ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。




第四十五話 名工と竜の(ドラゴン)騎士

 

応接室で紅茶を飲んでいるロン・ベルクは、

喉を潤してからヨミカイン魔導図書館へやってきた理由を話し出した。

 

 

「サババの闇市で掘り出し物の刀剣がないか探していたんだが、

強い力を感じて海辺まで歩いて行ったわけだ。

すると、浜辺に大きく傷ついた真魔剛竜剣が突き刺さっていた!」

 

 

立ち上がって、身振り手振りを大げさにしながら話すロン・ベルク。

 

 

「オレは震えたよ!! あの真魔剛竜剣がオレの目の前に!!」

 

 

布に包まれ大切そうに壁に立てかけてある真魔剛竜剣を、

ロン・ベルクが力強く指差した。

……彼は初登場の時、もっと厭世的な感じだった気がするが……。

 

ああ、いや、そうでもなかったか?

ダイが鎧の魔剣で、真魔剛竜剣を折った話をした時のテンションがこれくらいだったな。

真魔剛竜剣に会えたのがそれほど嬉しいのか。

 

その後、ロン・ベルクは手持ちの道具で修復してやったという。

真魔剛竜剣は持ち主の竜の(ドラゴン)騎士が南にいるという意志を、

ロン・ベルクに対して伝えてきたので、(真魔剛竜剣)の望みを叶えようと南下してきたらしい。

ベンガーナから南への船で、パプニカ行きを選択。

その船に乗ってパプニカに到着後、真魔剛竜剣の導きに従い、

ヨミカイン魔導図書館へ到着したそうだ。

 

私の推測だが、真魔剛竜剣が本調子であったら、

順当にデルムリン島までロン・ベルクを導くことができたかもしれない。

恐らくではあるが、ボリクスの竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を勘違いして、

ロン・ベルクをヨミカイン魔導図書館まで導いてしまったのではないだろうか?

 

その話を興味深そうに聞いていたボリクスが、ロン・ベルクに質問する。

 

 

「ふ~ん。おっちゃん、バランの剣、直したんか。

すごいやん?」

 

「ああ。オレは武器職人だからな。お前は何者だ?

気配が人間や魔族のそれじゃない。ずばり、竜の(ドラゴン)騎士だろう?」

 

竜の(ドラゴン)騎士なのはそうやけど、うちはボリクスやで。バランはもっと南やなぁ……」

 

「なにっ!? 真魔剛竜剣の導きでここまで来たが、本人はここにいないのか……」

 

 

何か荷物をまとめて去ろうとしているロン・ベルクを、とりあえず落ち着かせた。

現在、理由があってバランは療養中で、

ロモスの南にあるデルムリン島にいる事を説明した。

 

 

「そうだったか……。

しかし、竜の(ドラゴン)騎士は一世代に一人と聞いたが……例外があるのか。

それに、お前の名前、ヴェルザーに殺された雷竜ボリクスと同じ名前だが……?」

 

 

よく知っているな。大魔王バーンの宮廷にいたことがあるから詳しいのだろうか。

原作で人柄を知っているので信用し、ボリクスの事情について話した。

腕を組んで聞いていたロン・ベルクは、ケインが淹れた二杯目の紅茶を飲み、

真剣な顔をして口を開いた。

 

 

「まさしく奇縁だな。

良い事か悪い事かわからんが、世界が変わろうとしているのかもしれん」

 

「ところで、ロン・ベルク殿は真魔剛竜剣を修復できるほどの武器職人であるご様子。

このボリクスに剣を一振り打っていただけませんかのう」

 

 

ボリクスを見るロン・ベルク。

見られているのでピースしているボリクスを、

真面目な顔をして観察している。

 

 

「ふむ……確かに良い戦士だな。

だが、オレは別にオリハルコンを持っているわけではない。

真魔剛竜剣のようなものを期待されても困る」

 

「では、オリハルコンがあった場合どうなりますかな?」

 

「……ほう。どういうことだ?」

 

 

私はボリクスとロン・ベルクを、覇者の鎧を安置している場所へ案内した。

既に皇帝の怨念自体は倒されているので、無害ではあるが、

気分的に破邪呪文(マホカトール)の魔法陣の中に置かれている。

 

 

「これが覇者の鎧か……。

誰がこいつの胸甲を真っ二つにした?」

 

「ああ、そりゃ、うちやで。うちが、貰った剣でやったったんや!」

 

 

胸を張って勢いよく右手を上げて、ヒラヒラさせているボリクス。

ロン・ベルクの様子がちょっとおかしい。なにやらワナワナと震えているが……。

ボリクスの肩をガシッと掴んで、真正面から見据えて問いかける。

 

 

「材質は!」

 

「なんや? なんの話……」

 

「覇者の鎧を真っ二つにした武器の、金属は何かと聞いているんだ!!」

 

「カール騎士団の、ホルキンスから貰た(もろ)騎士団の剣や。

世話になったから、折れてもうたけどいまも持ってるで」

 

 

そう言って、リュックからほぼ柄だけになった剣を出して見せるボリクス。

騎士団の剣の柄を握って、作りをみるように眺めるロン・ベルク。

 

 

「数打ちの太刀ではある。ではあるが、そのホルキンスという男はなかなかの腕だな。

武器を愛し、供に強くなろうという意思を感じる。

そして、こいつでオリハルコンを真っ二つにしたのか? お前が!!」

 

「せ、せやで!」

 

 

ちょっとボリクスが押され気味になっておるな。

少し助け舟を出してやるとするか。

 

 

「ロン・ベルク殿。ボリクスは少し特殊な竜の(ドラゴン)騎士でな。

通常の竜の(ドラゴン)騎士より、竜闘気(ドラゴニック・オーラ)が多い。

いままでも、全力で戦えたことがなかったのじゃよ。

全力で一撃繰り出した結果が、その剣のありさまということでのう」

 

「なるほどな……。お前が強すぎて、武器が足を引っ張ってしまうということか。

……難儀な話ではある」

 

 

いまの話を聞いて、少し落ち着いたようだ。

ロン・ベルク自身も境遇が同じであるはずだから、

この言葉の裏にある思いがなんとなく推察できるな。

 

 

「真なる武器の使い手と、振るう武具は一体であり、そこには神が宿る。

オレが鍛冶の技を学んだ、ベルク工房に伝わる言葉だ」

 

 

そういえば、ロン・ベルクの"ベルク"というのは苗字とかではなくて、

魔界にある鍛冶流派の名前だという。

免許皆伝になるとベルクの名を名乗ることを許されるらしい。

 

 

「昔は使い手は鍛錬を積み、武器もそれに応じて見事に鍛えられたモノだった。

いまは、どちらもダメになってしまったと思ったが……。

どうやらオレの思い込みだったようだ」

 

「うちに剣作ってくれるんか?」

 

「ああ。だが、御覧の通り旅の身の渡り鳥だ。

どこか落ち着いて鍛冶が出来る場所を、見繕う所から始めなければならないだろうな」

 

 

ヨミカイン魔導図書館やこの周辺は鉱山もないので、鍛冶場には適さないそうだ。

そういえば、ギュータで鍛冶場をやっている者たちに、青鍛鋼(ブルーメタル)を預けていたな……。

ギュータに鍛冶職人がいるから、そちらの工房を借りてはどうかという話をしてみるか。

 

 

「ふむ……テランにギュータという村がございます。

あちらには青鍛鋼(ブルーメタル)を預けて、鍛冶をやっておりますので、

そちらへ行かれてはいかがかなロン・ベルク殿?」

 

「テランか……一度行った時は、国というよりは村の様だったが……」

 

「いまは人口も増えまして活気がありますぞ」

 

 

まず、真魔剛竜剣をバランに返す事を優先した方がいいだろうから、

私がロン・ベルクをデルムリン島へ連れてゆき、

その間にボリクスがギュータへ赴いて、話を通しておくという手はずになった。

ついでに、知っているか分からないが、グレゴリーアから聞いた話をしてみよう。

 

 

「ところで、剣豪ヒュンケルの話をご存じですかな?

彼が携えた剣の場所が先ごろ判明しましてな。

もし、ご存じならロン・ベルク殿にも、同行していただければとおも……」

 

「ヒュンケルの剣だとッ!?

オレは何年も探し回っていたんだぞ! どうやって見つけた!」

 

 

私の肩をがっしりと掴んですごい形相で聞いてくるというか、尋問の体を為してきたぞ。

 

 

「どこにある! いまいくぞザボエラ!」

 

「ロン・ベルク様、御主人様(マスター)を離してください!」

 

「落ち着けやおっさん!!」

 

 

ケインとボリクスがロン・ベルクを引きはがし、落ち着かせた。

興奮するロン・ベルクを宥め、滅ぼされた魔女の村にあるのではないか、

というグレゴリーアから聞いた話を伝えた。

 

 

「盲点だったな……。

しかし、ヴェルザーに滅ぼされた廃墟を探すのは、なかなかに難しくはないか?

無論、やるつもりだが」

 

「なに、村自体が跡形もなくなっておったら難しいでしょうが、宝物発見呪文(レミラーマ)があります。

呪文の反応を探してゆけば、手がかりなしで闇雲に探すよりよいでしょうな」

 

宝物発見呪文(レミラーマ)か。随分と、珍しい呪文を習得しているな、あんたは……」

 

 

その後、ボリクスがふと昨年のミストバーンとの戦いについて話をしてしまったため、

ロン・ベルクが驚いて詳しい説明を聞きたがった。

一言で話せる内容ではなかったので、

明け方までいままでの出来事を説明し、彼に聞かせる事になった。

 

竜水晶からボリクスに夜更かしをさせた件について、私とケインがひとしきり小言を賜った。

竜水晶におんぶされて寝室に連れて行かれるボリクス。

それを見送りながら、ロン・ベルクが私に話しかけてきた。

 

 

「まさか、大魔王バーンと戦おうという連中だったとはな……。

どうにかなると思うか、あのバーンだぞ?」

 

「間近で接したあなたの感想としてはいかがですかな?」

 

「竜魔人バランを見ていないからなんともいえんが、

恐らくは通常の竜の(ドラゴン)騎士では勝てない相手だろう。

鬼眼を攻撃した竜の(ドラゴン)騎士のセンスというべきか、

戦いの遺伝子というべきか……それが拾った奇跡の勝利……。

いや、奇跡の休戦と表現するべきかもしれん」

 

 

魔軍司令の地位を提示された時、それを蹴った男が目の前にいるわけだが、

命をかけての拒絶だったのだろうな、ロン・ベルクの性格を考えれば分かる。

 

彼は一言でいえばやりたいようにやる男だ。究極の個人主義者であると言ってもいい。

己の剣技に耐えうる剣の完成を目指すために、武器職人を続けているわけであるし。

誰かのためではなく、ロン・ベルクが身に着けた剣技を十二分に発揮するため、

その目的とするところが最強の剣であるというだけなのだ。

 

そうは言っても、別に血も涙もないわけではなく、

他者に共感して手助けしようという意思はしっかりある。

原作を読んでいれば分かる人柄であるが、

じっくりと話し合って納得がいった部分が幾つもあった。

 

 

「ロン殿の剣術には武器が耐えられず、

自分の腕もへし折れてしまう……いや砕けてしまうのでしたか?」

 

「それ以来、オレは自分の剣技に耐えられる剣を作ろうと腐心していたが、

なかなかうまくはいかないものだ」

 

 

その話を聞いていたケインが一つ提案をする。

 

 

「ロン・ベルク様。(わたくし)、ミスリルの杖を吸収しまして、

かの魔法銀の柔軟性に驚くところがございました。

もしも仮にでございますが、オリハルコンの硬度とミスリルの柔軟性を併せ持った合金を錬成し、

剣を作ればロン・ベルク様の剣技に耐えうるのではないでしょうか?」

 

「それだ、ケイン! その発想はオレにはなかったものだ……」

 

 

膝をぴしゃりと叩いて、ケインを褒めたロン・ベルクはこう続けた。

 

 

「やはり、自分一人で考えつくことは限界があったか。

オレは、とどのつまり武器職人であり、鍛冶師だ。

錬金術の分野までは頭が回らなかった」

 

「例えば、流白銀(ミスリル)と呼ばれる質の高いミスリル銀があると聞きますな。

そういったものとの合金(アマルガム)を作ってやってもよいかもしれませぬ」

 

「まったくだ。真魔剛竜剣の導きがあったが、このヨミカイン魔導図書館へ訪れてよかった。

あんたは大分、高齢の魔族だというのに考え方が柔軟だな」

 

 

原作を読んでいるからとは言えないので、年の功ですからなと言っておいた。

その後、竜水晶が朝食を運んでくれて、

それを食べた後、私とロン・ベルクはデルムリン島へ向かった。

 

 

 

丁度、アバン殿は留守だったが、バラン殿たちはいたので、

ロン・ベルク殿を紹介し、真魔剛竜剣を持ち主に渡した。

 

 

「居場所は分からないが絆は感じていたのだ。

それを見つけ、修復までしていただき、わざわざ届けて下さった。

ロン・ベルク殿には感謝に堪えぬ」

 

「いや、オレは手持ちの道具で、簡単な修復を施しただけだ。

しかし、やはり当然と言うべきか……竜の(ドラゴン)騎士が持つと絵になるものだな……」

 

「これも何かの縁だ。非礼かもしれんが、私はいま力を大分失っていてな。

少しでも早く取り戻したいのだ。ロン・ベルク殿は一廉の剣士とお見受けした。

ぜひ、一手お相手願いたい」

 

 

ロン・ベルク殿は徹夜してるんだがと思ったが、彼自身が否応もなしに受けたので、

外野の私が何か言うべきではなかろう。

私の横にダイとラーハルトが歩いてくる。

 

 

「ザボエラ殿、あの男は武器職人といっていたが、相当な腕だぞ……」

 

「ふむ、わかるかね?」

 

「さすがにな」

 

「ねえ、ラーハルト。父さんとあっちのおじさん、どっちが勝つかな?」

 

「はい、ダイ様。それは勿論、バラン様が勝ちます」

 

 

ダイの質問に一瞬のためらいもなく答えるラーハルト。

いっそ、その思い切りがすがすがしいほどではある。

私の見立てでは、流石に竜闘気(ドラゴニック・オーラ)が使えないいまでは……と思ったが……。

私は竜の(ドラゴン)騎士を見誤っていたようだ。

 

 

「ロン・ベルク殿は恐らく、真魔剛竜剣を竜の(ドラゴン)騎士が振るうのを見たかったはず」

 

「どうしてそれを……!?」

 

「真魔剛竜剣が珍しく私に語り掛けてきてな。あなたにその姿を見せて欲しい、と」

 

「……感謝する……!」

 

 

ロン・ベルク殿は護身用の剣を無造作に携え、バラン殿も真魔剛竜剣を構え対峙していたが、

すぐにお互い切り結んだ。

 

バラン殿の剣技は王道のもので、真魔剛竜剣を久しぶりに握った感触を、

確かめるように振るっていた。

 

ロン・ベルク殿も最初はそのバラン殿の剣技と、振るわれる真魔剛竜剣の太刀筋を見極める様に、

慎重な戦いを繰り広げている。

 

が、十合を超えるころには、互いに熱が入ってしまったのか真に迫る勝負になっていた。

 

バラン殿は言うなれば剛の剣。

だが、力任せというわけではなく、的確に必要な力を以て振るわれるその剣は、

並みの剣士では受ける事すら難しいだろう。

しかし、それを受けるロン・ベルク殿は並の剣士ではない。

バラン殿の剛の剣の力を逸らし、巧みな技で流している。

 

ロン・ベルク殿の剣技は柔の剣。

私は彼の本領が二刀流だと知っているから分かるが、

左右切り替えた構えから繰り出される変幻自在の剣技は、非常に捉えにくい印象がある。

さりとてバラン殿もありふれた戦士とは程遠い境地にある。

ロン・ベルク殿の巧みな剣技を、効果的なタイミングで切り払い、

技の組み立てを阻害してくる。

 

二人の卓越した剣士の攻防にダイは"すごいや!"と喜び、

ラーハルトは感嘆の声をあげた。

恐らくバランが使っているのは闘気だろうと思う。

まだ、習って日も経ってないだろうに、やはり竜の(ドラゴン)騎士というところか。

 

竜闘気(ドラゴニック・オーラ)ほどの圧倒感はないのだが、

闘気を使えずとも私にも良しあしが分かるようになってきた。

やはり戦いの申し子、竜の(ドラゴン)騎士たるバラン殿は、闘気の使い方が非常に上手い。

一方、ロン・ベルク殿も同質の闘気をまとっているが……。

 

 

「あの男、強いがブランクがあります」

 

「分かるかね、ラーハルト?」

 

「動きを見ればなんとなく……ですが」

 

 

そう二人の戦い方を眺めながら考えていたら、

ロン・ベルク殿がバラン殿の肩甲にヒビをいれる一撃を放ち、

バラン殿の真魔剛竜剣がロン・ベルク殿の首の手前で止められていた。

 

 

「すごいや! 引き分けだね!」

 

「いや、オレの負けだ。

流石は天下の竜の(ドラゴン)騎士。よいモノを見せてもらった」

 

 

ダイが無邪気な言葉で賞賛する。

肩で息をしながら、ダイの言葉を受けて負けを認めるロン・ベルク殿。

息を整えながら応じたバラン殿はこう尋ねた。

 

 

「ロン・ベルク殿は本来二刀流なのでは?」

 

「……分かるのかバラン殿」

 

「本来、あなたが構えた瞬間に分からねばならなかった。

できればいずれ、二刀流のあなたと相まみえたいものだ」

 

「オレもそうしたい……心からそう思うよ……」

 

 

私たちは喝さいを上げて二人を称賛する。

真魔剛竜剣の手入れについて、幾つかアドバイスを送った後、

ロン・ベルク殿とバラン殿はお互いに握手をして、再戦を誓って別れた。

 

 

 

 

ヨミカイン魔導図書館へ瞬間移動呪文(ルーラ)で戻ったあと、

建物に入る前にロン・ベルク殿が話しかけてきた。

 

 

「オレの中にまだ、剣士としての熱い血が流れている事に驚いたよ」

 

「良い勝負でしたぞ」

 

「いや。バランは本調子ではないし、オレも腕が錆びついてはいたさ。

頭の中で思い描く、理想の自分の動きができたとは言い難い所があった。

だが、だからこそ、今出せる力を全て出し切って、戦ってみたいと思わされた……」

 

 

バラン殿の真魔剛竜剣も、打ち合うたびに、

まるで"己に匹敵する剣を打ってみろ"と言わんばかりの意志を伝えてきたらしい。

ロン・ベルク殿の中の剣士の心と、武器職人としての魂が激しく揺れ動かされたという。

 

オリハルコンと流白銀(ミスリル)合金(アマルガム)の件、

できれば進めたいなと話すロン・ベルク殿の瞳には、

熱意の炎が宿り始めたことを私は見逃すことはなかった。

 

 

「ワシの知識が役に立てばいくらでも使っていただけばよいでしょう。

そうそう、実はワシは170年ほど前に魔界から逃げてきておりましてな。

かの地には不案内ですじゃ」

 

「オレも90年ほどまえに大魔王バーンと決別して以来、魔界には行ってないが……。

あんたよりはマシかもしれんな。

大船に乗った気持ちでいろとは言わんが、案内は任せろ」

 

 

ボリクスと竜水晶が中から出てきて夕飯の準備が出来たと言ってくる。

 

 

「今日は久しぶりに良い勝負をしたから腹が減ったな」

 

「もしかして、バランと戦ったんかロン?」

 

「ああ、楽しかったぞ。

やはり、一廉(ひとかど)の戦士だな。オレの中の剣士としての血が滾った」

 

「今度うちとも一試合しようや。楽しみやな~」

 

 

話が弾んだ二人を、竜水晶が食事が冷めるから早く中へと叱りつけていた。

マザードラゴン殿の力を受け継いだせいか、母親じみてきているというべきか、

有無を言わせぬ迫力があるときがあるな、竜水晶。

 

私も二人に続いてそんな事を思いながらヨミカイン魔導図書館へ入っていった。

 

 




独自設定
ベルク
ロン・ベルクのベルクが三条先生が明らかにした、
魔界の鍛冶流派の名前だという所までは原作設定です。

免許皆伝になれば"ベルク"を名乗ることができるという部分が、
独自設定になります。

原作ではノヴァがロン・ベルクから指導を受けていましたが、
彼も腕があがれば、「ベルク」の名を名乗るようになるのかは、
興味深い所です。

ミスリル
アイテム物語に出てきた流白銀(ミスリル)を通常の魔法銀(ミスリル)より上位のものにしました。
理由は名前がカッコいいからです。

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