ザボエラ転生 ~ダイ大世界をおっさんが生き抜く~   作:リドリー@犬小屋

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次回は再来週の8月28日木曜日の23時頃を予定しております。
まだ腕の痛みがありまして、長時間のタイピングが難しいものでして。
普段の仕事やメールは音声入力しているんですが、
ベギラゴンとか反応してくれないんです。



原作前(ダイの大冒険本編の2年前)
第八十二話 かがり火に導かれて


 

私はヨミカイン魔導図書館から少し離れた場所で、魔法力の解放を行っていた。

 

 

「こ、これが……!

ザボエラ殿の真の力……。なんという強大な魔法力ですか!?」

 

「動いてくださいフォブスター殿!」

 

 

ザムザとフォブスター殿が左右に分かれて、爆烈呪文(イオラ)閃熱呪文(ベギラマ)を放ってくる。

私はそれを両手に作り上げた真空呪文(バギ)で巻き上げて、即、火炎呪文(メラ)氷結呪文(ヒャド)で反撃した。

火炎呪文(メラ)氷系呪文(ヒャド)だとしても、それぞれ火炎呪文(メラゾーマ)氷結呪文(マヒャド)級の威力だ。

ザムザは呪文返し(マホカンタ)、フォブスター殿は飛翔呪文(トベルーラ)で距離を取る。

 

 

火炎呪文(メラ)の威力を遙かに超えている……!」

 

氷系呪文(ヒャド)というよりは、氷結呪文(マヒャド)といった感じだ」

 

 

私は閃熱呪文(ベギラマ)を三連射して、フォブスター殿に放つ。

ギリギリで二発回避しているのは、半年ほど通った成果だろう。

最後の一発は、真空呪文(バギクロス)を作り上げて方向を変えて逸らしていた。

見事。回避・相殺などが無理だと判断したなら、そう判断するのは正しい。

 

ザムザには火炎呪文(メラミ)を四つ作り上げて放つ。

旋回しながら向かう私の火炎呪文(メラミ)は、炎の嵐としてザムザへ襲いかかる。

ザムザは向かってくる火炎呪文(メラミ)に冷静に対処し、極大爆烈呪文(イオナズン)を繰り出して、

全ての火炎呪文(メラミ)を消し飛ばした。

 

二人とも荒い息をついている。

 

 

「父上、あれをやってみてはどうでしょう? フォブスター殿もよい勉強になるかと」

 

「あ、あれとは……」

 

「気絶はせぬようになったが……ふむ。では、フォブスター殿、よく見ているのですぞ。

あなたは極大呪文を修めたが、その上があるということを」

 

「極大呪文に……更に先があるというのですか!?」

 

 

私は二つ魔法陣を作り出して、肩の上辺りに展開する。

そして両手は極大爆烈呪文(イオナズン)の構えを取り、魔法陣から同様に極大爆烈呪文(イオナズン)が放たれ……。

神域爆烈呪文(イオグランデ)が完成する。

 

上空を狙って放ったが、凄まじい威力だ。

 

 

「これは神域爆烈呪文(イオグランデ)という呪文じゃ。

神域呪文という、本来四本腕があるような強力な魔神……。

もしくは、極大呪文が使える魔法使いを、二人必要とするものじゃよ」

 

「こ、これが……ッ!? ありがとうございます、ザボエラ様。

このヨミカイン魔導図書館へ訪れるようになり、魔法の神髄に触れ、

感銘を受けて参りましたが、今日の衝撃に勝るものはございません……」

 

 

感動に打ち震えながら、私にそう話すフォブスター殿。

彼もここに通うようになり、極大閃熱呪文(ベギラゴン)を習得した。

元々、閃熱呪文(ギラ)系が得意だったので順当ではあるが、

他にも様々な呪文を習得し、原作に登場したら相当な戦力になっていたことだろう。

 

実は回復呪文(ホイミ)解毒呪文(キアリー)も習得しているので、

既に魔法使いではなく賢者であるのだが。

 

 

「父上、そろそろ……」

 

「うむ、そうじゃのう……魔法力解放を切らねば」

 

 

この魔法力の解放というやつは、非常に強力な能力ではある。

何度も実践した結果、威力が上がるのは勿論、呪文の使用速度が早くなることが分かった。

呪文を放つ際の魔法力の溜めがないというやつだ。

 

先ほどは二人が対応しきれるように呪文を放ったが、通常より威力の高い呪文を、

立て続けに使って、魔法力の暴威で相手を叩き潰す事が可能だ。

言ってしまえば、大魔王バーンの領域である。

 

だが、やはり諸刃の剣で、三分を超えると魔力が尽きて倒れてしまう。

途中で中断すると、気絶することはないが、魔力の半分以上を使い果す。

強力ではあるが、使い方に注意が必要なハイパーモードだと考えた方が良いだろう。

賢者の聖水を、常に一ダースほど魔法の筒に入れて持ち歩くようにしている。

 

二人を連れてヨミカイン魔導図書館へ戻った。

竜水晶が紅茶を出してくれたので話をしているが、

フォブスター殿から興味深い話を聞くことができた。

ロモス武術大会に出場した面々を、登用できたそうである。

最年少の鞭使いスタングルを除いて、全員が成人していたので、

私が話した特徴で彼らを探して周り、ロモスで召し抱えたということだ。

 

バロリアは騎士団長となり、ゴメスとラーバが彼を支える。

ヒルトは狩人たちに声をかけ、弓使いの部隊を新設して、

魔の森で暴れる魔物達を倒して回っているらしい。

 

マァムがいないことで、若干心配だった魔の森の安全は保たれそうだし、

ロモスの軍事力も上がったと思っていいだろう。

 

 

翌日、瞬間移動呪文(ルーラ)でボリクスがギュータから戻ってきた。

ボリクスの剣が繭から出てきそうなので、数日泊まっては戻ってきて、

状況を私に話しに戻ってくることが続いている。

今回もそれなのかと思ったが、いつもと様子が違う。

 

竜水晶の紅茶に砂糖をたっぷり入れ、飲み干してからボリクスはこう言った。

 

 

「不死鳥のかがり火が、北北西の方向を指してピタッと動かなくなったんや!」

 

「父上これはまさか……不死鳥が現れた兆しでは?」

 

「うむ……可能性が高いのう」

 

 

私はかがり火を入れるカンテラを用意して、

ボリクスと共にギュータへ様子を見に行くことにした。

ロカ殿が倒された経緯があるので、ヨミカイン魔導図書館は厳重な警備体制にしてある。

既に量産して、百体になったたけやり兵が、五体で一組になって常に警備している。

全てのたけやり兵が、ロカ殿の号令で戦えるようになっていた。

 

今回は竜水晶もグレゴリーアも残るし、ザムザにフォブスター殿もいる。

グランナードと修行中のチウもいて、ヨミカイン魔導図書館はきちんと守ると言っていた。

チウは既に原作よりも戦えるようになっているので安心ではある。

 

そのまま探索に行く可能性をザムザに伝えておくと、

パプニカのマトリフ殿に一報を入れておきますと言った。

そこまで気が回らなかったので、ザムザの気の利きように彼の成長を感じながら、

瞬間移動呪文(ルーラ)でギュータへ向かう。

 

 

ギュータに到着して、ロン・ベルク殿の工房に向かうと、

彼とクロコダインが不死鳥のかがり火を見つめて話をしていた。

 

 

「おお、ザボエラ。早かったでは無いか」

 

「様子はどうかねクロコダイン?」

 

 

かがり火は北北西を指し示しているという。

私は嫌な予感がしてしまった。

オーザムの西端なら良いが、オーザムを飛び越えて、

死の大地を指し示しているのなら危険だということだ。

 

ロン・ベルク殿は星皇剣を腰に差すと、立ち上がってこう言った。

 

 

「護衛が必要ならオレも同行しよう。

オレとクロコダインとボリクスがいれば、問題はないんじゃないか?」

 

「ほう……。ロン・ベルク殿の剣技を見ることができるのは僥倖だな。

ついて行く楽しみが増えたぞ」

 

「なぁ、ロン。うちの剣を持っていってもええか?」

 

 

ボリクスが言っているのは、依然、繭に包まれているボリクスの剣の事だ。

以前と違って、ほぼ、剣の形になっている。

それでも帯電しているので、普通に触ると危ない。

もっとも、ボリクスは竜闘気(ドラゴニック・オーラ)があるので、問題なく触れる。

 

 

「最悪、納刀したまま振り回して、起してやってもいいだろう。

いい加減、寝過ぎだぞそいつ」

 

「そうなんよねぇー。そんじゃ、うちの剣は背負っておくで。

予備の剣、一本借りてくわ」

 

 

予備の剣を一本持って、背中に自分の名を冠した剣を背負うボリクス。

クロコダインは既に外に出ており、ついてくる腹づもりだ。

しかし、ある意味、このパーティーは最強ではないだろうか……?

そう思いながら、かがり火の指し示す方向へ瞬間移動呪文(ルーラ)で飛んで行った。

 

 

私の懸念通り、オーザムの上空でもかがり火は北北西を示し続ける。

腹をくくって死の大地へ上陸することにした。

 

オーザムの西端の半島に行ったことがあり、そこから瞬間移動呪文(ルーラ)で死の大地へ赴く。

すると、死の大地の南端で炎の柱が巻き上がる。

 

 

「ザボエラ、恐らくあそこだ。幾つもの戦いの意志を感じる」

 

「では、死の大地に上陸するかのう。みな、気を引き締めるように」

 

 

私は注意をして炎の柱が巻き上がった辺りに慎重に着陸した。

その周囲はいましがた炎が巻き上がったためか、

周囲が焼け焦げており、煙が上がっている箇所もある。

ほぼ、炭化状態の死体が何体も転がっており、形状から魔界の魔物だと思われる。

 

その奥に怪我をしているが、純白の美しい姿の大きな鳥がそこに鎮座していた。

首に緑色の羽毛がマフラーのように彩っており、目の周囲は黒く、

頭には立派な鶏冠がついている。

そして、孔雀のようなきらびやかな尾羽が、太陽を反射してキラキラとしていた。

 

我々に気づいたようで、一瞬警戒しているが、私の首元を見て安心したようだ。

私はルビス様から貰ってから、肌身離さずこのルビスの守りを首から下げている。

 

 

「ラーミア殿ですな。

精霊ルビス様からこの守りを預かっておるザボエラと申します」

 

「一体何があったのでしょうか。

世界のひび割れを感知して、この世界へやってきたのですが……。

待ち受けていたかのように魔物達に襲われました」

 

「実はですな……それには理由がありましてのう」

 

 

私は手短に大魔王バーンが、不死鳥ラーミアの世界を渡る能力を狙っているという話をする。

その間、一度、魔界の魔物達が襲撃してきたが、三人があっさりと対処してくれた。

私が説明を続けられるくらいに、ボリクスとロン・ベルク殿、

そしてクロコダインは強かったということだ。

 

 

「分かりました。ただ、この島が怪しいと思って降り立ったのですが、

結界が張られていたようで、出られなくなってしまいまして……」

 

「なんと……。鑑定呪文(インパス)!」

 

 

足下が黒く発光する。青がアイテム、赤がミミックなどのトラップモンスター。

色で鑑定内容が分かるのだが、黒は敵対的呪法が施されている事を示している。

 

 

「ふむ、この呪法なら時間をかければ、解呪できましょう」

 

 

大魔宮(バーンパレス)に張られていた、瞬間移動呪文(ルーラ)が阻害される結界かと思ったが、

翼在る者が大地から離れられなくなる呪法だった。

明らかに不死鳥ラーミア対策で施されている。

 

私は簡単な呪法の素養しかなかったのだが、解呪に関してなら太鼓判を押して貰った腕前だ。

魔法陣を幾つか地面に展開して、まず、ラーミアを縛る呪いを解く法を試みてみる。

 

そのせいで手が離せなくなることを三人に話すと、クロコダインが任せて欲しいと言った。

先ほど、ギュータで出会ってから、クロコダインが妙に落ち着いているのが気になっている。

以前が落ち着いていないという訳ではなく、さらにドッシリしている感じを受けるのだ。

 

 

「次に来るのは恐らく相当な手練れだ。そういう気配がする」

 

「クロコダインは敵の気配を感知するのが早いな」

 

「老師との修行の賜物でな。敵を見つけやすくなったのだ」

 

「二人とも、来るで!」

 

 

整然と歩いてくる何か金属的な存在が、死の大地の険しい大地を踏みしめる音がする。

行進のように進んでくる部隊を見た瞬間、私の心臓は早鐘のように鼓動を刻んだ。

 

鈍い銀のような輝き。

一見するとゴーレムのように見えるが、その素材が持つ存在感が、

彼らが平凡であるという楽観を決して許さない。

 

ヘルメットを被った無手の戦士のように見える兵士(ポーン)

鎧をまといランスを手にした馬頭の騎士(ナイト)

剣呑な刃を身体に宿す僧正(ビショップ)

そして、レンガを積み上げたような巨大な肉体を誇る城兵(ルーク)

 

その屈強な超金属(オリハルコン)の兵団を率いるのはキング・マキシマム。

まぁ、マキシマムは容易い相手だろうと思う。

いまのメンバーなら倒せるだろう。

 

ただ、超金属(オリハルコン)兵団が恐ろしい。

 

 

「みんな気をつけるのじゃ。

あれは生きている駒(リビングピース)たるキングが率いる超金属(オリハルコン)生命体の兵団じゃ!」

 

「なんやて!? そんなんがおるんかザボ爺(ざぼじい)!」

 

「ほぅ……あれが。聞いたことがあるぞ。

大魔王バーンの側近に超金属(オリハルコン)生きている駒(リビングピース)がいると……」

 

 

ありがたいことに、ロン・ベルク殿が補足してくれた。

 

 

超金属(オリハルコン)相手では、呪文が通じぬゆえワシは攻撃呪文で援護できぬ。

呪法を解呪できたら合図を送るので集まって欲しい。瞬間移動呪文(ルーラ)で脱出する」

 

「わかった。なんとか時間を稼ごう!」

 

 

そのクロコダインの言葉を受けて、一人の巨大な生きている駒(リビングピース)が歩み出てきた。

ひときわ巨大な身体を誇り、肩から角のようなものが左右に伸びている。

頭が王冠を模した形状をしており、超金属(オリハルコン)のヒゲが生えている。

 

 

「吾輩の役目はそこの不死鳥殿を確保することだが……。

大魔王様から伺っていた猛者である貴殿らと、正々堂々、戦いたいモノだな!」

 

 

そう述べた後、超金属(オリハルコン)軍団を率いるキング・マキシマムであると述べた。

彼の名を聞くと油断しそうになるが、その顔が浮かべる笑みは、下卑たものではない。

自信に満ちた表情であるし、彼の紡ぐ言葉も他人を馬鹿にするものではない。

 

私自身、まったく信じられないのだが、マキシマムのまとう風格。

先ほど、"正々堂々"などと口にしていたのは、原作の彼からすれば信じられない発言だ。

 

そして、私もそろそろ戦いの場に身を置いて長く、歴戦といってもいいだろう。

専門分野では無い戦士の強さも、なんとなく身のこなしから、

推し量れるようになってはきている。

その私が見ると、マキシマムの風格はクロコダインに匹敵するように見えるのだ。

 

 

「ザボエラ。あの男は強敵か?」

 

 

クロコダインは理解している。その上で私の判断を問うたのだ。

信頼からだろう。

だが、私は一瞬迷った。

原作のマキシマムなら、いまのクロコダインなら一蹴できるだろう。

しかし、あのマキシマムの風格を見て、そんな事は言えなかった。

 

 

超金属(オリハルコン)兵団を率いる長、チェスでいうキングの駒じゃ。

チェスというゲームでは強い駒ではないが、強敵であることは疑いあるまいよ」

 

「やはり、か。

他の駒の放つ圧も大したモノだが、あの男……次元が違う」

 

 

クロコダインが冷や汗をかいている。

ロン・ベルク殿がその緊張感をほぐすように言った。

 

 

「クロコダインがあのキングと戦う。オレとボリクスは他を相手にすればいい。

なに、敵の動きは不死鳥とザボエラへ向かうはずだ。

来る方向が分かってれば、対応は楽だ。だろ?」

 

「せやな。

いざとなったら、竜闘気(ドラゴニック・オーラ)で吹っ飛ばしたるわ!」

 

「みな頼むぞ。時間を稼いでくれ!」

 

 

私のその言葉が合図となり、双方がぶつかり合うことになった。

 

 

ロン・ベルク殿が二刀を巧みに使って、多勢を捌いており、

ボリクスが竜闘気(ドラゴニック・オーラ)で通せんぼしたり、時間稼ぎに徹してくれている。

 

そこで、クロコダインとマキシマムが正面から激突したのだが……。

私は信じられない光景を見ることになる。

 

マキシマムはクロコダインの戦斧を容易く交わし、流れるような足運びで懐に入り込み、

強力なアッパーを打って、クロコダインを吹っ飛ばしたのだ……!?

 

その姿を見て驚いたロン・ベルク殿に、僧正(ビショップ)の刃が掠ってしまったが、

大怪我では無いし、戦闘に影響が出るほどではないのだ。

しかし、ほぼ攻撃を食らわないロン・ベルク殿の、大きな動揺が伝わってきた。

 

いまのクロコダインを、キング・マキシマムが殴り倒すとは、どういうことなのか……?

出発の時にこのメンバーは最強ではなどと慢心してしまったが、

それをあざ笑うかのような事態である。

激しい衝撃ではあったのだが、いまの私のやるべき事は呪法を解き、ラーミアを解放することだ。

 

その作業に集中するため、驚きを押し殺していた。

 

 

 




独自設定

鑑定呪文(インパス)
発光色で色々な状況を判別することができます。
ドラクエ3の小説では透視術になっていたりしました。
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