さすが地元民、入り組んだ細い路地をサクサク進んでいく。バイクだったら何回か立ち止まってルート確認してたな。
おじいさんが呟く。
「開聞岳の裾を一周、は結構な人がしたがるけど、正直あんまオススメはしないなぁ。道が狭いんだもの」
おじいさんの言う通り、車が対面通行出来るかどうかのギリギリな幅しかない。バイクなら余裕だろうが、しかしコンクリが所々盛大にヒビ割れていて走りづらそうだ。
木々の様子も手入れされている様子が全くなく、伸び放題な印象だ。お陰で薄暗く、折れたデカい枝が道路の真ん中に落っこちている。
……うん。バイクで来なくて(来れなくて、だが)良かったかもしれない。
「だから地元民は釣り人くらいしか来ないよ。釣り人からしたら良い立地らしいけど。ほら、アッチでやってる」
たまに路駐している車があって、鬱蒼と茂る木の隙間から海側を見つめると、なるほど確かに竿を手に持つ人が居た。
釣りかぁ。
釣りの楽しさはまだ分かってないなぁ。そもそもやった事もない。
多分、私の性に合っていると思われるが、なかなか足を踏み出せない領域だ。海──水辺関連のスキルツリーは未開放です。大人になってからプールに一回しか行ってない。
「まぁ確かに、人の気配とか無いから釣りには絶好のスポットなんスかねぇ」
適当な雑談を交わしながらドライブは進む。
走っていくとさらに緑が深くなり、ここだけ一気に夜が近づく。
「お。トンネルだ」
心霊スポットとして名高いらしい開聞トンネルが見えてきた。コンクリート打ちの無骨な造り。
車は躊躇なく進み、照明器具が一切ない真っ黒なトンネル内に突入する。
「うおお暗すぎるし狭すぎるっ。車幅ギリギリじゃないですか」
「本当にねぇ。でも誰も通らないから大丈夫」
明かりを取るために一定間隔に天井に穴が空いていたり、トンネル中央部は鉄骨の骨組みだけになっていて吹き抜けになっていたが、それでもなお暗い。
流石は心霊エピソードが何も無いのに心霊スポットと評される場所だ。雰囲気だけで十二分に怖い。地面は何故か水浸しだし、夜に来たらチビれる。
直ぐにトンネルを抜けたが、開門トンネルはこの後もうひとつあった。
今通ったのは南のトンネル全長150mほどだが、北に構える二つ目のトンネルはその三倍以上長い。
……バイクで来なくて本当に良かった。こんな所を一人で通るの心細すぎる。
内心ビビりまくっている私に、おじいさんは慣れた様子でトンネルのトリビアを語る。
「近くにゴルフ場があるんだけど、そのお客さんの景観を損ねないようにってこのトンネルが造られてね。目隠し以上の意味は無いトンネルなんだ」
確かに、開聞岳の外周を走っているだけの道にトンネルなど必要ないはずである。
……ゴルフかぁ。
ゴルフもやった事ないなぁ。初代Wiiのスポーツゲームくらいだ。
私は運動そのものは好きだが、運動神経自体はそこまで良くない。
加えてメンタルが勝負事に向いてなさ過ぎた。私は小心者なのだ。
車は北側のトンネルに突入する。
「あ、コッチにはすれ違い用の空間があるんスね」
「さすがに距離が長いからね」
トンネルの前半後半部にそれぞれ一箇所ずつ待避スペースが設けられていたが、まぁ無いよりはマシという感じだ。長ぇよトンネル。
トンネルを抜けても道の荒れ具合は相変わらずで、景観もほぼ無いから開聞岳外周はあまりオススメしない。肝試しにはメチャクチャ使える。
そんな感じで民宿おじいさんによる開聞岳麓ツアーは終了した。本当にありがとうございました。
「他に寄りたい所はある?そんなに遠くなければ連れていくけど」
「あ、いえいえ大丈夫です!後はもう民宿でゆっくり過ごさせていただきます!」
本当なら近場の温泉巡りなどしたかったが、自分の足ではないので流石に遠慮する。
今日はもうメシ食って終わりだ。お風呂なら民宿にもあるしな。
そうして宿に戻り、ようやく部屋に案内される。そういえばまだ部屋の割り当てすら聞いてなかった。
「貴方はこっちの部屋ね。今夜はもう一人宿泊者が居て、隣の部屋に居ます」
先に支払いを済ませ、家の中を案内された。
私の寝床は十畳くらいでとても広く、そしてザ・子ども部屋という感じだった。
まるで出ていった息子がかつて使用していた部屋のような雰囲気をビンビンに感じる。
部屋の隅のベッドには何か知らないキャラ物が描かれているし、何よりサイズが小さい。たぶん足はみ出るな。
「それじゃあ18時に夕食を出すんで、それまでごゆっくり」
結構な時間を共にしたおじいさんが退出していった。
ふむ。開聞岳外周は30分と経たず終わったので、夕食までまだ時間はある。
荷物も運び終え、ツナギから半袖短パンとラフな格好になった。
このままゴロゴロしてるのもアリだが、せっかくの未知の土地。
散歩しなけりゃ勿体ないってものだ。
「ついでに洗濯も済ますか」
今脱いだツナギに、一日中履いていた靴下を包んで持つ。
今日は特別暑い日ではなかったが、それなりに汗をかいた。
民宿に至る十字路に古びたランドリーがある。そこに洗濯物をブチ込み、その間に指宿の散策と洒落こもう。
「ちょっと散歩行ってきまーす」
一応家主に一言断わり、外出。
ぺたぺたとサンダルを鳴らし、外に出る。
西日がすっかり眩しい。一日が終わる準備に入っているが、まだだ。まだ私の行動は終わらない。
「まぁとりあえずランドリーに……って、だいぶ年季入ってるな」
昨今、世はまさにコインランドリー戦国時代かと言うくらい店舗を見かけるが、ここはそんな時代の波に乗り遅れた良かったような寂れ具合だった。
ガラス張りの引き戸が半開きだし……。まぁこれは誰か利用客の横着だろう。
気にせず通ろうと手に掛けると、気付く。
「……蜘蛛の巣張っとる……」
円網ではなく一、二本の糸が繋がっているだけだが、正直これだけでちょっと入る気が滅入った。
これから衣服を綺麗にしようってのにその場所が汚い(かもしれない)というのは、私の心理的に抵抗があるようだ。
しかし一瞬躊躇っただけで、私は構わず入る。
近くに他にランドリーが無いので選択肢がないというのもあるが……。
(ぶっちゃけ『洗濯した』という実績と心理的余裕が欲しいだけで、水洗いだけでもいいんだ。気軽な男一人旅だし)
悪臭さえ放たなければいいのだ。
そうなると要洗濯なのは靴下だけだな。これだけはどう頑張っても臭い。
「お。洗濯機内洗浄機能あるじゃん。やっとこ」
洗濯機も外観同様、そこそこに古びた様子だったが、機能は充実していた。
1分ほどの機内洗浄が終わり、衣服を安心して放り込む。そして適当に機械をON。
「洗濯が終わるまで30分か。よし、そこら辺散歩してこよう」
お待ちかねの散歩タイムだ。
と言ってもそこまで時間があるわけでは無いので、目星を付けていた場所に直行する。
「本当は朝イチに参拝しようかと思ってたけど、やっぱ先に済ませとこう」
この近くに
「意外と距離あるな」
マップだと民宿から直ぐそこにありそうだが、実際にはちょっと坂道もあって地味に歩いた。
朝イチじゃなくて今来て正解だったなと思いながら、なんとなく大通りから外れて神社の裏手側から回る。
何故か裏手から行きたくなったのだ。特に理由は無い。気分。
神域を表す木々と民家に挟まれた路地に入り、裏口から境内へ侵入する。
「おお、広くて綺麗だな」
敷地に入った途端、神域特有の静けさが訪れた。
敷き詰められた玉砂利に、鮮やかな朱色の社殿。
裏口の門に張ってあった神前幕も綺麗だったし、よく管理された場所なのだと思う。
ぶっちゃけ地図上だと寂れた感じの印象だったが、予想以上に格式高い場所らしい。
……の割には人の気配が無いが、まあ時刻的に参拝客の足も遠まる頃合か(調べたら17:00閉館だった)。
「人が居ない方が雰囲気あっていいよな」
無人の境内を散策する。
といっても私は知識も知見も興味も薄いので、風情を感じ取る程度の浅い回り方だが。
そこそこデカい馬のオブジェを見上げたり、ちょっとお社の中を覗いてみたりと、中学生の修学旅行レベルの観光を楽しむ。
そんな感じでうろちょろしていると、家族連れの参拝客が来てしまった。
他に誰も居ない境内。
少し気まずいので、私は彼らと入れ替わるようにして表の門から外に出た。
「よーし。じゃあ後は食料の調達だな」
時間的にも歩いて行ける距離的にも、観光スポットはこの神社くらいだ。
後は明日の朝食と登山の行動食を買いにスーパーに寄るくらいが限界だ。
大通りから緩い坂道を下り、小道へ入る。
私のツナギを洗っているコインランドリーの北側徒歩5分、そこのスーパーへ。
「テキトーに食えるモンがいいな」
パンやおにぎりにお菓子と、手軽に食べれる食べ物を入手。
水やスポーツドリンク等も購入し、これで明日の登山準備は整った。
ガサガサとポリ袋を揺らし、洗濯物を回収しにランドリーへ。
「む。まだ終わってなかったか」
ゴウンゴウンと未だ回り続けている業務用洗濯機。中は変わらず無人だった。
残り時間は5分ほどだったので、そのまま屋内の椅子に座して待つ事にした。
コン、とコンクリートの壁に頭を預ける。
「……ふぅ。疲れた」
海軍大将座りにて体の力を抜いた。
表面が剥がれた木材テーブル、その上に置いた買い物袋の中身がガサリと動く。
まだまだ青白い西日が、弱弱しい蛍光灯の光を上書きしている。
十字路の角という立地なので、信号機の光が切り替わるのが見えた。
ガラスの向こうで乗用車がブォン、と通り過ぎていった。
洗濯機はまだ回っている。
「……なんか、スゲー雰囲気いいな」
自分以外誰も居ない夕方のコインランドリーで洗濯待ちしているだけなのだが、建物や備品の古さがとても良い働きをしてくれていた。
マンガだったらこの後美少女が入ってきてセックスする流れになりそうなアンニュイな空気が漂っている。
そんな心地いい倦怠感に浸っていると、ピー、ピー、と洗濯機が止まった。どうやら黄昏タイムは終わりのようである。
「よっし。じゃあ今度は乾燥機にぶち込んで、一旦戻るか」
もうそろそろ夕飯の18時だ。
一回民宿に戻って、食べ終わったら回収しに来よう。乾燥も30分だ。
やる事を終えて外に出ると、目の前には夕空に聳える開聞岳が。
その頂上だけがキレイに雲に覆われていた。
「へえ。1000m無いくらいの大きさでも笠被るんだ」
周囲に雲は無いのに、山の頭頂部にだけチョコンと本当に笠のように雲が発生していた。
笠雲は天候が崩れる前兆とされるが、この開聞岳からは正直そんな気配は微塵も感じられない。
天気予報も明日は晴天と出ているので、登山にはなんの影響もないだろう。安心してその姿を拝める。
もし仮に今、登頂している人が居たら、あの雲の中に居るんだよなと思いを馳せながら帰宅。
屋内に入ると、右手のリビングの方からカタ、コト、と食器を置く音が聞こえてくる。
おじいさんとおばあさんが食卓の準備をしていた。
「ああ、おかえりなさい。もうご飯食べられますよ」
ビニール袋を部屋に置いてリビングへ足を運ぶと、広いテーブルの上に所狭しと夕餉の皿が並べられていた。
地元で採れたであろう野菜や海産物などがそれぞれの器に盛り付けられ、まるで旅館のようなおもてなしだ。
もう一人の宿泊者であるオッサンは既に席につき、先に食べ始めている。
互いに会釈し、私も席に着いた。
「いただきます」
(……ヤバいな)
いざ食卓に着いたが、その品数の多さを前に、正直私のお腹はそこまで空いていなかった。
SAで食いまくったからだ(当社比)。
疲れたには疲れているが、バイクに跨って運転していただけなのでカロリーを消費していないのである。
「うん。美味しいです」
まぁとりあえず食えるだけ食っておこう。
目標はもちろん食い切る事だが、多分ムリだ。素朴な感じのメニューだが、あまりにも品数が多い。多分お腹の具合が平時でもキツい。
「ビールは飲みますか?」
「……いただきます」
っは。つい頼んでしまった。
適度なアルコールは食欲を増進させるとはいえ、私の場合はビールの炭酸で腹が膨れてしまう方が強い。完全にミスった。
しかし今さら断るわけにも行かず(断ればいいのに)、サコッシュからビール代金を渡して冷えた缶ビールとコップが渡される。
……こうなれば、意地でも食べ切るか。明日の登山のためにも食い溜めする気概で。
隣のオッサンと軽く雑談を交わしながらゆっくりと食して行く。
──30分後。
「結構……いけるモンだな……」
最後のひと皿を平らげた私がそこに居た。
ゆっくり噛んで食べていた為オッサンはすでに席を立ち、民宿のおじいさんに見守られながらなんとか完食した。
何とかなるモンだな……、油っこい物は一品しか無かったのが幸いだった。うっぷ。
「ご馳走様でした。じゃあ俺、洗濯物取ってきますね」
腹ごなしに少しだけ散歩だ。
とっくに洗濯(乾燥)時間が過ぎているので、盗まれていないか心配だ。まぁ盗む人なんて居ないだろうけど、さっさと回収しに行くに限る。
外に出ても、まだ空は明るかった。
だが開聞岳はすっかり影に染まって、その存在感を異様に際立たせていた。
「明日頑張って登ってやるからな。待ってろよ」
登る気概は充分。
仕事を終えた乾燥機からツナギたちを取り出して(盗まれてなくて良かった)、私はゆっくり山を眺めながら民宿に帰った。
民宿に戻ると、おじいさんとおばあさんが出迎えてくれた。
「お風呂は沸いているのでご自由に使ってください。お湯は払わずそのままで。私たちは帰りますので、戸締まりお願いします」
ふむ、この民宿は家主不在型らしい。
ものすごい生活感が漂っているからてっきり住んでるものだとばかり思っていたが、どうやら自宅は別にあるようだ。
おじいさんの話は続く。
「それで明日なのですが、朝4時には私ここに来てますので、一度リビングに顔を出してください。軽い朝食と、開聞岳の登山口まで車で送りますよ」
なんと、朝の送迎まで完備とは恐れ入った。
まぁ、この民宿に泊まる人はもれなく開聞岳登山しに来る客ばかりだろうから、そんなサービスが充実しているのも頷ける。多分私のネジ刺さりバイクは関係ないはずだ。
しかし、私は最初から民宿から歩いて登山しようと思っていたので、一回は固辞する。
「いえいえ、そんな悪いですよ。一応歩いて行く予定でしたし」
「でも結構時間掛かるよ?いつもやってる事だから、遠慮せず」
というわけで朝の送迎が決まった。こんな至れり尽くせりな登山は初めてだ。
おじいさんとおばあさんは帰宅し、静かな民宿はさらに静けさを増す。
……とりあえず、お風呂に入るか。
隣人のオジサンはすでに部屋に引き篭って出てこないため、今の内にサッサと入ってしまおう。
普通の家より少し広めの造りだったろうか(ちょっと覚えてない)、湯船に浸かって今日の疲れを染み出していく。
「あ〜疲れた。やっぱ一日で300キロの移動はしんどいって」
ほとんど高速道路とはいえ、だからこそ疲労が溜まった。
暴風に身を晒しながらずっと運転と、字にしてみればそりゃ疲れる要素しかない。
それに加えてネジ問題だ。
車屋の人の反応を考えると、多分そこまで重大な問題ではないっぽいが、私的には初めて直面するトラブルなので些か不安である。
もし直らなかったら……タイヤ交換する事になったら……と考えても仕方ない事をついつい考えてしまう。
「ま、何とかなるだろ」
仮に何とかならなくても、何とかするのだ。
旅先でのトラブルは、なるべく楽観的に考えた方がイイ。
悲観的になっても何も解決しないし、おじいさんも言っていたが旅にトラブルは付き物だ。それごと楽しむ気概が必要だ。
現にこうして書くことのネタになるし、当時の私も正直
ザパァ、と浴槽から立ち上がる。
「さて、早く出るか」
という訳でネジ問題はもはや解決したとして、私には次なる問題が待っていた。
風呂から出て髪を乾かし、歯を磨き、全ての雑務を終えて部屋に戻る。
私一人が使うにはいささか広過ぎる部屋で、メモとボールペンとスマホを取り出した。
地図アプリを開き、『キャンプ場』で検索する。
「さてと、明日はどこに泊まるかな」
そう。
私は開聞岳登山後の予定を、一切立てていなかったのだ!残り一泊二日もあるのに。
正確には何も考えていないワケではなく、候補自体は絞ってあるのだが、まだ確定していないだけだ(ほぼ無計画と同義)。
という事で、今から就寝までの間に明日の下山後の行く末を決めておかなければならない。
今この瞬間がラストチャンス。
ここで決めないと、明日は一晩中バイクに乗るか野宿で過ごす事になるやもしれない。
「問題は、熊本方面に行くか桜島に行くかだ」
事前の目星でもこのどちらかの2パターンだ最有力だ。
熊本方面は天草諸島ら辺のキャンプ場が気になっている。さらにだいぶ北上するので、明後日の行動が楽になる。
一方、桜島は桜島そのものと、桜島へ渡るフェリーが目玉だ。しかし渡ったあとの宿探しが難航している。
欲を言えば全てをじっくり見て回りたいが、そうもいかない。選択しなければ。
「う〜ん……、やっぱりここは桜島かな」
個人的にフェリーの魅力に軍杯が上がった。
沢木耕太郎の『深夜特急』でも、金の無い旅先でフェリーに乗って暇を潰す贅沢な時間を過ごしている。私もそれに倣おう。
そうと決まれば早速桜島フェリーの運航時間・状況・費用を調べてみるとしよう。なになに……?
「マジかよ。24時間営業してやがる……!」
調べてビックリ。
まさかの一昼夜営業で、最低でも1時間に一便は運航している。
桜島フェリー、だいぶ気合い入ってんな……っ。
観光客だけでなく生活・通学航路としての役割も担っているらしいが、いやはや恐れ入った。
深夜便なんて一体誰が利用してるんだ。……深夜のフェリー、ちょっと乗ってみたいな。
「まぁ何にせよ助かる。どのタイミングで行っても乗りっぱぐれることは無いわけだ」
登山してから向かうから、時間はおおよそでしか読めない私にとって大変都合が良い。
そうなれば残る問題はどこに泊まるかだが……
「うーん。いくつかキャンプ場を絞ったが、どこも予約制か」
昨今のキャンプブームとコロナ禍のせいで、どこも予約必須と謳っている。
困ったな。予約するの面倒くさいぞ。
「ま、何とかなるか」
明日は主日だから空いているはずだ。
目星を付けたキャンプ場の名前をメモに書き出し、取り敢えず向かうべき指針だけは決まったのでひと安心する。
仮に予約無しのために門前払いされても、何処か一箇所くらいは快く受け入れてくれるはず(素直に当日予約すればいいのに、というツッコミは無しで)、とひどく楽観的な思考で宿探しを打ち切った。
「明日も早い。さっさと寝よ」
時刻はなんやかんや21:30。
4時起床と考えるともう寝ておきたいところだ。
早く寝たいがために宿探しをこんな中途半端で終えたが、あとぶっちゃけ考えるのが面倒くさくなったのもある。
やはり予定は事前に計画しておいた方がいい。
そんな事を心の片隅で後悔しながら、私は眠りに就いた。