ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。



第九十六話 魔の森の戦い

幻夢魔道ベルドーサは劇場版に登場した敵だ。

彼は劇場版においてアバン殿の姿を模して、ダイたちの仲違いを誘い、

パーティの連携を絶った上で各個撃破しようとした策士だったが……。

 

 

「貴様らはこの魔の森で我々に間抜けに倒される運命なのだ!

せいぜい、森の木々の養分になってもらおうか? ハーッハッハッハ!」

 

 

わざわざ恭しい礼をしてこちらを小馬鹿にした顔でニヤリと笑った。

恐らくは自分の優位を疑っていないのだろうな。

 

初歩的な煽りでしかないので、私はなんとも思わなかったが、

それに引っかかって怒ってしまった者が二人いた。

 

 

「なんやワレ、バカにしとんのか!」

 

「偉そうに言うな! こっちにはブロキーナ老師もいるんだからな!」

 

「老師の威を借りるなチウよ……。

姐さんもチウも不用意に仕掛けたらダメだぜ」

 

 

いきり立つチウとボリクスをグランナードが制している間に、

キギロがベルドーサへ数歩歩み寄り声をかけた。

 

指を一本立てて、ベルドーサへ質問をするキギロ。

 

 

「さっきの言葉は、デスカールが裏から糸を引いているという自白……、

ということでいいんですかね?」

 

「貴様こそ魔王軍への裏切りを行った以上、ただではすまぬぞキギロ!

デスカール様にいますぐにでも伝えて……」

 

「あー、すぐに分かる嘘をいうのは、止めてもらっていいですかメンドーサさん」

 

「ふざけるな! ベルドーサだ!」

 

 

キギロが相手の名前を故意に間違えるという、

初歩的な煽りを行って反応を見たようだが、ベルドーサは激高している。

自分でも似たようなことをしているのに、激高してしまうとは……。

 

しかし、嘘……とはどういうことだ?

キギロの言い分が気になったので、彼に交渉を任せた。

 

それにしても、大魔道が一緒にいるのが気になる。

ドラクエ4でエンカウントする敵としては、破格の強さを誇った。

極大爆烈呪文(イオナズン)火炎呪文(メラゾーマ)を使ってくる彼の攻撃手段は記憶しているが、

私の見間違えでなければ、先の攻撃は五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)である。

つまり、ドラクエ4そのままの能力ではないのだろう。

 

 

「ボクはパプニカ侵攻担当の不死騎団にいましたが、

浮遊樹がロモスからの報告を上げたことは一度もありませんよ」

 

「ぐっ!?」

 

「大方、デスカールから派遣された君たちは、メネロの監視役だったのでは?

誤算としては、力が暴走したメネロがこのラインリバー大陸から、

君らを含めたあらゆる者の脱出を許可しなかったこと……ですかね?」

 

「何故それを知っている……!

ハッ! しまった! 貴様、カマをかけたな!」

 

 

なるほど……ベルドーサの言動がどうも迂闊というか余裕がないと思っていたが、

現時点でこのラインリバー大陸から脱出が出来ないということか。

 

そして、メネロ暴走の黒幕はデスカールで確定ではある。

ベルドーサたちの役割は、策が成功したか見届ける役だったということか。

 

だが、暴走したメネロがこの大陸からの脱出を許可してくれないし、

ロモスから他の場所への浮遊樹での通信をシャットダウンしているのだろう。

 

キギロは私をチラリと見て、声をかけてくる。

 

 

「ザボエラさん、どうしますか? まあ、彼らを排除するしかありませんがね……」

 

「戦いは避けられんでしょうな。キギロ殿はあのベルドーサを頼みますぞ。

ワシはあの大魔道と戦いましょう。ボリクスたちはジュバークに対処して欲しい」

 

 

私はボリクス達に蜘蛛糸呪文(クモノ)に気をつけるように助言を送った。

 

 

「妖魔士団よ! メネロ様の為に侵入者を倒すのだ!

で、なくば、我らもこのロモスから出られぬぞ!」

 

 

なんとも情けないベルドーサの声を切っ掛けとして、

戦いの火蓋が切られた……。

 

 

戦端が開かれた瞬間、キギロがすぐにベルドーサを煽った。

 

 

「まったく、この大陸から出られないのに、よくもまあ大きな口が叩けたモノですね

お恥ずかしいったらありゃしない」

 

「うるさい! メネロを暴走させてロモスを陥落させれば、

自動的に私が妖魔士団の団長になれるのだ!」

 

 

閃熱呪文(ベギラマ)を放ってくるベルドーサだが、

キギロは高熱の樹液を体内に通わせているので熱には耐性がある。

頭に生えている葉っぱを回転する手裏剣のように放ち、

ベルドーサが剣で切り落としながら距離を取った。

 

 

「そんな約束、守ってくれますかねぇ……デスカールが」

 

 

キギロがぽつりと漏らした感想は私も同じ意見だった。

 

ベルドーサはキギロに任せて、私は大魔道の方に注意を向けた。

なにせ、ずば抜けた魔力を感じさせるし、身に纏った魔法力が恐ろしく強い。

 

それまで静かだった大魔道が、急に動き始めて攻撃を始めた。

かなり速い速度で極大爆烈呪文(イオナズン)をこちらに叩き込んでくる。

私は出遅れてしまったので閃熱呪文(ベギラマ)を放つ。

フォブスター殿が極大閃熱呪文(ベギラゴン)で迎え撃つが、

威力が拮抗して両陣営の真ん中で爆発を起した。

 

 

「フォブスター殿。シナナ陛下を守りながら、妖魔士団と戦ってくだされ。

妖魔士団は人数が多い。固まって連携を取らねば押し切られますぞ!」

 

「心得ました! こちらはお任せ下さいザボエラ殿」

 

 

フォブスター殿が瞬間移動呪文(ルーラ)でシナナ王やロモス騎士団の元へ戻った。

彼は強い魔法使いに育ったのだが、流石に疲労の色が濃い。

無理をさせて命を落としてしまっては、これからのロモスのためにも困るのだ。

渡しておいたケインが、彼やシナナ王を守ってくれることを信じたい。

 

早速、ジュバークが放った蜘蛛糸呪文(クモノ)を、ボリクスが竜闘気(ドラゴニック・オーラ)で蹴散らし、

ジュバーク率いる蟲系モンスターにチウが窮鼠包包拳を叩き込んでいる。

集団を率いるジュバークに対して、ボリクスとチウは二人だが、

なかなか上手く戦っているようだ。

ジュバークと彼が率いる戦力は、二人に任せておいて大丈夫そうではある。

 

ベルドーサの攻撃をかいくぐったキギロが、私に声をかけてきた。

 

 

「ザボエラさん。ちょっと、時間を稼いで貰えませんか?」

 

「どの程度の時間ですかな?」

 

「一分程度でいいです。

実は本体から魔力を移行していたんで、この肉体は殆ど本体なんですよ。

ちょっと、戦闘形態へ変身する時間が欲しいところでして……」

 

 

なるほど。だから、最初に会ったときに、妙に魔力が多かったのか。

そのことを話すと、"気づかれていましたか"と素直に認めるキギロ。

 

私は爆烈呪文(イオ)を無数に作り上げる。

一つ、二つ、三つと爆烈エネルギーの光球が私の周囲に浮かぶ。

嘲りの表情を浮かべたベルドーサが、私の行動を笑い飛ばした。

 

 

爆烈呪文(イオ)だとッ? そんな下級呪文で何をするつも……!?」

 

 

私が爆烈呪文(イオ)の光球を作るのを止めないので、

ベルドーサが途中で絶句した。

 

 

「貴様ァ!! 一体幾つ爆烈呪文(イオ)を作り続けるつもりだ!」

 

 

私は自分の周囲に60個ほどの爆烈呪文(イオ)を作り上げた。

 

ベルドーサが私の爆烈呪文(イオ)の数に驚愕の叫びを上げている。

私はそれを一斉に、不規則な動きで妖魔士団に飛翔させた。

大魔王バーンの爆烈呪文(イオラ)の嵐とはいかなくとも、

爆烈呪文(イオ)を無数に作り上げて、敵陣を攪乱することは可能だな。

 

威力自体は三流魔法使いが使う爆烈呪文(イオラ)程度だろうが、

数が多く不規則に飛び回る爆烈呪文(イオ)に妖魔士団が翻弄されている。

 

だが、一人、まったく動じずに魔法力を高めている男がいた。

大魔道だ……!

 

 

極大爆烈呪文(イオナズン)!」

 

 

両手に集めた爆烈呪文のエネルギーを、前ではなくて周囲に解き放った。

妖魔士団の者達も巻き込まれてしまうが、私の爆烈呪文(イオ)の嵐は全て叩き落とされてしまう。

 

 

「舐めるなよザボエラ!」

 

 

岩石獣化呪文(レゴール)で生み出した岩蛇に乗り、私に接近していたベルドーサが、

剣を振りかざして私に接近していた。

岩蛇が炎をこちらに噴いてくる。

 

自分で使っているときは気づかなかったが、なかなかの威圧感だ。

単純な炎の攻撃は防御光膜文(フバーハ)で防げるが……。

 

 

ザボ爺(ざぼじい)避けろ!」

 

 

ボリクスの声が聞こえるが、彼女とチウはジュバークに阻まれてこちらへは来られない。

ケインにはフォブスター殿の護衛を任せてあるので、私の側にはいない。

となれば、瞬間移動呪文(ルーラ)で距離を……と思った所、

強い魔力を宿したヒイラギの手裏剣が高速で飛翔し、岩蛇に叩き込まれ、

数カ所破壊されたり、体勢を崩したりしている。

 

 

「ぐおっ!? なんだこれは!」

 

 

砕かれた岩石獣化呪文(レゴール)の岩蛇を、魔力で修復しながら、

体勢を立て直しているベルドーサ。

 

直後、私は首根っこを捕まれて、ヒョイと後ろに引っ張られる。

私がさっきまで立っていた場所を、ベルドーサが操る岩蛇の胴体が地面を抉りながら通り過ぎる。

危ないところだったが、手を伸ばしたキギロが、私を掴んで移動させてくれたようだ。

しかし、あの小柄なキギロが私を掴んだら、ひっくり返らないだろうか……。

 

そう思いつつ振り向くと、そこには記憶にある姿が立っていた。

 

 

「お待たせしましたザボエラさん。あの男はボクにお任せを」

 

「助かりましたぞキギロ殿」

 

 

真っ黒い軍服をまとったキギロがその場に姿を現した。

首にはスカーフを巻いて、肩章がついたパリッとした服装だ。

私が勇者アバンと獄炎の魔王を読んだときの姿と比べると、

髪がトゲトゲしたヒイラギの葉のように見受けられる。

私よりも背が高く、180cmを超えるほどになった私を、

片手で軽々と引っ張って安全地帯まで運べるのも納得だ。

 

 

「えーっ! キギロくんって小さいんじゃなかったの!?」

 

「申し訳ないね。ボクの本当の姿はこのサイズなのさ」

 

 

キギロの変化に驚いたチウが思わず声をかけてしまう。

 

 

「そっちは任せるでキギロ!」

 

「お任せをボリクス君」

 

 

こちらへ手を振るボリクスに、サムズアップを返すキギロ。

 

 

「ザボエラさん。タッグマッチといきましょう?

あなたも出来るんでしょ岩石獣化呪文(レゴール)

 

 

私は返事の代わりに岩石獣化呪文(レゴール)を唱え、岩蛇に乗って飛び上がる。

キギロが私の後ろに飛び乗り、両手を鋭利な刃に変える。

 

 

「くそ! 大魔道! 私の岩石獣化呪文(レゴール)に乗れ!

援護してくれ!」

 

 

大魔道が瞬間移動呪文(ルーラ)でベルドーサの岩石獣化呪文(レゴール)に乗り、

ベルドーサ&大魔道の岩石獣化呪文(レゴール)と、私とキギロの岩石獣化呪文(レゴール)の対決となった。

 

大魔道が放つ火炎呪文(メラゾーマ)閃熱呪文(ベギラマ)爆烈呪文(イオラ)による攻撃は、

ほぼ同じ威力の呪文を叩きつけて相殺した。

不安定な岩石獣化呪文(レゴール)の上での戦闘になれていない大魔道は、

こちらを睨み付け、次の呪文を用意している。

 

私の背後にいるキギロは、両手を剣に変えてベルドーサと斬り合っている。

キギロは頭の葉を飛ばし、樹液魔力弾でも攻撃しているが、

ベルドーサは頭の蛇で迎撃したり、手にしたレイピアで魔力弾を捌いていた。

本人は動揺しやすいようだが、劇場版では紋章を使っているダイと、

レイピアで斬り合っただけはあって非常に確かな剣技を誇っている。

 

たまに頭の蛇が石化の毒液を放ってくるが、

キギロは石化された部分をもぎ取り、すぐに再生してくるので、

ベルドーサは攻めづらそうにしていた。

 

業を煮やしたベルドーサが、懐から魔法の筒を取り出す。

デルパのかけ声と共に、黒い表皮で内側が白いメドーサボールが十体ほど出てくる。

初めて見るが何者だろうか……?

 

 

「マミーズアイよ! 氷結呪文(ヒャダルコ)でキギロの動きを封じろ!」

 

「おっと……。そんな雑魚に頼るのは悪手ですよ!」

 

 

火炎呪文(メラ)系に強いキギロに対して、

氷結呪文(ヒャダルコ)を使うマミーズアイを出したのは悪くはない。

だが、氷結呪文(ヒャダルコ)程度ではキギロには通用せず、

マミーズアイは樹液魔力弾で全て落とされてしまった。

 

 

「おやおや、時間稼ぎにもなりませんね?」

 

「お、おのれぇ!!」

 

 

更にキギロは身体を硬化しながらベルドーサと斬り合い、

ベルドーサは剣に魔力を込めているが、キギロの硬い樹皮を突破できずにいた。

大魔道が火炎呪文(メラゾーマ)でキギロを攻撃するものの、

彼の体内を流れる高熱の樹液のため、熱攻撃が効かないので困惑している。

 

ベルドーサの岩蛇は何度か再生していたが、途中から魔力を送れなくなったのか、

破壊された箇所がそのままになっている。

動きも鈍重になってきたので、岩蛇を操る魔力を増やして、

私は何度か体当たりを食らわせてやった。

 

岩石獣化呪文(レゴール)で作り出した岩蛇に乗ったタッグマッチは、

私とキギロ優位に推移している。

 

眼下ではシナナ王やロモス騎士団、フォブスター殿とグランナードが、

巧みな連携を取って妖魔士団達を相手に有利に戦っている。

ボリクスとチウが蟲系モンスターを引きつけているため、

妖魔士団の魔物だけならロモス騎士団は優位に戦えているようだ。

それに、味方のサポートに回っているブロキーナ殿が、

ピンチに陥っている人物の横にスッと現れては助けて回ってくれていた。

 

チウが窮鼠電影弾を叩き込み、ボリクスがジュバークの脚を切断して、

そろそろ決着がつきそうだ。

 

 

「……猛り狂え! 凍てつく波動よ!」

 

 

大魔道が両手をこちらに突き出し、凍てつく波動を放ってきた。

まさか、凍てつく波動を使える存在がいるとは!?

確かにドラクエ4では使ってきたが、この世界では使い手を見なかった。

私とキギロが乗っていた岩石獣化呪文(レゴール)が解除され、

巨大な岩の蛇がすぐに元の土塊や石の塊に変わった。

 

ベルドーサの岩石獣化呪文(レゴール)も解除され、大魔道に文句を言っている声が聞こえるが、

大魔道は意に介さず、またもや五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)をこちらに叩き込んできた。

私は呪文返し(マホカンタ)でしのぎ、叩き返した火炎呪文(メラゾーマ)を、

魔力を込めた腕で叩き落とす大魔道。

 

 

「隙あり!!」

 

 

キギロが腕を伸ばし、先端の爪を刃に変えて大魔道の腕を肩から切り落とす。

大魔道は回復呪文(ベホイミ)で腕の傷を治療しているようだ。

 

 

「大魔道! 何をやっている!」

 

 

ベルドーサが大魔道に毒づきながら、もう一度岩石獣化呪文(レゴール)を使おうとした瞬間、

その隙を逃さず魔力樹液弾を飛ばすキギロ。

まともに食らってふらつきながら火炎呪文(メラミ)を放つベルドーサ。

 

だが、魔力が充実し、体内を流れる樹液が高温であるキギロに対して、

閃熱呪文(ベギラマ)が効かなかったのだ。

つまり、火炎呪文(メラミ)もほとんど効果が無かった。

 

 

「おっと残念! 氷系呪文(ヒャド)系がよかったですねベルドーサ君?

ああ、もしかして使えませんか氷系呪文(ヒャド)? これは失敬失敬」

 

「貴様! 許さんぞキギロ!!」

 

「いまだ、ネズミ君!」

 

「ぼくに任せろ! 窮鼠包包拳!!」

 

 

キギロの肩を踏み台にして、チウが飛び上がって空中で回転し窮鼠包包拳を放つ。

チウの攻撃を食らい、ふっとぶベルドーサ。

魔の森の岩に叩きつけられ、盛大に吐血する。

 

 

「ば、ばかな……。ネズミ風情……に……ぐふっ……」

 

 

ベルドーサが事切れた瞬間、火炎呪文(メラゾーマ)を連射してくる大魔道。

私は真空呪文(バギマ)火炎呪文(メラゾーマ)を絡め取って無効化した。

お返しとばかりに私は閃熱呪文(ベギラマ)を放つが、

大魔道が魔力を貯めた腕でまたもや弾き飛ばす。

 

簡単にやっているように見えるが、魔力が籠もった手の平だ。

ある意味、劣化版フェニックスウィングとでもいうのか。

こちらへ叩き返されないだけ助かるが。

 

 

極大爆烈呪文(イオナズン)!」

 

 

また、前面に爆烈エネルギーを飛ばす形ではなく、

周囲に円周上に攻撃する極大爆烈呪文(イオナズン)を放ってきた。

威力は落ちるが攻撃範囲が広すぎて、回避が非常に難しい。

グランナードが岩壁を出してくれて助かったが、一撃で岩壁自体は粉砕されている。

 

大魔道が両手に魔力を集中し始めた。

まさか、極大爆烈呪文(イオナズン)の二連射か!?

 

と、光のように竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を全開にしたボリクスが、大魔道に突っ込む。

どうやらジュバークを片付けて、すぐにこちらへ駆けつけてくれたようだ。

 

 

「小賢しい。 極大爆烈呪文(イオナズン)!」

 

「真っ向勝負受けたるわ! アバンストラッシュやー!!」

 

 

竜闘気の剣(ドラゴニックオーラブレード)で放つアバンストラッシュだ。

極大爆烈呪文(イオナズン)の爆烈エネルギーを切り裂き、その威力ごと大魔道を真っ二つにした。

 

 

 

妖魔士団もほとんど逃げ去り、こちらは重傷者もいるが、

私が回復呪文(ベホマ)で治療してまわっている。

魔法の筒に入れておいた賢者の聖水を、グランナードがロモス騎士団に配っていた。

フォブスター殿が何本かがぶ飲みしているのを見ると、

相当魔力を使ったのだろうと想像が付いた。

 

私は重傷者の治療をしながら、キギロとチウたちが話をしているのを横目で見ている。

 

 

「キギロくん、なかなか強いじゃないか。

この戦いが終わったらぼくの部下にならないかい?」

 

「おや、チウ君はそういう立ち位置なんですか?」

 

「こいつ百獣魔団の助けたモンスターに懐かれてんねんな。

せやから、そいつら率いた隊長になるんよ」

 

 

今回は連れてこられなかったがキラーパンサーを筆頭として、

十体あまりの元百獣魔団のモンスターが仲間になっている。

クロコダインから獣王の笛を譲り受ける前だが、

チウは頭角を現してきているのだ。

 

十分あまり休憩した後、キギロが表情を険しくして、

森の奥を睨み付ける。

その方向から低い鳴動と振動が少しずつ、こちらに迫ってくるのが察せられた。

 

ズゥウウウン……ズウウウウンと軽い地震のような揺れが近づいてくる。

チウが慄いて声を上げた。

 

 

「こ、これはなんだ……! 一体、何がくるんだろ!」

 

「……メネロがこちらの場所を特定して、近づいてくるんでしょうね」

 

 

奥から大地を揺るがす音がゴウン……ゴウンッと響いてきた。

 

まず、数十メートルはある巨大な枝や根が、まるで多脚昆虫のように押し寄せてくる。

根が掘り返した大地が、盛大に土塊をこちらに投じてくるが、

みなその巨大な木を眺めて上を見ており、意に介する暇が無かった。

 

 

「ひっ……ひぇええええええ!」

 

 

腰を抜かしたチウがへたり込んでしまう。

グランナードがチウに渇を入れるが、その声も動揺している。

 

 

「なんちゅーでかさや……」

 

 

ボリクスが一言呟いて何も言わず、巨大なメネロを睨み付けていた。

私もその言葉に同意するしかないだろう。

確か鬼岩城が150mはあったと思うが……。

 

周囲の木々の高さから推測して、おおよそ120mはある顔のない人面樹だ。

ただ、頭の辺りに巨大なツボミがあり、脚代わりの根が一本が人間の胴体ほどもあり、

手に相当する枝が左右に数十本ついていた。

 

 

「みんな、敵の攻撃が来るよ!

物陰に隠れるか大きく距離をとるんだ!」

 

 

ブロキーナ老師が全員へ警告の声をあげた。

 

その瞬間、メネロから放たれたのは強力な暗黒闘気。

攻撃範囲が広すぎて、いまから回避するのは難しかった……。

 

 




独自設定

大魔道が五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)を使用
モンスター物語での彼の活躍を見ると、強さを盛りたくなってしまいます。

マミーズアイ
ドラクエ3リメイクでは氷系呪文(ヒャド)を使いましたが、
氷結呪文(ヒャダルコ)にパワーアップさせています。

キギロ
初期の姿に似てますが、髪がヒイラギの葉になっています。

【挿絵表示】

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