初めての経験で死にそうでした。
二日間くらい39度ありました。最高は39.7度でした。
家族全員掛かりましたが、僕が一番ひどかったです。
遅れて申し訳ありません。
騙された。
グランゼドーラ王国へ向かったが、ナルビアの町行きの便は影も形も無かった。というかよくよく考えたら当たり前だ。
グランゼドーラ王国も、ココラタの浜辺も、レンダーシアの外側に存在しておりマップ的にナルビアの町はいけないだろう。なら、どうやって向かうのか? 色んな人に尋ねた結果、手段はなかった。そもそもこの時代、レンダーシアと五大陸の交流すらないのだ。ナルビアの町が孤立していても可笑しくはない。
と、いうことで私は考えた。
船が出ていないなら作ってしまえばいいのでは? と……飛竜という手段もあったが、手っ取り早いのはやはり船だろう。
思い立ったが吉日。
ワルド水源辺りへ向かい、そこで船を作り始めた。立派な船を施工する予定で、どうせならグランドタイタス号を超えたい。こういう作業も慣れれば楽しいもので苦痛ではない。温泉の時といい、私は案外職人気質なのかもしれない。
で、数年の月日が経った。
変わったことだが、先ず私は星辰武王に見つかっていない。いや、正確には何回か見かけているが相手が気づいていない感じである。やはり、あの闇騎士装備が原因だったか……魔障は解放しなければ大丈夫そうだ。
因みに私の通り名だった魔瘴の騎士は噂となり、何故かレンダーシアに根付いてしまった。その内容は漆黒の鎧を身に着けた騎士が現れると、一晩でその村の住民は魔物に成り果てるという荒唐無稽な噂だ。勘違いも甚だしい。私は人畜無害だというのに……
それで肝心の船だが完成している。それはそれは立派な船だ。グランドタイタス号以上か、同等の大きさを誇る、その船は私一人で造った訳ではない。
最初は一人だったのだが、造っている内に人が集まりだし、ナルビアの町へ行きたかった人が手伝ってくれるようになったのだ。有志たちによって募金もされ、スムーズに事が進んだ。
「ロト! 漸く完成ですぜ! こいつでレンダーシア交通の利便性が改善される!」
「そうか。これで我が悲願は果たされた」
忘れちゃ駄目だが、私の見た目は幼女である。舐められないためにも言葉遣いには気をつけており、所謂魔仙卿モードである。
「そういやこいつの名前、どうするんです?」
「我が付けるのか?」
「あっはっはっ! そりゃロトが一番乗りだったからな! みんな文句はないぜ!」
「……それならラーミアにしよう」
「へぇ……なんか不死鳥みたいだな」
ぎくっ! 確かに不死鳥ラーミアから取ったけど! ていうかなんだ不死鳥みたいって、どうして伝わった。
「……ロトはどうしてナルビアの町へ? 何かあるんですかい?」
「それは当然……当然……」
「……? どうかしたか?」
月明かりに照らされる新品同然の船を目に、私は固まってしまう。
慕ってくれているあらくれ者は不思議そうに首を傾げている。
「見たい場所がある。ただそれだけである」
「そっか。オレも漸く、お袋に会えるよ」
そう言い残してあらくれ者は去って行った。
しかし、残された私は残酷なことに気づいてしまったのだ。言い淀んだのも、それが原因である。
「あれ? ナルビアの町へ行く意味ある……?」
前は六聖陣から逃げるためだとかで色々と切羽詰まっていたが、今は随分と余裕がある。時間をかけ過ぎただろう。
既に星辰武王の追手を完全に振り切っているので、ナルビアの町へ向かう重要性は低い。なんならこのままグランゼドーラ王国辺りで暮らしてもバレはしない確信がある。
「ま、まあエテーネの村は見たかったのは本当! 私は間抜けじゃない! バカじゃない!」
まあ、でも……人々の役に立てたなら悪い気はしない。
私はバカじゃないと、自分に言い聞かせて続けて数日。船の出航日が訪れた。
ワルド水源の南辺りを開拓し、簡易的な港が作られている。そこに集まった人たちは決して多くはない。しかし、一人一人の目が輝いており、誰もが希望を見ていた。
やはり、人助けは良いものだと改めて思う。
辺りは軽いお祭り騒ぎで、こういう朗らかとした雰囲気は嫌いではない。
やがて出向の時間が来た。
チケットを持っている人たちが乗船していく。因みに優先されているのは多額の寄付をした貴族たちである。
私は最後に乗り込もうと決め、人々の列を眺めていると見知った人物が視界に入った。
特徴的な銀髪に、掛けられたゴーグル。漆黒のコートを棚引かせ、特徴的な大剣を背負っている。うん、見間違えるわけない。
彼はラウル。アラハギーロの王、アラハ・アルラウルだ。
本編ではなく、サブクエストの登場人物だが私にとって思い入れが深い人物。悲壮なストーリーだったのでよく憶えている。あの結末は流石の私も涙を流したものだ。
と、いうことは、彼はまだ彼女を探しているのだろうか? いや、そうに違いない。設定では彼女を探し求めて放浪し、最後は出会いの地であるジャイラ密林で亡くなった筈だが……
船が出航し、私は甲板から景色を楽しむ。
あまりの大きさから騙されそうだが、海というよりは池だろう。ゲーム内ではウミウシとかマンタとか釣れてしまうが、レンダーシア大陸に囲まれているので海では……あれ? これって海水だっけ?
「キミ……少しいいかい?」
なんてことを考えながら心地よい風に身を委ねていると声を掛けられた。
聞き覚えのある声に恐る恐る振り返ってみると、そこには案の定ラウルが立っていた。
「我に何か?」
「……リィンという名の娘を知らないだろうか?」
ああ、やはり訊かれてしまった。ラウルを一目見た時から予想していたが、どう答えるかはまだ考えていなかった。
無難なのは知らないと答えることだ。嘘ではない。何故なら、私はリィンという娘の活躍を知っているだけで、リィンには会ったことがない。いつか魔界へ調査に来るとは分かっているが……それを教えたところでハッピーエンドとは限らない。
だから、ここはビシッと答えるべきなのだ。
……だけど逡巡としてしまう。ラウルの気持ちは本物だ。リィンを探すために王位を弟に譲るくらい本気だ。
そんな蜃気楼のような瞳で見つめられると辟易としてしまって、というかラウル顔良い。ゴーグルの上からでも分かる。
「どうかしたのか?」
「へ? あ、えっと……ごほんっ!」
思わず、素が出てしまったが咳払いをして、なんとか持ち直す。
兎に角、私はノーという! 絶対にイエスとは言わない! 日本人はイエスマンなんて思わせない!
「リィンという娘なら、風の噂程度だが聞いた事がある」
「なに!? 知っているのか!?」
ぎゃあああ。なに、やってるんだ私は。いくらラウルを不憫に思ったからって口を滑らすなんて……事実をラウルが知ったところでリィンに会えないだろうし、下手すりゃ原作崩壊だ。でも、伝えるしかない……!
「頼む! 教えてくれ!」
「彼女の居場所は分からない。だが彼女はいずれ勇者とその盟友に協力し、大いなる闇の根源と戦う運命にある……」
「大いなる闇の根源……」
「そなたはリィンには会えない。大人しく帰ることをおすすめする」
今はゲーム開始時の三百年前だ。リィンはマホッシーにラウルの命を願い、その代償として魔物になった。恐らく、そのお陰で寿命が長い。と、私は思っている。
それに比べてラウルは人間だ。老ける上に寿命はもって百年くらい。原作でも見つけられなかったのだから、このままリィンを探しても結果は同じだろう。大人しく王国へ帰って子孫でも残すことをお勧めします。
「……どうしても会えないのか?」
「人間をやめれば、可能性はあるだろう」
仮にラウルに寿命が無ければ、なんだかんだでversion5のストーリーで絡んできそうであるが、それは高望みだろう。そんな都合よく人間をやめて寿命を延ばせるなら、みんなやっている。
「そうか。分かった……俺は……」
「力になれたのなら、良かった」
これ以上、質問されたらどうしようと思ったが、納得してくれたらしくラウルは船内へと踵を返す。
それにしても、どうして微笑んでいたのだろう。私はきつい現実を突きつけたのだと思うのだが、ラウルはマゾヒストだったのか、それとも単純にふっ切れたのか……
取り敢えず、今はナルビアの町へ。目的はエテーネの村である。
船旅は何が起こるか分からない。ドラクエⅩでは船移動は無かったが、他のドラクエシリーズの船移動といったら戦闘である。もしかしたら海系の魔物が襲い掛かってくるかもしれないので警戒しておこう。
ナルビアの町とかマデ島の人たちってどうやって暮らしているのか。そもそもレンダーシア大陸の何処から船が出ているのか、何もわからないので急遽ロトちゃんには船を作ってもらいました。
ラウルはどうしても出したかった。口調がちょっとよく分からない。格好良い! この小説では頻繁に出す予定です。
感想、評価、お気に入り、ありがとうございます。
評価色付いていてびっくりしました。これを糧に頑張りますねぇ!
次回は三日後くらいになると思われ