アストルティアを我が手に!   作:劣白

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プロローグをほんの少しだけ修正しました。

主人公の口調が未だに掴めない。


話は変わりますがドラクエⅩでお金が貯まりません。いつも錬金で儲けようとして結果的にマイナスになります。やっぱキラキラマラソンとかしてコツコツ貯めた方が良いのか?
マイタウン欲しいっす……理論値装備に挑戦したいっす……


第一話『魔仙卿とはなんぞ』

 見るからに珍妙な植物。赤く濁った川。空を蔽う蠢いた雲。アストルティアとは一風違った雰囲気に困惑してしまう。

 うん、よく分からないが魔界には辿り着いたのだろう。

 本当によく分からない。身体中に激痛という衝撃が走り、確実に死んだかと思えば意識は途絶え、気がつけば地面に寝転がっていたのだ。無事だったのは女神ルティアナのお陰か、それとも何かの因果か……

 

「あッー生きているって感じ……」

 

 今まで痛みを負ってこなかったからだろうか。この世界をどこかぼんやりと捉えていたが、やはり現実なのだ。それを突きつけられ、よく光の河を飛び降りたな、と過去の自分を賞賛する。

 

 一つだけ不可解なことがあった。

 

 それは私の身体に闇が渦巻いていることで、意識が覚醒するとともに察知した。

 ……いや、正体は分かっているのだ。恐らく、これが魔瘴と言われるものなのだろう。

 魔瘴とはドラクエⅩにて、頻繁に出てくる単語なのだが、その実態は曖昧である。曰く、魔族や魔物は魔瘴から生まれた。気体であったり、液体であったり、はたまた固体であったり、兎に角、身体に悪い物だという認識だ。耐性がなければ暴走や、死に至る厄介なもの。

 

「そういえば光の河から魔界へ辿り着いた人って魔物になったんだっけ? あれ? じゃあ私もそうなるのかな?」

 

 魔族は兎も角、魔物に成ってしまうのは避けたい。流石にこの身が化け物になるのは嫌である。それがゾンビ系とかなら猶更だ。

 

「まあいっか……先ずは衣食住だよね」

 

 私は未だに怠い身体を動かし始めた。

 再び辺りを見回して、何処か見覚えがあることに気がつき、直ぐに思い浮かんだ。

 此処はゲルヘナ幻野だ。それも主人公が最初に訪れる『岩穴の廃屋』らしき建物が見える。と、いうことはこの辺りは既にバルディスタに滅ぼされているようだ。

 悲しい気持ちは微塵もない。寧ろ好都合である。荒れているとはいえ家があり、近くには川もある。

 取り敢えず、此処を拠点に暮らしていこう。

 

―――――

 

 数年が経った。

 生活はある程度安定してきている。

 日課はこうだ。身体を鍛えるために走り込み。ついでにアイテム収集(キラキラマラソン)。それを大審門に居る行商人たちに売り、金銭を得て、食料や装備を整える。うん、完璧な生活だろう。

 強くなっているのが実感できる。最初は弱っている魔物を相手に経験値稼ぎをしていたが、今では一体一ならなんとか倒せるほどには成長した(特段弱い魔物に限る)。

 それにしてもやくそうはあまり万能ではない。ゲームでは一瞬で体力が回復していたがこの世界では少し治癒能力を高める程度のようで、仙豆のように一瞬で治ったりはしない。ただお腹は膨れる。

 

 さて、後はこの世界についてだが、先ず大魔王はマデサゴーラだった。恐らく、魔幻園マデッサンスで芸術活動に勤しんでいるのだろう。アストルティア侵攻の噂は聞かない。

 それとネクロデア王国が現存している事と、ジャムリバハ砂漠には聞いたことがない小国家ばかりだった。これはファラザードの誕生前を意味している。それに伴い、ユシュカは未だ生まれていない可能性が高い。アスバルは分からない。ヴァレリアは確か千歳というおばさ――げふんげふん……なので生きているだろう。会いたいとは思わない。

 

「それにしても私は成長しているのか……」

 

 拾った姿見を前にして、私は呟いた。

 数年が経っているにも関わらず、身体は相変わらず幼女のままだ。というか最初から何も変わっていない。血を彷彿とさせる赤い双眸に、陶磁器のような白い肌。腰まで伸びて棚引く、絹のような銀色の髪。折れるかという程に細い、たおやかな腰。胸は絶壁……客観的に見ても美少女に思える。

 

 ここでお気づきの方は鋭い。そう、私は魔族ではない。

 あれから何度も魔瘴を浴びているが魔なる者になることはなかった。こう、禍々しいものは感じられるのだが、自分は魔瘴の耐性が強いのだろうか……

 お陰で苦労する羽目になった。

 というのも魔界の人たちはアストルティアを憎んでいる者が多い。私が人間という見た目をしているからか迫害された。一度殺されかけた。だから未だに岩穴の廃屋での生活をしているのである。取り敢えずジャゴヌバを恨んでおく。

 

「生活も安定してきたし、そろそろ力をつけないと……」

 

 近くに在った鎧を着込み、兜で顔を覆う。基本的に外を出歩く時はこの格好だ。なるべく人間と悟られないように素肌を隠すのが当たり前になっている。

 

 そうして向かうのはとある場所。

 

 最近、自分だけで鍛えるのにも限界があると悟った。レベル上限というものだろうか。兎に角、知識が足りない。魔法が分からない。特技が分からない。職業ってなんだ。チンプンカンプンである。

 だから誰かに師事しないといけない。思えば主人公だって聖使者や六聖陣といった人たち(レベル上限解放クエスト)から鍛えられている。勇者アンルシアだってトーマや賢者ルシェンダがそうだろう。闇雲に突き進むより、先人に教えを乞う方が効率良いに決まっている。

 

「よし、ロッククライミングの時間だ!」

 

 目指すはゴダ神殿。大審門が開いていないため、デモンマウンテンを踏破する。

 目的は魔仙卿。ゲームで称するなら先代魔仙卿というやつだ。

 確か書籍『アストルティア秘聞録』では兄弟姉妹が魔界に辿り着くのは340年前。今は500年くらい前だと思うので先代の魔仙卿で合っている筈だ。

 

 そう、私は魔仙卿に鍛えてもらうつもりなのだ。彼なら私を差別しないだろうし、知識も経験も豊かだろう。そして、何よりも信頼できる。魔瘴に対抗して、この魔界を守ろうとする姿勢は尊敬に値する。

 

 

―――――

 

「人の身であって人の身でない。魔瘴を吸収してしまうその体質。じつに面白い……」

 

「は、はぁ……」

 

「気に入ったぞ。そなたこそ我が後継者にふさわしい」

 

 いつの間にか気に入られた。

 ――ってえ? 魔仙卿の後継者!? それって主人公の兄弟姉妹がなるやつでしょ!?

 

 どうしてこうなった。

 

 デモンマウンテンの頂を目指したのはいいが途中で脱落(スタミナ的に)。死を直面した時に魔仙卿に助けられた。

 そして、ゴダ神殿へと迎え入れられて、この有様である。

 魔仙卿に色々と教えてもらおうと思ったのは本当だが、まさか後継者に選ばれるなんて予想だにしなかった。

 ……今後のストーリー的にも断っておくのが無難だろう。そのポジションは兄弟姉妹だ。

 いざ、断りを口にしようとした時、魔仙卿がそれを遮るように口説く。

 

「魔仙卿となる者は、大いなる闇の根源と契約をおこなう。そなたならその力、使いこなせるだろう」

 

 大いなる闇の根源。ドラクエⅩのラスボスと言っても過言ではない異界滅神ジャゴヌバの事だ。魔瘴の源である。

 その力は、正直興味ある。女神ルティアナと対等に戦えるほどの邪神だ。そんな力が私のモノになるなら、もはや怖いものはないだろう。

 

「…………」

 

 迷う。

 果たして自分には大いなる闇の根源を制御できるのか。大魔王ユシュカのようにジャゴヌバに弄られて、自分を見失ってしまうかもしれない。だけど……私に、その資格があるのか。

 ……いや、違う。必要なのはゆるぎない覚悟だ。ゲーム上の兄弟姉妹は闇の根源を抑え込むと覚悟を決めていた。きっと目の前の魔仙卿もそうだ。

 私にも覚悟はある。あの日、レイダメテスに焼かれた日、心に決めた目標が。今もしっかりと宿っている。

 

「私は、人生を謳歌するんだ。そのためにも、誰にも負けない力が欲しい。私の安寧の邪魔はさせない。闇の根源なんて消えてしまえばいい……私、やるよ」

 

 決意を表明し、魔仙卿をじっと見据える。

 すると、私の覚悟が伝わったのか、魔仙卿は満足そうに頷いた。

 

「覚悟、しかと受け止めたぞ。我の魔仙卿としての知識経験……すべてをそなたに継承しよう。そなたの名は?」

 

「名前? 名前かぁ……」

 

 現在の私は名無しである。生活するにあたって必要なかったのだ。それ故に、拍子抜けしてしまう。

 それにしても名前かぁ……前世の名前は憶えていないし、ここは洒落た名を……

 

「私の名前はロト……うん、ロトだよ」

 

「ロトか。いい名だ。ともあれ先ずは修業だ。着いてきなさい……」

 

 ああ、魔仙卿になると決めた以上、気を引き締めないといけない。

 




4000文字くらいにしたかったけど3300文字になった。

主人公の名前はノリでロトになりました。僕にとってドラクエといえばロト装備なので。某宝くじのことでないです。

次回は日記形式にしてダイジェストに話を進める予定です。ボリュームも増やしたい。

あ、それとお気に入り登録ありがとうございます。励みになります。
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