宇佐見蓮子は覚を詠む ~memory read 作:フロウリバー
「いつの間に」
そう呟いた瞬間、黄金の
「まさか・・・このメイドも『ギフト』を持っているのか?」
そう呟きつつ、私はヘブンズ・ドアーを、遠隔操作で更に屋敷の奥に下がらせる。私は今湖の麓でしゃがみながらヘブンズ・ドアーを操作しているので、相手は私の存在には気づいていないはずだ。だが、ヘブンズ・ドアーが受けた攻撃は本体である私も受けてしまうのでなるべく攻撃の被弾は避けたいところだ。と、考えていると、相手は攻撃を仕掛けてきた。
「どなたかは知りませんが・・・この屋敷を無闇矢鱈と探索するものではありませんよ・・・死んでしまうので」
メイドはそう警告を発すると、『ギフト』を使ってナイフを飛ばしてきた。
「うおっアブなッ!」
投げられたナイフは気付くと至近距離に到達しており、ナイフがスタンドに干渉できたのなら間違いなく脳天を貫かれていた。しかしどういう投げ方をしたらあんなに早くナイフを投げられるんだ。いや、早く、というよりは・・・まるでナイフが
「あら、そういえば物体は”スタンド”には干渉できないんだった。私としたことが」
聞き慣れない単語が聞こえてきた。いや、スタンドという言葉自体は知っているのだ。物を立て掛けるための道具だ。だが、このメイドは私のギフトを見て「スタンド」と発した。もしかすると、このメイドはただ単に「ギフト」を「スタンド」と呼んでいるだけかもしれない。そうに決まっている。心のなかでそう考えていると、メイドの追撃がやってきた。
「ヘブンズ・ドアー、一旦下がれ」
私はヘブンズ・ドアーを一旦館から退かせる。コレ以上の館の探索は不可能だと判断したからだ。
「メリー、コレ以上の館の探索は私の命に関わる。だからもう館の探索はできない。ごめんね」
私はメリーに『コレ以上の館の探索は不可能』という旨を告げる。
「えー・・・まぁ蓮子の命に関わるようなことになっちゃうのなら仕方ないわ。」
メリーは少し不貞腐れていたが、事情を分かってくれたのか、それ以上館についてはなにも言わなかった。
「・・・じゃあ・・・館に直接入ってみる?」
メリーにそう聞いてみると、メリーは
「なるほど・・・いい考えね。単純だけど、それが一番無難な作戦ね」
と言った。これで館への直接の探索を行うことは確定的になった。しかし・・・目の前の屋敷は私達を受け入れてくれるだろうか?
木漏れ日が照らす地面には白いテーブルが置かれていた。もしこの屋敷の主がお嬢様とかだったら、ここで午後のティータイムでもするのだろうか、と思いつつ、この屋敷にどうやって入るべきか、考えていたところ、先程私と間接的に戦闘になったメイドさんが出てきた。あの人に聞いてみようかしら。こんな素敵なお屋敷のご主人さまに、挨拶がしたいと。
「はぁー・・・蓮子ったら一体なに考えているのかしら」
私・・・マエリベリー・ハーンは、先程蓮子に
『私の気配はおそらく先程の戦闘でメイドさんにバレてしまっているだろうから私と貴女が一緒に屋敷へ行った場合、おそらくさっき遠隔操作で屋敷に侵入した人間だってメイドさんにバレて、最悪貴女と仲良く始末される可能性がある。だから、屋敷には貴女が”一人で”行ってきてね』
と言われて、渋々一人で屋敷の前に来ていた。門番らしき人は見当たらないようで、どうやって屋敷に入ったら良いか分からず、とりあえず近くを通りかかったメイドさんに尋ねてみた。
「あの、すみません」
「ん?あ、はい。どうしましたか?」
私が声をかけると、メイドさんは案外普通に対応してくれた。
「あの、このお屋敷が素敵ですっかり魅入ってしまったもので、こんな素敵なお屋敷のご主人さまに挨拶をしてみたいと思いまして」
メイドさんにそう言ってみる。多分入れてくれないだろうな、と思いつつ、メイドさんからの返答を待つ。
「あぁ、それでしたらどうぞ。中へお入りください」
メイドさんの対応は至って普通。いや、普通すぎるが故に、私は呆気にとられてしまったが、目の前の門が開いた音で我に返り、私は屋敷の中へと入っていった。
メイドさんの案内を聞きながら、広く長い廊下を歩くこと数分。先程3回ぐらい階段を登ったが、なかなかこの屋敷のご主人さまがいる部屋に到着しない。と考えていると、
「到着いたしました。この屋敷のご主人さま・・・レミリア・スカーレットお嬢様の居るお部屋に」
とメイドさんが足を止めて言った。ハッとして私はメイドさんが指差す部屋のドアを見つめる。さすがお屋敷のご主人の部屋だけあって、部屋への入り口に存在する扉からして存在感が違う。まるでRPGゲームのボス部屋だな。
「お嬢様、貴方様にご挨拶がしたいと申し上げる人間が一名来られたのですが、通してもよろしいでしょうか」
メイドさんが扉越しに屋敷の主人へと問う。すると、少し大人びた、けれども、どこかあどけない声で
「えぇ、いいわよ」
と、返答が来た。
「ではお入りください」
メイドさんはそれだけ言うと、一瞬でどこかへ消えてしまった。その瞬間、強烈な威圧感を感じた。ドアを一枚隔てた向こう側の世界から。それだけで私は少し仰け反ってしまった。しかし、ここで怖気づくわけには行かないので気を引き締めて、私はドアノブに手を掛ける。そして扉を開けた向こう側の世界に広がっていたものは、真っ赤なお部屋と、その真ん中で机の上に手を組んで座っている翼の生えた少女の姿だった。
to be continued
まず皆様に謝らなければならないことがあります。諸事情により投稿が遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。ところで、前回の話の後書きで『次回で元の世界に帰れます』的な発言したんですが、嘘です。まだまだ幻想郷の旅は続きます。次回こそは紅魔館編を終わらせられると思いますのでどうぞよろしくお願い致します。