(法を)お菓子屋さんへようこそ!   作:新田トニー

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文字数短めですが怒りの連続投稿です。


第120話 テレビは叩いても直らないが、たまに治る時もある。

 

 キベルザとカラブは今まで撮影した映像に編集作業をし、手を加えていた。

 目を迸らせ栄養ドリンクを口で固定して飲みながらキーボードの上で両手の指で打ち込んでいた。

 

「キベルザさん、俺達、本当にこんな事をしていいんでしょうか?」

 

 カラブもまたキベルザと同じように編集作業をしていたが、浮かない顔をしていた。

 罪悪感に押しつぶされそうな陰鬱な顔だった。

 

「カラブ、二流三流のカメラマンは嘘八百を並べてゴミのような情報を垂れ流し、一流のカメラマンは真実で世に有益な情報を流す。だがな、超一流は……」

 

 キベルザは言葉を途中で止めて溜め、カラブに興味を引かせる。

 

「超一流は嘘と真実を混ぜてエンタメを提供するのさ」

 

 

「結局オカレモンはあの演歌歌手と同じキャラクターですよね」

「……いやだから、オカレモンと梅沢富美男は関係ねぇって!」

 

 俺はアリーシアと珍しく口論をしていた。

 今日は店は休業日だというのに、全員店でダラダラ過ごしていた。

 取材が終わって、大体一ヶ月くらいが経過した。

 店は相変わらず砂糖狂いのバカ共が客としてやってくるくらいで、特に変わり映えはしない。

 

「しかし、サビターよ。お前本当にあの日のことを何も覚えていないのか?」

 

 アルカンカスがライトブレードの柄を布で拭きながら俺に聞いた。

 

「そういえばそうよ。気がついたら自室のベッドに居たなんて、あなたらしくないわ」

 

 セアノサスもアルカンカスの言葉に同意する。

 俺は一ヶ月前にカメラマンの男達にバーに誘われて彼らの奢りで酒を浴びる程飲み、泥酔して気がつけば自分の家で寝ていた。

 俺はそれまでの記憶を全く覚えていないのだ。金はあいつらが払ったとは思うが、何故か分からんが俺の腹の中で気持ちの悪い違和感がずっと残っていた。

 

「もうすぐテレビに出ますね。私達」

 

 アリーシアはそう言ってウキウキしながら店のテレビの前に待機していた。

 

 そう、今日は俺達が出ている番組の放送日。

 魔導テレビは瞬く間に庶民の間で娯楽品として広まり、大体一家に一台は備え付けられている程人気になった。

 つまり、俺達の姿がほぼ全国民に見られる事になる。

 別に何か心配事があるわけではない。

 アイツらはプロのカメラマンだし、俺の事を神か何かのように崇拝している。

 そんな俺のカッコ悪い映像を地上波に流したりはしないだろう。

 俺の周りのアホ共は知らんがな。

 

 アリーシアは「ふふふ〜ん♪」と楽しそうにケツを揺らしながらテレビのリモコンをおぼつかない手で電源を点けようとしたが結局点けられず、タマリに渡した。

 だがタマリも操作の仕方が分からず首を傾げ、「うきぃ!!」と叫んでリモコンを振り回して壁にぶつけようとしたところをアルカンカスが止める。

 当然剣と皿洗いと掃除しか取り柄のない男に扱えるはずもなく、セアノサスがアルカンカスからリモコンを受け取り、「はい」と言って俺に渡してきた。

 

 今までの行動に意味があったか?と俺は猿を見るような目で見ると、猿共は「うきぃ!!」と言って俺を威嚇した。

 

「ほらよ」

 

 俺はテレビの電源ボタンを押した。

 すると画面が青白く光り、人がそのまま箱の中にいるかのような鮮明でリアルな映像が現れた。

 するとうちの猿共は興奮しながら飛び跳ねて我慢を注視し始める。

 

「ホアア!?」

「ウキィ!?」

「ホッホッホッホッホッホッ!」

 

 文明の利器に触れて大興奮の猿共はテレビの前に居座りながら目をギンギンにさせていた。

 これだから機械慣れしていない奴等は……と俺は内心ほくそ笑む。

 

「凄いぞ!箱の中に人がいる!」

「しかもうごいてるよ!ヌルヌル!ヌルヌルうごいてる!」

「こ、声も聞こえます!これ箱の中に小人が入っていて演劇をしているわけじゃないですよね!?」

 

 凄いなコイツら。

 理想的な反応ばかりしやがる。

 もしかして俺を騙そうとしてるんじゃないかと思えるくらいだ、やっぱりテレビ買ってよかったな。

 

「あっ!そろそろ始まるわよ!」

 

 セアノサスがそう言ってテレビに指をさす。

 俺以外の四人は急ぎ椅子を持ち寄ってテレビの前に食い入るように見る。

 

「おいあんましテレビの画面に近づくなよ。目が悪くなるぜ」

 

 俺はそう言って自分の椅子を持ってってテレビから少し離れた位置に座る。

 CMが終わり、番組が変わる。

 遂に俺達の密着取材の成果が放映される。

 俺は若干の期待感と不安を抱きつつも、目の前の画面に視線を向ける事にした。

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