天(因子×14)
龍虎
ひよこ
あれから数時間が経過した。
天「うぅ…ジメジメしてる」
天はあの後もう一度、ひよこに一撃を食らい、気絶させられ、街の牢屋に入れられていた。しかし、そこで会った者は意外な人物であった。
???「そうだよなぁ。すまんな、天。自分のクローンが世話をかけたみたいで」
天「よかったよ、龍ちゃんがあんな姿だったら、私、この先、どう接したらいいかわからなくなっちゃうもん」
龍虎「よもぎの師匠から疑似因子という物を取り込まれたかと思ったら、目の前に自分自身が現れてな。しかも、自分より強いと来た」
天「うん、確かに強かった。でも、本気の龍ちゃん程じゃないよ」
龍虎「そ、そうか?それより、なんで自分の事を龍ちゃんと呼ぶんだ?その呼び方をしたのは、自分の人生上1人しかいないのだが…」
天「ごめんね。今まで嘘ついてて。私ね、前世が薙鎖なの」
龍虎「そう…か…そうじゃないかと…思ってた。そうであって欲しいとずっと思ってた」
龍虎は天の前で涙を抑えきれなかった。
1時間程経った後、天と龍虎は牢屋を抜け出した。
牢屋に囚われた人の中に更に意外な人物がいた。
天「アンタ、いつからそこにいたのよ。上にいたのはクローンって事?」
ひよこ「うぅ…私もビックリしたんですよ。起きたらココに居て」
天「つまり、昨日の朝からか(私とこの街に入った時には既に入れ替わってたか…というか完璧過ぎない?!)」
龍虎「どうしたんだ?って、ひよこさんじゃないか」
ひよこ「お久しぶりです。龍虎さん」
天「ねぇ、2人に聞きたいんだけど」
龍虎「どうした?」
ひよこ「んー?」
天「よもぎって知ってるわよね?」
龍虎「大丈夫か?頭やったか?」
ひよこ「当たり前じゃん!どうしたの?」
天「はぁ〜、良かったぁ〜」
龍虎「?」
ひよこ「?」
天「それじゃあ、上で起きたことを説明するわね」
天はこの街に入る時と入った後の事を話した。
ひよこ「えぇー!?その傷、私が付けたものなんですか!?」
天「一応、1日に数回しか使えないけどエンシェントヒールで治したから大丈夫だけどね」
龍虎「天も優しいよな。仲間には攻撃出来ないと言う訳か」
天「でも、私やひよこさんはそういう類の技は効かないとしても龍ちゃんは効くだろうから、対策しときたい」
ひよこ「となると、アレやるんですか?」
天「そうなるわね。でも、初めてよ。面と向かって使うの」
龍虎「何をするんだ?」
天「よもぎの師匠が疑似因子を使ったじゃない?」
龍虎「あぁ」
天「アレは私を真似たの。私は因子を人に埋め込める」
ひよこ「実は私も因子持ちです。だから、こんな耳と尻尾が生えてるんです」
龍虎「なるほどなぁ…なら、やってくれ。今よりも強くなれるんだろ?」
天「じゃあ、"真・黒手"」
天は龍虎に黒手を叩き込んだ。
ひよこ「今、"真"って言った?」
天「あ、そうそう。最近、黒手が2回強化されてね。私の能力も乗せれる様になったの。今回は龍ちゃんに"健康的な身体"と3種の因子を埋め込んだよ」
ひよこ「そんなに!?」
天「それのおかげでほら?見て」
龍虎「ぐ…くぅ…こ…これが…天の強さか」
ひよこ「凄いオーラ…」
天「とりあえず、上に行こうか。ここだと作戦どころじゃないしさ」
龍虎「そうだな」
ひよこ「うん」
天とひよこと龍虎が牢屋を出る頃、龍虎が住んでいた山では龍虎(偽)とひよこ(偽)が何故か戦っていた。
龍虎『何故だ、何故わからない!?』
ひよこ『わかりたくもない!私は他人を傷付けたくない!』
ガキン!
龍虎『さっきまでは忠実な僕だったはずなのに、何故だ』
ひよこ『これはソラさんに感謝しないとね』
龍虎『ソラ…だと…!?何故、敵に感謝するんだ』
ひよこ『敵?何を言ってるの?私は疑似因子を取り込んだひよこじゃない。私は、俺は、ぴよりんだ!』
龍虎『な…に…!?ぴよりんだと!?』
ぴよりん「俺はひよこみたいに甘くはないぞ?」
ひよこの姿はひよこの召喚モンスター"ぴよりん"へと変わった。
ぴよりん「あ〜、動きづらかった。小回りが効くけど、どうもひよこの身体は動きづらいのなんの」
龍虎『召喚モンスターの分際で調子に乗るなぁ!』
ぴよりん「あぁん?誰に口聞いてんだ?」
ドカァン!
龍虎『グハッ…(な、なんだ、この力は)』
ぴよりん「さっきまで、手加減してやってたんだよ」
龍虎『手加減…だと!?天を気絶させた時もか!?』
ぴよりん「いや、アレはちょっと本気出してるな(手加減しちまうとマスターの場合、ダメージ受けないだろうし)」
???「アレは痛かったわよ?」
ぴよりん「ようやくご到着か。俺は休ませてもらう…ぜ!?」
天「ちょっと待ちなさいよ。アンタ、さっきのちょっと本気じゃなく、マジの本気出したでしょ?」
ぴよりん「なんの事かよくわからないが?(ダラダラ)」
ひよこ「…(ぴ、ぴよりんが喋ってるぅ!?)」
龍虎「よぉ、元気にしてたか?もう1人の自分」
龍虎『くっ…天と出会って何をされた!?あの時とオーラが違うぞ!?』
龍虎「ソラは関係ない。これは自分とお前の戦いだ。覚悟しろ」
龍虎『貴様と違ってこっちにはコレがある。よもぎの師匠がくれた最強の刀だ』
龍虎「そんな鈍(なまくら)じゃ、自分の剣は敗れない」
龍虎は刀を構え、クローンの自分自身と対峙する。
ガキン!
キンキン!
シュッ…キン…キキン…シュッ
ザザッ
龍虎「ふぅ…」
龍虎『な…な…な…あの者から貰った刀が折れただと!?』
龍虎「そろそろ姿を表したらどうだ?」
天「姿を表す?どういうこと?」
龍虎(?)『くっくっく…いつから気付いてた?』
龍虎『自分に真似たんだろうが、お粗末な剣技を見せられては気にもするさ」
天「私、避けるので精一杯だったんだけど?」
龍虎「それはソラが、自分の弟子だからだ」
偽物の龍虎の姿が歪んだ様に見えた直後、そこには天が最初に見た異形の姿に変わっていた。
龍虎「それが本当の姿みたいだな」
異形『我はこの地の闇龍。貴様らを消し炭にしてくれる』
龍虎「次で終わらせる」
龍虎は集中力を高めていく。
その集中力により、周りに異様なオーラが現れる。
龍虎「奥義!終ノ型!破剣一閃!」
………………………
…………………
……………
……
それから1日が経過した。
街に張られていた結界は天や龍虎のおかげで取り除かれた。その後、3人は街を後にしたのだった。
to be continue…
よもぎの師匠と呼ばれているものが作ったクローンは他の場所で猛威を揮ってるという噂を聞いた一行は、次はシロが居るであろう拠点がある街へ足を向ける。
次回:怒りのアルケミスト(前編)