一輪花の咲くまで   作:No.9646

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そしてアンケートご協力ありがとうございます。
先日7000字くらいで投稿したところ、量多め週1が追い上げを見せました。
今回は試験的に週2投稿を行なっています。
ある種不定期のような更新になっているので、
閑話回な飛ばしても本編にはほぼ影響ない短めほのぼの・ギャグ(下ネタ)・+αです。
時期的に体育祭後〜職場体験後(期末前)まで。


15話 幕間①

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「黒衣さん…あなたは重大な隠し事をしていますね…?」

「どうしたの葉隠さん?藪から棒に」

 

切島の座席を占領し、後向きに座った葉隠は机の上に両肘をついておそらく口元だろう辺りで手を組んでいるようだった。

一花はサブカルにはあまり明るくはないが、どこぞの司令官がよくするポーズらしい。

隠し事があると言い当てられても、一花が慌てることはなかった。

何というか、空気が違うのだ。

氏名から経歴からほとんど全てを偽っている一花だが、それがバレたのであれば、こんな休み時間の教室のど真ん中、周囲が関係ないおしゃべりに興じている中で突きつけたりはしないだろう。

近くにプロが潜んでいる気配もない。

 

「自白する気はありませんか?」

「そう言われても、心当たりが…?」

 

仮に仲間内で問われても、同じ返答をしただろう。心当たりがありすぎてどれの事を言われているのか。もう少し範囲を絞って欲しい。

 

「私は見てしまったのです…あなたが…普通科の男子と2人っきりでお昼を食べているところを!」

 

Baaaan!と背景に効果音でも付きそうな勢いであった。

 

「ああ、うん、うん…?」

 

わけがわからない。

 

「ええと?それがどうかしたの?」

 

これが政治家とかの不倫現場とか、禁止されている物品の密売取引とか、ヒーローとヴィランの密会現場とかならまだわかる。

そんなものを見かけたら嬉々として聞き耳立てて撮影録画録音して後に裏取するし、取引(脅迫)材料にする。

心操とのランチは、偏った人間関係では怪しまれやすいから交流を持っているに過ぎないし、2人なのもお互い静かな所がいいと意見が一致したからあまり人の多くない場所を選んだだけで、別段見られて困るものではない。

実際、人通りが全くないというわけでもない。

自身がヒーロー科の、何かと話題にあがるA組とあって視線を感じることもある。

なぜ全く秘匿していないそれが重大な秘密になるのか。

首を傾げていると、ガタタッ!と椅子を蹴立てて乱入者があった。

 

「恋バナが聞こえた!その話詳しく訊かせてもらおうか!」

 

眼を爛々と輝かせた芦戸である。

 

「それがねそれがね!かくかくしかじか!」

「まるまるうまうま⁉︎マジか!それで⁉︎どうなの黒衣さん⁉︎」

「いやどうと言われても。心操君にはヒーロー基礎学のノートを貸したり、授業内容教えたりしてるだけだよ。彼、転科希望だから」

 

代わりに週一でランチを奢ってもらっているのだと、ありのままに伝えるが納得してくれた様子は微塵もない。

 

「努力家なのね」

「確か体育祭でデクくんと戦った人だよね」

「前にうちの教室来てなかった?」

 

わらわらと他の女子まで集まって来てしまった。

 

「でも2人っきりでしょ⁉︎ふたりっきり!」

「クラス違うんだから、私も向こうもお互いのクラスに他に親しい人いるわけじゃないし、教室行ったら完全アウェイだよ。食堂混んでるし」

「親しい人!」

「あソコ拾うんだ」

 

この調子だと、何を言っても恋愛に繋げられそうである。

 

「でもでも!あれは脈アリだと思う!黒衣さん美人だし!絶対モテる!この前は轟くんに告白()されてたし!」

「あれ単に訓練相手のお願い」

 

「どんなだったの⁉︎」「私のために争わないで…ってやつだ!」とキャーキャー盛り上がる芦戸と葉隠に、一花の反証は黙殺された。

なお話題に名前があげられた轟はきょとんとしていた。

 

「昼飯ならこの前俺も食ったぞ?」

「今それ言うとアレに巻き込まれるぞ」

 

女子の勢いにたじろいだ障子に黙っておけと言われ、轟はお口をチャックした。英断である。

 

「じゃあじゃあ!好みのタイプは⁉︎心操くんはアリ⁉︎ナシ⁉︎」

 

一花は困ったように苦笑する。

恋愛感情など、利用するものであって自身が抱くものではない。

まだ本格的な色仕掛け(ハニートラップ)は実践回数が少ないが、訓練はされたし、これくらいの年齢が良いという男もいるので出番が無いこともない。

惚れたら負け、身体を使わないと落とせないのは二流以下、そんな世界だ。

彼女たちが期待するものとは真逆の実態なのだが、あまりにワクワクキラキラとした視線が注がれるので適当なことを答えてしまおうかーとするとそこに。

 

「おいお前ら、もう少し声落とせ。廊下まで聞こえてんぞ」

 

ガラリとドアが開いて相澤が入ってきた。

一花は使えるモノは使う主義である。

そうだねぇ、と考えるふりをして笑顔を作る。

 

「好みのタイプは、強くて頼りになる一本芯の通った、15歳くらい年上の大人の男性かな」

 

教室中の視線が、教壇に向いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「はぁ…疲れた…」

 

午後の授業を終えて、天喰環はいつもと同じように今回の授業でも全くダメダメだった自分を省みながら更衣室へとやってきた。

併設されているシャワールームで汗を流そうと服を脱ぐ。

パンツに手をかけたところで、じぃっと視線を感じた。

出どころは、幼馴染で友人の、通形ミリオ。

 

「…何、ミリオ?」

「ウウンナンデモナイヨ。サアハヤクキガエヨウヨ」

「いや何でもなくないだろ…何でカタコト…」

 

男同士だし同じ場所で着替えるのもいつもの事だからそこはまあいいが、あまりじっと凝視されても脱ぎにくい。

 

「…俺、小さいかな?」

 

たっぷり間を開けて、ミリオの口から出たのは問いだった。

 

「何が?」

「ナニが」

「「………」」

 

再びの沈黙。

環だって高校生男子。

ミリオの言いたいことは、分かる。

小学生の頃にはプールの授業でパンツをずり下ろして囃し立てる奴もいたし。

お互い幼馴染で付き合いが長いだけあって、見たこともある。

小さい頃は泥だらけになって一緒に風呂に放り込まれたこともあったし、今もシャワー共有だし合宿でだって風呂に入る。

 

「なんだってそんな話に…?」

 

聞きたくないけど。

そんな思いが頭を占めていたが、訊くより他ない。

 

「…この前サーの事務所にどうかって1年生の女の子職場体験の勧誘しに行ったんだけどさ。その子の前で服、落としたんだよね」

「またやったのか…」

「うん。とても冷静にヒーロー(先生)に通報された」

「内部通報でよかったな…」

 

外でやったら洒落にならない。

去年の体育祭でのやらかしはまだネタにされているし、担任のスナイプ先生からは「やるなよ、絶対にやるなよ」と念押しされている。

せっかくNo.1にもっとも近い将来有望なヒーロー候補生が公然猥褻とか本当にやめてほしい。

 

「でまあち○ち○見られたわけだけど、言われたんだよね。お粗末って…」

「お粗末…」

 

環は身震いした。

 

(エッ怖い後輩そんな事言うの…お粗末って他比べるモノ見たことあるってこと…?うわ肉食系女子コワイ…)

 

「俺、小さいかな…?」

「えっ…」

 

環は混乱していた。

元々口下手で、実力はあるのに自己評価・肯定感が低く、ノミの心臓とインターン先でも揶揄されるほどネガティブな隠キャ(やる時はやる)でコミュニケーション能力にやや難がある。

別にミリオが小さいとは思わない(じっくり見たことなんてないけど)し「そんなことないよ」とか「ミリオは体が大きいから相対的に小さく見えただけだよ」とか、なんと答えようか迷いに迷った挙句。

結果口から出たのは。

 

「お、男は大きさじゃないよ!」

 

ニコ、とミリオは力無く笑って、地に沈んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

週末の夜。

 

「まだ起きてたのか」

 

声をかけられて、血染は資料から眼を上げる。

葬は湯上がりらしく、キャミソールとショートパンツという軽装。

ちょうど子供と大人の境。

伸びる肢体は長くしなやか、まだまろさを残しつつ、濡れた肌はわずかに蒸気して、少女である事すら武器にするよう仕込まれた手管が醸す女の色香が絶妙なアンバランスさを魅せる。

図るとも図らずとも腹の中の熱を乱される男は多いらしい。

葬はソファへ膝を下ろすとそのまま血染の身体を跨いで、対面になるように足の間に腰を落として座った。

仄かな花蜜の香りが削ぎ落とした鼻の残った鼻腔を擽る。

 

「傷の具合はどうだ?」

「怪我人だと分かっているなら上に乗るな」

「火傷凍傷顔面打撲に骨折した上肺に穴あけて折れた骨も治らない内に前線復帰しようとした奴が何を言ってるんだ」

 

血染は保須で学生3人に敗北し逮捕されたが、葬の手配で搬送された病院から逃げおおせた。

手術は済ませたがそこそこ重傷。

構わず動こうとしたが前線復帰は留め置かれ、今は情報分析と戦闘員の指導に回されていた。

するりと白い手がシャツの中に差し入れられる。

細い指が腹から胸へ。

合わせてシャツが撒くられる。

 

「また傷が増えたな」

 

引き攣ったそれをなぞるように指が這う。

真新しい縫合跡、消えかけの切傷、既に癒えても残った刺傷、歪な肉の凹凸。

血染は少しばかりこそばゆくはあるが、その程度。葬の好きなようにさせていた。

 

「今更傷の1つや2つ増えたところで変わらんだろう」

「怪我も死人も少ないに越した事はないさ」

 

葬を支えるように血染が背中へ腕を回せば、寄りかかり背が反った代わり、腰が突き出されて下腹部を圧迫する。

 

「まあ、無傷とまではいかなくても、戻って来てくれて何よりだ。一度手に入れたモノは手放したくないんだ。ほら、子どもらしいだろ?」

 

前に血染が言った「子どもらしく」への当て擦りだとはすぐに察しがついた。

 

「ハァ…最後が余計だ。お前は早く寝ろ。子どもはもう寝る時間だ」

 

時計の針は既に深夜を指していた。

普段潜入仕事で不在がちな葬は学校が休日になる週末に通常業務を片付けている。

土曜の今日とて日中は学校(潜入)だったのだ。休息は取れる内に取るべきだ。

けれども葬は「知らないのか?」と血染の首に腕を絡める。

 

「週末の夜は、子どもでも夜更かしが許されるのさ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1A女子s

恋バナしたい!

 

一花

ハニトラは回数少ない(やらないとは言ってない)

個性使う方が早いので

 

悪意なく止めを刺した

 

ミリオ

…orz

 

血染

健全な(2回目)




ちなみにイレイザーヘッドとステインは年齢1つ差らしいです(公式)

お試し週2更新でした。
更新間隔が早いと大して進んで無くても進んだ気がするの気のせいですかね。
次回は通常通り日曜更新となります。

更新頻度はどれくらい?※目安です

  • 文量多めで週1がいい(7千程度〜)
  • 文量少なめで週2がいい(3〜5千程度)
  • 今くらいでいい(5千程度で週1)
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