ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。



第九十九話 第二次パプニカ攻防戦

 

ヨミカイン魔導図書館からパプニカは近いので、到着は早かった。

だが、パプニカ上空には招かれざる先客が陣取っている。

 

遠目からは鳥かと思ったが違う。

数十体単位で、ほねコウモリが幾つも部隊を作り、

パプニカの空を我が物顔で飛んでいた。

 

ほねコウモリは、しゃれこうべに白骨化したコウモリの体がくっついた魔物である。

翼膜が赤く、汚れたベージュ色で、光る目をしていた。

 

開戦直後の連絡以降、パプニカからの戦況報告が入ってこないと思っていたがこのせいか……。

これを突破できるほどの戦力を裂いて、他国へ急使を出すのは前線を手薄にしてしまう。

恐らく三賢者、マトリフ殿がいれば突破は可能だろうが、

その戦力を裂くのは無理だろう。

 

ガンガディア殿はこれを知っていて、鏡の通信呪文での連絡を用いたのだろうな。

やはり切れ者は先々まで見据えているということか……。

 

その一部隊が一斉にこちらをみて、急加速して襲いかかってくる。

 

 

御主人様(マスター)。発見されました。先手を取りますか?」

 

「ワシが退散呪文(ニフラム)で対処しよう。

くぐり抜けたほねコウモリは、おぬしに任せるぞ」

 

「お任せください御主人様(マスター)

 

 

先んじて呪文封じ(マホトーン)減早呪文(ボミオス)を封じる。

その後、退散呪文(ニフラム)を三連射して、向かってきたほねコウモリたちを迎撃。

一、二体、撃ち漏らしたほねコウモリは、ケインが爪で叩き落としてくれた。

 

再度、三十体あまりのほねコウモリの部隊が、こちらへ攻撃をしかけようと飛んできた。

減早呪文(ボミオス)を立て続けに食らってしまったら、パプニカ王都に辿り着けない可能性があるだろう。

幻惑呪文(マヌーサ)で彼らを混乱させ、その隙に瞬間移動呪文(ルーラ)の速度をあげて振り切った。

 

 

王都に辿り着くと、すぐに迎えが来て王宮へ案内される。

すれ違う魔法兵団の者も会釈をしてくれるし、忙しく走り回る文官や、

協力して物資を運ぶ国民も活発に動いているが、みな一様に疲れているように見えた。

気がかりではあったが、問いただすわけにもいかず、

応接室へ通されてマトリフ殿とレオナ姫に戦況を聞く。

 

私を迎えてくれたマトリフ殿は嬉しそうであり、レオナ姫は苛立ちを隠しきれない顔をしていた。

戦況が芳しくないのだろうか?

幼い頃から賢く、聡明ではあったがレオナ姫はまだ12歳だ。

表情に出てしまうのだろうな。

 

軽く挨拶をしただけで、すぐに本題に入る。

ロモスの話は大雑把に説明したが、既に片が付いているので、

それへの意見や検証は不死騎団を撃退した後にしようという事になった。

 

アバン殿たちは交代で戦場に出ており、いまは彼とマァムが戦っているらしい。

そして、レイラ殿、ロカ殿が帰還して、回復や休養を行っているそうだ。

 

 

「状況は悪くはねぇ。最初、敵は概算で一万ほど規模の軍勢だった」

 

「一万とは凄まじい数ですな……。しかし、最初、とは?」

 

 

今の所、魔王軍の各軍団は四千ほどが定員のようだった。

ロモスを攻めた妖魔士団は、かつての銀甲の凶蟲兵団を吸収したのか、

ざっと六千ほどの兵数であったかのように思われたが……。

 

それと比べれば、一万という数は圧倒的な兵力だと感じざるを得ない。

パプニカの王都は南に港を有し、北は峻厳な山脈があるおかげで、

一万の大軍がそのまま展開して、数の利を生かして進軍できてはいないはずだ。

 

 

「知っての通り、パプニカは攻められづらい地形になってる。

このおかげで不死騎団が大軍の利を生かせてねぇな。ぶっちゃけありがてぇよ」

 

「勿論、破邪呪文(マホカトール)大破邪呪文(ミナカトール)の魔法陣も助かってるわ。

それぞれが王都にあるから、あいつらは聖なる力で弱体化してるのよ……」

 

「しかし、パプニカとしても、不死騎団の軍勢が多勢であり、

反抗の隙を見いだせてはいない、ということですかな?」

 

 

レオナ姫は悔しさを表すかのように、

大きな身振り手振りで私の言葉を否定した。

 

 

「違うのよ! 数が増えるのあいつら!!

昨日、一千のアンデッドを倒したら、次の日、二千の軍勢が取り囲んでいるの。

減らしても総数が減らないで増えるの、あいつら!」

 

「おいおい、落ち着けよレオナ。

オヤジさんが怪我を負わされたから、頭にきてるのは分かるがな」

 

 

レオポルト王が怪我を……。

どうやら陣頭指揮を執っていたところ、敵の攻撃が集中してしまったらしい。

実際、王は極大呪文を習得しているので、戦力低下は否めないが、

戦火の中、王が亡くなるようなことがあれば一大事だ。

 

既に動けるようではあるが、城内で大事をとって執務を行っているらしい。

同様にレオナ姫も前線に出ることは禁じられてしまった。

 

感情的になっているレオナ姫に、マトリフ殿が噛んで含めるように言った。

 

 

「あのなぁ、レオナ。

オレは常々、"魔法使いはパーティの中で一番クールでなきゃならねえ"と、

アポロやエイミ、マリンやらにも言ってるがな……。

こいつは国の為政者たるお前さんにも当てはまるんだぜ」

 

「わ、分かってるわよ師匠。

王たるもの、常に冷静に感情的にならず、

国家全体を把握して見通す視野の広さを持て、でしょ?」

 

「分かってるじゃねぇか。忘れちまったのかと思ったぜ。

覚えているならいい。オレはそれ以上言わないぜ」

 

 

ニヤリと笑いながらお茶を飲んで、手をヒラヒラさせるマトリフ殿に、

何か言いたげなレオナ姫は悔しそうに口をパクパクさせて黙った。

 

マトリフ殿もレオナ姫の師匠が板に付いてきたな。

他人より圧倒的に賢い分、幼少の頃から責任感を持ってきた子だ。

あまり、張り詰めすぎぬよう、空気を抜いてリラックスさせてくれるのは助かる。

 

しかし、援軍が望めない状態であるのに、敵の兵数が減らない。

次の日になると敵の兵数が増えている、か……。

籠城というのはたたでさえ心をすり減らすものだ。

戦闘が徒労に終わるのは、精神的負担が大きいな。

 

緒戦以降、妙に力攻め一辺倒というか……。

私が聞いたとおり、テムジンが不味い指揮を執ったのだろう。

ある意味、ありがたい話ではある。

 

この辺りはガンガディア殿に連絡を貰った通りだな。

パプニカ有利なら敵の無能は歓迎するべきだ、そう私が胸をなで下ろした時、

渋い顔をしたマトリフ殿がポツリと漏らした。

 

 

「ただなぁ……。一昨日辺りからちと、攻め方が変わってな」

 

 

曰く、搦め手を使ってきたということだ。

呼吸を必要としない不死騎団のアンデッドたちが、

海に潜り海底を歩いて奇襲をしかけようとしてきたという。

 

水の精霊オーチェが、レオナ姫の横に立っており、

腰に手を当てて、"私! 私、私!"と誇らしげにしていた。

 

 

「では、オーチェ殿が、かつてのグラコスの部下たちを率いたのですかな?」

 

「そうそう、よくぞ聞いてくれました! 部下たちから連絡があったのよ。

だから、私が海のモンスターたちを率いて、攻撃して叩きのめしてやったのです!」

 

 

マトリフ殿とレオナ姫があちゃーという顔をしている。

これはまずい話を振ったかなと思ったら、得意満面の水の精霊オーチェは、

己と部下たちの武勇伝を、その後二十分ほど語った。

 

 

「ザボエラさん、この子にその話振らないでよ。

止まらないの。ずっと自慢してるのよ……」

 

「これは失礼しました」

 

 

不死騎団としては、海からの奇襲も封じられたということか。

元々、バルジ島の海中には海底神殿がある。

水の精霊の話では、アンデッドたちは聖なる力が満ちた海中で、

ほとんどが身動きが取れなくなってしまっていたらしい。

 

グラコスの下で鳴らした猛者たちは、草でも刈るかのように倒してしまったということだ。

ただ、彼らの力を地上で借りるわけにはいかない。

 

地上には海底神殿からの聖なる力の加護が無く、

大魔王の邪気で満ちており、凶暴化してしまうからだ。

それでも、海のモンスター達は、破邪呪文(マホカトール)の影響下である王都では正気を保てる。

だから、地上で活動できるモンスターは、負傷者の後送や武器や矢を運ぶ役目を負っていた。

 

 

「あとな。彼奴らいまになって、アンデッドの強みを生かし始めたんだ」

 

「それは……。もしや、昼夜を問わず攻めてくるようになりましたかな?」

 

 

マトリフ殿は苦り切った顔で頷いて、私の言葉を首肯した。

元々、アンデッドは休息も睡眠も食事も必要としない。

つまり、まさしく24時間、一切休まずにいつでも戦うことができるのだ。

一昨日から、毎日ランダムに嫌がらせの攻撃を仕掛けてきているらしい。

パプニカ側を休ませないために、である。

 

 

「急に指揮官が替わったみたいな感じよね。

いままでの無能に頑張っていて欲しかったわ」

 

「アンデッドなんて連中を使う以上、当然の戦法ではあるが、

ここまで徹底されると空恐ろしくなってくるぜ……」

 

 

なるほど、それは疲弊する。

パプニカの現状としては戦闘は有利に働いているが、

一昨日から不死騎団がパプニカを休ませない戦略をとっているため、

疲労が溜まってきているということだろう。

 

パプニカの王都ですれ違った兵士や魔法使いたちが、

妙に疲れた顔をしていたのはそのためか……。

 

 

「不死騎団長のデスカールを倒すべきだろうって意見が出たが、

そいつらしいヤツを誰も見かけてねぇんだよな」

 

「ま、団長が姿を現さないのは敵ながら賢いわね。

見つけたら速攻で倒しに行くのに!」

 

 

悔しそうにいうレオナ姫。

更に問題としては、パプニカの備蓄食料が心許なくなっているらしい。

ベンガーナの陥落で、物資の補充が難しくなってしまっているのだ。

ベンガーナ~パプニカ間の航路は、水の精霊オーチェの力で荒波を鎮め、

長年、安全な航海で貿易を続けていた。

しかし、現状ではそれが適わない状況である。

 

他にある大きな貿易港はカール北にあるサババや、テランのウルスだ。

両港ともにパプニカへは遠い。

急な物資買い付けを伝えに行く瞬間移動呪文(ルーラ)での伝令も、

上空に配置されたほねコウモリによって妨げられてしまっているのだ。

 

 

「その上で敵が持久戦のカードを切ってくると、こっちとしては厳しいな。

まあ、最初からやられてたらもっときつかったから、一昨日からってので助かってはいるがよ」

 

「周辺の村や町の民も王都に入れてるから、物資は保って二ヶ月程度なのよね……」

 

 

そこへエイミ殿が走ってやってきて、良くない知らせを運んできた。

 

 

「パプニカ王都へ流れ込む水源の幾つかに、毒を混入されてしまいました!」

 

「毒ですって!? エイミ、被害者は出てないの!」

 

「飲んだ者たちはみな直ぐに、解毒呪文(キアリー)で解毒されました」

 

「ああ、よかった……」

 

 

ほっとした表情のレオナ姫に、エイミ殿からの報告が続く。

 

 

「みな、命に別状ありません。

ですが……国民の間に水への恐怖が広まってしまいました」

 

「敵はやってくれるなぁオイ!」

 

 

マトリフ殿は文句を言いながら、毒消し草の在庫を調べるよう、

エイミ殿に指示を出している。

 

水自体は水流呪文(ザバ)を使うことで補える。

私は直ぐさま貯水池や、城中の樽に水を補充することを約束した。

レオナ姫も水流呪文(ザバ)を習得しているし、

魔法兵団のコルキ殿たちが使えることは使えるが……。

 

しかし、戦闘に従事している魔法使いや僧侶に、

水流呪文(ザバ)で水を作る仕事が増えるのは、

精神的にも魔力的にも酷なことだ。

 

 

「時間が無くなってきちまったな。こうなったら、四の五の言ってられねぇ。

敵の軍団長なりを見つけて、精鋭で倒すしかねぇぞ」

 

「待って師匠。これって、つまりあたしたちの選択肢を減らしていって、

やれることを読みやすくする敵の策じゃ無いかしら?」

 

「だろうな。だが、一度噴出した不安は止められねぇ。

こいつの悪質なトコは、不安を煽る策を、

畳みかけるように打たれちまえば、内部からガタがきちまうぞ!」

 

 

レオナ姫は唇を噛んで、マトリフ殿の言葉を受け止めていた。

これは……悠長な事はしていられないだろう。

マトリフ殿の言うとおり作戦を考えて、敵の本陣に攻め込んで現在の指揮官なり、

不死騎団長デスカールを打ち破る他ない。

 

明日、前面攻勢をしかけて不死騎団を引きつけている間に、

精鋭で敵本陣と思われる場所へ奇襲をかけることになった。

 

 

 

私は水流呪文(ザバラ)水流呪文(ザバラーン)で酒樽や王都の噴水、

水を貯める大瓶に水を満たした。

その後、マトリフ殿にガンガディア殿からの通信呪文について共有し、

その内容について話し合う。

 

反英霊である彼らが、デスカールから呪法による魔力供給を絶たれ、

この世界からの退去を余儀なくさせられるのを防ぐ方法について説明した。

 

レッドオーブを眺めながら、籠められた呪法を解析するマトリフ殿。

 

 

「大分力技だな。

お前さんの呪法の魔法力と、デスカールが呪法に費やした魔法力の勝負か……」

 

「一晩で仕上げましたので、ごり押しは自覚しております」

 

 

腕を組んで考えていたマトリフ殿だが、

指をパチンと鳴らして魔力を籠めた。

 

 

「もう十分だとは思うが、明日に響かねぇ程度、魔力を籠めさせて貰うぜ」

 

「ありがとうございますマトリフ殿」

 

「でだ。実はさっき、気になることが分かってな……」

 

 

声を潜めたマトリフ殿の口から、水場に入れられた毒が、

命に関わるレベルの毒ではなかったと聞かされた。

 

 

「バブルスライムの毒を希釈したモンだな。

殺すつもりだとしたら、オレなら魔のサソリの毒を使う」

 

「敵に何か別の目論見がある、と?」

 

「ああ。オレが思うに、ここ数日の策は、

ガンガディアが介入してるんじゃねぇかと推測してんだ」

 

 

テムジンが仮に魔のサソリの毒を用意したとしても、

ガンガディア殿が実行役でバブルスライムに変えてくれた可能性がある、と。

確かに死のサソリを確保していたテムジンなら、毒を持っていてもおかしくはないし、

それを使われていたら死者が出ていただろう。

 

昼夜問わず奇襲を仕掛けてくるのも、

パプニカ側が疲れ果てている場合は、妙なタイミングで退いたりするらしい。

 

 

「多分だが、ガンガディア自身とバルトスを引っ張り出してくれるんじゃねぇかな?

オレたちが対応してくれると信頼して、こちらの動きやすいように環境を整えてよ」

 

「ふむ……ならば、それに答えねばなりませぬな」

 

「レオナが言ったとおり、選択肢を絞るように動いてきてる。

ってことはだ、あいつらの動きも分かってくるだろ?」

 

「奇襲で疲れて、毒で内部が混乱しているパプニカが、

長期の籠城は無理だと判断し、覚悟の一戦を挑んでくる……ということですかな」

 

 

マトリフ殿はニヤリと笑って頷き、私の言葉を首肯した。

私はそこで忘れていた預かり物を見せた。

 

 

「こいつは……呪法による血判状か?」

 

「ロン・ベルク殿から預かって参りました。実は……」

 

 

ベルクス復活についての説明と、どこに彼らがいるか分からないという話をした。

 

 

「そういや、ヒヒはここに載ってねぇんだな。ロンの旦那に打ち直されたからか?」

 

「そうでしょうな。あくまでここに載っていたのは魔弓のヒヒ。

いまの彼は聖弓のヒヒです」

 

 

そのヒヒはロン・ベルク殿に修復され、流白銀(ミスリル)青鍛鋼(ブルーメタル)

更に弓ならば量を使わないということで、爪の部分に超金属(オリハルコン)を用いた、

非常にハイブリッドな聖弓として蘇っている。

 

聖弓というのは実際に、パプニカの法術で聖別されており、

現在はアバン流弓殺法を習っているレオナ姫が携えている。

姫が言うにはお目付役が増えたようだと、嫌そうな顔をしているらしいが……。

 

ロン・ベルク殿の技術とパプニカの伝統の法術による傑作に生まれ変わったが、

様々な力を安定させるために最近まで、パプニカ大聖堂で月の光を当てられて力を蓄えていた。

 

マトリフ殿とは不死騎団の一戦が片付いて事態が良くなった後に、

ベルクスについてはヒヒに意見を聞いて、対処しようと言うこととなった。

 

目前に不死騎団との正面切っての決戦と、

ガンガディア殿、バルトス殿を救わねばならない大問題が立ち塞がっていたからだ。

 

 

 

翌日になり王都に張られた破邪呪文(マホカトール)を背にして、

パプニカの全軍が不死騎団と相対して、戦端が開かれる。

狭隘(きょうあい)なパプニカ平野が、三方から不死騎団に囲まれていた。

その厚みたるや、遙か向こう側まで、屍たちの戦列が続いている。

 

パプニカ魔法兵団が地爆呪文(ジバリカ)系の呪文で、防護柵を作り不死騎団の侵攻を防ぐ。

それを乗り越えた敵兵を、キラーマシンと共にパプニカ戦士団が剣を以て、勇敢に戦う。

その中にバダック殿の姿を確認して、彼は無事だったかと胸をなで下ろした。

彼らの背後からはエイミ、マリンに指揮されたパプニカ魔法兵団が、

まずは火炎呪文(メラ)爆烈呪文(イオ)氷系呪文(ヒャド)などで攻撃。

 

この真っ向から戦っているパプニカの主戦力は囮だ。

我々が位置を特定して、敵軍の軍団長たるデスカールを直接叩く作戦だ。

 

すると、敵の戦列にひときわ長身のデストロール。

そして、凄まじい殺気をまき散らす地獄の騎士の姿が見えた。

私は傍らのアバン殿に話しかける。

 

 

「ガンガディア殿とバルトス殿ですな」

 

「そのようですね。

恐らく、さきほど伺ったあなたとマトリフの分析は正しいのではないでしょうか?」

 

 

つまり、ガンガディア殿がこちらが、彼らを縛る呪法を破りやすいように、

二人一緒に出てきてくれる機会を作ってくれたと言うことだ。

そこへ、マァムが血相を変えて走ってくる。

 

 

「どうしましたマァム?」

 

「ヒュンケルがいないと思ったら、バルトスさんの方へ走っていっちゃったみたいなの!」

 

「なんと……!」

 

 

敵陣営にバルトス殿が出てきた事に気づいたヒュンケルが、

制止を振り切って飛び出してしまったようだ。

 

私はマァムとアバン殿を連れて、瞬間移動呪文(ルーラ)でヒュンケルを追った。

 

 




独自設定

第二次パプニカ攻防戦
第一次は"第七十八話 黄泉返る軍勢"からのラザマナスが攻めてきたときの事になります。

毒の強度
魔のサソリ>バブルスライムという事にしました。
魔のサソリは猛毒で、バブルスライムは通常の毒になります。
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