ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~ 作:リドリー@犬小屋
暖かい反応をいただきまして喜んでおります。
劇的に話が進む感じではありませんが、楽しんで頂ければ幸いでございます。
自分の能力の把握をしようということで、
魔法力が続く限り、習得している呪文を使ってみた。
そういった条件が特殊な呪文は試せなかったが、
試せる範囲の呪文は効果のほどを確認してみたのだ。
一通り試してみて、困惑したというか納得したというか、
端的に言うとこれがザボエラか……という感想を抱いてしまった。
妖魔司教ザボエラという男は、ダイの大冒険のにおける敵組織の幹部として、
いまいち戦闘における彼自身の存在感が薄い所がある。
作中で魔法使いにとって、力の象徴であるといえる、
極大呪文が使えない事に起因すると言っていいだろう。
彼は明らかな後衛職の魔法使いであるため、
比較対象が作中の魔法職である、ポップやマトリフになってしまう。
その二人でいえばポップは
マトリフは作中で
オフィシャルファンブックでは
彼らと比較すると
自分で使える最大火力のザボエラはやはり見劣りしてしまう。
獄炎の魔王ではハドラーが、自分を除けば魔族でも最高の魔法力だろう、
そうザボエラを評して部下に欲しているシーンがあったのだ。
そのため私は本編でザボエラが極大呪文を使わなかったのは、
単純に機会がなかっただけかと思っていた。
ところが、実際、本当にザボエラは極大呪文を使えなかったのだ。
なぜ極大呪文が使えないと判明したかと言うと、
ダイ大世界では極大呪文は両手が必要であり、
使用前に特殊なエフェクトが発生する。
それがまったく発生しなかった。
ただ、呪文契約だけはされているようで、
同じく契約だけされているが
魔法使い職であるのに、後半に至ってそのメインで使用するはずの、
魔法の力が足りなくなってしまったわけだ。
後半は超魔生物の研究者という側面によって、
魔法使い職という部分は影をひそめてしまった……。
仮に魔法以外に力を求めた場合を、考えて行ってみよう。
老体であるので例えば、仮に勇者アバンに弟子入りできたとしても、
刀殺法を学び、習得することは難しいのではないか?
闘気を使用できるようになるのか怪しい所がある。
魔族であるから人間よりは、はるかに身体が丈夫ではあるのだろうが……。
もしかすると、暗黒闘気は習得できるのかもしれないが……?
ただ、あまりにも不確定な方へ進むのはよくないだろう。
なにより暗黒闘気の師匠として、作中でパッと浮かぶのがミストバーンだ。
まさか、彼に師事することはできない。
ザボエラが闘気を覚える方向へ進むのは、
不確定すぎるし、師を求める事の難易度が高すぎる。
ということは、原点に戻って魔法職の強みを活かす方がいいはずだ。
この世界で呪文について学べる場所は、どこか考えてみるならば……。
……一か所思い浮かぶ場所がある。
ホルキア大陸には、賢者の国と呼ばれるパプニカが存在する。
そのパプニカから、南西に位置するのがヨミカイン遺跡群。
ごく最近、ザボエラが
パプニカの外れにあるアジトであった。
おかげで
そこから
ヨミカイン遺跡まで来ることができた。
獄炎の魔王に登場した、魔王ハドラーの腹心であるデストロール・ガンガディア。
彼はヨミカイン魔導図書館で呪文を学んで知識を蓄えたが、
アバンやマトリフなどの敵対者に知識を渡さぬため、沼に沈めてしまった。
私はいま、その魔導図書館が沈んだ沼まで来ている。
ガンガディアは自分自身のトロル=巨人族という生まれを疎んでいた。
知性がなく、品がなく、野蛮で粗暴な種族。
自身でもそう評していた。
ガンガディアは肥え太っているトロルの中では、
大分引き締まった肉体をしており、知性を感じさせる面持ちをしていた。
獄炎の魔王の作中の描写では、マトリフの知性溢れる戦い方に対して、
強い憧れを抱いているように見えた。
敵味方の関係を越えて、ガンガディアはマトリフを、
尊敬しているような描写が見られたのだ。
恐らく、ガンガディアの考える理想的な魔法使いであり知恵者が、
大魔道士マトリフという人物だったのだろう。
長くなったが、それだけ知性に対して敬意を抱いているガンガディアが、
知識の宝庫である魔導図書館を破壊してしまった……。
だが、それは本当にそうなのだろうか?
単純にマトリフ達が利用できないようにしただけで、
沼から出す方法があるのだろうと考えて、現在周囲の遺跡を調べている所だ。
この遺跡群自体が、魔導図書館に入る際、アバン先生が使用したように、
パズルを操作する事で幾つかの仕掛けが作動する事も確認済みだ。
沼から離れた所にある小屋の仕掛け。
そのパズルを解いてやると、遺跡の全体地図が出てきた。
苦戦しながら更にパズルを操作してみると、
轟音と共に魔導図書館が姿を現した。
実際に壊れている部分もあるが、
魔導図書館全てが破壊されているわけではないようだ。
遺跡の他のパズルを操作する事で、
どうやら破損時の補修機構があることが判明した。
二日ほどかけて外壁を修復し、魔導図書館の内部へ入って行った。
ヨミカイン魔導図書館はまさしく知の宝庫だった。
なぜ本編でザボエラは使用しなかったのだろうと考えたが、
ザボエラは知識が幾つか抜けている所があったことを思い出す。
ネイル村の村長は、断片的にでも竜の騎士について知っていたし、
マトリフは竜の紋章が描かれた書物を所蔵していた。
だというのに、ザボエラはまったく竜の紋章についての知識がなかったのだ。
890歳の魔法使い、知識職に就いている者として、
流石に知らなすぎないだろうか?
もしくは、伝承とか伝説などに疎かったのか?
それか、そもそも彼の野心に直接寄与しそうもない分野は、
一切の興味が無かったのかもしれないが。
私はこのヨミカイン魔導図書館に三か月ほど逗留した。
無数にある本が単純に面白かったという事もあるが、
呪文を学び、扱いに習熟していく過程が、
非常に楽しかったというところがある。
まず、呪文の契約だが、図書館内で可能な呪文は、
ほぼすべて契約した。
原作でレオナ姫が言っていたが、
人によっては絶対に使えない呪文もあるらしい。
つまり、かなりの呪文を契約できたザボエラは、
魔法使いとしての才能が溢れているのだろう。
呪文を試用できる部屋があったので、様々な呪文の使い方を試してみた。
何故かと言うと、ただ単に使えるだけではいけない。
技術としてきちんと使いこなせるようにせねばならないと考えたのだ。
私は現状、車の免許取りたての初心者ドライバーのようなものだ。
10年車を運転してきたドライバーと勝負したら、
運転技術で確実に負けてしまうだろう。
習得している呪文という技術を、物にする必要がある。
"魔法は
とはアバン先生の言葉だが、確かに呪文に対して集中すると操作が安定する。
更に色々と試行錯誤を繰り返していくなか、
魔法力の増大と呪文使用の熟練には、とにかく呪文を使う事が必要であることに気づいた。
呪文を身構えずに使えるくらい慣れてきた頃に、
少しテクニカルな事を試してみたくなった。
原作でポップがやっていた
大魔王の
あれはカッコよかったので真似してみたのだ。
最初は、
ところがというか、やはりというか、
連発の練習を回数こなす場合には
魔法力の消費が激しい事もそうだが、威力に振り回される所があったので、
呪文のランクを落として
ポップの
私がやると
あの時点でもポップは死線を潜り抜けた歴戦の魔法使いだ。
私はまだまだ駆け出しと言ってもいい。
その日から、ただただひたすらに呪文を使う日々が続いた。
魔法力を使い果たし気絶する日もあったわけだが、
何日も繰り返している内に、気絶する一歩手前を見極められるようになる。
それから、気を失わない範囲で、呪文を連発して使用するという可能となったのだ。
数日後、何気なく唱えた
ポップがやっていたように、連続して
これを更に一週間ほど様々な呪文で行ってみると、
他の呪文の使い方や応用ができるようになってきた。
恐らくだが、魔法力には単純なMP増幅とは別に、
使用した時に呪文の使用熟練度のようなものがあがるのではないだろうか。
その後、戦闘訓練とばかりに、バーサーカーやその他魔物たちと戦ってみた。
もっと緊張するものかと思ったが、膨大な魔法力によって、
よどみなく呪文を使うことが出来た為、苦戦せず戦う事が出来た。
それを一週間ほど続けると、レベルがあがったようで、
そこから更に一か月を経て、
更にヨミカイン魔導図書館の奥にあった、水の呪文である
それほどの威力ではないのだが、レアな呪文というのが心をくすぐる。
あと、
まさか高齢のザボエラがここまで成長するとは思わなかったので、
嬉しい誤算ではあるが、疑問が生じてきてしまった。
なぜ、ザボエラは修行して強くなろうとしなかったのか……?
この年齢でこのポテンシャル。正直勿体ないのでは?
まず頭に浮かんだその疑問に対する答えは、ロン・ベルクの言葉だった。
"……魔族の人生は密度が薄い……
人間の何倍も生きられるもんだからダラダラ生きるヤツが多い。
何百年生きたってカラッポの人生もある……!"
修行前でもザボエラは十分に強かった。
確かに強さという奴は、上を見ればきりはない。
しかしながら、作中に登場した魔族でザボエラより強い魔法力を有するのは、
ハドラーや大魔王バーンくらいだ。
ほとんどの魔族が自分より劣る魔法力しか持っていない。
そういう状況であれば、伸びる余地があったとしても、
己の魔法力の強さにあぐらをかいてしまう事が、
原作のザボエラの性格を考えれば容易に想像できてしまう。
更に超魔生物の研究に至っては息子のザムザに行わせ、
研究成果を自分の功績として搾り取る所まで堕落してしまった……。
魔法の分野でも研究の分野でも、自分の力を磨くことを怠り、
他人の力を利用したり、成果を奪い取る事だけしていたせいなのだろうか?
溜め息をつきながら、色々な部分で勿体ないなザボエラと思いながら、
原作でザボエラを倒した後にクロコダインが言っていた台詞を思い出した。
"こいつにダイたちのように自らの力で強くなろうとする気持ちが、
一片でもあったらなぁ……"
ザムザの研究を利用し続けた事もそうだが、
他人を道具として扱うだけ、自分を切磋琢磨しようとする考えがなかったのだ。
強くなりようはずもない。
伸ばす才能が眠っているのにも関わらず、
伸ばそうという努力を一切しなかった男。
そう考えると、ザボエラという人物が哀れに思えてきてしまった。
……感傷はおいとくとして、日々、呪文を習熟する訓練を繰り返す。
その間に、ヨミカインの貴重な書物の数々に触れていく。
伝承や民話、伝説にも詳しくなっていったが、
そんな中、私は呪法の研究にも着手し始めた。
ザボエラ
習得呪文……
呪文契約多数。
独自要素
ヨミカイン魔導図書館……Vジャンプのガンガディアvsマトリフの話で、破壊したと言ってましたが使える事にしておきました。