転生剣士と九つの星々   作:弥生の一矢

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登場人物
よもぎ
よもぎ(クローン)
薙鎖(闇)

ΕΛΠΙΣ
DIT
ひよこ
kuma
ましろ
シロ
龍虎

今回の話はいつもの倍以上の長編となっています


第5章 因子を持つ者たち
第15話 神之化身と叛逆ノ転生者


 

よもぎはずっと悩んでいた。

 

DIT「逃げろ、よもぎ!今のお前じゃ何も出来ない!」

 

DITの言葉で助かった自分が情けなかった。

 

シロ「その杖を守れ!その杖が希望だ!」

 

シロの言葉通り、薙鎖の杖のおかげで自分は強くなっていった。そう感じていた。あの日までは…

 

???「ふふふ…その程度で強くなったと過信してるとは…」

よもぎ「なんで、どうして、貴女は死んだはずでは無かったのですか!?」

???「そうね。強いて言うのであれば、中身は違うわね」

よもぎ「中身ってどういう…ぐっ」

 

よもぎが油断するとその女性は拳を腹にねじ込んだ。

 

よもぎ「くぅ…」ガクッ

???「ホント、弱いですね(こんなの私自身でも出来ますよ?)」

よもぎ「どうして、その姿じゃなきゃいけなかったんですか!?どうして、薙鎖さんの身体じゃなきゃいけなかったんですか!?」

薙鎖?「ふふふ、真実は残酷なのよ?私はこの子を救ったもの。この子自身はこの時代に転生してるのよ。敵としてね」

よもぎ「敵…………天ですか?」

薙鎖?「その通り(どうせ、ホントの事を言ったら、この者は仲間として取り入れられない。今は我慢だ)」

 

ズズズ…

よもぎの影から少女が現れた。

 

よもぎ「な…んだ?僕…か?」

よもぎ『師匠、私は何をすればいいですか?』

薙鎖(闇)「ふふふ、見て?この首飾りを貴方にプレゼントするわ。そして、貴女にはコレ。この首輪をあげるわ」

カチャカチャ

よもぎ「やめ…ろ…うぐぅぅぅう」

ガキン!

シュゥゥゥウ!

よもぎ『アハハハハハハハハハハハノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \』

 

よもぎのクローンによもぎから力が流れ込んでいく。それと同時によもぎには何かが流れ込んできた。

 

よもぎ「うっぐ、これは記憶…誰の記憶…だ」

薙鎖(闇)「誰でもない、偽りの記憶さ」

よもぎ『コレが!師匠の力…アァ、コノ杖モ私ニヨク馴染ミマスネ』

 

よもぎのクローンはよもぎから杖を奪った。

 

よもぎ「力が…抜けて…い…」

 

よもぎの記憶はそこで途切れた。

その後、牢屋で目を覚ました。

隣にはシロがおり、映像には龍虎が映し出されていた。それから数日後、よもぎはひよこ達によって助けられた。自分が付けている首飾りを天に外せと言われても何故か外す気にもならずにいた。

それが、みんなにとって最悪の事だったと気付くのはもう少し先の話となる。

現在、一同は敵の親玉である薙鎖の拠点にたどり着いていた。

 

天「ようやくここまで来たわね」

kuma「ふぅ…少しは休憩しない?」

天「何言ってんの?敵は目前なのよ?」

DIT「少しは休ませてやれよ。ここまで運んでもらったんだろうが」

天「むぅ…」

ΕΛΠΙΣ「それにしても、ここもあまり変わっていませんね」

ましろ「まるで、5年前のまま…と言った感じか?」

ΕΛΠΙΣ「そうそう」

シロ「なんや、よもぎ。体調でも悪いんか?」

よもぎ「そういうわけじゃないんですが、どうも体に力が入らないみたいで」

天「だから、言ってるでしょ!その首飾り外せって」

 

天が無理矢理外そうとしても、よもぎが嫌がる光景を一同は見ながら、天を止める。

 

天「なんで止めるのよ」

ひよこ「…なんか可哀想で」

天「(なんでよ。あの禍々しいオーラが見えないって言うの!?)」

 

そう。実は、天はこの建物に近付くにつれ、例の首飾りがオーラを放ち始めていた。そして、それは仲間たちにも遺伝している。

 

DIT「そう、カッカするな」

天「むぅ…(でも、どうしよう、なんか嫌な予感がするんだよねぇ)」

よもぎ『ソラさん、難しい顔してどうしたんですか?』

天「アンタの事で悩んで…って、あれ?よもぎ、アンタ、いつから女の子になったのよ?」

よもぎ「僕はここにいますよ。え?」

よもぎ『ふふふっ』

天「みんな!敵襲よ!」

 

天がそういうとみんなが答えたのは違う反応だった。しかし、1人だけ異変に気付いたらしく…

 

DIT「おいおい、どこに敵がいるって言うんだ」

シロ「そやで、何言うとるんや」

ΕΛΠΙΣ「この可愛い子が敵だって言うんですか?」

ひよこ「この子はよもぎの妹じゃないですか」

kuma「しっかりしてよ、ソラちゃん」

龍虎「やれやれ」

ましろ「おい、ソラ。ちょっと来い」

天「え?」

 

天はましろに呼び出される。

 

ましろ「なぁ、私もあぁなりたくないから聞くんだけど」

天「うん」

ましろ「洗脳みたいのにかかってるのか?」

天「たぶん」

ましろ「原因は…あの首飾りか。破壊は…出来そうに無いな」

天「エンシェントヒールをエルちゃが使ってくれれば解決しそうだけど、淡い期待だよね」

ましろ「お前は使えないのか?」

天「使えはするけど、効力がエルちゃ以下ってのが難点かな」

 

そこに少女の方のよもぎが近付いてきた。

 

よもぎ『どうしたんですか?』

ましろ「何もないよ。ちょっと気になってた事を聞いただけ」

よもぎ『そうですか。では行きましょう、ソラさんは置いて…いや、既に、そこに居ないですが』

ましろ「何!?な!?ソラ!どこに行った!?」

 

ましろが振り返ると天は姿を消していた。

DIT達一同はそんな事お構い無しに、奥に進んでいく。

 

ましろ「おい!DIT!ソラが居ないんだが!?って、お前、誰だ?」

DIT?『何を言ってるんだ?俺は俺だ』

 

ましろがDITを静止したが、ましろが見たDITは何処かDITらしくなかった。

 

ましろ「くっ…いつから…」

よもぎ『ふふふ、ソラさんには効かないと思っていましたが、まさか、ましろさんにもかからないとは思ってもいませんでしたよ』

ましろ「みんなに何をした!?」

よもぎ『もうお気付きなんでしょう?』

ましろ「やはり洗脳の類か」

よもぎ『いえいえ、私の能力は幻覚です。ただ、それは人によっては洗脳にもなるというだけです』

天「起きなさい!ましろ!エンシェントヒール!」

 

ビシビシビシビシ

パキャーン

 

ましろ「な!?ソラ!」

天「よかった…ましろが急にボーッとしだして」

ましろ「あ!そうだ!あの少女になったよもぎは!?」

天「はい?よもぎが少女に?何を言ってるの?ここにはアンタと龍ちゃんの3人で来たじゃない」

ましろ「おい!お前、本物のソラか!?みんなと一緒に来ただろ」

天「何言ってるのよ!しっかりして!アレは幻覚なのよ!!」

ましろ「幻…覚…じゃ…じゃあ!何処から幻覚だったんだ」

天「そうね…どこからかと言われると私にもわからないの。なんせ、ここが牢屋なのだから」

 

天が牢屋と言った瞬間、ましろは周りを確認して驚愕する。天も自身も鎖に繋がれ、拘束されていた。

その頃、DITとΕΛΠΙΣはというと、何も無いテーブルに座って、食事をしている。

 

DIT「なんて豪華な食事なんだ。そう思わんか?ΕΛΠΙΣ」

ΕΛΠΙΣ「そうですね、食べても食べてもお腹が膨れないなんて素敵です」

 

カチャカチャ

カツカツ

 

よもぎ『どうですか?美味しいでしょう?』

ΕΛΠΙΣ「はい。なんの肉を使ってるんですか?」

よもぎ『はい、これはですね。ソラさんのお肉ですよ』

DIT「なるほど、だから、こんなに涙が出るのか」

ΕΛΠΙΣ「これは嬉しい涙ではなかったんですね」

DIT「ΕΛΠΙΣ!」

ΕΛΠΙΣ「はい!エンシェントヒール!!」

 

ビシビシビシビシビシビシビシビシ

ガシャーン

 

DIT「は!?ここは…なんだこれは!?皿とナイフとフォークしかないだと!?」

ΕΛΠΙΣ「通りでお腹が膨れないと思いました」

DIT「ここは…どこなんだろうな…」

ΕΛΠΙΣ「わかりません。しかし、敵の本拠地なのは確かです。ですが、記憶が曖昧なんです」

DIT「あぁ、俺もだ。この建物の門を潜ったまでは覚えてるが、そこからの記憶が無い」

ΕΛΠΙΣ「私は潜った後、ソラさんがみんなで行動したら良くないからってチーム組んでそれぞれ向かおうって言って別れた瞬間から覚えていません」

DIT「俺よりも少し後と言ったところか」

ΕΛΠΙΣ「はい」

 

DITとΕΛΠΙΣは現状を把握し、動き始めた。

その頃、kumaとシロはというと…

 

kuma「ねぇ、シロさん」

シロ「なんや」

kuma「まだ、着かないんですか?」

シロ「道は間違ってないと思うとるんやが、おかしい。時空がねじ曲がってるんとちゃうかな?」

kuma「私、能力使って…え?私の鎌?どうして、宙に浮いて…」

 

次の瞬間、kumaの鎌がkuma達を襲う。

 

kuma「危ない!シロさん」

 

kumaはシロの首根っこを掴み、引っ張る。

 

シロ「何するんや!なんで引っ張って…って、なんやと!?」

kuma「シロさん、なんでも治す聖水とか作れないんですか!!」

シロ「ソラと同じ事抜かすなや!!そんなもん作れたら苦労せんわ!うわっと」

よもぎ『あらあら、楽しそうじゃないですか』

シロ「よもぎ、助ける気はないんか?」

よもぎ『助ける?何を言ってるんですか?貴女方は私の敵でしょう?』

kuma「シロさん、どういう事!?説明してよ」

シロ「奴はよもぎのクローンや」

よもぎ『ただ、私は、オリジナルを凌駕します。最近、力にも目覚めてしまったので…ね!」

シロ「くっ…仕方ない。"Creative mode"!!kuma、少し、時間を稼いでくれ。生産する」

 

シロを守る様に工房召喚で現れる器具が囲い始める。

 

kuma「よもぎ!貴女を攻撃しますね」

よもぎ『出来るのであれば、どうぞ?私に傷を付けれればいいんですけどね』

kuma「メテオインパクト!って、あれ?魔法が出ない!?」

よもぎ『ふふふ、どうしたんですか?ほら、攻撃してみて下さいよ。来ないなら私から行きましょうか。では、技をお借りして、メテオインパクト!』

 

ゴゴゴゴゴゴ…

 

kuma「な!?」

よもぎ『どうですか?受けれます?』

kuma「ぐ…くぅ…ぷちヒール…(そんな…回復も出来ないなんて)」

よもぎ『ふふふ、不思議そうですね。ここは私のフィールドなんです。自由に攻撃できると思わない事ですよ』

シロ「そういうわけにも行かないんやで!"擬似スキル:エンシェントヒーリング"」

kuma「これは?」

シロ「エンシェントヒールの回復効果を無くした1度しか使えんアイテムや」

よもぎ『クックック…』

 

ビシビシビシビシ

パキャァァン

 

シロ「は!?ここは!?」

kuma「シロさん、大変です。ソラさんとましろさんがいません」

シロ「なんやと!?アイツら、どこに行ったんや!?」

kuma「ん?」

 

kumaは何かを拾った。

 

kuma「これ、なんの欠片だろう?シロさん、わかる?」

シロ「なんやろうなぁ、どこかで見たことあるような無いような感じや」

 

その頃、龍虎は1人地下牢を歩いていた。

 

龍虎「すぅぅ…(居合・龍の型弐式・閃迅!)」

 

キン!

ズババババババババババ!!!!

ガラガラガラガラガラガラ

 

龍虎「はぁ…油断が過ぎるぞ?お前らは自分らの中では頭1つ抜けて強いはずなんだからな?」

天「えぇーっ、私、捕まったの覚えてないのに、私のせいなのぉ」

龍虎「当たり前だ。お前もお前だからな?ましろ」

ましろ「返す言葉もないわ…助かった。感謝してるよ」

龍虎「それにしても、お前ら以外、最初に別れてから会ってないのだが…」

天「最初に別れた?私、ここに来る時、みんなと来たの?」

龍虎「お前、大丈夫か?」

ましろ「そうなんだよ。ソラの奴、覚えてないみたいでさぁ」

龍虎「ん?おい、ソラ、顔をよく見せろ!」

 

龍虎は天の顔を覗き込む。

 

龍虎「チッ…そういう事か」

ましろ「どうしたのさ」

龍虎「ソラ、ちょっとそこにいろ」

天「え?うん」

龍虎「ましろ、来てくれるか?」

ましろ「あぁ」

 

龍虎はましろを連れて、天から少し離れた場所で話し始める。

 

龍虎「ソラは暗示にかかってる」

ましろ「え!?」

龍虎「しかも、それに本人は気づいてない」

ましろ「どうするのさ」

龍虎「自分のスキルを使うか、ΕΛΠΙΣを探すかの2択だな」

ましろ「そう言えば、龍は幻覚にかかったのか?」

龍虎「かかったぞ。すぐ気付いて、切り刻んだが」

ましろ「凄いな…」

龍虎「そろそろ戻るぞ。とりあえず、ソラには一旦、自分のパーティに入ってもらう。お前もな、ましろ」

ましろ「わかった」

 

龍虎とましろは天の元に戻った後、龍虎が天に気付かれないように"状態異常付与"を発動させたが、天は暗示にかかったままのようだった。

来た道を龍虎が天とましろを連れて戻っていると、kumaとシロに会った。

 

kuma「あぁ!いたぁ!」

シロ「どこに行ってたんや」

龍虎「コイツら、牢屋に捕まってたんだ」

天「ん?龍ちゃん、誰と話してるの?ここに誰かいるの?」

 

天は不思議そうにキョロキョロとしている。

 

シロ「コイツ、どうしたんや?」

ましろ「私にもよくわからないんだけど、暗示にかかってるらしい」

kuma「ソラぁ!!……ダメみたい…」

龍虎「ΕΛΠΙΣ知らないか?」

シロ「俺も探してるんや。それより、コイツも使えるやろ。エンシェントヒール」

ましろ「言ってもダメだ。私らもさっき言ったんだが、何で?って顔するんだ」

kuma「あ、そうだ、龍虎さん、この欠片に見覚えないですか?」

 

kumaは龍虎に先程拾った欠片を見せた。

 

龍虎「おお!それも探してたんだ」

シロ「これはなんなんや?」

龍虎「ソラに近づけてみろ」

kuma「え?」

 

kumaがその欠片を天に近づけると淡く光った。

 

kuma「もしかして、ソラちゃに関係あるものなの?」

龍虎「実はこの欠片は自分とましろも持ってるんだ」

ましろ「ほら」

kuma「シロさん、服の中、探してみてください」

シロ「そんなこと言われても…お?おったおった。コレやな?」

 

シロが欠片をかざすと龍虎が持つ欠片、ましろが持つ欠片、kumaが持つ欠片の4つが輝き、その輝きは天の中に消えていった。

 

天「…うっ…ん?あれ?kumaちゃ?シロさん?なんでここにいるの?」

kuma「ソラちゃ!!」

天「うわっ、どうしたのよ」

龍虎「やれやれ…」

ましろ「なぁ、もしかして、欠片を一定数集めるとソラの暗示が治るんじゃないか?」

天「え?ましろさん、今、なんて言ったの?よく聞こえなかったんだけど」

ましろ「気にしなくてもいいよ。言っても無駄だって私らわかってるから」

天「う…気になる…」

シロ「俺らさっきからここにおるんやで?ソラ」

天「わっぷ…え!?そうなの!?」

龍虎「ここの構造を理解してるか?」

シロ「すまん」

kuma「私もわかりません」

ましろ「とりあえず、上を目指す感じじゃないの?」

龍虎「あぁ、自分もここは頂上が見えない塔としか言えん。とりあえず、階段を探して、上に行こう」

 

龍虎達は階段を見つけつつ、上へ上へと登って行った。

2階層上がった頃だろうか、目の前に見知った2人が現れたが、こちらを確認すると襲ってきた。

 

ましろ「お?ひよこ〜」

ひよこ「!?よもぎ!いたよ!」

よもぎ「おっけー」

 

ひよこは拳を握りしめ、よもぎは杖を構える。

 

シロ「なんや?」

ひよこ「シロさん、kumaさん、そこから離れてください。私達の敵と何してるんですか」

天「ねぇ、龍ちゃん。また誰かいるの?」

龍虎「そうか、また、見えないのか。ひよことよもぎがいるぞ」

天「そうなの…因みに、ひよこさんと一緒にいるって言うよもぎってだぁれ?」

ましろ「え!?ソラ、記憶もないの!?」

天「ん〜?初めて聞いた名だから、龍ちゃんに聞いただけなんだけど、私の知ってる人なの?」

龍虎「知ってるも何も、ソラの前世の弟子だろう?」

天「私に前世なんてあるの?」

kuma「それより!危ないから下がってて!」

ひよこ「チッ…なんで庇うんですか?kumaさん」

kuma「私の師匠だからに決まってるじゃない」

ひよこ「貴女の師匠は薙鎖でしょう。ソラではないわ!」

シロ「話がややこしゅうなっとるやんか。どうするんや、龍虎」

龍虎「どうするって言っても、ひよこもよもぎも敵じゃないし、攻撃する訳にもいかんだろう」

シロ「峰打ちとかないんか」

龍虎「無くはないが…はぁ…背に腹はかえられないか」

ましろ「お?やるのか?手伝うか?」

龍虎「いい。すぐ終わる」

 

龍虎は刀を納刀すると眼を閉じる。

 

ましろ「凄い集中…」

龍虎「フゥゥゥゥゥ…」

ひよこ「来るよ、よもぎ」

龍虎「極地・虎の型・減連-ゼロシキ-」

 

ひよこがよもぎに言い、前を向くとそこには龍虎の姿はなかった。

次の瞬間、龍虎はひよこの腹部に重い衝撃を与える。

 

メリメリ…

 

ひよこ「ぐっ!?」

龍虎「扇-セン-!…眠っていろ」

 

ひよこが龍虎に力なくもたれ掛かる。

 

よもぎ「ひよこ!うっ」

龍虎「まだやるか?」

ましろ「(見えなかったぞ)」

シロ「アレが龍のホントの実力…」

kuma「ヒュ〜、やるねぇ」

よもぎ「ひよこを返して!」

龍虎「自分も仲間に手を出すのは気が引けるんだ」

ましろ「それにしては本気出してたように見えたけど?」

龍虎「コイツに手加減は失礼というかこっちが危ないだろう。未来見られたら、こっちは何も出来ないしな」

ましろ「それもそうか…」

天「終わったの?誰と戦ってるのかわからないけど、倒したの?」

よもぎ「スキあり!」

 

よもぎが天にナイフを当てようとしたが、そのナイフは当たらなかった。

 

龍虎「ソラ、後ろにいろって言ったよな?」

天「だってぇ、つまらないんだもん」

ましろ「まぁまぁ、よもぎも死にたい…の…か?(ギロッ)」

よもぎ「ひぃ…」

 

ビシッと天はましろの頭にチョップを浴びせる。

 

天「コラ」

ましろ「痛った。何するの」

天「顔が怖い」

ましろ「ごめん…ってそうじゃなくて!」

 

天がましろと話してると、奥の方から声が聞こえてきた。

 

???「おーい」

???「大丈夫?」

龍虎「おぉ!探してたんだ。DIT!ΕΛΠΙΣ!」

DIT「ΕΛΠΙΣ、言った通りだっただろう?下に居ると」

ΕΛΠΙΣ「うっ…確かに下にいましたが…」

天「また、賑やかになったの?」

ΕΛΠΙΣ「ソラさん!無事だったのですね」

 

ΕΛΠΙΣは天に抱きつくが、天の反応は悪かった。

 

天「うっ…急に体が重く…」

ΕΛΠΙΣ「え?」

ましろ「今、ソラには貴女達を認識できてないんだ」

ΕΛΠΙΣ「そんな…」

DIT「しかし、不思議なものだな。奴には状態異常関係は効かないと本人から聞いていたが」

kuma「あ、それ、私も聞きました!」

ΕΛΠΙΣ「状態異常なら"エンシェントヒール"は?」

龍虎「すまん、それと同等に近い、自分の"状態異常付与"でもダメだったんだ」

ましろ「なぁ、2人とも、このくらいの何かの欠片みたいの持ってないか?」

ΕΛΠΙΣ「コレで合ってますか?」

 

ΕΛΠΙΣはアイテムボックスから???の欠片を取り出した。

 

DIT「ほう…その欠片がどんな効果を持つと?」

ましろ「私はコレはソラの記憶の欠片なんじゃないかと思うんだ」

よもぎ「すみません」

ましろ「なんだ、まだ、何かあるのか?!」

天「止めなさい」

 

ビシッ

 

ましろ「痛っつ」

よもぎ「ひよこが持ってた欠片と、僕の持ってる欠片です。なんか"敵"に渡しちゃいけない気はしてますが」

DIT「敵?どういう事だ」

龍虎「ひよこのこの姿を見ろ。自分が気絶させたんだ」

ひよこ「…」

ΕΛΠΙΣ「なるほど…"クライス・エンシェントヒール"」

 

ΕΛΠΙΣのスキルにより、この場にいる全員にエンシェントヒールが伝わる。

 

天「これ…エンシェントヒール?近くにエルちゃんいるの?」

ΕΛΠΙΣ「私はここにいますよ」

天「何処にいるの?ねぇ、返事してよ!」

龍虎「これでもダメか…」

???『ふふふっ』

 

カツッカツッカツッと奥から不気味な笑みをしたよもぎが現れた。

 

龍虎「よもぎ、貴様ぁ!ソラに何をしたぁ!!」

よもぎ『アハッ、何って見ればわかるじゃない?力を奪ったのよ。ソラの核をね。ほら、コレよ』

 

よもぎのクローンは不思議な色の玉を取り出す。そこには天が何か叫んでいるように見える。

 

ましろ「…」

よもぎ『おっと、危ない危ない』

ましろ「チッ…(油断してると思ったのに)」

よもぎ『貴方達も油断してると足元を掬われるよ?』

龍虎「ん?何を言って…!?みんな!ソラから離れろ!」

天?「もう手遅れだよ、龍ちゃん」

 

ドサッとkumaとΕΛΠΙΣとよもぎが倒れる。

 

龍虎「くそっ!シロ、DIT、無事か!?」

DIT「なんとかな」

シロ「問題ないで」

龍虎「見えてないと偽っていたのか!?」

天『見えてないのは確かに嘘だよ。名演技だったでしょ?みんなを騙せたなら本望だよぉ』

DIT「眼に焦点が合ってない。おそらく、洗脳の類だ。あまり傷付けるなよ?2人とも」

龍虎「ソラを気絶させるとなるとひよこの比じゃないぞ」

ましろ「おい、大丈夫か!?」

龍虎「あぁ、なんとかなってる。ましろ、そっちは任せていいか?」

ましろ「シロさん、手を貸して」

シロ「ええで!俺で構わないんか?」

DIT「龍虎、こっちはさっさと終わらせるぞ」

龍虎「DIT、任せとけ!」

天『準備は出来た?行くわよ?アサシン因子、ネクロマンサー因子発動!』

DIT「いきなりか!?set!援護任せるぞ、龍虎」

龍虎「居合・龍の型・夜式」

天『"コープススタブ"』

龍虎「朧月夜-おぼろのつきよ-」

 

天が龍虎とDITの間に現れ、どちらも攻撃したが、龍虎によって、霧に消えた。

 

天『そんな!?どこに行った!?』

龍虎「(居合・龍の型・漆式・朧村雨-おぼろのむらさめ-)」

 

ゴリッ

 

天『ぐ…くぅ…わかっているか?この身体は天そのものなんだぞ?』

龍虎「知っているさ。だから、斬ってないだろう?」

天『なめるなぁ!!ビショップ因子発動!エンシェントヒール!な…に…!?発動しないだと!?どういう事だ」

龍虎「自分らの方がソラの事を分かってるようだな』

天『くそっ!』

龍虎「いいのか?自分だけに集中して」

天『は?!そうだ、DITはどこに行っ…な…何ぃ!?』

 

DITの周りでは3つの杖と3つの剣が回天している。

 

DIT「剣複合魔法:エグゼクド・インディクション!!」

 

キュイィィィィィィィン

ドドドドドドドドド

魔法陣から剣が天に降り注ぐ。

 

天『くっ…防ぎきれな…』

龍虎「チッ…」

 

キン!

 

天『龍ちゃん…助けてく…ぐっ!?』

龍虎「ようやく油断したな。DITのあの魔法は囮だ」

天『新魔法を囮に使う…な…んて…』

 

ドサッ

 

龍虎「ふぅ…」

DIT「いやぁ、ヒヤヒヤしたぞ。よく分かったな」

龍虎「アイツの動きは本物のソラに劣るからな」

よもぎ『な…に…!?私が操ってるとしてもソラはお前らの中でかなりの強さのはず…』

ましろ「ほらほら、油断してるとすぐ終わっちゃうよ?」

 

シュッシュッ

 

シロ「こんな薬品はどうや?」

 

ひょい

パキャン

 

よもぎ『うっ…(体からオーラが)』

ましろ「ん?」

 

ましろは後ろをチラッと見た。

 

ましろ「ふむ…」

シロ「どしたんや?」

ましろ「DITさん」

DIT「どうした?」

ましろ「よもぎさんが付けてる首飾りとソラが付けてる足枷を破壊してください」

DIT「よもぎの…これか」

龍虎「ソラの…脚…これか、確かにコイツに似合かわない物が付いてるな」

よもぎ『止めろ!』

ましろ「ずっとおかしいと思ってたんだ。クローンがソラより強いわけないと私は思ってた。でも、実際、会ってみたら、ソラが弱くなってるじゃないか」

DIT「なるほど、この首飾りはよもぎの力を使う物で」

龍虎「この足枷はソラの能力を使う物だったのか。DIT、こっちに投げろ」

DIT「そらよ」

龍虎「フゥゥゥ…極地・虎の型・滅連-イチシキ-」

 

キン!

 

龍虎「緋閃貫-アカノヒラメキ-」

 

ピシッ

ザザザザザザザザザザザザザ

パキャァァン!

 

よもぎ『う…ぐがぁぁぁぁあ』

 

よもぎのクローンの身体の中から黒い煙みたいな物が抜けたと思うと白い煙みたいのも出てきた。

それと同時にクローンが持っていた杖がクローンを拒絶した。

 

よもぎ『いぎっ…なんで…』

 

それに答えるようにムクっと頭を抑えながら、天が起き上がる。

 

天「痛つつ…」

ましろ「ソラ、もう起きて大丈夫なのか?」

天「えぇ…その杖はね。所持者がハイウィザードじゃないと極度に反発する特殊な杖なの。だから、貴女からよもぎの力が失われた今、貴女はハイウィザードじゃなくなったのよ」

DIT「あまり無理はするなよ?」

天「わかってるよ。でも、私がやらないと終わらないからさ」

龍虎「ソラ…」

天「ありがとう、龍ちゃん、助けてくれて」

 

天は龍虎にお礼を言って、よもぎのクローンに向き直る。

 

天「シロさん、例の薬、出来てる?」

シロ「当たり前や。俺を誰やと思ってるんや。ほれ」

 

シロは天に薬液の入った瓶を渡す。

 

天「コレはね。シロさんのアルケミストのオリジナルスキルで作った薬品なの」

 

ゴクッゴクッ

 

天「返してもらうわよ?私の力と私の仲間との思い出を!」

よもぎ『待て!今の私は…』

天「知ってるよ。だから、私のオリジナルスキルを使わせてもらう。これは、龍ちゃんと編み出した永遠の冒険者の力!"発勁零式・藍閃貫-アオノヒラメキ-」

 

トッ

 

よもぎ『何?なんも起きないじゃない』

天「もう終わってるから、みんな行こ。"クライス・エンシェントヒール"」

 

キュイィィィィィィィン

 

天達がよもぎのクローンを後にして行くとよもぎのクローンは立ち上がろうとした…が、次の瞬間、クローンは爆散したのだった。

 

よもぎ『何もないじゃないか…ん?な!?なんだ?身体が痛い…痛い痛い…イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ」

 

ボン!

 

……………………………

………………………

………………

………

 

天「ふぅ…kumaちゃ、エルちゃ、ごめんね」

ΕΛΠΙΣ「いいですよ、ソラさんが元に戻ってくれれば」

kuma「あまり無茶しちゃダメだよ?」

天「わかってるって、心配性だなぁ」

龍虎「あのスキル使えたんだな。自分の前じゃ使えなかっただろう?」

天「使えないよ?アレはシロさんの薬を飲まないと使えないの」

シロ「そやで!だから、俺のおかげや」

天「ありがとうございます、シロ様」

シロ「ホンマ、気持ち悪いで?」

天「酷い…」

 

DITはひよことよもぎにさっきの事を聞いていた。

 

DIT「覚えてないのか?」

ひよこ「…うん。お腹の辺りが凄く痛いくらい」

よもぎ「僕も入口で僕のクローンに襲われた後から覚えてないんです」

DIT「それは龍がお前を気絶させる為に本気だしたからだ。アイツ、ソラが関わると手加減を知らないからな」

よもぎ「え!?龍虎さん、本気だしたんですか!?見たかった…」

ひよこ「しょうがないよ、逆に私が同じ立場ならそうしてるだろうし」

天「みんな、そろそろ頂上だよ、引き締めて」

 

to be continue…




次回予告
天達は激戦の末、塔の頂上に辿り着いた。そこに立っていたのは薙鎖だけじゃなかった。
次回、九つの星々 vs 九つの英雄

今回の1番の活躍者は龍虎さんです。
まだ、細かいスキルの詳細は考えていませんが、龍の型と虎の型をスキル欄に加えたらまた、連絡させていただきます。

次回の投稿は再来週の日曜辺りを目指して書きます。
次回も長編になるのはもうわかってる事なので…
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