アストルティアを我が手に!   作:劣白

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少し遅れました。ごめんなさい。

この小説を書き始めてからまともにドラクエⅩをプレイできていません!

誤字脱字あったら申し訳ない。


第四話『自己防衛。レンダーシア脱出だよね』

 結局、温泉はテンちゃんに任せることにして私はまた光の河を超えた。以前と同じで飛び込んだ。

 何を言っているのか分からないと思うが、兎に角、光の河を超えたのである。

 誰か優秀な魔族に頼み込んでアストルティアへ転移する魔法陣を作ってもらうのも良かったが、生憎そんな友達はいない。結果、光の河を自力で昇る羽目になったが、これが結構辛かった。

 光の河は女神ルティアナの身体だけあって、大魔王のアストルティア侵攻や魔界から湧き出る魔瘴を抑える壁だ。そこを無理やり抜け出したのだ。全身筋肉痛である。

 大魔王マデサゴーラも光の河を這い上がった設定だったが、私のようなダメージを受けたのだろうか? もしかして私が魔瘴を吸収しているからダメージが大きかったのか?

 

 まあ、そんなことはどうでもいい。

 辺りに広がっている一面の草原。心地よい風に背中を押され、魔界とは違った新鮮な空気が鼻腔をくすぐる。

 アストルティアの大地に舞い降りた。いや、這い上がったといった方が正しいのか。

 今はこの感覚を大事にしておきたい。まるで出所した人が娑婆の空気を堪能する気持ちである。

 

 暫く、草原に腰を下ろしていると襲ってくるのは睡魔。こんなにも心地よいのだ。不可抗力である。

 ここには夜這いにくるテンちゃんや、急激に魔障が発生する訳でもない。欲望に身を委ねて、草原のベッドに寝転ぶ。

 

「……なんか騒がしい?」

 

 耳を澄ませてみれば、聴こえてくる叫び声。女性や男性の入り混じった金切り声は煩わしいったらありゃしない。

 仕方がないので様子を見に行こうと重たい腰を上げ、気怠そうに欠伸をしながら歩き出す。

 

 やがて、見えてきたのは小さな門。中には煉瓦造り家が並び、奥には教会らしき建物。この町を分けるように流れている光の河。ゲームの中で見覚えのある町だ。

 

 ああ、ここってセレドの街なのか……ってセレド!? まさかのレンダーシア!?

 

 刹那、私の目の前を人々が横切り、嫌でも視界に入るトロルキング、それも三体。紫色の巨体で押しつぶそうとしてくる。ってか棍棒を舐めるのは汚い。涎が辺りに撒き散らされている。

 

 私を狙ったのは馬鹿だろう。

 戦闘技術がなくとも、レベルだけは高い化け物。それが私である。

 魔界でダークトロルを何度も狩ったことがある私からみれば、トロルキングくらいは朝飯前である。

 

 魔障で剣を創り出し――は大いなる闇の根源との契約が切れたので出来ない。剣はアスバルへ譲ってしまったので、素手で通常攻撃するしかない。

 身体を機敏に動かし、一体のトロルキングへ無言の腹パン。魔障を身体に巡らせて身体能力を強化しているので威力はばつぐんだ。そのまま身体を翻してもう一体へ。相手は死ぬ。

 

 トロルキングは大きな腹を貫かれ、事切れたかのように倒れた。そして、紫色の霧(魔障)となって薄れていく。

 

「勿体ない……」

 

 私は拡散する魔瘴を吸いとる。人間には悪影響だろうし、資源の有効活用である。

 

「ば、化け物だっ! 化け物がでたぞっ!」

 

「へ?」

 

「に、逃げろ! 誰か戦士はいないのかっ!?」

 

 悲報。助けてあげたのに何故か化け物扱いされた件について。

 ……いや、まあそれもそうか。目の前で魔瘴の力を見せた挙句、いくら幼女といっても素肌が見えない闇騎士セットである。客観的に見ても魔族と勘違いしてしまう格好だ。

 

 人々は更なる魔の出現により、混乱を極めている。もはや話し合いは通じないだろう。

 ここでセレドの街と分かっただけ良し。どうせなら観光目的でグランゼドーラ王国に向かおうと思った時、見覚えのあるエルフが姿を現した。

 

「君だね。光の河を超えてきた闇の者は……なんて禍々しいんだ。その魔瘴、大いなる闇の根源の手先か……」

 

 そうだ。星辰武王だ。レベル100解放クエストで印象深い、あの六聖陣の一人であるが、面影があるだけで別人に見える。代替わりする前なのだろう。

 ゲームではダーマ神殿に居たし、恐らく、その役目は創世の樹及び、光の河の監視。だから私が光の河を超えてきたことに気づいている。

 

 ……もしかして、これは不味くないか?

 星辰武王からひしひしと感じられる殺気。明らかな敵愾心にがっくりとしてしまう。発言から私をジャゴヌバの手先と勘違いしているようだ。

 

「覚悟ッ!」

 

 考え事をしていると星辰武王は襲い掛かってくる。

 やはり六聖陣とだけあって素早い。少しでも反応が遅れたら拳を顔面に喰らうところだった。というか躊躇なく真っ先に顔って怖いな。

 

 星辰武王は私と同じで素手。今は対等な条件だが、いつ魔法や特技を使って来るかは分からない。

 それに私に敵対の意志はない。ここで星辰武王を倒してしまったらストーリー上、詰んでしまうだろう。主人公はレベル上限を解放できず、アンルシアとユシュカは神殺しの心気を会得できなくなってしまう。

 

 と、いうことに逃げるに徹することにし、私は後ろに大きく跳んだ。

 勿論、星辰武王は距離を詰めようとしてくるが、そうはさせない。

 私は魔障を身体から噴き出し、辺りに撒き散らす。二次被害が心配だが、少量だし星辰武王が何とかしてくれるだろう。

 

「待てっ!」

 

 ふふふ、流石の星辰武王も魔障の中を突っ走ることはできないようで、その隙を見て私は全力逃走した。

 

―――――

 

 レンダーシアへと辿り着き、観光しようと思っていた矢先の星辰武王。それは確かに私に災いを齎していた。

 

「魔障の騎士! 今回は逃さないわよっ!」

 

 私を追い詰めるのは星辰武王に仕える使者、星拳士の一人だ。此方もゲームでは見かけなかったキャラで、恐らく時代的に代替わりの前なのだろう。

 

 私はうんざりとしていた。もっとドラクエの世界を堪能したい。冒険したい。観光したい。何をしようにも彼らが邪魔をしてくるので、いい加減我慢の限界だった。

 

「そなたは星拳士であろう? どうして我を狙う? 我は何もしていない筈だが……」

 

 怒りから魔仙卿モード突入だ。

 

「喋った!? そんなの、貴方が闇の根源の手先だからよ! 魔障の騎士!」

 

 因みに魔瘴の騎士とは私の通り名である。いつも逃げる時に魔障を撒き散らしているのと、闇騎士装備からきているのだろう。妥当だが個人的にはあまり気に入っていない。

 

「見逃して「覚悟っ!」

 

 星辰武王という星拳士といい、血の気が多すぎる。

 やっぱ自己防衛。レンダーシア脱出だよね。

 

「あっ! 待ちなさい!」

 

 今回も魔障を発生させて、私はその場から離れる。

 しかし、いつまでも同じ手は通用しないだろう。相手は六聖陣の星辰武王だ。何かしら対策を取ってくるはず……

 

 取り敢えず、レンダーシア……せめて海を越えたい。それくらいしないとまた星拳士と出会ってしまう。というか彼らはどうやって私を見つけ……

 

「あ、そっか……これがいけないのか……」

 

 普通に考えれば自分の格好が目立つ。人の目に映れば噂は広がるだろうし、盲点だった。

 この鎧は捨てるべきか。バルディスタ要塞から盗ん……貰ってから結構気に入っていたのだが、このアストルティアでは必要ないだろう。そもそも素肌を隠す必要が無い。

 

 苦悩の挙句、邪魔だと判断した私は地面を掘り返して埋めておいた。きちんと目印もつけておいたので分からなくなることはないだろう。いつかまた、使う時が来るかもしれない。

 

 さて、これで解決とはいかないだろう。

 魔障を出さない限り、星辰武王たちに嗅ぎつけられることはないと信じたいが、相手は何かの特殊能力を持っている。用心するに越したことはないので、兎に角遠い場所へ行きたい。

 

「この時代にグランドタイタス号は無いだろうし、五大陸は難しいよね。レンダーシア脱出は無理か。うーん……エテーネの村でも行ってみようかな」

 

 今は三百年ほど前だ。この時代の主人公の故郷は気になる。

 エテーネの村はレンダーシアの中心の島に存在する……どこから船が出ているか分からないが、きっとグランゼドーラ港からナルビアの町行きでもあるのだろう。そこから歩いてエテーネの村に向かえばいいだろう。

 




 六聖陣が明確に代替わりしているのは一部だけですが、この作品では全員代替わりしていることにします。寿命あるでしょ。多分。

 グランゼドーラ港からナルビアの町行きの船は無いです。マップを見れば分かりますよね。ロトちゃんが馬鹿なだけです。
 少し抜けているところがあるのはそういう設定です。

 これからロトちゃんには闇の根源の手先と勘違いされる予定です。普通に考えて魔障の塊が光の河を超えてきたら勘違いしますよね?

 次回は明後日になる予定です。

 本題。感想、評価、お気に入り、ありがとうございます。本当に嬉しいです。
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