ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。



第八十五話 祭壇と二人の巫女

 

怪我の癒えたクロコダインが、ロカ殿と激しく打ち合っている。

クロコダインの腕は骨折と言うより、粉砕というレベルだった。

実際、オリハルコンの不死鳥の鎧があってなお、

マキシマムが放った必殺の拳打はその威力の攻撃であったわけだ。

 

ロン・ベルク殿は端で見ていて、クロコダインがたまに折れているはずの腕で、

魔影軍団の鎧達を殴り飛ばすので、ハラハラしながら見ていたらしい。

 

ロカ殿が剣を納めてクロコダインに向き直る。

 

 

「この辺りにしておくかクロコさんよ。

どうだい? 骨折した腕の調子は?」

 

「悪くはない。

数日前まで本調子ではなかったのだが、やはり動かすのが一番だな」

 

「だろ? 動かしてりゃその内、感覚が戻るし治るってもんだ」

 

 

私としては、まったく意味が分からない話を二人がしている。

クロコダインはロカ殿に礼を言った。

ロカ殿はそれを受けて頭をかきながら、竹槍兵たちに声をかけて、

ヨミカイン魔導図書館の周囲を警邏しに行った。

 

ロカ殿が力があるのは知っているが、曲がりなりにも真正面から、

クロコダインと打ち合えるのは大したものだ。

しかも、その直後に警邏へゆけるのは、

なかなかどうして彼も大した体力である。

 

樽に入った水を頭から被り、気を引き締めたクロコダインが私の横にやってきた。

肩を回したりしながら、神妙な顔をしてこう話し出した。

 

 

「思えばオレの中に、まだまだ驕りというやつがあったのだと痛感した」

 

「驕り……か。お前さんには縁遠い言葉だと思うがね。

話を聞こうかのう?」

 

 

光の闘気は至高の領域。

実際、老師ですら老境に至って習得したが、体力が心許なくなってしまい、

入門することは出来たが極めることは叶わなかった。

極めるには至らなかったが、水先案内くらいはできる。

自分の寿命がある内に、至高の領域を見せて欲しい……。

それがブロキーナ老師からクロコダインに託された、

光の闘気に対する想いなのだという。

 

それを身につけたクロコダインは、

自分の中に驕りがあったのだと感じたそうだ。

 

 

「次に出会った時は、マキシマムも闘気を身につけているだろう。

もしかすると、光の闘気を使ってくるかもしれん」

 

「まさかそんなことは……」

 

 

ないだろうと思ったが、その例を私は一つ知っている。

原作で言うところのヒムだ。

彼は死に瀕して昇格(プロモーション)したことにより、禁呪法生命体から一個の生命と成った。

それにより光の闘気を身につけるに至っている。

 

マキシマムの変貌は驚異的なものだった。

あの別人かと思うほどの変わり様は、まさしく原作知識が邪魔をするレベルだ。

武人と言っていいほどの清廉なマキシマムなら、光の闘気に辿り着くというのも、

予想として間違いでは無いかもしれない。

 

つまり、これも原作でのヒムがヒュンケルに語っていたことだが、

彼は素手で自分と戦うというヒュンケルにこう言い放った。

 

"極端な話、お前、剣を持ったダイやハドラー様に素手で勝てるか?"

 

まさしくそれだ。

闘気を身につけたマキシマムは超金属(オリハルコン)に闘気を通して戦うボリクスや、

バラン殿と同じ存在ということになってしまう。

 

 

「その時、光の闘気で同じ土台に立って、戦いにもならぬのでは意味が無い」

 

「ふむ……具体的にどうするのじゃクロコダインよ」

 

 

拳闘については老師も詳しかったので、対策を立てるために修行を行ってきたいという。

そして、恐らくは最後の修行になるであろうと言い、ガルーダを呼んでロモスへ向かっていった。

 

 

 

数日後、マトリフ殿とレオナ姫がやってきた。

重要な話の前にと、パプニカで2m級のキラーマシンが50体完成した事を聞く。

 

 

「パプニカが保有している青鍛鋼(ブルーメタル)で、それがギリギリだったな。

主な任務は魔法兵団と組ませて、ボディガードになってもらうって寸法だ」

 

「なるほど。戦力の強化は順調に進んでいるのですな」

 

 

レオナ姫が私の言葉を受けて答えた。

 

 

「バダックの提案でね。

通常モードと戦闘モードの切り替えを、魔法玉の交換でやる事になったのよ」

 

「それは、戦後のことを考えてですかな?」

 

「戦後は武器を持ち替えて、鍬や鋤で農作業の手伝いでもして貰おうって話ね。

実際、戦闘訓練の後は、畑を耕したりさせてるわ」

 

 

戦いの後の期間の方が長いから、その後の事を考えるのは必要だ。

バダック殿は戦士団の団長として才覚を発揮しているが、

やはり原作の発明家としての血が抑えられなかったと言ったところか。

 

キラーマシンの話の後に、私は死の大地での出来事を語って聞かせた。

不死鳥ラーミアの確保に失敗して、ミストバーンの攻撃で重傷を負ってしまった。

その後、不死鳥が宝珠(オーブ)になって飛散。

一個は私の手元に。

もう一個はミストバーンが手に入れた旨を説明する。

 

我々が死の大地へ出発した後、ザムザからマトリフ殿に連絡が行ったので、

マトリフ殿は現地へ行こうとしたらしいが、アポロ達に止められたという。

 

 

「行ってりゃ良かったかもしれねぇって気持ちがあったが……。

そこまで激しい戦いで命を落としてたら、アポロ達に面目が立たねぇからな……」

 

「お気持ちは嬉しいですが、死の大地へ行かず正解でしたぞマトリフ殿」

 

 

腕を組んでいるレオナ姫が、真面目な顔で切り出した。

 

 

「あなたらしくない手抜かりねって言いたいけど、

敵の総本山に行ってみんな生きて帰ってきてくれた。

その事をまず喜んだ方がいいかしら……」

 

「最初の目的は達せられなかったが、

そのオーブってのはどんなもんだザボエラ?」

 

 

私はレッドオーブを取り出す。

赤い宝珠(オーブ)は美しい光を放っている。

 

 

「こいつは見事なもんだな……。

で、お前さんが慌ててないって事は、これでお仕舞いじゃねぇんだろ?」

 

「え、どういうこと、師匠?」

 

「ザボエラをよく見てろって言っただろ。

駄目な状況だったら、まず先にオレたちに打開策を相談するぜ」

 

 

何か読まれている気がするが、マトリフ殿の慧眼に敬意を表して、

宝珠(オーブ)になった不死鳥を蘇らせる方法の説明をする。

 

知られざる伝説の逸話をそのまま話して聞かせ、

宝珠(オーブ)になってもしかるべき手段で蘇らせられることを説明した。

宝珠(オーブ)を捧げる祭壇と二人の巫女を用意して、不死鳥復活の文言を捧げるのだ。

 

 

「祭壇か……。作れば良いのかしら?」

 

「ホイホイ作れるんじゃ相手も作っちまうんじゃねぇか?

いや、そういう聖なる祭壇を、魔王軍が作れるかってとこは疑問だがな」

 

「左様ですな……。古くから存在する、由緒ある神殿を探しております。

何か適した場所があればよいのですがな……」

 

 

こちらにはレッドオーブ。

ミストバーンが手にしたオーブは視認できなかったが、ボリクスが確認していた。

銀色の宝珠(オーブ)……シルバーオーブだったという事だ。

 

つまり、あと四種の宝珠(オーブ)が世界に飛散している。

イエロー、パープル、ブルー、グリーン。

しかし、この情報を大々的に広めて、

人員を大量に投入して探索させるのは危険な気がする。

 

こちらには一個レッドオーブがあり、魔王軍にはシルバーオーブがある。

残る四つの光=宝珠(オーブ)が世界に飛散したことは、

魔王軍も知っているはずだ。

 

そして、問題として私の持つ知識のアドバンテージは、

大魔王も同じ知識を持っている事で消えてしまう。

 

私の呪いの中の世界、グレゴリーアの庵で出会った時の話では、

ドラクエ1~4の世界の話を知っているようなそぶりだった。

つまり、ドラクエ3のラーミアの下りを知っていて、

宝珠(オーブ)を6個集めると不死鳥が復活することを知っているはずだろう。

 

そこまで説明すると、マトリフ殿が天を仰ぎ、

レオナ姫がため息をついてお茶を飲んだ。

 

 

「なんてこった……上手くはいかねぇもんだな。

大魔王もその不死鳥の復活方法を、知ってるわけかよ」

 

「あちらの問題としては巫女二人や、祭壇を用意できるかと言ったこともありますな」

 

「それに油断していられないかもね。なにせ、大魔王でしょ?

こちらには知られてない秘技や呪法を蓄えてるかもしれないわ」

 

 

レオナ姫の言葉は尤もである。

 

多く触れ回って探索隊を大量に投入した場合、

魔王軍側の探索隊である魔物とカチ合えば、被害者が出てしまうだろう。

ただ、シルバーオーブを手にしたミストバーンが倒れていたが、

あれがボリクスにやられたダメージからなのか、

知られざる伝説でトロルを消し去った光の力故なのかは分からない。

 

光の力を宿し、魔物を消し去るほどの力があるなら、

それを征するために強い魔物が派遣されて探索する可能性がある。

それこそ六大軍団の軍団長クラスの強さの存在が、

宝珠(オーブ)を探索した場合、並の使い手では犠牲者を増やしてしまう。

 

となると、各国国王クラスだけに伝えるべきだな。

その後、精鋭に絞って、ごく少数で探索する方法が良いだろう。

最悪、何の宝珠(オーブ)が敵の手に渡ったか、

その情報だけ持ち帰って貰っても良い。

 

話し合いの後、マトリフ殿とレオナ姫は早々に去り、

宝珠(オーブ)については各国首脳だけに伝えることになった。

三賢者に就任したアポロ、マリン、エイミと一緒に手分けして伝えて回ってくれるという。

私も手伝うと言ったのだが、任せておけとやんわり断られてしまう。

マトリフ殿がお前さんしかできないことを優先してやれと言ってくれた。

その言葉に甘えさせて貰うことにしよう。

 

 

 

明くる日、ギュータへ向かった。

ボリクスの剣の様子が気になっていたからだ。

 

いささか強引な方法で繭から叩き出してしまったため、機嫌でも損ねていたらと思ったが、

ロン・ベルク殿からはあれで良かったらしいと言う話を聞く。

 

そして、正式に剣の名前が"雷竜剣"という事に決まった。

かつてのボリクスの異名である雷竜にちなんだと言うことだ。

真魔剛竜剣のような長い名前も考えられたが、ボリクスが短い方が良いと粘ったらしい。

最初はボリクスの剣という事になったのだが、それはボリクスが嫌そうにしていた。

話を聞くと自分の名前がついていると、ロン・ベルクやギュータの鍛冶師たちの会話で、

名前が呼ばれるたびに返事したくなってしまうから反対したようだ。

 

雷竜剣はまだ解析途中ではあるが、雷属性の武器であり、

通常でもボリクス以外の者が触ろうとすると帯電しているので危険である。

ボリクスから手渡された場合、その相手を覚えるので、

帯電して持てぬようにすることはないそうだ。

 

雷竜剣の能力の一つだが、デイン系呪文を宿すと、

それを複製して敵対者に攻撃することができるようだ。

つまり、あの時、電撃呪文(ギガデイン)を宿した状態で、

ミストバーンの闇の刃を電撃呪文(ギガデイン)で切り裂いていたのは、

雷竜剣の意志だと言うことになる。

 

さらなる力を秘めていそうだが、いまはまだ手入れをしたり、

研いだりしてロン・ベルク殿自身が親交を深めているという。

 

私は横で研いでいる姿を眺めていたが、ロン・ベルク殿が話を始めた。

 

 

「ボリクスは気づいていたそうだが、オレが死の大地の戦いで、

星皇十字剣を使わなかった理由について話しておこうと思う」

 

「てっきり敵の攻撃が激しく、そのタイミングを掴めぬのかと思っておりましたぞ」

 

「予想よりあの超金属(オリハルコン)の兵団は強かったが、

本気で戦えば切り伏せることは可能ではあった……」

 

 

端的に言えば何か邪悪な存在が、監視している意志を察知したらしい。

クロコダインも気づいていたらしいが、マキシマムが強敵すぎて、

意識を割くことができなかったということだ。

 

ロン・ベルク殿は、ずっとその視線を感じていたらしい。

魔界に赴き、悪魔の目玉の親玉であるインスペクターを我々は倒した。

それによって、魔王軍の情報網を破壊したはずだったが……。

 

意図が掴めなかったので、ロン・ベルク殿は星皇剣の奥義を振えなかったらしい。

もし、見ているのが大魔王だった場合、手の内は見せたくなかったという。

大魔王バーンはロン・ベルクの鍛冶師としての力量を評価し、武具を献上させた。

その後に欲したのが、ロン・ベルク殿の剣士としての腕前である。

実際その時、魔軍司令の地位をロン・ベルク殿に提示していた。

 

 

「なるほどなー。バーンが見てる(おも)たんかロン?」

 

「恐らくは、な。ただ、大魔王にしては邪気が強すぎて、

何者か見当がつかなかったので手の内を隠した」

 

「ふーん。第三勢力やったら洒落にならんで」

 

 

砂糖たっぷりの紅茶を飲みながらそう話すボリクス。

 

"……エ……ラ……"

 

何か声がした気配がして、懐のレッドオーブを取り出す。

光を帯びた宝珠(オーブ)にロン・ベルク殿の保管していた不死鳥のかがり火が燃え移る。

 

心配したボリクスが声を上げた。

 

 

ザボ爺(ざぼじい)大丈夫か?」

 

「ワシは大丈夫じゃがこれは一体……」

 

「……しわけ……ありません……。聞こ……すか……?」

 

 

驚く我々の前でオーブに宿ったかがり火が、小さな鳥の姿になる。

不死鳥ラーミアは今回の問題について詫びて、丸投げになってしまったことを謝罪した。

 

その上で復活の祭壇としてはテランの竜の神殿が適格だと教えてくれた。

別にレイアムランドのような寒い場所が必要なわけではないらしい。

 

 

「左様ですか……。

ところで、復活には巫女が必要であったと記憶しておりますが……」

 

「巫女? 不死鳥の巫女を用意するのか?」

 

「それは……今回難しいと思いますので、

私の血を浴びて、縁が出来たあなたにお願いしますザボエラ」

 

「ええっ!? ザボ爺(ざぼじい)が巫女ぉ!?」

 

「お待ちくだされ! 巫女とは女性ではないのですかな!」

 

 

ボリクスが驚きながら大笑いしているが、私は真面目にラーミアに問い返す。

女性だから巫女であるが、別に男性でも男巫(おとこみこ)(おかんなぎ)という存在もいるという。

私の不勉強だが男性の巫女もいるのは知らなかった……。

 

復活の文言は二人で捧げる必要があるので、私と近い属性の人物を選び、

その人にも巫女になってもらうという話になった。

 

 

「近い属性といいますと……」

 

「あなたは魔族であり、魔法使いであります。

賢者でもありますし、老人でもあります。

強大な呪文の行使者であり、練達の呪文使い。

そして、強い魔法力を持っているわけですが……」

 

「その条件って、マトリフやないか?」

 

 

ボリクスの言葉に私とロン・ベルク殿は目が点になった。

それを聞いたラーミアは、その人物が良いでしょうと気軽に言ってくれた。

巫女になってくれと言った時、マトリフ殿が怒るか大笑いするか想像もつかないが……。

 

そう考えている私に、不死鳥ラーミアは重要なことを話してくれた。

 

 

「くれぐれも大魔王に揃えさせないで下さい。

宝珠(オーブ)を集めて復活させた私は、善にも悪にも傾く状態にあります」

 

「それはつまり、大魔王が復活させればあなたは、

魔王軍の為に異世界への道を開くようになってしまうわけですかな?」

 

「そうなります。ゆめゆめ忘れぬよう……」

 

 

そう言って炎は消え、ロン・ベルク殿の下にあった、

最後の不死鳥のかがり火は消えてなくなった。

衝撃的な話だったが、後ろで笑い転げているボリクスはともかく、

ロン・ベルク殿に尋ねておくことがあった。

 

 

「ダイの剣についてはいかがですかな?」

 

「バランの旦那の息子なだけはあるが、あいつはまだ強さの骨子が出来てない。

現状、オレが今のダイに完成された剣を打ってやっても、あいつが成長した場合、

その成長分の力についていけない可能性がある」

 

 

いまのダイの力は紋章の力を任意で使うことができるが、

アバン流は空の技を使いこなせていない。

原作より2歳若いというか幼い状況で、精神的にきちんと骨子が出来ていないからだろう。

空の技自体が、感覚的なというか実戦を経た上での技という感がある。

そう考えているとロン・ベルク殿が驚くことを言った。

 

 

「代案として成長する剣を作ろうかと思っている」

 

「成長というと、ダイに合わせて強くなる剣……ということですかな?」

 

 

それを聞いてボリクスが興味津々と言った感じで聞いている。

真魔剛竜剣を修復し、己の星皇剣やクロコダインの鳳凰の戦斧、不死鳥の鎧。

そして、ボリクスの雷竜剣を鍛え上げた。

オリハルコンに世界で一番精通した鍛冶師と言っても過言では無い、

ロン・ベルク殿はオリハルコンの一つの性質を見い出したのだ。

 

傷が癒える…つまり自己修復の過程で、破壊された部分の硬度が上がっている。

つまり、同じ攻撃で容易く破壊されぬよう、成長する性質があるということだ。

 

 

「いま、ポップにダイの為の剣の準備をさせている。

勿論、あいつはまだまだ未熟な鍛冶師だ。

だが、その未熟な鍛冶師が作る、未熟な剣がダイには必要だ」

 

「成長の余地の為にですかな?」

 

「そうだな。無論、ポップにオリハルコンを加工することはできないから、

オレが基本的には打つが、要所要所はあいつに打たせる」

 

 

その話をしたところ、ポップは震え上がってしまったらしいが、

父親のジャンク殿に叱咤され、チョコマに励まされて渋々承諾したという。

先日、ダイと顔合わせをして意気投合し、

バラン殿に息子のための剣を頼むと言われ、

やる気になったポップは工房に入り浸って準備をしているという。

 

 

「なに、オレがポップの仕事のケツは持ってやるさ。

それで、こないだ見ていたんだが、ケインは大丈夫か?」

 

「大分、傷は癒えましたが、核になっている魔法玉を破壊されかけましたからな。

ヨミカイン魔導図書館で休ませているところです」

 

「バーンに光魔の杖というのを作ったことがある。

理力の杖というのがあるだろ? あれの上限を取っ払った……つまらん武器だ」

 

 

光魔の杖の話がなぜここで出てくるのかと思ったら、

私に一個の杖が差し出される。

初めて見るはずの杖を、私は知っていた。

ブラックロッドだ……。

 

 

「こいつはブラックロッドという杖だ。光魔の杖の発展形……。

使い手によっては大魔王バーンの光魔の杖ともやりあえるだろう」

 

「これをワシに?」

 

「いや。アンタじゃない。ケインにだ。

分かるなこの意味?」

 

 

つまりケインに食わせろというのだ。このブラックロッドを。

鍛冶屋として作った武具を消滅させることになるがいいのだろうか?

 

 

「アンタを守るために身を挺したアイツの姿に武器の意地を見た。

だからアンタにブラックロッドを使えとは言わん。アンタにはケインが必要だ。

アイツがこれを取り込んでどんな姿になるか楽しみだ」

 

 

つまり、ロン・ベルク殿はケインの戦いに感服したと言うことだ。

私は深々とロン・ベルク殿に頭を下げ、ブラックロッドを受け取った。

 

 





独自設定

ロン・ベルクが感じた監視の視線
大魔王のものではありません。
"あくまのかがみ"を通して戦場を凝視していたヴェルザーのものです。

ラーミア
蘇らせた者の属性に傾いてしまうのは本作の独自設定です。
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