ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。



第五十四話 デルムリン島決戦 ~後編~

ブラス殿とレイラ殿が、私を心配げに見つめていた。

ほんの少しの時間だが、意識がなかったようだ。

 

 

「助けて……いただいたようですな……」

 

「ご無理はなさらないでくださいザボエラ様」

 

「状況はどうなっておりますかな?」

 

 

私がそう尋ねた瞬間、轟音が響く。

その方角を見ると、ボリクスとラーハルト、アバン殿が、

大変なものと戦っていた。

 

凄まじい勢いで長剣とメイスを振るう、灰色のボディに二本の角を生やし、

赤い一つ目を怪しく輝かせる異形の姿。

まごうことなきキラーマジンガ……! それも二体。

 

 

「あ、あれはキラーマジンガッ!? もしやグラコスが呼びだしたのですかな?」

 

「え!? あれをご存じでしたかザボエラ様!?

不利を知ったグラコスが、自分の軍勢の後ろに退きまして……。

前面に押し出してきたのが、あの二体のキラーマシンのような存在でした」

 

 

疲弊した顔をしているブラス殿が付け加えるように言う。

 

 

「呪文も通じませんでな。恐ろしく頑丈で苦戦しております」

 

 

恐らくはラーハルトとボリクスであれば、

普段ならキラーマジンガであっても倒すことができるだろう。

 

だが、二人は長時間の戦闘で良く戦っており、疲労の極致にある。

特にボリクスがデルムリン島のモンスターを、カバーして回っていたので、

何度も電撃呪文(ライデイン)で高速移動をしており、疲労が濃い顔をしていた。

アバン殿が巧みにガイアの剣を使い、出が速い地爆呪文(ジバリカ)のような攻撃で、

キラーマジンガの素早い動きを阻害して、なんとか戦線を支えているが……。

 

キラーマジンガの一体が弓矢を無差別に撃ち、回避したラーハルトたちから距離を取った。

破邪呪文(マホカトール)内にいるレオナ姫たちをターゲットに収めたように見える。

 

まずい……。傍らに竜水晶がいない。

竜水晶は破邪呪文(マホカトール)内に、レオナ姫たちを退避させることができたからか、

デルムリン島のモンスターたちを助けて回っているのか……。

 

スルッと破邪呪文(マホカトール)の結界を通り抜けるキラーマジンガ。

そうか……命令をただ実行するだけのキラーマジンガに善悪もないから、

破邪呪文(マホカトール)の結界を超える事ができてしまうということだろうか。

 

私は怪我をしたモンスターたちと一緒に寝かせられているダイと、

レオナ姫に叫んで注意を喚起する。

 

 

「レオナ姫、お逃げ下され!!」

 

 

私は閃熱呪文(ベギラマ)を放つが、キラーマジンガの長剣に遮られてしまう。

キラーマジンガの攻撃からダイを守ろうと、立ちはだかるレオナ姫。

いかん……いま岩石獣化呪文(レゴール)を作って送り込んでも、間に合わない!!

 

そこへ、全身に竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を漲らせたバラン殿の体当たりが、

キラーマジンガを吹き飛ばす。

 

もう一体のキラーマジンガは、ボリクスが大地斬でダメージを与えた所で、

動きが鈍くなっているので、ラーハルトとアバン殿が抑えている所だ。

 

 

「レオナ姫、息子の為に立ちはだかってくださりありがとう……。

ここからは、私が……。ダイを、お願いいたします」

 

「はい、ダイ君は任せてください。バランさん……」

 

 

その吹き出す竜闘気(ドラゴニック・オーラ)が、キラーマジンガの猛攻を防いでいる。

左右から繰り出されるメイスと波打つ長剣の連続攻撃も、

光り輝くオーラを宿した真魔剛竜剣に、ことごとく弾き落とされていく。

竜闘気(ドラゴニック・オーラ)をまとった大地斬で、尻尾の弓矢を破壊し、

返す刀でメイスを持つ腕を落とす。

 

機械じみた作動音をあげ飛び上がったキラーマジンガの長剣による斬撃を、

電撃呪文(ギガデイン)を宿した真魔剛竜剣からのギガブレイクで迎え撃ち、

長剣を両断して威力そのまま、キラーマジンガごと真っ二つにした。

 

バラン殿は、片膝をついて苦しそうにしているので、本調子ではないようだ。

おそらくだが、無我夢中で突っ込んだことで、

身体の力みが取れたことが功を奏したのではないだろうか。

もしかして、竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を使えるようにならねば、

という気負いから一瞬でも解き放たれたゆえのことかもしれない。

 

レイラ殿とブラス殿に、私は大丈夫だからバラン殿たちをお願いするといって、

彼らの方を見に行ってもらった。

 

もう一体のキラーマジンガは大丈夫だろうかと思っていたら、

アバン殿がボリクスたちの前に立ち、キラーマジンガと対峙していた。

 

 

「先生、一人じゃ危ないで!!」

 

「大丈夫です。

面白い呪文を手に入れましたが、なかなか使いこなせなかったんですよ。

先日、ようやくコツをつかみましてね。

では、お見せしましょう……二重加速呪文(ピオリーマ)!!」

 

 

二重加速呪文(ピオリーマ)……!? あの呪文を修得していたのかアバン殿。

簡単に言えば、加速呪文(ピオラ)を重ねかけする呪文だが、

恐らくは急に身体が異常に素早く動けることについていきづらいはず……。

 

そう思っていたら、アバン殿がアバンストラッシュアローの態勢をとって、

闘気の刃を放ったと思ったら、キラーマジンガのすぐ前におり、

アバンストラッシュブレイクを叩きこんでいた。

 

無作為に作られたかのように見えた、ガイアの剣による土槍の隆起。

キラーマジンガは飛んでいるわけではなく、浮遊しているだけなので、

それを避けて進むため、つまるところ移動コースが読めてしまう。

 

アバン殿は初手からキラーマジンガの動きを、

読みやすくするための障害物として土槍を設置した。

 

アバン殿が盤面に現れた時、キラーマジンガの敗北は、

決定していたという事か……。

 

 

「完成しました……。これが、アバンストラッシュクロスです」

 

「すごいなアバン先生!! やるやん!!」

 

 

二つのアバンストラッシュを決められて、Xの字に四分割されたキラーマジンガは、

そのままバラバラと残骸をばら撒いていた。

 

グラコスと対峙した三精霊が、炎の精霊を無理やり引きはがそうとしている。

支配を奪われそうになり、焦ったグラコスが、無理に五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)を使わせた。

大地の精霊が直撃を受けたように見えたが、風の精霊が風の防壁で逸らし、

水の精霊が治療を行っている。

だが、グラコスが無理を強いたせいか、炎の精霊が動かなくなっていた。

 

 

「くっ!? こうなれば一旦、退くしかあるまい!!」

 

 

炎の精霊を置き去りにして、海上のヘルダイバーたちに足止めをさせ、

瞬間移動呪文(ルーラ)で逃げるグラコス。

バラン殿とアバン殿がヘルダイバーたちと戦っている間に、

ドラゴン化した竜水晶の背に乗ったラーハルトとボリクスが追撃する。

 

 

「逃がさへんぞグラコス! 食らえや!! 電撃呪文(ライデイ~ン)!!」

 

「ぐあああああっ!! く、くそ!!」

 

 

ボリクスが残る魔法力をつぎ込んだのか、

三本の電撃呪文(ライデイン)がグラコスに突き刺さる。

堪らず瞬間移動呪文(ルーラ)を止めて、水流を利用して器用に海の上に立つグラコス。

 

ボリクスとバトンタッチするかのように手を叩き、竜水晶の背から飛び降りるラーハルト。

ラーハルトは岩礁の上を器用に飛び回り、水上を滑るように移動するグラコスと、

激しく槍の応酬を繰り返す。

既に、鎧の魔槍のヘッドギアは砕けて無く、鎧も破損が酷い状況であり、

人一倍激戦を潜り抜けたことが窺える。

 

 

「ぬううん! さみだれ突き!!」

 

 

グラコスから超速の槍の刺突が繰り出されるが、電撃呪文(ライデイン)のダメージが後を引いているのか、

若干槍の技に冴えが無いように見える。

 

抜群の槍捌きでグラコスのさみだれ突きを受けきった直後、槍の石突きでグラコスを突き、

グラコスの体勢を崩しながら飛び上がるラーハルト。

 

 

「げはっ!? し、しまった……」

 

「貰ったッ! ハーケンディストール!!」

 

 

ラーハルトが渾身のハーケンディストールでグラコスを仕留めた。

しびれくらげや、だいおういかたち、追ってきてくれた島のモンスターたちも歓声をあげた。

 

グラコス配下の魔物たちは、戦意を喪失したので、水の精霊が自分に従うなら許すといって、

一旦海へ戻したのだが、レオナ姫がそれを見て、

 

 

「壊した家とか直させてから解放してよ! もうちょっとものを考えなさいあんた!」

 

 

と怒っており、平謝りだった水の精霊を周りの精霊たちが笑いながら見ていた。

 

水平線の向こう側にパプニカの軍船が来ており、

瞬間移動呪文(ルーラ)でこちらへ飛んでくるマトリフ殿とロカ殿の姿を確認して、

私は安堵の為に座り込んでしまった。

 

今回の戦いは色々と、失敗が多かったな。

健闘を称え合うみなを眺めながら、私自身は反省するべきだと、

若干、憂鬱な表情をしてしまったかもしれない……。

 

 

パプニカの軍船から降りてきたパプニカ魔法兵団たちは実に優秀で、

疲れ切ったデルムリン島のモンスターたちの代わりに、海岸の警備に立ってくれた。

 

回復呪文が得意なものたちが手分けして、怪我をしたモンスターたちを治療してくれたおかげで、

重症者たちも回復して、持参してくれた食料を前にみな舌鼓を打っていた。

 

同行したコルキ殿が、まず食べないと元気が出ないので、兵力を送るのは賛成だが、

宴会ができるくらいの糧食を積むべきだと進言してくれたそうだ。

それを聞いて、なんとも気が利くものだと感心してしまった。

 

無理に魔法力を使いすぎて、焚火の側で寝ている炎の精霊以外、

三精霊と私、マトリフ殿とコルキ殿に、魔法兵団の隊長たち。

さらにはレオナ姫が同席して、

今後の精霊へ捧げる儀式について話し合った。

 

 

炎の精霊はカール山脈にある戦鎚山。

風の精霊はオーザムの霊峰シラムート山が聖地だ。

パプニカの巫女や聖職者が行くには遠いし、土地勘もない。

儀式が重なってしまうと、担当する国の負担が多いのだ。

 

今回の事件の発端は、グラコスの侵略ではあるのだが、

大本はテムジンが儀式について隠匿していた事が原因である。

 

秘密というのは大人数が知る事で常識となり、力を失う。

パプニカ一国で儀式を行っていたのが、元々無理があったという意見がでた。

強国ではあるが、世界に関わる重大事を、

パプニカ一国で抱え込むのは問題であるわけだ。

 

そのため、儀式の方法を聖地の隣国に伝えて、

近い国に儀式を行ってもらった方がいいだろうという結論に至る。

 

炎の精霊はカール王国に説明し、風の精霊の件はオーザムと交渉して、

各国で儀式を行って精霊との仲を深めてもらうのもいいかもしれない。

その辺りの外交折衝は、マトリフ殿が受け持ってくれるという。

 

当分は大地の精霊と水の精霊への儀式をパプニカで担当するが、

大地の精霊はいずれロモスにお願いしてもいいかもしれない。

ロモス王国は戦力的にそれほど強くはなく、

魔法使いや僧侶の人数もさほどではない。

 

儀式を行うために大々的に募集をかけてもいいだろう。

無論、軌道に乗るまでのバックアップは、

パプニカでするということで、ロモスも承諾しやすくなるはずだ。

 

コルキ殿が海底神殿を攻めた時の話をして、魔法兵団は見事な戦いっぷりでしたと喜んでいた。

だが、それを聞いていたマトリフ殿は渋い顔をしてこう言った。

 

 

「まぁ、今回のパプニカ魔法兵団の戦いは、なんだな……60点。

ボーダーラインが55点で、ギリギリ合格って感じゃねぇか?」

 

「そ、そんな。渋すぎますよマトリフ様……」

 

「課題がありすぎだぜコルキよ。

魔法使いってのは呪文が使えるのなら、なんでもできなきゃならねぇ。

アポロは70点くらいだが、オメェたちも、もうちっと頑張れや」

 

 

がっくりと肩を落とすコルキ殿に、みなが笑っていた所、

水の精霊が急に大きな声を出し始めた。

 

 

「そういえば、神の涙がいたんです! 協力してもらえばいいんじゃないで……」

 

 

こちらを見たレオナ姫が、"まずい話?"と目で私に訴えるので、

首を縦に振ると水の精霊の口を塞いで、手でジェスチャーして場所を移動する。

 

 

 

精霊たちとマトリフ殿、アバン殿、バラン殿を集めて、込み入った話をすることになった。

私はダイから聞いたという事にして、ゴメちゃんとの出会いについての話をする。

それに、私の感想というか考察を付け加えた。

 

 

「……幼いダイが、恐らく最初に願ったのが"友達になってほしい"ということで、

それを叶えるためにゴールデンメタルスライムという形を取ったのでしょうな」

 

 

願いを叶えるという力や、力を使いすぎると消えてしまうという事。

消えても戻ってはくるが、記憶を失っているだろうから、

思い出はなくなってしまうという話もした。

マトリフ殿が腕を組んで、重いため息をついた。

 

 

「ゴールデンメタルスライムなんざ、聞いたこともなかったが……。

そういうわけだったか。で、バランの旦那はどう考えるんだい?」

 

「私は息子の友達を、大事にしてやりたいという気持ちがあります。

私の目に映るゴメは、臆病ではありますが、素直で優しい息子の友人ですから」

 

 

バラン殿はゴメちゃんの力を借りる事を考えぬ方向のようだ。

私が何か弁護するような事を言おうかと思ったところ、アバン殿が話し始めた。

 

 

「ザボエラさん。ゴメちゃんは力を発揮してしまった場合、消えてしまうんですよね」

 

「左様ですな。戻ってはこれるようですが、地上のどこに出現するか分かりませぬし……。

ダイたちと過ごした日々は、失われてしまうでしょう」

 

「そういうことですか……分かりました。では、なしです。

ゴメちゃんの力を借りるのは、ナッシングですよみなさん」

 

 

アバン殿の言葉はこうだ。

地上を吹き飛ばして、全ての種族に苛烈な運命を強いる大魔王と戦おうというのに、

ゴメちゃんのような小さな生き物の犠牲で勝ち取った平和を、

私たちは笑顔で受け取ることができるのか……。

という事だった。

 

 

「みなで知恵を出し合って、きちんと考えましょう。

私たちの知恵や勇気って、そんな小さな生き物を犠牲にした奇跡に、

縋らないといけないような、ちっぽけなものじゃないでしょ?」

 

 

レオナ姫の話は続いているが、私は途中から言葉が出なくなってしまっていた。

全てを知っている私が導いたのではない。

断片的な情報を出しただけで、みなが小さな存在を守ろうという意見を出してくれている。

そのことが、なによりも、私は心の底から嬉しかった……。

 

 

「す"い"ま"ぜん"……私が悪うございました……」

 

 

ギャグマンガの様に、噴水のような涙を流して泣いている水の精霊。

まず、最初に神の涙の力を借りようと提案した、彼女が責任を感じてか皆に謝罪している。

別に誰も責めてはいないのだが、本人は話を聞いて浅はかだったと思ったようだ。

 

ゴメちゃんについてはここにいるメンバーだけで情報を共有して、

危険だと思われる場所には同行させない、という方針を取ろうという事となった。

 

 

大掛かりな治療は全部済んでいたので、軽傷のモンスターたちを治し一息ついている。

だが、今回は色々と駄目だったと思っている。

私としては反省するべき点が多すぎた。

 

そう考えていると、酒瓶を持ったマトリフ殿がやってきた。

 

 

「なに、お前さんがなんか冴えない顔してたんでな。話を聞こうかと思ってよ」

 

「いやはや……顔に出てましたかな……」

 

 

マトリフ殿が持参した酒を、一杯やりながら話をする。

今回の件で、レオナ姫を連れてデルムリン島へ来てしまった事や、

敵の勢力を見誤った事など、私が考える反省点を上げた。

酒をすすりながら聞いていたマトリフ殿は、こちらを見て話し始める。

 

 

「さっき、コルキに60点だって言っただろ?」

 

「そうですな。なかなか辛い採点でしたのう」

 

「ありゃ、な。実際の所は80点くらいだ。

魔法兵団は敵陣に乗り込んで、相手の有利な場所で戦い、敵に対して勝ったんだぜ?

けが人は出たが死者はいねぇし、手早いもんだったよ」

 

 

それを聞いて、なぜでは60点と言ったのかと尋ねると、

興味深い答えが返ってきた。

 

 

「今日、高得点出して、魔法兵団の連中が図に乗っちまったらどうする?

本番の戦場で敵はどんなのが出るかわからねぇ。

常に自信を喪失しねぇ程度に、悩んで思考錯誤した方がいいんだよ」

 

「……仰る通りですな。

翻って今回は、ワシは大分、下手を打ってしまいましたのう……」

 

「なにがだい? レオナがついて行っちまったのは、まぁ、問題だが……。

あの弟子(レオナ)は口げんかで、10回に2回はオレを負かすんだぜ?

頭はいいが、人が良いあんたじゃアイツを抑えきれねぇだろ」

 

極大消滅呪文(メドローア)を失敗して、味方を危険に晒してしまいました……。

それが気になっておりますな」

 

 

それを聞いて笑いながらこちらに話しかけてくるマトリフ殿。

 

 

「聞いた話じゃ、その後もデルムリン島のモンスター連中に補助呪文をかけたし、

援護して行動してたんだろ? アンタは十分に魔法使いとしての職責を全うしてるぜ。

みんな言ってるぜ。アンタの呪文のおかげで、何度助けられたかわからないってな」

 

 

あまり人を褒めないタイプだろうに、色々と私を励ましてくれる言葉をかけてくれる。

こんなに励ましてくれるのだから、しょげてもいられないな……。

同じ失敗を繰り返さなければいいのだから。

 

呪文返し(マホカンタ)の使い手もそういないだろうと考え、無効化呪文(マホステ)の研究を怠ったのが失敗だったな。

 

"前回の課題をすべてクリアして、はじめて"改良"という…!"

 

ザボエラの言葉の中で、私がなるほどと唸ったものの一つだ。

今回の失敗にくよくよせず、課題をクリアするべく邁進するべきだろう。

そう踏ん切りをつけて、話題を変えてみる。

 

 

「今回の事で分かりましたが、デルムリン島のモンスターたちにも、

連携を取らせた方が良いかもしれませんな」

 

「なんだい? 魔王軍みてぇなことをしようってのか?」

 

 

マトリフ殿の目が鋭くなるが、すぐにフッと笑って冗談だよといい、先を促す。

 

 

「自由に暮らすモンスターたちの生き方が悪いとは思いません。

ですが、やはり今回のように統制の取れた軍としての敵と戦う場合、

最低限連携がとれませんと、太刀打ちできない事が分かりましたからな」

 

「アバンにも話しておくか。

モンスターってのは基本、生来の強さで十分に生きていけるからな。

だから、人間みたいに修行したりしねぇし、魔王の邪気でもない限りは、

統制を取って戦ったりはしねぇもんだからな」

 

 

地の神である大地の精霊が住まう聖地としてデルムリン島は、

怪物島からかなり格がランクアップした部分もある。

場合によってはパプニカが、魔法兵団から何人か派遣してもいいという話が出た。

 

 

「ありがたい話ですが、デルムリン島は場所的にロモスに近いですからな。

ロモス王家にも話を通しておく必要がありますぞ」

 

「先の話になるだろうが、ロモスから兵士を派遣してもらってもいいぜ。

将来的には大地の精霊は、ロモスに担当してもらうわけだからな。

もちろん、それまでに大地の精霊の聖地として、デルムリン島の体裁を整えるがよ」

 

 

我々の話し合いは明け方まで続き、私とマトリフ殿はボリクスとレオナ姫に、

夜更かしをしたことをさんざん叱られてしまったが、

私たちは悪童のような顔をしてそれを聞いていたようだ。

 

ようだというのは、ヨミカイン魔導図書館への帰途、竜水晶から指摘されてしまい、

私は苦笑いする他はなかったからである。

 

こうして、デルムリン島での厳しい戦いは幕を閉じたのであった……。

 




独自設定
二重加速呪文(ピオリーマ)
どこパレに登場する呪文です。

本作では単純に加速呪文(ピオラ)が二重がけされるというか、
体感として加速装置のような感じになってしまうので、
速度アップとして強力だけど、使いづらい呪文になっています。


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