ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~ 作:リドリー@犬小屋
次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。
破邪の洞窟へ降り立ってから戦闘と移動を繰り返したため、
休憩する準備を整えているところだ。
私が地面に聖水で魔法陣を記し、聖水に加護を与える光の神アウラの名を刻む。
古くから存在する魔除けの一つで、弱い魔物を遠ざける程度だったこの魔法陣を、
敵意を持ったモンスターを、一切近づけないレベルまで効果を強化して作り直した。
ヨミカイン魔導図書館の書物で調べ、マトリフ殿と一緒に効果的な魔法陣を研究した末の産物だ。
おかげで急なモンスターの襲撃に神経をすり減らさず、ゆっくり休憩する事が可能になる。
去年の内にマトリフ殿に頼み、サババのディードック殿に繋ぎを取ってもらった。
自称冒険家で様々なアイテムを集めている彼なら、
"レミーラの巻物"を手に入れることができるのではないかと考えたのだ。
レミーラの巻物は不思議のダンジョンシリーズに登場するアイテムで、
その能力は、各シリーズで違うのだが共通しているのは、
階段の位置を示してくれることだ。
ルートが分かっているダンジョン攻略ほど容易いものはない。
"階段の位置しか分からない二級品だ"
そうディードック殿は言っていたが、なんのこれほど助けになるものはない。
レミーラの巻物のおかげか、ここまでの行程で驚くべき成果が出ている。
なんと、たった1時間で地下10階まで到達してしまったのだ。
この辺りまではモンスターも弱く、ダンジョンの複雑さも大したものはないのだが……。
それにしても、早すぎるのはルートが分かっていることと、
パーティーが強すぎる事が原因だろう。
クロコダインとアバン殿、ボリクスが前衛に立ち、後衛は私とレイラ殿。
なにか怪しい仕掛けがあれば、ケインとレイラ殿が罠を解除する。
流石にこのままの進行速度で目的へ到達はできないだろうが、
三週間と見込んでいた150階までの到達期間を、大幅に短縮できそうである。
今回、15階の
呪文契約をしないで先を急ごうという事になっている。
もったいない気はするが、問題が一つあったのだ。
例えば、アバン殿がヒュンケルに対して使えば、
相手が今いる場所に出現できるかもしれない。
その場所が問題だ。
ヒュンケルは恐らくは、魔界の大魔王バーンの宮廷にいるだろう。
場所柄を考えれば、アバン殿が
恐らくはバーンパレスに在ったものと同様の結界が存在するはずだ。
魔王軍の戦士は特別な呪法で、
だが、もちろんの事、私たちにはそんなものはない。
相手のいる場所に入れない、行くことができないだけなら、まだいいのだ。
呪文を使った事がばれて、こちらの居場所まで逆探知される事が危険である。
以前、テランのナバラ殿に水晶玉でヒュンケルの居場所を調べてもらうことも考えたが、
居場所を探知したはいいが、ミストバーンが飛んで来たら目も当てられない。
いま現在ミストバーンと戦闘になった場合、アバン殿がいるから、
空の技で闇の衣を剥ぐ事ができる可能性もある。
だが、その後を考えると、非常に危ういと言わざるを得ないだろう。
凍れる時間の秘法がかかった、真大魔王バーンの肉体との戦闘は難易度が高すぎる。
実はアバン殿がハドラーに施した凍れる時間の秘法と、ミストバーンの肉体に施されたそれは、
時間帯が同じため、勇者アバンと獄炎の魔王で明らかになった解呪法で解くことができる。
だが、解いた瞬間に、不老の時を奪われ、怒り狂った大魔王バーンが飛んでくるはずだ。
勝算がない段階でいたずらに刺激して、彼の逆鱗に触れる事は避けたい。
問題に対しての解決法が分かっていたとしても、それを行うことで危険が舞い込んでくるのだ。
慎重に行動せねばならないだろう。
ゆえに
必要な事態が発生した場合に改めて再訪すればいい。
「まさか、たった1時間で大地斬を習得してしまうとは思いませんでした」
「へっへっへ! もっと褒めてや!」
「ボリクスは老師の下で基礎を固めてきたからな。
良き師について、技を実戦に身を置いて学べば習得も早かろう」
アバン殿たちが話し合っているのが聞こえる。
ホルキンス殿が丸腰のボリクスに、騎士団の正式装備の剣を一本くれたのだ。
あと、呪文を使った敵が出て危険な時以外、通常の闘気を使うように訓練をしている。
「そろそろ、30分経ちますから、出立しましょうか?」
「レイラ様もこれを忘れませんよう。よい短剣でございますよ」
「あ、ありがとうございますケインさん。まだ、自分の物だと実感がわかないんですよね」
レイラ殿とケインが話をしている。
宝箱も基本的に無視していくことになっているのだが、目の前に出てきた場合は、
その中に、キラーピアスが入っていたので、レイラ殿がそれを手にして嬉しそうにしていた。
そういえば、長年、ピアスでどうやって攻撃するのかと思っていたら、
キラーピアスは緑がかった短剣であることが判明した。
鋭利で軽量化されており、素早い連撃が可能な優れものだった。
その後、15階に到達して
ついでという事で、私も契約を結んだ。
「破邪呪文を使えるというのは、邪悪な魔法使いには不可能な事です。
今後、ザボエラさんが何か嫌疑をかけられた際、身分証明代わりになりますよ」
「しかし、その度に、
世界各地に
「ぷっ……アハハハハ! いや、そうですね。
まあ、あって困るものでもありませんし……フフフ……」
苦笑しながら言う私に、何か受けたのか大笑いしているアバン殿。
世界を回って友人知己を増やすのもいいかもしれませんね、と言われる。
その為にまだ訪れていない国に旅をするのもよさそうだな、
そんなことを考えながら、更に洞窟を潜っていった。
25階の
あれは使い手に対して試練を課してくる魂の炎という存在がある。
使い手を選ぶ呪文であるし、150階まで到達する必要があるのに、
アバン殿がここで消耗してしまうのは危険である。
杞憂ではあるだろうが、もしも習得する資格がなかったら命が危うい。
こちらも、必要になったらまた契約しにくればいい。
そして、40階まで到達した。
大体、ここまで8時間ほどかかったが、最初は1階1時間と踏んでいたのだ。
休憩もきちんととった上での攻略スピードがこれである。
かなり順調と言っていいだろう。
今回は聖水と五つの魔法玉を使い魔法陣を構築。
解除するまで使用者を防御してくれる結界を敷いた。
睡眠を必要としないケインが、寝ずの番をしてくれる。
「アバン殿。例のストラッシュに追いついて、ストラッシュを重ねる技だが……。
恐らくは地力をあげないと難しいだろうな」
「やはりそうですか。何度か試してみましたが、あと二歩……場合によっては三歩足りません。
もっと、綺麗に重ねられれば、威力を倍増させることができそうなんですが」
「あれかっこええやん? うちにも教えてや先生!」
「いやぁ~お恥ずかしながら、自分が習得してない技を教えられないですよ」
アバンストラッシュクロスについて話しているな。
あの技は……大魔王バーンに一度敗退したダイが体得した技だ。
さすがにいまのアバン殿には、少し荷が重いのかもしれないな。
だが、この時点で目標になる必殺技の目星が立っているのは相当に大きい。
「ケインよ。このミスリルの杖を吸収してよいぞ」
「ありがとうございます
「レイラ殿はフェアリースティックの方はどうですかな?」
「意匠がかわいいですが、秘めた力は確かなようですね。
明らかに
レイラ殿が嬉しそうにしている。
やる気に溢れているのは久々にロカ殿の顔を見られたからだろうか。
考えてもみれば、原作作中でもまだ30代だったのだ。
まだ26歳くらいのはず。僧侶としての実力もさび付かせるには惜しい。
マァムやアリアム殿がいるから無理はさせられないが、
手が足りない時に力を貸してくれると助かる。
「それはよい事ですな。ところで、
「はい……ですがやはり大呪文はなかなか荷が重いですね」
「まずは制御ですな。制御して呪文の威力を暴走させず、
きっちり扱えるようになってから独自性を出してゆけばよろしいのです」
私は
「ワシは同時に二つの呪文を使えますが、
このように
「独自性……ですか。色々、試してみたいですね。
昔、魔王の
「そう、そのような工夫が肝要ですな」
アバン殿を元気づけるためにロカ殿を英霊として蘇らせたのだが、
どうやら彼女にとってもよい効果を発揮してくれたようだな。
以前、ネイル村で初めて会った時よりも、はつらつとして若く見えるほどだ。
明日の探索を話し合い、床を用意して疲れを取ることにした。
思ったより上手くいった満足感と、緊張を持続させていた疲労からかすぐ眠りについた。
翌朝は朝食を食べてから、41階の探索を始める。
正直な所、ここからは探索自体は雑にやっても構わない。
目的の一つ
後は、破邪の秘法を求めるだけなので、他には目もくれず、
ただただ地下深くへ潜ってゆけばいいだけだ。
分かりやすい罠はレイラ殿とケインが見事に解除。
迷宮自体が変化するような罠──例えば壁が迫ってくる類の──はクロコダインが拳で粉砕した。
誰かが定位置までいかないと発動しない類の罠は、
罠を発動させて回避する手を取ることにした。
その後、100階までは3日で到達することができた。
ここまでくると、レイラ殿は契約していた
ボリクスは海破斬を修め、空裂斬で躓いているものの、
アバンストラッシュもできるようになっている。
アバン殿は余った時間でクロコダインと組手をして、
アバンストラッシュクロスを五回に一回は成功できるようになっている。
ケインは途中で拾った理力の杖を吸収し、魔法力を攻撃力に変換できるようになった。
その際、長さが20cmほど伸びてしまったのだが、そこは伸縮自在に変化できる。
目的の150階まで残るは、あと50階だ。ここで、私は一計を案じる。
101階へ降りた時、階層の壁を
蛇というよりはコブラなので、頭部が楕円形に広くなっている。
私たちは全員でそれに乗り、浮遊して移動する岩の蛇で迷宮の内部を降下していく。
「い~やっほーッ! ええな、これ! 最初からこれで降りればよかったやん
「最初はいかん。残るは破邪の秘法だけになったから使っただけじゃよ。
「修行にはいいのだがな。それなりに歯ごたえのあるモンスターが出てくるようになった」
「まあ、またそういう場合が来たら、潜ってもいいかもしれませんねクロコダイン」
「アバンが強くなってくれるのは楽しいからな。地上へ戻ったら本気で戦ってみたい」
「いやぁ……まだ、あなたと戦えるほどじゃないですよ私は」
みな打ち解けてくれるようになってよかった。
何もない部分は
1日で125階まで到達することができた。
そして、明くる日、150階にまで到達した。
さすがにここまでくると、強力な魔物が出てくる。
地上でも最強クラスのストーンマンやラゴンヌ、ダースリカントなど強力な魔物も登場してきた。
彼らを倒した後、中心にある魔法陣にアバン殿が立ち、破邪の秘法を習得した。
フェザーを作るのは先の話なので、
ここでは魔法玉を使って五芒星を描き、
「私は破邪の秘法と
ザボエラさんの呪いは強力。何かが私を攻撃したら、私を守って貰えると助かります」
「任せてくださいアバン様」
「海破斬でも紋章閃でも援護したるで先生」
「危うかったらオレがアバンを引っ張ろう」
私はその言葉を横で聞きながら、この迷宮では呪文や武器などをいくつも得たが、
この信頼こそ得難い宝だったのではないだろうかと思った。
「では、始めますがよろしいですかザボエラさん?」
「お願いしますぞアバン殿」
破邪の秘法で魔法陣を出現させるアバン殿。
そして、精神を集中して、詠唱をきっちり行うようだ。
「不浄なるものよ……。この世に穢れをもたらすものよ……。
我が言葉を聞き、鎮まりたまえ……
その言葉を聞いた後、私は白い光に包まれる感覚とともに意識を失った。
私は……幾つか柱が立った奇妙な遺跡……のような場所にいた。
奇妙なというのは、柱が立ち、遺跡が点在しているのに、そこは空中に在ったからだ。
私は
明らかな空中の
そして、私の前には真正面から見ているはずなのに、
目元が分からない白いひげを豊かに蓄えた人物が立っていた。
彼はトーガのような服をまとい、均整の取れた体格でおそらく老人のように見える。
私があなたは……と問う前に彼は名乗った。
「私は……お前たちが言うところの神。
人間の神という存在の、残留思念という後処理役だ」
ドラクエ10のゲーム内に登場したものです。
光の神アウラ……聖水に加護を与えている神様で、
FC版の1と2の説明書にだけ名前が記載されています。
独自設定
魔除けの魔法陣……ウィザードリィのキャンプです。
岩石小獣化呪文《ゴール》……小さい岩の蛇を作ることができる呪文。
字面を考えると他にも動物を作ることができそうなのですが
ザボエラが映画の影響で蛇という固定観念が強すぎて、
蛇以外作れないのでこういった形で使っています。