタジタジになりながら、私は「ヘブンズ・ドアー」を発動させ、メリーに命令を書き込む。
『60km/hで自分の体は湖の畔まで吹っ飛ぶ』
するとメリーの体はとんでもない速さで湖の向こうへとすっ飛んでいってしまった。
「さて、私も行くか」
そして私はヘブンズ・ドアーの射程距離を活かして上手く湖の向こう側の畔まで飛んでいった。
「ちょっと蓮子、あなた結構乱暴なのね」
すっ飛ばされたことに不満だったのか、メリーはやじを飛ばしてくる。
「まぁまぁ・・・」
そんなメリーをなだめつつ、私は湖の畔にある館を見つめた。日本ではあまり見ない西洋風の紅いお屋敷。これもメリーの夢の話に登場していた。なんか気になるし、折角だから入ってみようかな。・・・勿論ヘブンズ・ドアーの遠隔操作でだけど。
というわけで(どういうわけで?)、紅いお屋敷にヘブンズ・ドアーを潜入させた。ヘブンズ・ドアーは遠隔操作なんかもできちゃうし、ヘブンズ・ドアーの目に映る光景は私にもリアルタイムで届く。さて、中を覗かせてもらうか。ヘブンズ・ドアーは障害物をすり抜けるなんてことは昨日の朝飯前よ。で、ヘブンズ・ドアーで屋敷の中を移す。なかなか広く、奥行きの長い屋敷だこと。と、屋敷の中を遠隔操作で探索していると、懐中時計を持ったメイドが横を通り過ぎるのが見えた。
「メイドがいるってことはこの屋敷、相当なお偉方が住んでいるのかしら」
メリーの横でぼそっと呟きながら、私は屋敷の探索を続ける。と、不意にどこからともなくナイフが現れるのが瞬間見えた。
「え?」
私が呟くと同時に突然現れたナイフはヘブンズ・ドアーに向かって飛んできた。
「ヘブンズ・ドアー!そのナイフをはじき飛ばせ!」
私は遠隔操作状態のヘブンズ・ドアーで、飛んできたナイフを弾き飛ばす。すると、
to be continued
遂に幻想郷ネタやっちまいました。しかも前後編で。でも安心してくだせぇ。次回は無事に外の世界に戻れるはずなので。まぁ今後の展開は私次第ですので((黙れ さて、今回は上海アリス幻樂団の音楽CD「夢違科学世紀」の話を少しだけ塗り込みました。いやー、楽しかった。関係ない話ですけど「夢違科学世紀」の曲は名曲揃いで素晴らしかった。論点ズレましたが今回はこれで。