ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。



第九十五話 森に飲まれたロモス

私の言葉にキギロは満足げに頷いた。

そこで思い出したかのように、フォブスター殿の様子を尋ねてくる。

疲労が酷かったが、軽傷だったということ。

既に傷は癒やして、賢者の聖水で魔力を回復した後であり、

現在は眠りについており休息中だと説明した。

 

それを聞いたキギロは、嬉しそうな表情で話し始める。

 

 

「フォブスター君が無事で良かった。

短い間だったけど、ボクと彼は協力してロモスから脱出した仲ですからねぇ」

 

 

そうして、キギロはロモスでの現状について話を始めた。

魔の森を中心にして、凄まじい勢いで森が拡大しているという。

住民はどうなっているか尋ねると、意外な答えが返ってきた。

 

 

「恐らく……大体は無事だと思いますよ。

まず、メネロが行ったのは、ねむりの花粉をばらまいて、

ラインリバー大陸の人間を含むあらゆる動物を眠らせたことでしてね」

 

「キミ、見てきたように言うじゃ無いか」

 

 

チウの疑問にキギロはたじろぎもせず答えた。

 

 

「その瞬間、その場にいたんです。

ネズミ君の言葉を借りれば、まさに見てきたんだよ」

 

 

結論から言えば、現状のロモスで起っている事態の原因は、

メネロが超魔手術で植え付けられた能力が、

何か別の力で暴走させられている事に起因するようだ。

そう、キギロは推測しているらしい。

 

 

「逢魔窟で拾ったボクの欠片を植え付けたそうですね。

メネロは優秀でしてね。能力を使いこなしていたんですよ」

 

「つまり、何か別の要因が彼女の能力を暴走させていると?

それがお前さんの意見かね?」

 

「その通り。では、続きを話しますねザボエラさん」

 

 

話は魔界の大魔王城(バーンキャスル)出立前に遡る。

デスカールから渡された盃を飲み干した後、

メネロの様子がおかしいと感じたらしい。

そこで、三体の分身を妖魔士団に紛れ込ませたと言うことだ。

 

魔の森に陣取るメネロに直接会いに行き、調子を聞いてみた所、

キギロが誰か分からないと言った様子で攻撃してきて、まず一人殺されてしまった。

 

 

「キミと友達じゃ無かったとかじゃないの?」

 

「ボクは魔界で時間があれば、メネロに植物を操る力を教えてたんです。

あれだけ何度も会って、初対面みたいな反応されたらショックだよ」

 

 

肩をすくめてチウの疑問に答えたキギロは、その続きを話し始める。

 

流石に危険だと判断し、残る二人の分身体キギロは脱出を図った。

その瞬間、ねむりの花粉がロモス全土に撒かれ、

人間も動物もある者は座り込み、

ある者は椅子にもたれ掛かるように眠ってしまう。

そして、ロモスで行動している生物はいなくなってしまった……。

 

 

「キミはなんで眠らなかったの?」

 

「ボクがメネロに教えた能力だよ。

師匠のボクがねむりの花粉に耐性がなかったらバカですよ」

 

「それは道理じゃのう」

 

 

その後、動いているのはキギロだけになり、

蟲系の魔物や植物系の魔物が大挙して襲ってきた。

 

ラインリバー大陸は他の大陸とは海を隔てているので、

最悪、海岸まで出て泳いで逃げるかと考えていると、

一人で戦っているフォブスター殿に出会う。

 

分身体の一人が殿(しんがり)を努めて、

キギロとフォブスター殿を逃がしたそうだ。

 

 

「フォブスター君が瞬間移動呪文(ルーラ)を使えるというのでね。

彼を助けてラインリバー大陸から脱出しようと思ったわけです」

 

「ふむ……それでなぜテランを選んだのじゃろうか?」

 

「あなたがオーザムで、フレイザードと交戦したという情報を、

ガンガディアさんから聞いてました」

 

 

どうやらガンガディア殿は立場をフルに生かして、

各所の情報を得ているらしい。

 

 

「それを踏まえるとテランであなたを待っていた方がいいだろうと、

フォブスター君を説得したんです」

 

「良い判断ですな。おかげでフォブスター殿も助かりました。

礼を言わせていただきたい」

 

 

私は世辞ではなく、感心した。

勇者アバンと獄炎の魔王では、調子に乗ってアバン殿に、

底の浅さを揶揄されることもあったが、状況判断も確かだな。

 

しかし、メネロが飲まされた盃と言うが……。

ミストバーンがヒュンケルに飲ませた暗黒闘気の盃では?

あれはヒュンケルだから克服できたが、

普通に効果を発揮したとしたら、暴走状態になるのではないだろうか。

 

恐らく大丈夫だろうと思うが、まず確かめておくべき事がある。

 

 

「ガンガディア殿とキギロ殿は、

同じ志と言うことで宜しいのですかな?」

 

「えーと、デスカールが嫌いで反旗を翻そうとしてることですか?

それなら答えはイエスですよ」

 

 

これは、話が早い。

私の横でチウが驚いているが、グランナードは少し緊張を解いたようだ。

彼だけは一動作で岩の壁を、私とキギロの間に出せる位置に常に居た。

無論、横に置いたケインも爪をいつでも出せるようにしている。

 

 

「ボクとガンガディアさんは協力関係です。

デスカールのやり方が気に入らないって言う点で一致してますよ。

なによりバルトスさんをああされて、頭にきています」

 

「それが聞ければけっこう。

では、協力してロモスへ行くと言うことでよろしいか?」

 

 

一応、確認としてデスカールにキギロの行動はばれないのかと聞いたが、

現在、手が空いている状態であるし、ガンガディア殿が誤魔化してくれる手筈だそうだ。

 

パプニカ戦線の話を聞けたが、どうもテムジンが指揮を執っているらしい。

謀略に長けてはいるが、テムジンは実際の軍を動かす能力はないようで、

パプニカとの戦いは不死騎団不利で推移しているということである。

 

テムジンは知識もあり策略や謀略を講じる力もあるが、

どうやら軍勢を率いることに関しては下手くそということか。

 

 

「なので、テムジンが指揮を執っている間は、パプニカは安全ですよ」

 

「それは朗報ですな……」

 

 

メネロの変貌というか彼女の暴走について、

私は暗黒闘気の盃という推論をキギロに話してみた。

 

 

「暗黒闘気!? なるほどね……。

メネロの許容量(キャパシティ)はボクの力を制御するので手一杯です。

そこに別種の力が入り込めば……」

 

「暴走してしまう可能性があるわけですな?」

 

「そうですねぇ……。暗黒闘気か。考えつきませんでした。

いや、聞きしに勝る知識をお持ちですよザボエラさん!」

 

 

キギロは頭の葉っぱの部分をボリボリかきながら、

デスカールめやってくれましたねぇと言った。

 

ここまでの話し合いで、キギロは非常に落ち着いているし、

ガンガディア殿との連携がきっちり取れているようだ。

つまり、信用しても良いと判断してもいいだろう。

 

そして、フォブスター殿を助けて、同行してくれたのはありがたい。

まったく分からなかったロモスについての情報を携えてくれたのも助かる。

私はキギロにロモス行きを快諾し、同行メンバーの選出を考えた。

 

私はすぐにロモスへ行こうとしたが、

いつの間にかやってきていたグレゴリーアに怒られてしまった。

 

 

「アンタ、いい年なんだから、無理すんじゃないよ。

一晩くらい寝ても誰も文句いわないさ」

 

「姐さんの言うとおりですぜ。せめて今日は休んでくださいな旦那」

 

 

グランナードからも言われてしまい、取りあえず一晩休むこととなった。

 

 

 

明くる日、フォブスター殿が同行を申し出た。

流石に無理ではないかと思ったが、言って聞く雰囲気では無い。

グレゴリーアの方を見ると、苦笑してこちらに手を振っている。

 

 

「足手まといにはなりません。国王陛下やみなを助けたいのです!」

 

「分かりました。ただ、無理は禁物ですぞフォブスター殿」

 

 

キギロがやってきてフォブスター殿に挨拶をしながら話しかける。

 

 

「いやはや……助けた甲斐があったよ、フォブスター君」

 

「助けられたのはこちらだ。また、力を借りるぞキギロ」

 

「尤も無理は禁物さ。キミはまだ若いのですからね」

 

 

キギロの言葉にきょとんとしているフォブスター殿の背中を、

グレゴリーアが無茶するんじゃないよと叩く。

驚きながら恐縮するという器用なことをしながら、

フォブスター殿は頭を下げて礼を言った。

 

そこへ、ボリクスが瞬間移動呪文(ルーラ)で飛んできた。

どうやらヨミカイン魔導図書館へ向かったが私がいなかったらしく、

ザムザからはリンガイアへ行くように言われたが、私に会いたくてこちらへきたらしい。

 

 

「ロモス行くんか? うちも行くで!」

 

「いや、お前さんはリンガイアへ行って貰いたいのじゃ」

 

 

リンガイアは強国であり、バラン殿、ダイ、ラーハルトがいるが、

敵が何しろ超竜軍団だ。油断していい敵では無い。

 

 

「ええと、一ついいですかねザボエラさん」

 

「なにかね?」

 

「超竜軍団はあと数日は、本腰で攻めてこないと思うんですよね」

 

 

どういう事か尋ねると、ヴェルザーが一週間の謹慎を命じられているらしい。

つまり、いまはベリアルたち三将が指揮を執っていると言うことか。

 

 

「多分、あの目立ちたがり屋のヴェルザーですから、

自分が出てくるまでリンガイアを落とさせることはないでしょうね」

 

「つまり、本腰で攻めることはないということですかのう?」

 

「恐らくはそうだと思いますよ。

そちらの竜の(ドラゴン)騎士のお嬢さんに同行して貰えれば、助かるんじゃないですか?」

 

 

そう話すキギロの言葉を聞いたボリクスは走ってきて、

喜色満面で彼に走り寄り話しかけてきた。

 

 

「ええこと言うやん木ィ!」

 

「木……ってボクのこと!?」

 

 

私も思わず苦笑してしまったが、ボリクスが喜んでキギロの頭をポンポンしている。

その間に自己紹介を済ませているのがちょっと面白くはある。

 

 

「キギロもこう言うとるんや! うちもついてくでザボ爺(ざぼじい)

 

 

正直、ボリクスが同行してくれると非常に助かる。

現在、クロコダイン級の絶大なパワーを持っている前衛がいないのだ。

 

そのクロコダインが一度、チウとガルーダと共にロモスから撤退しているが、

ボリクスが前衛を務めてくれれば、私が極大呪文を用いる隙ができて、

上手くやれば巨木群はなぎ払えるのでは……?

クロコダインが元気なら同行して欲しいが、いまは怪我の治療中だ。

ロン・ベルク殿はベンガーナに居る。

となれば、ボリクスが同行してくれるのは助かるな。

 

私はフォルケン王にメタッピーを一体渡した。

これには私へ直接飛んでくるよう設定をしてあるものだ。

 

 

「リンガイアから戦況が悪いという報告がありましたら、

すぐ私に連絡を入れていただけますかな?」

 

「心得ました。ご武運を、ザボエラ殿」

 

 

私とキギロ、フォブスター殿。

そして、ボリクス、グランナード、チウがロモスへ向かうこととなった。

 

 

 

ロモス上空から見るラインリバー大陸は、かなりの部分に森が広がっていた。

そして、近づいたところ、眼前を埋め尽くすような膨大な数の木の葉が飛んでくる。

その木の葉の群れを追いかけるように、巨木が飛翔し、木の枝が伸びてきた。

いずれも我々への悪意に満ちている。

 

 

「あれですよ!

クロコダインさんとぼくたちは、あれで切り刻まれました!」

 

「なるほど。木の葉はワシが対応しよう。

他の攻撃はみなに任せるぞ!」

 

 

みなが返事した瞬間、私は魔法力を高めて呪文を用意する。

私は一番足が速い、鋭利な木の葉の飽和攻撃に対して、

火炎呪文(メラゾーマ)真空呪文(バギクロス)で拡散させて潰す。

巻き上げられた炎の嵐が、刃のような木の葉を巻き込んで燃やし尽くした。

 

それでもすり抜けてくる木の葉の刃に対して、

キギロが腕を細かい枝に変えて、叩き落としてこちらを守ってくれている。

 

飛んでくる巨木に対しては、ボリクスが飛翔呪文(トベルーラ)で先行し迎え撃つ。

 

 

「任せろやザボ爺(ざぼじい)! 竜闘気(ドラゴニック・オーラ)全開!!」

 

 

飛行しながら10m級の巨大な竜闘気の剣(ドラゴニックオーラブレード)を縦横に振るい、

巨木の攻撃を文字通り叩き落とすボリクス。

 

パーティーを運ぶ瞬間移動呪文(ルーラ)の制御はフォブスター殿に任せている。

周囲の状況に惑わされず、冷静に魔法力を御しており見事なものだ。

 

そのフォブスター殿が怪我を負わされると全員が落下する可能性がある。

ケインには私を離れて彼を守るように頼んだ。

 

私は極大爆烈呪文(イオナズン)を二度撃ち込んで、木の枝や木の葉の攻撃を吹き飛ばす。

呪文の威力的には極大閃熱呪文(ベギラゴン)が上だが、

攻撃の効果範囲は極大爆烈呪文(イオナズン)の方が広い。

この場合は有効な呪文は、爆烈呪文(イオ)系だろう。

飛んでくる樹木やら木の葉の攻撃を迎撃し、敵の攻撃の間隙をついて、ロモス城方面へ飛ぶ。

 

ロモス城は巨大な根や枝で覆われており、私たちが地上へ降り立った瞬間、

周囲の樹木が攻撃をしかけてきた。

全てボリクスが叩き斬り、私が真空呪文(バギ)系呪文で風のバリアーを作り、

その合間からフォブスター殿が爆烈呪文(イオラ)閃熱呪文(ベギラマ)で迎撃した。

 

その後、キギロが倒した樹木の樹皮を剥ぎ取り、

パクッと食べた後に頭から生えてきた葉っぱを数枚周囲にばら撒いた。

すると、周囲の木々からの攻撃がピタリと止る。

 

ボリクスが"なんやそれ?"と尋ねると、"偽装工作です"と答えた。

 

 

「これで、ここにいるのは連中の"仲間"って事になります。

ただ、誤魔化しておける時間は、三十分くらいなので急ぎましょうか」

 

「ほう、便利ですな。では、城の中へ行きましょうぞ」

 

 

我々はロモス城の中へ入る。

眠っている兵士達に、目覚呪文(ザメハ)を施し、

怪我人は治療しながら王の間へ向かった。

国王陛下や騎士団長になった旋風の騎士バロリアや、

格闘士ゴメスたちも目覚めさせた。

 

老師だけは死んだふりをしていたらしく、

ヒョイと起き上がってゴメスたちが驚いていた。

 

 

「ワシ一人で戦っても無理だと思ってねぇ。

仮死状態で様子を見てたんだよ」

 

「正しい判断ですな老師」

 

 

その後、シナナ王があの日の状況を説明した。

王達は戦の準備をしていたら意識を失ったという。

フォブスター殿が助かったのは、偶然、瞬間移動呪文(ルーラ)で移動中だったためだ。

そして、私やザムザとの訓練で身につけた、魔法力を身に纏うことで、

花粉を防いで眠らずに済んだということだ。

花粉が去った後、浸食を始めた魔の森の情報を王城へ知らせようとしたら攻撃され、

命からがら逃げたと言うことだ。

 

私は全員に、目覚まし草を調合して作った効果が長く続く薬を打った。

ねむりの花粉が再度ばら撒かれても、これで無効化できるだろう。

 

目的地は魔の森の中心。

恐らくはメネロがいる場所だろう。

最初に死んだキギロの分身体の肉体がその辺りに、

まだ転がっているらしく、場所が分かるらしい。

 

そこで老師がキギロに質問した。

 

 

「キギロ君は何故我々に協力してくれるんだい?

君にとっての味方を裏切ってまで」

 

 

そう問われたキギロは、少し考えてから話し始めた。

 

 

「簡単に言えば、親近感が沸いたって感じですかねメネロに対して」

 

「親近感というのは?」

 

「ボクら魔物に、そういう感情はないはずなんだけど……」

 

 

そこで言葉を区切り、何か考えるように頭の葉っぱをボリボリ掻くキギロ。

 

 

「まるで人間……親子。そう、親子のようでしてね。

ボクが父親でメネロが娘って感じで、放っておけないんだ」

 

 

はにかむように笑うキギロを、じっと見ていたブロキーナ老師の相好が崩れた。

老師が微笑し、頷いてキギロの言葉を首肯した。

 

 

「ワシは信頼してもいいと思うよ。

なによりここまで、ワシらを陥れる機会は何度もあったからね」

 

 

私が何か言おうとした瞬間、城が大きく揺れる。

キギロが顔をしかめて呟いた。

 

 

「まずいな……」

 

「どういうことだ? 勘づかれちまったのか?」

 

 

グランナードの疑問に、キギロが答えた。

あれだけ派手に戦闘をした我々が突如消えた。

 

その事について妖魔士団が実際に動いて、

探しに来てしまったのだろう、と。

 

キギロが先ほど行った誤魔化しも、

直接見に来られてしまうと通用しないそうだ。

 

 

「待ってたらやられるやん? で、どこ攻撃すりゃええんやキギロ?」

 

「魔の森へ向かおう。そこに、メネロの本体がいるはずさ。

本体さえ見つければ、なんとかできるだろうね」

 

 

取りあえず、城にいた兵士、ロモス王や騎士団長のバロリア、

格闘士ゴメスたちが全員で向かうことになった。

 

本来、シナナ王には城に籠もって貰いたいところだが、

城の周囲が森や植物に占拠された状態である。

キギロの誤魔化しは長時間通じないモノだ。

すぐに捕らえられてしまうかもしれない。

 

となれば目の届く所にいて、固まって行動した方がいいだろうと判断し、

全員で同行して行動することにした。

 

私はケインに命じてフォブスター殿やシナナ王を守るように言った。

この戦いでロモスの重要人物を失うわけにはいかない。

 

魔の森はロモスの王城から南東の方角に位置している。

メネロの力によって至る所で木々が生い茂っているため、

魔の森が判別つくのか心配だった。

 

私のその杞憂を笑い飛ばすかのように、異質な森が姿を現す。

明らかに30~40m級の木々が生い茂っており植生が変わっている。

クロコダインと一緒に訪れたときとは違い、明らかな悪意に満ちていた。

更に妖魔士団が陣取っており、魔法使い、エビルマージ、祈祷師の姿が見える。

銀甲の凶蟲兵団の蟲系の魔物も、戦闘態勢でこちらを出迎えた。

 

 

「あそこからが魔の森だ。みんな、注意して戦ってくださいよ。

周囲の木々も敵だと思った方がいい」

 

 

そういいながら、地面に手を突っ込んで、下から根を突き上げ、

敵の第一陣を下から崩すキギロ。

 

突っ込んでくる蟲系の魔物達の足並みが乱れたので、

私を筆頭に魔法使いが火炎呪文(メラミ)爆烈呪文(イオラ)

閃熱呪文(ギラ)氷系呪文(ヒャド)など呪文を叩き込んだ。

 

第二陣にいる魔法使い系の呪文攻撃を、岩壁を大量に出現させて防ぐグランナード。

グランナードの肩を蹴って大きくジャンプし、竜闘気の剣(ドラゴニックオーラブレード)で、

敵陣を切り崩すボリクス。

 

私はロモス戦士団と、王の護衛をする騎士たち、バロリアやゴメスに加速呪文(ピオリム)

そして硬化呪文(スクルト)をかけて援護をした。

 

ブロキーナ老師とチウが並んで戦っているが、チウが必死になっているのに対して、

老師は無人の野を行くが如く、敵の魔物を一撃で昏倒させ、木の枝や葉の攻撃をいなしていた。

 

そこへ、森の奥から火炎呪文(メラゾーマ)が五発同時に飛んでくる。

五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)か……!!

私は集束呪文(マホプラウス)で敵の攻撃を受け、反撃として飛んできた火炎呪文(メラゾーマ)の威力に、

私の火炎呪文(メラゾーマ)を加えた超火力を叩き返した、が……。

 

向こう側に出現した紫色の霧が、その威力をすべてかき消したのだ。

……まさか、無効化呪文(マホステ)か……!?

そう思った瞬間、敵陣から岩石獣化呪文(レゴール)で呼び出した蛇に乗った、

二人の男が姿を現した。

更に黒い胴体と白い脚。

赤い目と赤いトゲを身に宿した巨大な蜘蛛が現れた。

 

グランナードが驚いて声を上げた。

 

 

「ありゃ、旦那の岩石獣化呪文(レゴール)じゃないんすか?

他にも使える奴がいるなんて……」

 

「ワシの専売特許ではないからのう」

 

 

岩蛇に乗る男は紫色の肌で、頭に頭髪の代わりに蛇が生えており、

白いローブと金色の手甲・足甲をつけた魔族。

その後ろに非常に背が高く、緑色の帽子と鎧をまとい、

真っ赤なマントを羽織った黄色い皮膚の厳めしい表情をした魔族が立っている。

 

 

「私は妖魔士団副団長、ベルドーサ。

上手く隠れたようだが、愚かにも魔の森へやってくるとはな!」

 

 

なんと、幻夢魔道ベルドーサか……。

いるのだろうとは思っていたが、岩石獣化呪文(レゴール)が存在する以上、

やはり彼もいたのだな。

 

 

「さて、紹介をさせてもらおうか?

彼は大魔道。あちらは粘糸蟲ジュバーク。

私含めて、デスカール様の部下だ」

 

 

どういうことだ? メネロの部下だと名乗るべきなのに、

デスカールの部下だと言ってのけたぞこの男。

 

その自己紹介に疑問符が湧いたが、どうやらこの一連のメネロの暴走に、

デスカールが裏で糸を引いていることが明確に裏付けられた瞬間だった……。

 

 




設定
目覚まし草
トルネコシリーズの2以降に登場した、睡眠効果を受けても眠らなくなる草です。

幻夢魔道ベルドーサ
劇場版第二作目に登場したボスキャラです。
アバン先生の姿を真似してロモス戦後のダイたちを惑わせましたが、
正体を看破されて本作ではおなじみの岩石獣化呪文(レゴール)などを使い、
戦いましたがダイに敗北しました。

余談ですが紋章の力を発揮したダイと、真正面から剣で打ち合っているので、
体力面で劣るはずの妖魔士団でも屈指の猛者だったのではと思っています。


独自設定
だいまどう→大魔道
平仮名のだいまどうの方がなじみがあるのですが、
文体としてオール平仮名は読みづらいので大魔道表記にさせていただきます。

粘糸蟲ジュバーク
ドラクエ10のボスの一人で、銀甲の崩撃将ダバムの色違いということで採用となりました。
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