ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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四十肩が悪化して、ちょっと注射を打ちまして、医者に安静にしてろと言われました。
一ヶ月ほどお休みをいただきます。
でも、仕事でキーボードは入力しなきゃいけないんですが……。

次回は8月14日木曜日の23時頃を予定しております。




第八十一話 後始末

 

ロカ殿の復活が急を要しており、一見して破壊された跡がなかったので、

ヨミカイン魔導図書館の調査は後回しにしていたが、本格的に全体の確認をして回った。

 

竜水晶がグランナードと手分けをして、危険なモノやいままでなかったモノの調査を行い、

罠であるとかを設置されている危険性がないことは確認済みではある。

 

そもそもが破邪呪文(マホカトール)の影響内であるので、

呪いや邪気で発動する罠を作ることは不可能だ。

 

ただ、元々、作ってある呪いの道具などを置くことはできる。

そういったのろいのベルトや、死の首飾りなどを、

トラップとして設置されては困るわけだ。

 

呪いについては専門家のグレゴリーアがいるので、

彼女が調査して問題は無いと太鼓判を押してくれた。

 

あとは、どの本を盗み出されたかと言うことだ。

一番盗まれて欲しくない本を探しに行った所、私の期待は打ち砕かれた。

なにが盗み出されたかと言えば、それは英霊召喚の書だったのだ……。

 

竜水晶がヨミカイン魔導図書館に所蔵されている本の目録を作っていたので、

他にも盗まれた本はないか丹念に探して回ってくれたが、他の被害はないということだ。

 

英霊召喚の魔法玉が破壊されていたことで、そうではないかという推測はしていたが、

いやな想像が当たってしまい、どう対策を取るべきか頭を悩ませている。

 

ただ、英霊召喚自体は、魔導図書館で使っていたような巨大で、

歳月を経た年代物の魔法玉が必要で、なおかつ光の魔法陣を使った秘法だ。

つまり、明らかに邪悪な魔法使いであろうデスカールには使えないシロモノである。

 

竜水晶が他の本棚を調査してくれるというので、二人の所へ行って得た情報を交換している。

二人というのはグレゴリーアとマトリフ殿だ。

私は自分の意見を述べてみたが、あごをさすりながらマトリフ殿はこう答えた。

 

 

「"世の全てには二面性がある。太陽と月、王と奴隷、聖と邪、光と闇……"

ってのはオレの師匠、バルゴートの言葉だ。

そうなると、英霊召喚も逆の使い方ができるかもしれねぇ」

 

「つまり、英霊ではなく、悪しき者たちの英雄を呼び出すのに使う、ということですかな……?」

 

 

お茶を飲みながらグレゴリーアが話に入ってくる。

 

 

「反英霊。悪には悪の英雄という存在もいるわけさね。

古の魔界の列強達。アンタは知らないだろうけど、名の知れた魔界の強豪。

そういった者達なら、召喚するための遺物も多いはずだわ」

 

「そうだな。オレはその辺りの知識が足りねぇ。

まぁ、お前さんたちは別だがよ」

 

 

パッと思い浮かぶのは近年で言えば、魔王軍の幹部たちだ。

ガンガディア、キギロ、バルトス殿。

ブラス殿もその一人ではあるが、存命だし現在は穏やかな気性である。

 

しかし、地底魔城へ赴いたとき、ガンガディアの屍や、

キギロの木片、バルトス殿の骸は発見できなかった。

 

グランナードを仲間にした際に、実際に地底魔城を精査して確認したが……。

 

 

「まさか……!?」

 

 

私は二人を残して、部屋を駆け出してグランナードを探した。

チウにスパーリングをつけていたグランナードを見つけて声をかける。

以前、地底魔城に紫色の法衣を着て、紫色の髪の毛を逆立てた、

骸骨の男が来なかったか尋ねた。

 

横にいたボリクスが手を頭の後ろに組んで、私に質問を投げかけてくる。

 

 

「なぁ、ザボ爺(ざぼじい)。グランって、花崗岩の範囲しか動けなかったんちゃうん?」

 

「そうっすよザボエラの旦那。オレは地獄門に渡るあの範囲じゃねぇと……」

 

 

そこで言葉が止まるグランナード。

頭をポリポリやりながら、"どーだったかなー"と腕を組んで考え込んでいる。

 

 

「ぐ、グランナードさん?」

 

 

スパーリングで負け込んでいるので、敬語で話しかけるチウ。

くわっ!とこちらを見て、大声をあげるグランナード。

 

 

「思い出した! レイラの姐さんにやられた直後って、意識が飛ばないように、

オレの肉体から意識を集めるのに必死だったんだ。

その時、恐ろしい気配の野郎が来たんだよ。オレは花崗岩の亀裂にすぐ逃げ込んだぜ!」

 

「そいつ、デスカールやったんか?」

 

「隠れるのに必死で面までは拝んでねぇけど、

紫色の法衣と逆立った紫色の髪の毛?みてぇのは見えたぜ!」

 

「なるほどのう……。ありがとう助かったぞグランナード」

 

 

私はすぐにヨミカイン魔導図書館へ戻り、マトリフ殿達にこの話を共有した。

グレゴリーアは顔から笑みが消え、マトリフ殿はむむっと言って表情が変わった。

 

 

「てぇことは…。デスカールの野郎が、旧魔王軍の幹部連中の骸を拾って保存。

そいつを使って反英霊を召喚してくるって可能性があるかもしれねぇってことか……」

 

「……屍が残っているのなら、それを核として肉体を再構成して、

使うことが可能じゃないかねぇ……。

その肉体に反英霊を宿しちまえば、強力な存在になっちまうかも」

 

「デスカールが見た目通り、死霊に関する呪法に長けておるなら、

そのような禁呪法を行う可能性はあるのう」

 

 

私は例えば、ガンガディアが蘇った場合、極大消滅呪文(メドローア)を使えるかどうか尋ねてみた。

マトリフ殿は腕を組んで考え込んだが……。

 

 

「後から聞いて、魔王軍の陣容を考えると、知恵のいることは全部担当してたっぽいよなアイツ。

となると、それに従事しねぇで己の修行に集中していられたら、

できるようになるかもしれねぇ……」

 

「できぬ、と考えれば心の安定は保たれましょうが、

その油断で仲間を失っては元も子もありません。

ガンガディアの外見が……そのままなら良いのですが、

皆に特徴を伝えて遭遇したら逃げるように周知しますかな」

 

「それがいいだろうね。みんながみんな、呪文返し(マホカンタ)を使えるわけじゃないからね。

ちなみに、アタシは使えるようになったよ」

 

 

そう言って、腕を腰に当てて褒めろという顔をするグレゴリーアに、

我々二人の老人は口々に褒め称えるのだった。

 

その後、破邪呪文(マホカトール)についてだが、後日、アバン殿も迎えて、

マトリフ殿、竜水晶、私の四者で破邪呪文を構築してみようということになった。

元々、魔法陣を作るあたりから、破邪呪文(マホカトール)は儀式呪文である。

 

つまり、以前の私が一人で作った破邪呪文(マホカトール)より、四人で儀式を行って、

きっちりと時間をかけて作った破邪呪文(マホカトール)の方が強くなるわけだ。

いままで入り込まれたことがなかったから、そこまで考えていなかったが、

デスカールクラスの存在が多数いるであろう魔王軍がすり抜けてきては困る。

 

その日は、魔法玉の選定や儀式の日取りなどを決めて終わった。

 

 

 

翌日、ロカ殿にデスカールとの戦いについて尋ねる。

 

軽く打ち合って、闘魔傀儡掌で動きを封じられたが、武鋒円で暗黒闘気の糸を断ち切った。

その後、豪破一刀の一撃を叩き込んだが、紫色の防御障壁で防がれてしまったという。

生半可な技では勝てないと考え、武鋒円に闘気を満たし、武鋒・豪破一刀の構えを取った。

そこへデスカールが影の騎士を召喚し、彼らと戦っている時、

影の騎士ごと暗黒衝撃波で吹っ飛ばされたらしい。

 

追いかけたが、さらに召喚された影の騎士と戦っている間に、

英霊召喚の要になっている魔法玉を壊されたようで、そこで一旦意識を失う。

そして、私の懐に入れていた子機の魔法玉に魂が逃れ、

そこから状況を伝えて後、再度意識を失ったということだ。

 

 

「こんなところだ。

さっさと魔導図書館に侵入されてしまったから、

手の内を暴けたなんて恥ずかしくて言えないな」

 

「いや、十分ですぞ。影の騎士の召喚と、暗黒衝撃波はよい話を聞きました」

 

 

暗黒衝撃波は劇場版で使っていたことは覚えているので、知っている情報ではあるが、

ロカ殿から実際に使ったという話を聞けたのは大きい。

 

しかし、紫色の防御障壁か……。

原作では見たことがない能力だが、私がミストバーンに叩き込もうとした退散呪文(ニフラム)を防いでいる。

更に今回はロカ殿の攻撃も防いでいることから、

呪文・物理両方に作用するバリアというのは厄介だ。

デスカールの防御の正体がまったく見当もつかない。

 

一見、紫色の霧に見えるので、霧というとドラクエではドラクエ10の守りの霧が思い浮かぶ。

あれは、一回だけブレス攻撃を防いでくれる霧を作り出す、

レンジャー職のスキルだったが……。

 

取りあえず、デスカールは高度な防御手段を持っていると考えて、

戦うことになった場合は、小技で相手の手の内を暴く方がいいだろう……。

 

そう考えていたら、明るい顔でロカ殿はこう話した。

 

 

「肉体があって修行できるのが楽しくてたまらないなやっぱり」

 

「それは……仰る通りですな」

 

 

現在、ロカ殿はボリクスたちと日々、一緒に修行をしている。

英霊の際は、高レベルで力が安定していたのを感じたが、

実際に肉体を持っていると身体の能力の伸びがすごく実感できるという事だ。

 

それこそ、肉体的にはLV1からのスタートだったが、

経験や勘はそのままなのですぐに強くなる。

 

 

「昨日出来なかったことが今日出来て、今日出来なかったことが明日出来るようになる。

当たり前の事なんだろうが、何年も縁がなかったから楽しいぜ」

 

「いやはや、喜んでいただけると嬉しいですな。私ではなくザムザの功績ですが」

 

「はっはっは!

あんたもなかなかの親バカだなぁ、ザボさん。嫌いじゃないぜそういうの」

 

 

マァムに豪破一刀を習うのも新鮮で楽しかったという事だ。

英霊の時に思いついた、自然の生命エネルギーを集めて使う武鋒・豪破一刀も、

再度マスターすることができた。

 

さらに二人で豪破一刀を撃った後、返す刀でもう一撃を叩きこむ、豪破一刀・二連も編み出した。

なるほど……カール史上最強の剣士というのは、嘘ではないという事だと再確認した。

 

話が終わった後、

"改めて礼を言わせてくれ。あんたのおかげでレイラとマァムの顔を、もう一度拝めた"

と、私の手を取って感謝の意を伝えられた。

勇者アバンと獄炎の魔王を読んだ者にとっては、

あなたが生きて二人と一緒に暮らしてくれるだけで、感無量だと思ったが勿論それは口にはせず、

お気になさらずと差し出された手を握り返した。

 

 

数日後、ギュータへ赴くと、ポップが鍛冶場で手伝いをしていた。

 

 

「ザボエラさん! 師匠と親父なら中だぜ」

 

「師匠?」

 

 

話を聞くと、ロン・ベルク殿に師事しているという。

言ってみれば、ポップの父親であるジャンク殿もそうだが、

ギュータにいる鍛冶師たちはみなロン・ベルク殿の弟子ではある。

 

中に入って話を聞いてみると、ポップは魔法力がなかなか高いので、

長じればロン・ベルク殿と同じような、

魔力を帯びた武具を作れるようになる可能性があるらしい。

 

 

「その前に、基礎体力が足りてねぇからな」

 

「12歳だろ。そんなもんだ」

 

 

水の代わりに酒を飲みながらいうロン・ベルク殿。

ポップはかなりの呪文を契約させられており、力量(レベル)が足りなくて、

ほとんどの呪文が使えないが、下級呪文は習得しているという。

 

 

「ザボエラ。ボリクスの剣の話だがな……」

 

「何か変化がありましたかな?」

 

「繭のようなものが長らく光っていたのだが、先日、光が止まってな。

もしかすると、そろそろ出てくるかもしれん」

 

「ボリクスに伝えておきましょう」

 

 

帰り際、チョコマに捕まえられたポップが瞑想をやらされている。

なるほど……。確かに魔法力は高いが、とっちらかっているように見えるな。

つまり、集中力がないのだろう。

彼らしいなと思っていたら、チョコマが私を手招きする。

 

 

ザボ爺(ざぼじい)も教えてやってくれ。こいつ、集中力がなさすぎなんだ」

 

「瞑想して集中して、魔法力を高めて放出って難しいんだよ……チョコマ姉……」

 

「ふむ……。では、一つ見本を見せてみようかのう」

 

 

私は横に座り、魔法力を高めて放出する。

 

 

「瞑想しないですぐやれるの!? すげぇなぁ!」

 

「当たり前だろ! ザボ爺(ざぼじい)は熟練の魔法使いなんだぞ!

…………って、あれ?」

 

「あ、チョコマ姉も気づいたか?」

 

 

何か私が変なのだろうか。

二人に尋ねてみると、私が魔法力を高めて外側へ放出しているとき、

身体の内側になにか濃い色の膜がかかっているらしい。

 

 

「なんつーか、ザボさんって……魔法力抑えてるように見えるんだよな」

 

「そうそう。魔法力を放出してるとき、内側の膜みたいな……枷がある?

それを外せば、もっと出力が上がるんじゃないの?」

 

 

よく分からないが他人から見ると、私は魔法力に枷をつけているように見えるようだ。

いままで誰にも指摘されたことがないが、そもそも魔法力を高めているのは戦闘中だ。

わざわざ私を注視してはいられないから、誰も気づかなかったのだろう。

 

私は目をつむり、瞑想をして己の魔力を把握した。

確かによくよく己の魔法力を探ってみると、何か枷のようなものがあるな。

これを解いてみるとしよう……。

 

 

「待ってください御主人様(マスター)! 魔法力を押さえてください!」

 

 

その瞬間、私が横に置いていたケインが叫んだ。

なんだろうかと思った瞬間、私の周囲で荒れ狂った魔法力が、

周りのモノを吹き飛ばそうとしたので、

ギリギリで私は魔法力を掌握し直して放出を止めた。

 

結果、一瞬だけだが暴風が吹き荒れたようになり、地面は抉れて、

側に居たチョコマとポップが吹き飛ばされていた。

もちろん、練達した魔法使いであるチョコマは、真空呪文(バギマ)で障壁を作り、

ポップを飛翔呪文(トベルーラ)で回収してくれていた。

 

 

ザボ爺(ざぼじい)、やりすぎ! やりすぎよそれ!」

 

「す、すげぇ!!

魔法使いって地味で嫌だなって思ってたけど、オレもこんな感じになれんの!!」

 

 

怒っているチョコマと何か感銘を受けたのかはしゃいでいるポップ。

チョコマに謝りつつ、ポップには努力次第だと伝えた。

 

 

「チョコマの言うことを聞いて、瞑想を行うといいじゃろうな。

集中は難しいかもしれんが、己の目指す姿を思い浮かべればよいかもしれん」

 

「ザボさんがやったいまのヤツ、思い浮かべてみるよ!」

 

 

二人に手を振って瞬間移動呪文(ルーラ)で帰りながら、ケインに説教されているのだが、

私はあの時の姿を思い浮かべていた。

 

魔法力を解放してあのような事になるというのは、原作で見たことがある。

それは大魔宮(バーンパレス)にある天魔の塔を登り切ったダイに、

魔法力を解放して見せた大魔王バーン……。

 

あまり人の居ない場所で、力のほどをチェックした方が良いだろうな。

とはいえ、戦闘に入ったら周囲に注意をしてから、

魔法力を解放する動作をやってもいいだろうと考えた。

 

 

 

それから一週間後のこと。

再訪したマトリフ殿と先日のパプニカ襲撃の件の報告と合わせて、

世界各国を回って注意喚起をする準備をしていた。

 

その時に私はギュータでの魔法力解放の時の話をする。

驚いた顔をしてこちらを見るマトリフ殿。

ため息と共に、私に話し始める。

 

 

「お前さん、魔法使いの基礎みたいな事がたまにすっぽぬけてんな」

 

「左様ですか……」

 

 

マトリフ殿がいうには、魔法力の解放はきちんと時間を決めてやらないと危険らしい。

魔法力自体が上がるのだが、やりすぎると魔力が枯渇して倒れてしまうという。

 

 

「オレは1分と区切って戦うんだったら、

いまでも魔法力の押し合いじゃ負ける気しねぇけどな。

話に聞いた感じ、お前さんとやりあったらヤバイ事はわかったよ」

 

「それにしては嬉しそうですなマトリフ殿?」

 

 

ニヤニヤしてこちらを見ているマトリフ殿の態度が気になって尋ねてみた。

鼻をポリポリやりながら嬉しそうに答えるマトリフ殿。

 

 

「なぁに……。オレは自分で言うのもなんだが、天才でな。

おかげで長らくライバルってのがいなくてよ。……一人いたが死んじまったしな」

 

 

ガンガディアの事だろう……。彼はマトリフ殿に非常に憧れていた。

最後の戦いの後の会話を見るに、マトリフ殿もガンガディアの才能を認めていたのが窺える。

 

 

「ま、平和になった後の目標ができたってことだ。

ザボエラ、生き残れよ。お前さんと平和な世界で魔法勝負してみたいもんだぜ」

 

「さて、マトリフ殿にご満足いただける結果になりますかどうか……」

 

 

お互いに回る国のリスト、用向きをまとめてチェックしてから、

瞬間移動呪文(ルーラ)で手分けして各国を訪問してゆくことになった。

今回のパプニカ戦における注意喚起もそうだが、破邪呪文(マホカトール)の貼り直しや、

新たに設置する場所があれば、それにも対応する。

更に何か困ったことがあれば助言をしておいた。

 

その際、危険度の高い相手の場合は、ヨミカイン魔導図書館へメタッピーを飛ばしてくれれば、

私が向かう旨も伝えておく。

まず、ありえないがミストバーンが初手から全力だったり、デスカールが前面に出てきた場合だ。

 

その中で、最後に回ったロモスで、王から意外な人物を紹介される。

一見して魔法使いと分かるマントを羽織り、魔導書を抱えた青年が立っていた。

目つきが鋭いが、控えめな自信と落ち着いた振る舞いから、

地に足のついた人物だと分かるだろう。

 

 

「おお、ザボエラ殿。彼はフォブスターという。

去年、魔物を退治してくれた際に召し抱えてな。

宮廷魔法使いとして、様々な助言を貰っておるよ」

 

「フォブスターと申します。ヨミカイン魔導図書館館長にして、大地の賢者ザボエラ殿。

勇者アバン以降、最高の英雄にお目にかかれて光栄です」

 

「え、英雄……。ワシはそれほどではありませんが……」

 

 

その後、よく調べ上げたと思うほど、様々な私の活躍を披露してくれた。

噂に尾ひれがついているものもあったので、訂正しておいたが……。

 

どうやら、フォブスターは私を尊敬してくれているようだ。

彼は原作でも魔法使いとしては強い方であるし、

なにより瞬間移動呪文(ルーラ)を使って情報伝達に奔走してくれた。

 

現在、各国で瞬間移動呪文(ルーラ)の使い手の育成に熱心なので、

原作ほどの貴重な存在ではないが、閃熱呪文(ベギラマ)を使えるレベルの彼なら、

よい戦力となってくれるだろう。

 

彼にはヨミカイン魔導図書館へ直通のキメラの翼を一枚渡し、

自由に本を閲覧することを許可して、呪文の習得で困ったらいつでも尋ねて欲しいと言った。

なにやら感動してくれたが、魔法職として強力な人物は是非欲しい。

 

原作のロモス武術大会に出場したメンバーの人相を伝えて、

発見したら召し抱えるようにアドバイスをしておいた。

そして、これが重要なのだが、ロモス王シナナ陛下との会見の後、

内密にフォブスターと話をした。

 

 

「フォブスター殿が見るシナナ陛下はどうかね?」

 

「どうかと申しますと……。ああ、もしかして人が良すぎる面ですかな?」

 

「その通り。フォブスター殿にはその面をカバーしていただきたい」

 

 

少し漠然としすぎる質問だったかと思ったが、

聡く私の意図を汲み取ってくれたので、なかなか切れる人物だ。

 

ロモス国王シナナ陛下は、仁君と言ってもいい王ではある。

人徳があるし、王族だというのに、国民のために命を張れる慈悲深さもある。

ただ、人徳以外はちょっとお人好しすぎるのだロモス王は。

フォブスター殿に、王の人の良さにつけこんで取り入る者がいれば、

遠慮なく排除して欲しいし、もし問題があれば呼ぶように話をしておいた。

 

フォブスター殿もその事は気になっていたようで、同じ認識の人物がいてくれて助かったという。

それから、ニセ勇者一行の人相なども説明もして、

気をつけるように話はしておいた。

 

原作三年前の日々はこうして過ぎていった……。

私は原作開始の月日を知っているので、それがそのままであろうと思っていたのだが、

私が介入したことで歴史が変わっていった、

バタフライエフェクトについて後々思い知ることになる。

 

 




独自設定

フォブスター
ザボエラの名が良い方向である程度広まっているという事の説明と、
そろそろ仕官していてくれると助かるのでこのようになりました。

魔法力の解放
天魔の塔でのダイとの戦いの際に、大魔王バーンがやったアレですね。
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