ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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今回から本編開始、五年前です。

次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。




原作前(ダイの大冒険本編の5年前)
第五十六話 堕ちた魔王


 

ギュータにあるロン・ベルク殿の工房。

一仕事終えた熱気が、内部に立ち込めている。

 

アバン殿から借りたシルバーフェザーが20ほども転がる中、

椅子に腰かけ、酒ではなく水を煽っているロン・ベルク殿。

壁に寄りかかり、床に座り込んでいるマトリフ殿。

そして、ボリクスの剣の前に立ち、ルーン文字の完成を確かめながら、

疲労の濃い顔をして立っている私。

 

その三者を後ろから見ているボリクス。

この四人がロン・ベルク殿の工房にいた。

 

 

「できたんか、うちの剣?」

 

「うむ。これでなんとかなるはずじゃ。本気で、竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を通してみるといいぞ」

 

 

私に尋ねるボリクスにそう声をかけた。

ボリクスは両手で剣を掴み、鞘から抜き放ち竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を込める。

私にも分かる竜闘気(ドラゴニック・オーラ)のすさまじさは、

工房内にこもる熱気を吹き飛ばした。

 

すると、刀身が雷を帯び始めて、それがまるで糸のように刃を覆い始めたのだ。

 

 

「ボリクス! 鞘に仕舞え!!」

 

 

ロン・ベルク殿がそう叫び、慌てて鞘に仕舞うボリクス。

だが、糸のような光はどんどん覆って剣を覆ってゆき、最後には繭になってしまった。

 

 

「……どないなってんねん?」

 

「たまげたな。こいつは驚いたぜ……。

オレは素人だが、滅多にねぇだろロン・ベルクの旦那よ?」

 

「滅多にどころか、オレも初めて見た」

 

 

ボリクスの呆然とした言葉と、

驚きはしているが興味深そうな顔をしているマトリフ殿。

 

 

「おいおい……。あんたも初めて見たのかよ。

推測でいいがわかる事があるのか?」

 

 

ロン・ベルク殿の言葉に驚きはしたが、

興味から更に彼の意見を求めるマトリフ殿。

それを受けて、ロン・ベルク殿が腕を組んで答えた。

 

 

「仮説だが、ボリクスの竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を浴びたことで、

それに対応するために自らを作り替えているんだろう。

この変異……作り変えてるってことは変態か?

終わるまで出せないだろうし、無理に引っぺがすのは危険だ」

 

「なんや、まだお預けかー」

 

 

一応、口では残念そうに言っているが、ニヤニヤしているボリクスが気になり尋ねてみる。

 

 

「あまり残念そうではないのう、ボリクスよ」

 

「全力やないけど、手加減ぬきで竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を通わせたんや。

いままで、持ってる剣を壊すような感触があったんやけど、あの剣は(ちご)たんやで」

 

「どんな感じだったんだボリクス?」

 

 

ロン・ベルク殿の問いに答えるボリクス。

 

 

「うちの竜闘気(ドラゴニック・オーラ)が、すっと馴染んで刀身に吸い込まれるような感じやった。

まるで、自分の腕の延長みたいな、そんな印象やったで」

 

「よし、成功だな。

武器というやつは元々、使い手の体の延長、そのレベルで馴染まないといけない。

そうでなければ、その辺りの木の棒でも持っていればいいということになる」

 

 

力説し始めたロン・ベルク殿の話を聞いていたが、

マトリフ殿がそろそろパプニカ戻るぜと帰り支度をしている。

忙しい中来てくれたことに、感謝を示しておいた。

 

 

「なに、あんたには世話になってるし、ボリクスの嬢ちゃんが強くなるのはいいことだからな。

さて……オレはオレに出来る事を進めておくか」

 

「パプニカ魔法兵団はどうですかな?」

 

「まぁ、合格点をたまに上回り始めたってトコだろうな。

まだまだ、できることもやれることも多いから、気は抜かせねぇけどよ」

 

 

意地悪そうな笑みを浮かべて、マトリフ殿は瞬間移動呪文(ルーラ)で去っていった。

恐らくは本来の原作では、この期間はパプニカから追放されて、

腐っていた時期であったはずである。

 

それがいまのようにハツラツと仕事をこなせるような状況にあることが、

私にとっては我が事のように嬉しかった。

 

 

工房の片づけが一段落した後。

ボリクスとロン・ベルク殿が刃を潰した剣で、練習試合をしている。

だが、途中からロン・ベルク殿の二刀流の妙技を見せられている様相を呈してきた。

 

さきほどから、ボリクスがどんな角度から斬り込んでも、

ロン・ベルク殿がボリクスの剣をいなし、

彼の剣がボリクスにつきつけられたり、

ピタリと刃を寸止めしている形になっている。

 

 

「なんやそれー! 呪文でも使ってんかそれ?」

 

「なに、ちょっとした技だ。大したものじゃないさ」

 

 

無造作に構えた状態から、二刀をハサミのように用いて、ボリクスの剣を止め、

一刀でボリクスの剣を押さえ、もう一刀で突きを放ったり、

斬撃を繰り出したりするのだ。

 

簡単に言えば、二刀で相手の攻撃を受け止め、一刀で相手の武器を押さえる。

その間に残った一刀で、相手に攻撃を加えるのだが、一連の動作が流れるようなので、

受けられた時点でほぼどうにもならない。

 

器用のレベルを超えているが、若い頃に武者修行をして回った頃に身に着けた技らしい。

かなり速度を落として見せてもらったが、私にはどうしてその状態になっているか、

まったく分からなかった。

しかも、それを申し合わせではなく、ボリクスが熾烈に打ち込んでくる中、

いつの間にかヒョイヒョイやっているので、

やはりロン・ベルク殿の二刀流は凄まじいと言わざるを得ない。

 

 

「もっとも、呪文で遠くから攻撃されたらこれは使えんがな」

 

「でも、見える範囲なら、一刀で呪文を切り払って、踏み込みと跳躍で相手に届くんちゃう?」

 

「ああ、オレならできるぞ」

 

 

すごい自信だ。

その言葉を信じさせる腕前だというのを知っているので、私もボリクスもぐうの音も出ない。

ロン・ベルク殿から対処法を聞いたが、どうやらボリクスが竜闘気(ドラゴニック・オーラ)を全力で込めて、

思いっきり大地斬でも放ってきたら、それで対処できなくなると言った。

 

 

「もっとも、この手が使えないだけで別の手を使うがな」

 

「なんやて!? どんだけ手数あるんやロン?」

 

「技には技を押しつぶす腕力で。力に対しては力を発揮させない技巧を使う。

その辺りをオレとの立ち合いで学んでいけボリクス」

 

「うう……。なんや難しいけどやったるわ!」

 

 

剣術の話ではあるが、ロン・ベルク殿の言いようは、

呪文での戦いにも通じるものがある。

たとえば、極大爆烈呪文(イオナズン)極大閃熱呪文(ベギラゴン)が使えるというのは、

分かりやすい力の象徴であり、強さを証明するものではある。

 

だが、極大呪文を使える者は、無敵なのかといえばそうではない。

闇雲に極大爆烈呪文(イオナズン)を放って、その隙を閃熱呪文(ギラ)の連射で詰められれば、

出の速い初級呪文に対応できずに負けてしまうだろう。

 

相手の使う力の性質を見極め、それに対して的確に対応することが必要だ。

そう考えながら、私もギュータを離れた。

テランの王城にフォルケン王を訪ねる時間だからだ。

 

 

テラン城は幾度かの改修によって広くなり、

有事の際には国民を避難させることができるようになっている。

 

二重の破邪呪文(マホカトール)と、その結界を支える魔法玉は、

私が定期的に見に来ては調子を確認していた。

現在は城詰の魔法使いたちが、保守点検を行っている。

 

今回の私の用件は、フォルケン王に礼を言う事だ。

精霊についての書物をパプニカから借り受け、

フォルケン王に写本を依頼したところ、大喜びで執り行ってくれた。

先日、城の文官たちで書き写し終わったと報告があり、

感謝を言うために訪問したのだ。

 

 

「このように手間のかかることを、随分と早く執り行っていただき、

感謝の言葉もございません。

この度は、無理を申し上げました陛下」

 

「なに、私も身体を動かし始めてから、調子も良かったのでな。

文官たちと手分けして行った写本は、久方ぶりでなかなか楽しい作業でありましたぞ」

 

 

そう語るフォルケン王は、玉座が若干窮屈そうに感じるほどの、

筋肉の厚みを感じさせる肉体を誇っていた。

先日、私が訪れたギュータで聞いた話では、どうもフォルケン王は既に、

ギュータの達人たちの中でも、最高の使い手であるそうだ。

武術の書を紐解いては、古の技を復活させているという。

 

どこまで強くなるんだろうかこの人は……という私の内心の感嘆はおいとくとして、

テランの人口が1000人を超えてしまった。

廃村になった村を整備しての再利用では、

そろそろ追いつかなくなってきてしまった。

更なる移転希望者がいるらしいので、新しく村を作ろうと思っているという話を聞いた。

 

写本して複製した本については、カール・ロモス・オーザムの三国に、

正式な使者を立てて送るという形式をとることになっている。

更に作り上げた神殿に、儀式立てて奉納するという手はずだ。

 

手早く私が瞬間移動呪文(ルーラ)でホイホイ渡して回るわけにはいかなかった。

形式というものが必要な場合もあるし、急ぐことでもないのでよいだろう。

 

 

「あの日、私の蒙を啓いてくれたザボエラ殿と、ボリクス様には感謝の言葉もありません」

 

「なに、ワシらはフォルケン陛下に別の道、選択肢を提示しただけですぞ。

それを掴み取ったのは、まさしく陛下のご判断でございますれば」

 

「いずれ、恩を返せる日が来ればよいのですが……」

 

 

その後、フォルケン王から幾つかの政策について意見を求められた。

国の拡大について、若い者達が王に仕えて文官として働いてはいるが、

やはり経験不足から躓いてしまう事も多いという。

私はそれぞれの政策に対して、私なりの提案を行ってテラン城を後にした。

 

 

 

テランから辞去し、瞬間移動呪文(ルーラ)でヨミカイン魔導図書館へ帰還した。

戦いの気配がして、竜水晶が誰かを退散呪文(ニフラム)で攻撃しているのが見えた。

 

 

「くそ! やめろ! なんだ貴様は!」

 

「そっちこそ何者だ? 幽霊か?」

 

 

情けない声をあげている人物を見て、私は驚愕を抑えきれなかった。

まるで、足のない幽霊のような姿の、魔王ハドラーが立っていたからだ。

 

対峙している竜水晶が私にこう言った。

 

 

「ザボエラ。この男は(よこしま)な雰囲気がする。

尊大で偉そうなことを言うので退散呪文(ニフラム)で攻撃してやった。

決定打ではないが、ダメージを与えられるようだ」

 

「くっ、貴様ふざけるなよ!

オレは大魔王様の魔力によって力を得ているのだぞ!!」

 

 

ああ、そうか。

つまり、このハドラーはザボエラ()を、妖魔士団長にスカウトに来たという事か。

私が勇者アバンと獄炎の魔王を読めたのは、アバン殿がハドラーを倒した所までだ。

私はその後、この世界へ来てしまったので、その続きについての知識はない。

 

てっきりクロコダインやザボエラを呼びつけて、

団長に任じていたのかと思っていたが……。

意外と地道な感じで、わざわざ相手を訪問していたのだなハドラーは。

 

おっと、考えている間に竜水晶が、ハドラーを攻撃しようとしている。

少し話をしたいから、止めておかなければならんだろう。

 

 

「竜水晶、待つのじゃ。

その男はワシに用事があるのじゃろう」

 

「このような(よこしま)な男が、か? 滅ぼした方がいいと思うぞ。

汝に対して無礼な事を言うから、我が教育してやっていたのだ」

 

「まあ、まぁ。話を聞いてからでも遅くはない」

 

 

幽霊のようなハドラーは、確かに強大な魔法力を持っている。

だが、私には大きな違和感しかないのだ。

例えば、トラックに乗った貧弱な男が現れて、"自分は体が大きい"と誇っても、

それはトラックが大きいのであって、本人は別に貧弱な男性であることには変わりはない。

 

ハドラーがまとっている強大な魔法力には覚えがある。

大魔王バーン、その人のものだろう。

この時期はハドラーの肉体を強化しているはずだ。

 

しかし、大魔王の魔法力を自らの力のように誇るとは……。

随分と卑小な心根に、堕落してしまったものだなハドラーは。

 

 

「お久しいですなハドラー。

ワシを尋ねていらしたようだが、ご用件を伺いましょうか?」

 

「ハドラー……だと!? オレを呼び捨てにするか、貴様ぁ!!」

 

 

私の前に立ち、借り物の魔法力を誇示する、見苦しい姿のかつての魔王が眼前にいる。

 

私は大魔王バーンその人に会った事もあるので、彼の魔法力だと看破できたが、

そうでなければハドラー自身の魔法力だと誤解してしまったのだろうな。

私は自分の魔法力を高めて、ハドラーと対峙する。

 

大魔王バーンその人であれば、私より魔法力が上だろうことは明白だが、

その威を借るハドラー程度であれば、いまの私の魔法力で十分上回れる。

 

 

「なっ……なんだそれは! なぜ、貴様が……ッ!!」

 

 

少しずつ表情が変わっていくハドラー。

驚愕の為、腰を抜かしかけるが別に足があるわけではないので、

数歩後退して、無意識で臆した事に怒りを覚えたのかこう叫んだ。

 

 

「貴様、ザボエラどういうことだ! なんだそれは、一体、なんなのだ!!」

 

「なんなのだ、とはどういう意味ですかな、ハドラー。

質問は正確にしていただかねば理解できませぬが?」

 

「その馬鹿げた規模の魔法力は、なんだと言っているー!

貴様ごときが、オレが身にまとう大魔王様の魔力を上回るなどありえん!!」

 

 

私はわざとため息をつき、ハドラーに向き直ってこう言った。

 

 

「あなたがご自身で鍛え上げたのであれば、見事な魔力であるし、脅威にも感じましょう。

ですが、子供が大きすぎる晴れ着をまとうようなその姿。

大魔王という虎の威を借りる狐があなただ。

見苦しい、という一言に尽きますなハドラー」

 

「お、おのれ! オレを馬鹿にするつもりかぁッ!!」

 

 

精神体の体で私に殴りかかるハドラー。

だが、その拳は私の肉体をすり抜けた。

やはりと思い、私は答えずに退散呪文(ニフラム)を放つ。

 

 

「ぐおあっ!?」

 

「少しは効くようじゃが、致命傷にはならぬようですな。

暗黒闘気生命体というよりは、純粋に精神体の存在ということですかな?」

 

「貴様、オレに逆らうというのかザボエラ!!」

 

「かつての魔王として、地上に覇を唱えようとしたあなたは、

今少し威厳があったものですがな……」

 

 

私は勇者アバンと獄炎の魔王のシーンを、幾つか思い浮かべながら、ハドラーに語り掛ける。

少々早いが、原作でのアバン殿の言葉を借りて挑発してみるとしよう。

 

 

「大魔王の使い魔に堕落したあなたに、従ういわれもありませぬ!

それに、逆らう逆らわぬもないでしょう。

あなたとは別に主従関係ではありませぬぞ、ハドラー」

 

 

私はピシャリと言ってみた。

いま、この場から早々に逃げられては困る。

怒りでワナワナと震えて、激高するハドラー。

 

 

「つ……使い魔だとぉ!! オレをどこまで愚弄する気かザボエラァ!」

 

 

ハドラーは原作では好きなキャラクターではある。

だが、彼がイレギュラーであっても、成長して最強クラスの存在になることは分かっている。

超魔生物になる可能性は、(ザボエラ)がここにいるから、

どうかわからないが、強敵となりえる存在は排除しておくべきだろう。

 

 

退散呪文(ニフラオン)!!」

 

 

私の言葉と共に、退散呪文(ニフラム)より強力な光の奔流がハドラーへ向かう。

だが、それは現れた四体の、黒いさまようよろいによって遮られてしまう。

流石に無傷とはいかないようで、直撃した二体がそのまま倒れ伏して、

暗黒闘気を鎧から霧散させて動かなくなる。

 

私の横に竜水晶が来て、既に両手を水晶の剣にしていた。

その間に、黒いさまようよろいは数を増やしている。

待てよ。まさか、さまようよろいではなく、シュバルツシュルトではないのか?

さまようよろい系でも最上位に属する、強力な存在だ。

ということはまさか……。

 

 

「下がるのじゃ竜水晶!」

 

 

私の言葉はいま一歩遅かった。足が動かない。

恐らくはミストバーンの闘魔滅砕陣(とうまめっさいじん)に囚われてしまっている。

 

その予想は当たっており、ミストバーンがシュバルツシュルトの後ろから姿を現し、

ハドラーに話しかけている。

 

 

「……ハドラーよ。なぜ、勝手な真似をした」

 

「お、オレはただ……」

 

大魔宮(バーンパレス)へ戻る。異論は許さぬ」

 

 

その間に竜水晶が光の闘気を放って、闘魔滅砕陣(とうまめっさいじん)を切り裂いた。

私は竜水晶を瞬間移動呪文(ルーラ)で巻き込んで、距離を取った。

そのまま、もう一度、退散呪文(ニフラオン)を叩きこむ。

一体でもシュバルツシュルトを減らせればと考えたのだ。

 

数体のシュバルツシュルトを倒したが、20体以上いる黒い鎧たちが殺到してくる。

彼らを排除せねば、ハドラーを倒せぬので、戦おうと思ったところ、

ヨミカイン魔導図書館から出てきたロカ殿が、シュバルツシュルトにタックルを食らわせる。

 

さらに蹴りを叩きこんで、距離を取ったロカ殿が私に話しかけてくる。

 

 

「大丈夫かザボエラさんよ! ところで、どうなってるんだ?」

 

「状況は分からぬがあの二人が……」

 

 

とロカ殿にミストバーンとハドラーの話をしようと思ったところ、二人は既にいなくなっていた。

 

 

「話は後だ。任せておけ……武鋒・豪破一刀!!!」

 

 

地面に伝わった闘気が、ロカ殿の刃に宿り放たれる。

殺到したシュバルツシュルトの前衛、五体が真っ二つに切り裂かれる。

その間に竜化していた竜水晶の光の吐息で、残りのシュバルツシュルトを倒した。

 

 

「魔王ハドラーの……恐らくは精神体のようなものがやってきておったのじゃよ」

 

「アイツ、そんな姿で動けるのか。今度来たら叩き斬ってやる」

 

「まんまと逃げられたなあの男」

 

 

精神体に退散呪文(ニフラム)が効くかは分からなかったが、良い実験にはなった。

暗黒闘気生命体や、禁呪法生命体ほどに劇的な効果はないようだ。

 

 

「さすがに二度も三度も来ぬじゃろう。

ハドラーはワシらにダメージを与えられぬが、ワシらは退散呪文(ニフラム)でダメージを与えられる」

 

「しかし、小さい男だったな。借り物の力を、汝に見せつけて」

 

「できればここで仕留めたかったのじゃが……上手くはいかぬか」

 

 

千載一遇のハドラーを倒すチャンスだったが、恐らくはこんな隙は二度は見せないはずだ。

いまのハドラーは一番精神的にダメな時代のものだろうが、

大魔王バーンは前に会った感じでは恐らく安定しているだろうからな。

 

ミストバーンにお小言を貰って終わりというところか。

マトリフ殿やアバン殿にも伝えておかねば。

魔王ハドラー復活の兆しを……。

 

 




独自設定

ハドラーの精神体
勇者アバンと獄炎の魔王では、倒されたすぐ後にこの姿になっていましたが、
こちらでは最近までずっと眠りについていたという事になっております。
なぜ、いま、目が醒めたかは閑話で説明します。
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