ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~ 作:リドリー@犬小屋
次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。
*60話辺りから大魔王陣営で何が起こってたか
ということについての話になります。
デスカールは魔界の
ガルヴァスの独断専行により、ブレーガン、ベグロムが戦死。
ダブルドーラは倒される直前に、
ガルヴァスの独走についてダブルドーラの報告を受け、
詰問するために鏡を使った通信呪文を使用するが返答はない。
デスカールはすぐに、悪魔の目玉で第四宮廷に連絡を取ったものの、
連絡に応じないという異常事態が発生した。
「まさか、ガルヴァス殿……いや、ガルヴァスの反乱か?」
「恐れながらデスカールさま。
魔界にいる悪魔の目玉の反応が、妙でございます」
「妙とはどういうことか?」
地上の
第四宮廷の悪魔の目玉が死んでいる可能性があるらしい。
すぐに第四宮廷に近い、第五宮廷の悪魔の目玉が数体向かった所、
先行した三体が毒で死亡。
それを見て、第四宮廷が毒に満たされて状況確認が無理だという事が判明する。
彼らはあずかり知らぬことだが、グランナードが第四宮廷の壁に、
所々穴を空けて回ったため、建物外に毒が放出され、
盆地のような第四宮廷外部に毒が滞留していたのだ。
毒が通じない肉体であるデスカールが、自ら赴くかと考えている。
そこへ、ガルヴァスの不審な行動についての事情を聴取するために、
地上へやってきていたメネロがデスカールに進言した。
「待ってデスカール。あなたはミストバーン様の側近。
ガルヴァス殿がもし死んでいるとすれば、あなたにまで何かあった場合、
魔王軍の戦力低下は甚大なものになるわ」
「しかしな、状況を確認せねばなるまい。
このような事にミストバーン様のお手を煩わせるわけにはいかぬ以上、
私がアンデッドの精鋭を連れて赴く他はないであろう」
「既に後手後手に回っているから、いま迅速に動こうとすることは拙速だわ。
まず、状況を確認してから向かうべきでしょう?
魔界に残してある私の部下にマージマタンゴがいるわ。
彼らは毒に強いから、何が起こっているか確認させましょう」
メネロの冷静な意見をデスカールは首肯し、
マージマタンゴからの報告を待つことになった。
一日経過した後、マージマタンゴから魔界にある浮遊樹を介し、
地上の
戦いによって倒された者のみであること。
そして、地下に存在する施設において、多数の超魔生物と、
ガルヴァスらしき人物の屍が並んでいた……という報告があがった。
何者の仕業であろうか……?
状況を考えれば、ガルヴァスが手勢を率いて攻めたという、
ヨミカイン魔導図書館のザボエラたちの仕業だろう。
彼らの強かな逆撃を受けて、ガルヴァスが未完成の超魔生物を放出したが、
敗死したという結果だろうか。
既にガルヴァスが死んだことで、
ザングレイとメネロの二人への聴取は意味をなさない。
そのため、即刻聴取は中止となり、状況を調査して対応策を練るため、
デスカールは二人に頭を下げ協力を仰いだ。
単純なザングレイは同僚の頼みを快く引き受けた。
彼よりは計算高いメネロはデスカールを介して、
ガルヴァス閥からミストバーン閥へ戻るための布石として承諾する。
デスカールが気にかけているのは、ガルヴァスの手足として、
超魔生物の研究を続けていたザムザの行方が知れない事だった。
これについてはメネロとザングレイから聞くことができないため、
ガルヴァスが連れて行った三人の内、唯一生き残ったダブルドーラから話を聞いた。
実はダブルドーラたちは詳細を聞かされておらず、地下の重要な魔法装置のキーを、
ザムザが盗み取って地上へ逃げたから、追い詰めて殺せという命令だったそうだ。
むしろ、ザムザについては、超魔生物の研究に携わっていた、
悪魔神官たちが詳しく知っていた。
彼らもメネロとザングレイと共に、聴取するため地上へ連れてきていたのだが、
そのおかげで命を拾った形となる。
悪魔神官たちの話では、ガルヴァスがザムザに厳しく当たっており、
諌めた祈祷師がガルヴァスに
見て見ぬふりしかできなくなったそうだ。
あれではいつ死んでもおかしくなかったのでは、
という証言を集める事ができた。
その後、メネロ、ザングレイと兵を集めて第四宮廷の研究施設を調査。
建物の補修作業を開始し、問題の地下にあるという施設に入った。
気になっているのは、何か大きな魔法装置があったと思われる場所が、
まるで空間を抉り取ったかのように円形に無くなっている事だ。
ザムザしかその研究に携わっておらず、他に誰も研究内容を知らないため、
謎は残るが追及しようもないというのが現状である。
ザングレイはヨミカイン魔導図書館への再度の侵攻を進言した。
真正面からザボエラ達を打倒し、ザムザが生きているなら連れ出す。
その上で、事情を聞いてみてはどうかと武断的な意見を述べた。
「そうは言うがなザングレイよ。
お前の方が強いが、ブレーガンたち三人も強くなっていた。
更にガルヴァス殿は極大呪文を使える術者だ。
同行した兵たちも精兵であり弱卒ではない」
「ぐむぅ……! 確かにそうだが……」
「にもかかわらず彼らは敗北した。
そこから導き出される結論は、敵はそれを撃滅しうる戦力だという事だぞ」
「だがな! やられっぱなしは性に合わんのだ!」
デスカールがヨミカイン魔導図書館へ攻めたくないという意図を、
メネロは正確に洞察して、その援護射撃を始める。
「ザムザから得られる情報が、その謎の魔法装置の話でしょ?
なおかつ既に装置がないし、その用途も不明。
よく分からないモノの情報を得るために、そんな強者相手に兵力を損耗するのは無駄よ」
「ぐぬぬぬ……。分かった。オレは関わらん。
もし、攻めるなら連れて行ってくれ。オレは頭が悪いから判断ができん!」
ザングレイはデスカールとメネロの言葉で、不承不承納得した。
その後、デスカールは事件の顛末をまとめ上げ、
既に第四宮廷の建物の補修作業はほとんど終わっているが、
研究施設の方を再建するかどうかはミストバーンの裁可を待つことになっていた。
デスカールの報告書を読みながら、幾つか質問をして状況を把握したミストバーンは、
報告書の作り主である目の前の男の意見を求めた。
「デスカール。
ガルヴァスの心変わりについて、お前はどう考える?」
やはり、
「いままでの行動を鑑みるに、ガルヴァス殿らしくはないと、そう考えておりました。
既に本人から聴取することができませんので、
状況からの推測になりますがよろしいでしょうか?」
ミストバーンは静かに頷き、デスカールに対して話を続けるよう促した。
「ザムザの持ち込んだ超魔生物学の研究成果が著しいものでありました故、
ガルヴァス殿が内に秘めた魔軍司令への野心に火がついた……。
それ故、常軌を逸した行動を行ってしまったのではないでしょうか」
「ガルヴァスはハドラーより前に私に敗北した魔族で、
魔界の強豪としては頭一つ飛びぬけた人材だった」
「その話は初めて伺いましたな」
デスカールはガルヴァスがミストバーンに敗北して、
大魔王軍に勧誘された話を聞き、そう感想を漏らした。
ミストバーンは軽く頷いて、話を続ける。
「単純な強さだけなら、その当時のガルヴァスより上は幾らでもいたのだ。
だが、その一軍を率いた統率力と野心を、大魔王様に期待されていたが……」
ミストバーンは、デスカールの知らぬガルヴァスの過去を語り続ける。
「大魔王様曰く、
"仕官した事により大魔王軍内部での権力争いで
ガルヴァスは小さくまとまってしまった"
との仰せだった。
故に力では取るに足らないが、覇気に溢れ魔王軍を見事統率したハドラーを登用したわけだ」
「左様でしたか……。
超魔生物についての話ですが、いかがいたしましょうかミストバーン様。
研究をこのまま続けるのか、辞めてしまうのかという話でございます」
研究に携わっていた悪魔神官たちの話では、そもそも中心人物であったザムザの失踪。
それに彼が半年ほど地下で、何かの研究に従事させられていたため、
進展がなかったということだ。
だが、超魔手術によるザングレイやメネロに対しての効果は絶大であり、
このまま半ばで放棄するのは惜しいという意見もある。
基礎研究はザムザのまとめ上げたものがあるので、
その発展研究を行っていけば、現在の超魔生物の問題点である、
変身した際に呪文が使えないという欠点も克服できる可能性があるということだ。
ただ、ここで勘違いしてはいけないのは、寿命が極めて長い、
魔物であるとか魔族の尺度だと、いずれというのは数百年後の可能性もある。
それを考慮して、ミストバーンは現在の超魔生物学の進捗を問いただした。
「超魔手術ではなく、身体の変身をともなう超魔生物になった場合、
呪文が使用できなくなる弱点は克服できておらぬのだな?」
「仰る通りです、ミストバーン様」
「ふむ……魔族の戦士が強いのは、ドラゴンを除けば、
強い身体能力と強大な呪文を併せ持つからこそ。
それゆえに、変身で強力な身体が手に入っても、呪文が使えねば欠陥品にすぎぬ」
「ザングレイの場合ですが、彼はそもそもが呪文が使えませぬ。
故に超魔生物への改造を願い出ているのですが、未来の百獣魔団長になにかあっては困ります。
現状、判断を保留して、待つように言い渡してございます」
そのデスカールの言葉を聞いたミストバーンは、少し考えた後に自分の意見を話し始めた。
「超魔生物学に関しては、研究を続ける事を許可する。
ただし、あくまでザングレイやメネロたち、六大団長候補は手術に留めよ。
超魔生物が安定した場合に、私とお前でもう一度話し合い決める事にする」
「畏まりました。では、研究施設を再建いたします。
この事は大魔王様のお耳に入れるのでしょうかミストバーン様?」
「うむ。私からお知らせしておく」
ミストバーンは思い出したように、デスカールに話し始めた。
「そういえば……。
大魔王様のお言葉では、そろそろ周期的な眠りも明けるそうだ。
鬼眼の修復が終わり、魔力が安定なさって来たという話を伺っている」
「おおっ!? なんとめでたい!!
大魔王様ご快癒を祝しまして、人間を抹殺して魂を捧げましょうか?
地上の村を襲撃して、千人ほど血祭りにあげれば、お喜びいただけますかな……」
骸骨なので表情が読み取りづらいが、うっとりしているようなデスカールに、
冷や水を浴びせるかのようにミストバーンが話を続ける。
「やめよ、デスカール。いらぬ騒ぎを起こすな。
……お前は大魔王様の事となると、落ち着きを失うな……」
ミストバーンは腹心の極端な発言に、ため息をつきながらそうこぼした。
一週間後。
大魔王バーンが起きている際に、事件の報告をしたミストバーン。
バーンは面白そうに話を聞き、ミストバーンが驚く発言をした。
「実はなミストバーンよ。
余は此度の眠りの間に世界をまたぎ、この
世界に巨大な亀裂が走っているのを見たのだ」
「そ、それは!?
如何なる対処をすればよろしいのでしょうかバーン様!?」
「フフッ……。まぁ、落ち着けミストバーン。
いまは亀裂は塞がり、ヒビ程度に収まっている」
普段は落ち着いているミストバーンが、大魔王の発言に看過できぬ驚きを感じ、
思わず非礼を忘れて大声をあげてしまう。
大魔王は腹心の驚愕する様を楽しそうに眺め、言葉を続ける。
「しかも、その発端が魔界であったのが驚きでな。
つまり、ガルヴァスが何を行っていたか分からぬが、
世界を破壊するような事をしていたのだろうと推測がつく。
そうなると、余たちはザボエラに救われたのやもしれぬぞ?」
「……皮肉な話でございますな……」
「ガルヴァスにそのような野心があったとはな。
見直しはしたが、己の世界を破壊せんとするのは、自らの尾を食らう蛇に等しい。
野心は買うが手段がよくはなかったということだな」
「仰る通りかと」
満足げに話す大魔王は更に、ミストバーンを驚愕させる言葉を続けた。
「世界を渡ったためか、遥か遠くの気配を感じ取ることができてな……。
元来、数百年後になるかと思っていたが、
またもや不死鳥ラーミアがこの世界に舞い戻るやもしれぬ」
「不死鳥が、でございますか大魔王様。
此度は逃がさぬようにしとうございますが、20年前は少々手勢を失いましたな」
丁度、20年ほど前、死の大地に気まぐれに降り立った不死鳥を、
大魔王は珍しいものを欲する程度の心持で、魔界の猛者200名で囲んで捕縛させようとした。
しかし、伝説の不死鳥はすさまじい強さであり、
炎をまき散らして魔界の魔物200を焼き滅ぼした。
余談であり大魔王は知らぬ事だが、その時に放たれた残り火を、
後年、マトリフの弟弟子の一人であり、サババの自称冒険家である、
ディードックが拾った事はまた別の話である。
「世界を渡った余の望みは、不死鳥ラーミアを手中にし、他の世界へ渡る術を聞き出す。
そして、余の大望である地上の破壊が叶った暁には、
天界を滅ぼした後になるが、他の世界も余が統治してやろう」
「おお……なんと気宇壮大なお考えでありましょう、バーン様!!」
大魔王の更なる野心を聞いたミストバーンは、そのスケールの大きさに驚嘆した。
やはり、大魔王の価値観は自分とは、根本的に違うのだ……と。
「結局、余が回った世界には、魔族や魔の者の軍勢が、世界を支配し続けた試しはなかった。
異世界で叶わぬというなら、為せる者がおらぬであれば、この余がやらねばならぬ。
その事実を知らねば、異世界の野心ある者に任せても良かったが、
誰も彼も失敗し役に立たぬからな……」
大魔王を動かすのは、他と隔絶した強者としての誇りからくる、
強き支配者としての尽きぬ野心であり、義務感でもあった。
地上制圧後の破壊、魔界に太陽を取り戻し、天界に攻め入る。
やるべきことは決まっていたが全て、彼の勝利は約束されているどころではなく、
勝利が確定されているつまらぬ作業であると考えていた。
それゆえに、自らが挑戦者となるであろう、
未知の世界への侵攻という事態に心を躍らせているのである。
そこでフッと笑い、ミストバーンに嬉しそうに語る大魔王。
「誇れよミストバーン。
そなたの主は、いずれ三千世界をまとめあげる、真なる大魔王となるであろう!」
「これまでにも増しての忠誠を、バーン様に捧げます!」
「できればそのような大望を掲げた時、余の傍らに知恵者が一人欲しい所だが……」
ミストバーンは大魔王が誰について話しているか分かった。
ヨミカイン魔導図書館のザボエラについてであろう。
不用意に攻めたガルヴァスのせいで、貴重なブレーガンやベグロムといった、
魔王軍の幹部から戦死者がでてしまった。
デスカールがザングレイとメネロを地上に連れてきていてくれなかったら、
ガルヴァスが二人もヨミカイン魔導図書館強襲に動員した可能性もある。
危うく百獣魔団長と妖魔士団長を、一気に二人失ってしまったかもしれない所だった。
「恐れながら大魔王様に
ザボエラという人物でございますが、あの男は忠誠心とは無縁の男のように見受けられます」
「フフ……そなたがザボエラの登用に反対であること分かっておる。
だが、あの男の深い知性と、柔軟な視座は余の欲するところではある……」
その大魔王からザボエラに対しての絶賛とでもいうような評価を聞き、
ミストバーンは嫉妬心にも似た感情が巻き起こるのを抑えきれなかった。
それゆえではないが、強引に話題を変える様に別の話をするミストバーン。
「大魔王様。
此度、首だけで戻りましたダブルドーラの処遇についてですが、
私に一任いただけますでしょうか?」
「ほう、何か腹案があるのかミストバーンよ?」
突然の提案に驚きもせず、腹心の言葉を促す大魔王。
「現在、虎の子の魔影軍団最強の鎧を量産しておりますが、
彼らを率いる部隊の長に任じようかと考えております」
「ふむ……だが、いまの強さでよいのか?
新しい革袋を用意しても、酒が古くては意味をなさぬのではないか?」
古い酒を新しい酒袋に入れて、新しい酒だと偽る商人の逸話を例えにして、
ミストバーンのダブルドーラの人事に疑問を呈する大魔王。
無論、ミストバーンはその疑問に対しての答えを用意していた。
「それゆえ、大魔王様の許可を頂きたく。
彼奴も暗黒闘気生命体でございます。
魔界において、更なる修行を積ませようかと存じます」
「なるほど。余がそなたに伝授した同族を倒せと言う試練を、
ダブルドーラにも課そうということだな?
面白い。では、やってみるがよかろう」
「ハハッ……ありがたき幸せに存じます」
この後、ハドラーに先んじて新しい鎧のボディを得たダブルドーラが、
魔界において修行を積み、氷の暗黒闘気である
魔影軍団副団長として、ミストバーンに代わり実働部隊を率いることとなる。
独自設定
大魔王の野望
地上を破壊して太陽を魔界に与えるという目的を達した後は、
大魔王のやるべきことは天界を攻め滅ぼすだけでしょう。
マザードラゴンの言葉ではすでに神の力を超えているというので、
大魔王の気分としては消化試合の心持でした。
そこに他の世界の情報が手に入り、魔の者は支配を続けられず、
人間に世界を取り返されているという姿を見てしまいます。
誰も成功できていないのなら、自分が異世界に赴いて、
魔族に支配を取り返してやろう、
という考えに駆られている状態です。
本人的には強者・支配者としての責任感なのですが、
他の種族、とくに人間にとっては迷惑なことではあります。
ダブルドーラ
金属生命体なのか、暗黒闘気生命体が鎧に憑依しているのか、
分かりませんが、映画では空裂斬に一撃で倒されているので、
暗黒闘気生命体という事にしました。
鎧武装フレイザードや、魔影軍団最強の鎧を改造して、
肉体としています。
イメージ映像はこんな感じです。
【挿絵表示】
炎の暗黒闘気があるなら氷の暗黒闘気があってもいいかなと思い設定しました。
性能も逆で、攻撃の魔炎気に対して、防御に振った感じです。
設定段階で、
それぞれが、負けん気に聞こえる・ひょうがしっくりこない・
魔闘気と勘違いしやすいので没になりました。