ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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昼の時間で修正しましたが、何かありましたら誤字報告などよろしくお願いします。

次回は来週の木曜日23時頃を予定しております。



第七十九話 パプニカ攻防戦決着。そして……

 

マァムが豪破一刀で、ボーンクラッシャーたちを何体も叩き斬っている。

彼女が回り込まれないように、ボリクスとノヴァが左右で動いて敵を翻弄。

ボリクスが足の速いグレイトライドンを閃熱呪文(ベギラマ)の魔法剣で中距離から攻撃して仕留め、

デスプリーストが呪文を放つ前に闘気の剣(オーラブレード)で倒すノヴァ。

よいコンビネーションだ。

 

バダック殿が率いるパプニカ戦士団も一緒になって戦う。

彼らも我々が来るまで戦い続けたのだろう。

怪我をしていない者がいないほどだが、みな気力を振り絞って前線に立っている。

 

私は状況をみながら、ザムザとアポロ、コルキ殿率いる魔法兵団と共に、

攻撃呪文や補助呪文で援護をしている。

 

状況は悪くはないが……。

ラザマナス本体が立っていると、彼の邪気の効果範囲内でアンデッドが復活してしまう。

 

私たちが退散呪文(ニフラム)を叩き込んでも、すぐに黄泉返ってしまうのだ。

大破邪呪文(ミナカトール)の聖なる力の効果範囲が、

パプニカの王都から100mほどの距離しかない。

つまり、その距離から離れれば、ラザマナスの邪気でアンデッドは戦列に復帰する。

 

ラザマナスは巧妙にアンデッド達を動かして、少しずつ王都から距離を置いて戦っていた。

なかなか上手いやり方をしてくると対策を考えてはいるが、

こちらの攻撃を受け流しつつ後退するラザマナス自身が厄介だ。

 

 

魔力吸収呪文(マホキテ)!」

 

「くそ、またか!」

 

 

ラザマナスが魔力吸収呪文(マホキテ)を唱えて、すぐに闇魔法呪文(ドルクマ)を放ってくる。

しかも、闇魔法呪文(ドルクマ)を、大魔王バーンの爆烈呪文(イオラ)の嵐のように、

大量に出現させて叩きつけてきていた。

 

ラザマナスは老バーンと同じように二回行動をしてきている。

恐らく魔法力が極めて高く、溜めを必要としていないのだろう。

 

間断ない呪文攻撃に、ザムザが毒づいているが、それどころではなかった。

一体のデスソシストが、両腕を掲げて、炎のアーチを描き打ち出したのは──

 

 

極大閃熱呪文(ベギラゴン)

 

 

私は集束呪文(マホプラウス)を使って、極大閃熱呪文(ベギラゴン)を吸収。

出の早い閃熱呪文(ギラ)で突出したアンデッドたちにぶつけるが、ラザマナスたちの攻撃は止まない。

 

 

極大閃熱呪文(ベギラゴン)だと……!? 爆烈呪文(イオラ)!!」

 

 

さらなる極大閃熱呪文(ベギラゴン)を用意していたデスソシストに、ザムザが爆烈呪文(イオラ)を叩きつける。

極大呪文の予備動作中だったのでまともに食らって倒れたが、

ラザマナスの邪気でフラフラと黄泉返ってしまった。

 

すぐ横に立つデスソシストが再度の極大閃熱呪文(ベギラゴン)を放ってくる。

対して、アポロが呪文返し(マホカンタ)で反射し、

極大閃熱呪文(ベギラゴン)を直撃させてデスソシストを一体消し炭にした。

残念だが、こちらもラザマナスの邪気の範囲内なのですぐに立ち上がる。

 

 

「くそっ! きりがないぞ!」

 

「いや、いまのやり方でよいじゃろう。極大呪文に極大呪文で対抗せず、

呪文返し(マホカンタ)ではじき返したのは良い手ですぞ」

 

「……あ、ありがとうございます」

 

 

気になって聞いてみたら、マトリフ殿は滅多に褒めないので、

私に褒められて驚いたらしい。

 

ボリクスが飛翔呪文(トベルーラ)で飛んできて、私に声をかけた。

 

 

ザボ爺(ざぼじい)! 先にあの四人倒した方がええな!」

 

「頼めるかボリクスよ?」

 

「任せろや! みんな行くで!」

 

「ザムザ、アポロ殿。我らは援護を」

 

 

私の横にいるザムザとアポロ殿に声をかけた。

ザムザは突出してくる敵を、攻撃速度が早い閃熱呪文(ギラ)系の呪文で出鼻をくじいている。

 

アポロ殿は魔法兵団に指示をして、アンデッドの浸透を防ぐ地爆呪文(ジバリア)のバリケードを築く組と、

彼らを守る組に分けて展開させて、王都に近づけない腹だ。

グランナードも協力して、地面から岩の壁を出現させて防御を固めている。

尤もラザマナスから距離をおいたアンデッド達は、

倒せば死ぬので対処できるだけマシではある。

 

疲労を知らない敵との戦いで、魔法兵団は疲弊しているように見える。

おそらくはマトリフ殿の下、厳しい訓練に身を置いてきたのだろう。

その上で精神力を消耗する魔法使いとして戦い、僧侶として怪我人を癒やしてきたのだ。

疲れも極限まで達しているだろうから、早めに決着をつけた方がいいだろうな。

 

そう考えていたところ、距離を詰めたボリクス達の前に、首無し騎士が六体立ちはだかった。

トゲのついた鉄球を鎖で繋いだフレイルを持ち、大きな盾には苦悶の表情が刻まれている。

ただ、単なる飾りではなく、それがアンデッドであることは、表情が変わることで分かる。

 

 

「デュラハーンか! 攻撃力が高く、攻撃範囲が広いアンデッドじゃ。

不用意に近づくでないぞ!」

 

 

その声が届くのが遅かったようで、グランナードが鉄球を一撃食らって吹っ飛んだ。

マァムが心配して声をかける。

 

 

「グラン! 大丈夫!」

 

「お嬢! オレは平気だから敵を見ろ! 危ねぇぞこりゃ!」

 

 

マァムに迫る攻撃を、ノヴァが闘気の剣(オーラブレード)で受け流す。

ボリクスが二体を相手にしているが、こいつを先へ進めては危険だ。

 

私は退散呪文(ニフラオン)を叩き込むが、ラザマナスの邪気の領域にいて、

鉄球で遠距離から叩きつけてくるためか、すぐに黄泉返ってしまう。

 

となれば……逆転の目を考えねばなるまい。

 

 

「ザムザ。ワシとお前でアレをやるのじゃ」

 

「分かりました……。アポロ殿、我らは少し呪文に集中します。

時間を稼いでいただけますか?」

 

「お二人で……? まさか! 分かりましたお任せをザムザ殿!!」

 

 

勘が良いのかアポロ殿が気づいたので、ザムザが時間稼ぎを頼む。

意図を理解してくれて、アンデッド達を近づけぬようにしてくれた。

 

私は準備が整ったので、デュラハーンと戦うボリクス達に声をかけた。

 

 

「みな退くのじゃ!」

 

 

ボリクスが飛翔呪文(トベルーラ)でマァムとノヴァを引っかけて、射線上から遠ざかった。

ザムザが準備していた極大爆烈呪文(イオナズン)に、私が極大爆烈呪文(イオナズン)を合わせる。

 

 

「父上、行きます……!」

 

「出力を絞って……これで成功じゃ! 神域爆烈呪文(イオグランデ)!!」

 

 

ザムザは極大爆烈呪文(イオナズン)に注ぐ魔力を調整しつつ、それに私が合わせて放つ。

威力はシドーの神域爆烈呪文(イオグランデ)には及ばないが、

通常の極大爆烈呪文(イオナズン)よりも数段上の爆烈エネルギーが放出された。

 

実際、デスソシストも吹き飛ばし、デュラハーンも倒した上、

ラザマナスや彼の率いるアンデッドも葬り去った。

 

魔力吸収呪文(マホキテ)を施されたデスソシストが、二体生き残るかと思っていたが消えていた。

恐らくだが魔力吸収呪文(マホキテ)の許容量を超えたのかもしれない。

 

さて、ラザマナスが"あの能力"を持っているか分からないが、可能性を考えて手を打っておこう。

私はラザマナスがいた辺りに、火炎呪文(メラ)を一発放った。

 

 

「どないしたん? ザボ爺(ざぼじい)?」

 

「油断してはならんぞボリクス。あやつは黄泉返ってくる……」

 

「なんやて!?」

 

 

ボリクスの驚く声に呼応するように、暴風のような邪気をまとい、

ラザマナスが立ち上がり黄泉返ってきた。

パッと見でクロコダインより一回り大きいほどの巨体だ。

"不滅の王"の能力で復活すると、一回り巨大化するという、

ドラクエモンスターズスーパーライトの能力を使ってきたな。

彼が両腕に暗黒の魔力を貯めているが、おそらくは極大闇魔法呪文(ドルモーア)だ。

しかし、既に準備は整っている。

 

 

「我が極大闇魔法呪文(ドルモーア)にて葬ってくれる!」

 

「さて、それはどうかのう?」

 

 

私は氷結呪文(ヒャド)を彼の足下にある火炎呪文(メラ)の炎に、

丁度同じ魔法力になるように調整して、ぶつけた。

 

 

「その程度の呪文、我を阻むことなどできんわ!」

 

「その油断がお前さんの敗因じゃよ」

 

 

それほどの魔力を込めてなかったせいか、ラザマナスはその氷結呪文(ヒャド)を見逃した。

ボッという音とともに、ラザマナスの足下から消滅エネルギーの球体が発生する。

しかし、ラザマナスが不滅の王で復活した姿が、

私の想定よりも大きく、右足を奪っただけだった。

 

口からステッキを出して、足代わりにして邪気を集中して放ってきた。

紫色の邪気が煙のように放たれ、そこから同じ色の稲妻がこちらへ飛んでくる。

紫電の瘴気か!? いかん。私の肩を貫通した邪気が毒を送り込んでくる。

しかし、直接邪気から送り込まれるだけあって、強力な毒だ。

私にも毒が効いていると言うことは……みなが危ない。

 

ザムザは膝をついているアポロに解毒呪文(キアリー)を施しているし、

魔法兵団たちも倒れ伏しており、回復呪文を使って味方を治している者がいた。

ボリクスとノヴァは、まともに食らった兵達を、治療できる僧侶の元へ運んでいる。

 

ラザマナスは満足そうに哄笑すると、邪気を集め始めた。

 

 

「次で終わりにしてくれるわ!」

 

 

ラザマナスから、再度の紫電の瘴気が放たれる。

そのラザマナスの攻撃から、我々を守るように立ちはだかるマァム。

彼女の構えは剣を大地に突き刺す、カール騎士団正統の構え。

だが、マァムを中心に広がる光の武鋒円が、紫電の瘴気から我々を守ってくれた。

まさかこれは……完成していたのか、あの技が。

 

 

「なんだそれは! 我が瘴気を防ぐ、その不愉快な力は!」

 

「武鋒円。私が父さんから受け継いだ、カール騎士団正統の構えの真髄。

闘気を武鋒円の中に満たし、背後にあるモノを全てを守るための技よ」

 

「そのような技……人間が使えるはずがないわ!」

 

 

さらなる紫電の瘴気が繰り出され、無数の紫色の稲妻が飛んでくる。

だが、武鋒円から上り立つ光の柱が、全ての邪気を防ぐ。

背後の者全てを守らんとする、カール騎士団正統の構えの手本を見せられているようだ。

 

それにしても、マァムの作り上げる武鋒円が広い。

父、ロカ殿よりも、広い武鋒円だ……。

 

業を煮やしたラザマナスが、跳躍して黄金の爪でマァムに斬りかかる。

 

 

「これ以上、パプニカの人たちを傷つけさせない!

カール騎士団伝説奥義! 武鋒・豪破一刀!!」

 

「ぐおおおおおおおお……!!」

 

 

まともに食らったラザマナスが逆袈裟切りの形で、両断され、

身に宿した邪気もろとも、浄化されてゆく。

 

円内の闘気を全て剣に注いで、最強の一撃を繰り出す技だ。

ロカ殿はこの技で、大変なダメージを負ってしまった。

だから、発想を変えたのだ。

 

英霊になってから、周囲の気を感じ取ることもできるようになったそうで、

自分の中に内在する気だけではなく、外に溢れる気を集める戦い方を覚えたらしい。

 

故にいまマァムが使う武鋒・豪破一刀は、己だけの闘気エネルギーを使い、

生命を失う可能性がある技ではなく、昇華された技であるのだ。

 

ラザマナスは首だけで飛翔し、真っ二つにされて武鋒・豪破一刀の光によって、

消されていく己の肉体から遠ざかった。

 

なんとしぶとい。

頭だけで逃れたラザマナスがこちらへ叫ぶ。

 

 

「お、おのれ! だが、我は頭だけでも──」

 

「逃がさんぞ! ノーザングランブレード!!」

 

 

そのラザマナスの行動を読んでいたノヴァが、

大上段から必殺技を食らわして今度こそラザマナスを倒す。

 

これで大勢は決した。

私は苦戦している者や怪我人をサポートしようと、後方から全体を見つめていた。

すると、ノヴァが瞬間移動呪文(ルーラ)で私のもとにやってきた。

 

 

「見事な判断じゃったなノヴァ。

お前さんは一歩引いてみなを助け、よい働きじゃったぞ」

 

「ありがとうございますザボエラさん。

あの、ボリクスからすぐ伝えてくるように言われて飛んできたのですが……」

 

 

ノヴァから聞いた話は、重要な言葉だった。

我々には届かなかったのだが、とどめを刺したノヴァは、

ラザマナスの最期の言葉を聞いていたのだ。

曰く、"妖将め……! (たばか)りおったな!" という声を。

妖将というのは、ヴェルザー十二魔将の一人、バズズの異名である。

つまり、この襲撃はバズズの手引きと言うことだ。

 

怪我人を治療したり、パプニカの王都の被害をあらかた修復した後、

私はマトリフ殿に妖将バズズの件を話した。

マトリフ殿は腕の立つ精鋭でチームを幾つか編成。

パプニカ各所を調査させた。

 

 

 

二日後、竜水晶がレイラ殿とマァムを乗せて、先にヨミカイン魔導図書館へ帰還した。

私も帰り支度をしていたところ、マトリフ殿から呼び出される。

話す前から、内容が芳しくないことを思わせる表情をしているマトリフ殿。

 

 

「あまりよろしくない話だ。パプニカの罪人を葬った墓地が荒らされてたぜ」

 

「それは、誰が埋葬されていたのですかな?」

 

「近年だとテムジンと奴の部下たちだな。しかも、掘り返されたんじゃねぇ」

 

「まさか、内側から……!?」

 

 

苦々しい口調で、私の言葉を肯定したマトリフ殿。

状況から考えるとラザマナスを利用して、

何者かが死者をアンデッドにする禁呪法を行ったのだろう。

 

しかし、テムジンを蘇らせることでの利益は、パプニカ攻略の為に使える程度ではないだろうか?

私の記憶ではダイの大冒険の魔王軍が、ドラクエシリーズでよくある人間の王国に対して、

人の弱さを利用したり、情につけ込んだりするような策謀を弄した記憶はない。

色々と考え込んでいる私に、マトリフ殿が声をかける。

 

 

「お前さんはバズズがやったって思うかい?」

 

「可能性はありますな。ただ、確証がないのですが……」

 

 

そこで私の頭に閃いたのは、数日前にザムザと話したデスカールについての話だ。

丁度良いので、優れたアンデッド系の禁呪法の使い手について尋ねた。

 

 

「……オレの師匠、バルゴートの兄弟子にデズモールっていうクズ野郎がいたらしいぜ。

ずばりそのアンデッドの禁呪法で、外道な行いをやりまくった魔法使いだ」

 

 

バルゴートという人は120年ほど生きたらしい。

その彼が20代の頃の話なので、恐らく100年ちょっと前の話だということだ。

 

当時、バルゴートは高名な賢者の私塾で学んでいた。

その私塾で才能を見せ、頭角を現していた弟子の筆頭がデズモールだったそうだ。

ただ、彼は才走りすぎて、師匠の教えを破り、禁呪法に手を出し始める。

そして……ある日、惨劇が起こった。

 

バルゴートの留守の際、デズモールは賢者を殺して、禁断の教えの書を盗み出した。

そして、同門の魔法使いや賢者たちを皆殺しにして、去ったという。

 

盗み出されたのは人間がアンデッドになる禁呪法であり、

デズモールは自身の寿命を延ばすため、死の禁呪法の実験を続けていたらしい。

それから数年の間、各地で人が誘拐されたり、くさった死体に村が滅ぼされるなど、

痛ましい事件が頻発して、バルゴートは兄弟子デズモールの臭いを感じ、その後を追ったという。

 

バルゴートが仕えようとまで考えていた英雄がおり、

彼のサポートをするのが終生の役目だと思っていたらしい。

その英雄がデズモールを倒したが、刺し違えて命を落としてしまったようだ。

バルゴートは二重の意味で悔しかったという。

まずは自分の力が足りず、英雄を完璧に補佐しきれなかったという事実。

そして、デズモールのように力と知恵があっても、正しい心がなければ災厄でしかないという事。

 

だからこそ、ギュータを作った際、勇者の助けとなる魔法使いや僧侶、

賢者を育成するという意味合いと、

力を持った者の責任として、正しい心を持たねばならないという思想を、

弟子達に教えこんだということだった。

 

 

「そのデスカールってのは、チラッとしか見てねぇが……。

バランの旦那を押さえたとき、ミストバーンてのを連れて行った骨野郎だろう?」

 

「左様です。その人物の事ですな。

あの姿でアンデッドではないということはありえぬでしょうから……」

 

 

確証はないがデズモールという優れた魔法使いであり、

アンデッドになる禁呪法を研究していたという人物がいた。

その人物は死んでいるはず=完成していたアンデッドになる禁呪法で、

人間からアンデッドになった……ということだろうか?

 

 

「アイツが元人間で、かつてのデズモールかもしれねぇってことだな。

テムジン達が墓から這い出した事は、デスカールかバズズのどちらかが、

あるいは両方が工作をしてるってか?」

 

「現時点では証拠はありませぬが、可能性は高いでしょうな」

 

 

彼らが何のために、テムジンたちを禁呪法で黄泉返らせたか分からないが、

パプニカを知り尽くしている奴らが敵に回るのは危険極まりない。

 

デスカールかバズズがテムジン達をアンデッド化して、彼らの知恵を借りてパプニカへ侵攻した。

しかし、デスカールもバズズもこの侵攻で姿を見せてはいない。

迷惑極まりない話ではあるが、まだ魔王軍の侵略は始まっていないので、

つついてみた程度の事かもしれない。

 

パプニカの施設や設備の情報は、筒抜けになったと思って当たった方が良いだろう。

マトリフ殿と協議して、城への隠し通路や、防備の体勢を全て洗い出し、

一新して以前とは違うパプニカにする必要が出てくる。

 

お互いに案を出し合って、それについて話し合い、改善点をあげていった。

 

今回、露呈してしまった、呪文対策をされると弱いというパプニカの弱点。

それを補うために私はキラーマシンの技術を応用する提案をした。

私がそれを提言したことについて、マトリフ殿は驚いている。

 

 

「テムジンと同じ発想をお前さんがねぇ。知者は同じ橋を渡るってことか……。

悔しいがこの国で、魔法使いの前衛を作るのは理にかなってるぜ」

 

「野心に目が曇ってはおりましたが、テムジンは戦略眼は正しかったと思いますな」

 

 

いつから研究していたのかと聞かれたが、実は大分初期からだ。

誰かが死ぬのが嫌だったのだが、キラーマシン系は敵のイメージが強すぎて、

表だって使いづらかったし、テムジンの影もちらつく。

物語を俯瞰してみていた読者の私からすれば、

強い戦力であるキラーマシンをすぐ薦めたかったが、

この世界で暮らす人としては抵抗があるだろう。

提案もしづらかったが、すでにそうも言ってられない。

 

 

「研究はしておったのです。じゃが、それを使うことに躊躇いがありましてな。

しかし、パプニカが弱点を突かれて、危地に陥ったとあっては躊躇している余裕はありません」

 

「なぁに、オレの目が黒いうちは、それこそ魔王軍との戦いの後に、

廃棄でもすりゃいいじゃねぇか?

技術は残って悪用するやつもいるかもしれねぇが……ってどうした?」

 

 

どうやら虚を突かれた顔をしていたらしい、私は。

私は戦後廃棄するという選択肢が、頭に全く浮かばなかったのだ。

その事を正直に話すと、マトリフ殿は大笑いした。

 

 

「ハッハッハッハ! お前さんは考えすぎなんだよザボエラ!

技術は残るだろうけど、まぁ、直近の魔王軍対策が大事だ。

その後の事は若い連中に任せようぜ」

 

「確かにその通りですな」

 

 

そう言った直後、私の懐に修めていた英霊の魔法玉が光った。

これは、ヨミカイン魔導図書館に安置されている、英霊をこの世に止めるための魔法玉の、

サブのようなもので、あれに何かあった場合、こちらにロカ殿がやってくるのだが……。

 

"ザボさん……しくじった……"

 

そうロカ殿の声が聞こえた。

 

その時、アポロが部屋の扉を開いて入ってきた。

ノックもなしだったが、息を切らして悲痛な表情のアポロを見て、

見てマトリフ殿もとがめない。

 

 

「どうしたアポロ? 何があった、言ってみろ?」

 

「師匠、大変なことが起きました。ザボエラ様、こちらをお読みください」

 

 

メタッピーにくくりつけられている手紙を読むと、ヨミカイン魔導図書館が襲撃され、

守りについていたロカが倒されてしまったという事が記されていた。

先に帰った竜水晶、レイラ殿、マァムの連名である。

 

 

「ザボエラどういうことだ? ロカはどうなっちまった?」

 

「説明している時間がありません。ついてきてくだされ!」

 

 

私は瞬間移動呪文(ルーラ)でヨミカイン魔導図書館へ飛んだ。

マトリフ殿も私についてくる。

 

ロカ殿の魂は私が持っているサブの魔法玉に入っている。

ヨミカイン魔導図書館に安置されている、魔法玉の子機としての役割がある。

さらに、ロカ殿の魂をこちらへ逃がすため、呪法を施してあった。

 

だが、このままだと私の魔力なしでは、三日を経ずに消えてしまうのだ。

こうなれば、ロカ殿を救う手は一つしかないが……。

 

私は瞬間移動呪文(ルーラ)の速度を加速しながら、

現場に到着した際の状況を考えることで不安を押し殺していた。

 

 




独自設定
魔力吸収呪文(マホキテ)の許容量
呪文返し(マホカンタ)もはじき返せる威力が魔法力によって変化するのがダイ大世界なので、
魔力吸収呪文(マホキテ)も強力すぎる呪文は、吸収しきれない仕様です。

武鋒・豪破一刀
使う人間が生命エネルギーを使い果たして、命を落とす危険性があるなら、
自然から生命エネルギーを得る外気功的な感じで、外からエネルギーを集めようという感じです。

ロカが英霊にならなければ気づけない技でした。

デズモール
バルゴートの兄弟子という立ち位置の人物です。
バルゴートがギュータを作るきっかけになった事件があったんだろうと思い、
デスカールと絡めて作った設定です。
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