一輪花の咲くまで   作:No.9646

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25話 死穢八斎会②

 

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「これは…何だ⁉︎」

 

緑谷は無事仮免試験に合格し、サー・ナイトアイの元でインターンを受け入れてもらった。

ある日研修に呼ばれ寮を出れば、関西で研修中のはずの切島も同じ集合先。

彼だけではない。彼のインターン先のファットガム、先輩研修生のサンイーター。

それに相澤やグラントリノまでいる。

何が始まるのかと緊張の面持ちで着席した。

事の起こりは少し前、切島が研修中に遭遇したチンピラの喧嘩に行き当たる。

彼らは禁止されている薬物を所持・使用しており、それをファットガム等と共に捕らえた。

チンピラたちが所有していたのは日本では禁止されている個性を強化するブースト薬、そしてもう一つ。

個性抑制薬。

 

「ちゅーても違法やない。ちゃーんと届出が出されとる薬やった。効能は体内の個性因子に作用して一時的に個性の発現を抑える個性抑制薬。暴走を起こしやすい子供への投与とコントロール訓練で事故を防ごうっちゅうモンや。コイツはちょっと前に盗難届が出とった、その内の1個ちゅうわけや」

 

環は撃たれた直後からしばらく個性を使えない状態だったが、自然回復によりすでに戻っていた。

俄に色めきだったが、環が立派な牛の蹄を再現して見せたことで安堵の息が流れる。

今日の朝食は牛丼か。

 

「我々が注目しているのはその盗まれた企業です。ここは指定敵団体死穢八斎會の関連企業である事が分かっています」

「指定敵団体…」

「指定敵団体はかつての大解体で下火になりましたが、死穢八斎會は決定的な犯行証拠がなく解体を免れ、今では解散寸前の組織も取り込み、勢力を拡大している。そして調査を進めたところ、敵連合との接触が発覚しました」

 

サー・ナイトアイの眼光が、さらに鋭さを増す。しかしそれはどこか苦しげだった。

 

「死穢八斎會の裏には、死柄木葬がいる」

「「‼︎」」

 

通形と緑谷、切島の表情が強張る。

イレイザーはさすがに表情を変えなかったが、隣にいたグラントリノだけは、彼の拳が強く握られるのに気づいた。

 

「ここ最近の2年ほどで死穢八斎會は復興を遂げています。その頃から死柄木葬の出入があったようです。決定的な証拠はありませんが、おそらく再興資金などは彼女を経由して持ち込まれた物と推測されます。更に先日、敵連合の1人トゥワイスとの接触を確認しました。その後もう一度連合と接触があったことは判明しましたが、両者とも特に目立った動きはなく、連合との関係性は不明です」

「連合絡みだって事で俺らにも声がかかったってわけだ」

 

グラントリノが発言する。

 

「連合に関しちゃ別件で情報が入ったんで、今塚内がそっち当たっとる。死柄木妹の方は、あー、お前さんらどこまで知っとる?」

 

水を向けられた緑谷たちに代わって答えたのは相澤だった。

 

「生徒たちには、黒衣一花の正体が死柄木葬であったこと、AFO直属配下であり、工作員として雄英へ潜入していたこと。犯罪被害者であることを大まかに伝えています」

「妥当だな。あれからもう少し調べて、同一組織の被害にあって別の所で救助された被害者に話を聞けたが、まあ胸糞悪いもんだったわい。とてもじゃないが学生に聞かせられる話じゃねえ」

「そんな、だったんですか…」

 

プロには概要ではあるが、伝えられているらしかった。

緑谷たちもほんの上辺だけではあったが聞いていたが、悍ましいものだった。

 

「雄英は、1クラス20人やったな?」

「あ、はい」

「ヒーロー科2クラス合わせて40人。嬢ちゃんは管理番号9番なんつー非道な呼ばれ方しとった。名前なんかない。物扱いや。そんで、確認できる次の番号は46番。つまり40人居たはずの子どもが、残ったのはたった1人。あの嬢ちゃんがいたのはそういう所やった」

 

緑谷たち学生はそれを聞いて言葉を失くした。

A組のクラスメイト、B組の生徒たちの顔が浮かぶ。

そして、いなくなる彼らとたった1人残されることを想像して、血の気が失せる。

 

「ファットガム」

「堪忍。でも彼らもセミプロや。近いうちにプロの世界飛び込もういうんなら、そういう世界があるちゅーことは知らなあかん。被害者がいるゆうんを知らな、救けないかん人がおるんやってことを知っとかなあかんのや!知らなきゃ誰も救けられへん!」

「「「「‼︎」」」」」

 

ファットガムの言葉に、緑谷たちは弾かれたように顔を上げた。

黒衣が内通者と知らされて、初めは信じられなかった。

加えて聞かされた彼女の境遇は、もはや別世界の物語(フィクション)だった。

残酷で醜悪な人間の欲が集約された犯罪の被害者。

救われないままに転じてしまった加害者。

これから先、見なければならない、目を背けてはいけない暗闇を見せつけられた。

何で言ってくれなかったんだ、何で救けを求めなかったんだ。

思うところがないわけじゃない。言いたいことはたくさんある。

けれどそんなことより。

 

「苦しんどる子がおる、泣きたくても泣く事もできんでいる子がおる。救けに行かんなんて選択肢はあらん!」

 

カタリと、サーが立ち上がる。

そして、深々と頭を下げた。

 

「…彼女は職場体験の折、ウチに来ていました。2人きりで話す機会もありました。短い期間とは言え、プロヒーローとして、気付けなかったことを悔しく、また自身を不甲斐無く思います」

「サー…」

 

ルミリオンは、サーがブラックコートを気に入っていたことを知っている。

夏の終わりにはどこかさっぱりしたような、憑き物が落ちたような、いつもの厳しい表情を少しだけ和らげていた。

何がきっかけだったのかは知らない。どんなやりとりがあったのかも。

けれど彼女に背中を押されて、おかげでオールマイトと和解できたのだと、大事にしているフレームを磨きながら。

今度は研修生として迎え入れようと。そして礼を伝えようと。

 

「死柄木葬の居場所特定と保護。可能な限り早期解決を目指します。ご協力よろしくお願いします」

 

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『ピンポーン』

 

大きな門構えの日本家屋。

その門前で響く軽いはずの電子音が、やけに重たく聞こえたのは緊張のせいだろうか。

緑谷たちはこの日、死穢八斎會本部へ捜査協力として入る。

現時点では令状は取れない。あくまで任意での事情聴取だ。

屋内に入るのはサー・ナイトアイとファットガム。

戦闘の意志がないことを示すため、中に連れていくのはそれぞれの研修生であるデク、ルミリオン、烈怒頼雄斗だ。

イレイザーヘッドとサイドキック2名、そして来られなくなったグラントリノに代わりサンイーターは周囲の警戒と、万が一戦闘になった際の避難誘導を行う。

 

『はい、どちら様で?』

 

サーがインターホン越しに応対、ややあって中に通されたが、投げつけられる視線が決して友好的でないのは如実に感じ取れた。

しかしここで予想外の事態が起きた。

話を聞くはずだった組長が急用ができてしまい、代わり、若頭だという治崎という男に聴取を行うことになった。

調査では、表向きは穏やかな一組員を装っているが、その実他組織との折衝や実働部隊を率いることも多い危険な人物。

しかし、この男の方が死柄木葬と関わっていることも多い。

ニコリと人好きのする、いっそ胡散臭い笑顔と挨拶。

サーたちも差し障りのない挨拶で返していると、控えめに入室許可を尋ねる声が聞こえた。

 

「こん、にちわ。えっと、おちゃおもちました…?」

「惜しい、でも頑張りましたね。お茶をお持ちしました」

 

大柄な男と一緒に個包装の茶菓子を乗せた盆を持っていたのは、5〜6歳くらいの女の子。

 

「ウチの組長の孫の壊理です」

「ありがとうなぁ。ご褒美にアメちゃんあげよ。そや、おいちゃんたちこれから難しいお話するねん。お嬢ちゃん、こっちの兄ちゃんたちと遊んだってぇな」

 

これも予定の内だ。

デクたち研修生は、可能であれば隙を見て邸内に怪しいところがないか調査する役割も担っている。

 

「よろしくね!俺はルミリオン!」

「僕はデクだよ。よろしくね、壊理ちゃん」

「俺は烈怒頼雄斗!よろしくな!」

 

ルミリオンとデクはともかく、烈怒頼雄斗は非常に言いづらそうだった。

 

「何して遊ぼうか?」

 

壊理はちょっと考えて。

 

「こいこい」

「壊理に何教えてやがんだ」

「私じゃないですよ!」

「ちんちろりん」

「おい」

「エリちゃん!トランプ、トランプにしましょう!」

「あざっす!」

 

組員の男に案内されたのは、至って変哲のない、可愛らしい色合いでまとめられた子ども部屋だ。

ぬいぐるみや着せ替え人形、日曜朝番組のキャラクターグッズが飾られている。

その中に飾られた写真立て。

 

「なあ、これ…」

 

一見して仲の良い姉妹の写真。

無邪気に笑う壊理と、慈愛に溢れた瞳をした黒衣が写っていた。

 

「ねえ、エリちゃん。この写真の、お姉さんなんだけど」

「葬おねえさん?」

「…うん」

「デクさんは、おねえさんのおともだち?」

「…一緒の学校で、クラスメイト、だよ」

 

そう伝えると、信じてくれたのか、壊理は“おねえさん“のことを教えてくれた。

個性が上手く扱えず、父親がいなくなってしまったこと。母親に置いて行かれてしまったこと。

けれど、“おねえさん“と“おじさん“が薬を作ってくれて、そばに居てくれて、個性の扱い方を教えてくれて。

学校にも通えて、お友達もできて。

辿々しくも、一生懸命。

 

「エリちゃんはおねえさんが好きなんだね」

 

コクコクと壊理は何度も頷く。

 

「優しくて、あったかくて…ママみたいで、好き」

「…そっか」

 

緑谷はぎゅっと拳を握る。

それ以上の言葉が、出てこなかった。

一方、サーたちは治崎相手にほとんど有益な情報を得られないでいた。

敵連合から勧誘を受けたものの断ったことは嘘か誠か真偽は定かではないし、死柄木葬についてもはぐらかされる。

そもそも任意の事情聴取では限界があった。

 

「では、私たちはこれで」

「お勤めご苦労様です」

「ああ、そうだ」

 

サーはさっさと出ていけとばかりにドアを開けていた銀髪の大柄な男に声をかける。

 

「こちら、私の連絡先です。何かありましたらどうぞご協力を…おや?失礼、ゴミが…」

「え?」

 

対象の一部に触れ、目線を合わせる。

サー・ナイトアイの個性“未来予知“発動。

そして見たものは。

 

「ファットガム、ここをお願います」

 

ファットガムは一瞬だけ驚いていたが、その意図を察してくれると「まかしとき」と頷いた。

サーは部屋を出ると、直様駆け出す。

繋げていた回線を使って知り得た情報を伝える。

 

「ルミリオン!地下だ!ここの地下に死柄木葬がいる!」

「「「!!!」」」

 

真っ先にルミリオンが動いた。

 

「デク!先に行く!」

 

ルミリオンが個性を使って地下に潜る。

 

「地下に隠し通路がある!入口は玄関から真っ直ぐの廊下中腹、掛け軸と梅の花が飾られている!」

 

通信を受けて残るデクと烈怒頼雄斗も飛び出した。

サーと合流し、まるで忍者屋敷の絡繰のような仕掛けを解いて地下通路を駆ける。

烈怒頼雄斗はファットガムを援護すべく別れた。

サーが見た景色の記憶を元に、2人は走る。

 

(間に合え!)

 

先導された先に見えた人影。

そこにいたのは組員だろう男2人と、1人の見知ったはずの少女。

姿形は同じなのに、纏う雰囲気がまるで違った。

堂々とした凄味のある佇まい。

当たり前に人を従えて、こちらに気付いて向けた視線に温度はない。

知っているようで、別人のような。

 

「黒衣さん…⁉︎」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日、葬は死穢八斎會の本拠地である邸宅で治崎と打ち合わせを行っていた。

今回は組長の決裁が必要なものではなく、組長は知人が刺され急遽入院したので見舞いに行くための出かけ支度の最中だ。

 

「ヒーローが来た?」

「ガサの予定(タレコミ)はなかったはずだが?」

「はい、今日はただの任意の事情聴取だと。追い返しますか」

 

しばし悩んで、否、と応えたのは治崎だ。

 

「拒否して変に勘繰られも面倒だ。通せ」

 

全身に嫌悪感を纏わせていたが、来てしまったものは仕方がないと、嫌々、渋々立ち上がる。

 

「お前は地下通路から出ろ。足止めしておく」

「悪いが頼むよ。私はお暇させてもらおう」

 

組長は出かけたし、本部長の入中(ミミック)も付いて行っている。

連中の狙いには葬も含まれているだろうから、直接対応させるのも不可。

序列的にも能力的にも、治崎が対応せざるを得ない。

葬はヒーローたちを上げる前に玄関から靴を回収させ、護衛に付いた乱波と天蓋と共に隠し通路へ向かう。

公安か組対ら辺から情報が流れたのだろう。

死穢八斎會にも捜査の目が向くのは折込づくであるし、組長にも治崎たちにも話は通してある。

更には先日、敵連合との接触もあった。

2度目以降は無いからあちらも組と連合の関係性は掴みあぐねているだろうが、葬はどちらにも共通して関わっている。

居場所の掴めない連合よりは、ある程度拠点が絞れる極道組織の方が焦点は当てやすい。

来客はサー・ナイトアイとファットガム。それから研修生3人。

治崎はのらりくらりとヒーローたちの聴取を捌いているのだろう。

きっと一見人当たりのいい胡散臭い笑顔を振り撒いているに違いない。

地下通路を進んでいると、黙っているのに飽きたのか、乱波が訊ねる。

 

「なあ嬢ちゃん、今来てるヒーローどもは強いか?喧嘩できる奴か?」

 

天蓋は「乱波」と嗜めるが、その相手は聞いちゃいない。

 

「そうだな、プロはどちらも実力のあるヒーローだ。サー・ナイトアイは元オールマイトのサイドキックを務めていた。“未来予知“の個性で相手の行動を先読みして先手を打つ頭脳派だ。痩身に見えるが、侮らない方がいい。投擲用の武器を常時複数所持しているが、1つ5㎏あるらしい」

 

「喧嘩に武器はいらねぇ」

「ならファットガムの方がいいか。彼は大阪を拠点にしているはずだが、向こうで薬物ルートをいくつか潰している。“脂肪吸着“の個性とイメージ的に防御特化と思われているが、なかなかの武闘派だったはず。彼は確か徒手空拳(ステゴロ)タイプだ」

「いいな、そいつ」と乱波はワクテカしていた。

 

根っからのバトルマニアの乱波は組員としては新参者だが、以前は地下格闘技場に身を置き、文字通り命懸けの死合に明け暮れていた。

ただ彼の相手をまともに務められる者が居らず鬱屈していたところに、圧倒する治崎に勧誘され現在に至る。

先日の敵連合との顔合わせではマスキュラーと意気投合して殴り合っていた。

 

「烈怒頼雄斗も好みかもな。“硬化“の個性で堂々正面真っ向勝負の漢気と根性のある将来有望なセミプロだ。ファットガムのところで研修中らしいし、聞いた人数と特徴からして彼もいるだろう」

「お知り合いで?」

「元クラスメイトだ。それから、と「見つっっけた‼︎」

「「‼︎」」

 

聞こえるはずのない、第三者の声。

背後にあったそれは振り返る間も無く地に消え、今度は行く道を遮るように現れた。

噂に影。

白いヒーロースーツに赤いマント、胸に戴く1,000,000(ミリオン)の文字。

 

「黒ー死柄木、葬!」

「やあ、ルミリオン」

 

通形ールミリオンとはサー・ナイトアイの元での職場体験以来の再会であった。

かつての先輩を、葬は和かに笑って迎えた。

 

「黒衣でも死柄木でも、何ならブラックコートでも構わないよ」

「…!コードネームは、ヒーローネームはヒーローを目指す者にとって大切なモノだ。どんなヒーローになりたいか、その指針表明だと俺は思ってる。…だから、今の君を、その名前で呼ぶ事はできない…!」

「そう。まあ、そんなことはどうでもいい。こちらとしてはあまり手荒な真似はしたくないんだ。退いてくれないか」

「どうでもいいって…!」

 

葬は態とルミリオンの怒りを煽る言動をしていた。

冷静さを失わせ、自滅を誘うのは常套手段だ。

しかしルミリオンも成績は振るわずとも馬鹿ではない。頭を振って一旦抑えた。

 

「お願いだ、話を聞いてほしい」

「小僧‼︎」

「天蓋」

「しかし、葬様!」

 

なおも食い下がろうとする天蓋であったが、葬が少し鋭い視線を向ければ「…葬様の御心のままに」と不承ながらも引き下がった。

 

「それで、話というのは?」

「…少しだけだけど、君の事情は聞いた…俺は全く気づけなかった…!」

「プロだって誰一人として気付いてはいなかったし、騙し通すだけの技量はあると自負もある。気付かず騙されていたと君が気に病む必要はないよ」

 

彼との付き合いはたかだか1週間程度。

上司の指示で勧誘にきただけの上級生、期間限定の顔見知り、というだけの赤の他人なのだ。

 

「違うんだ!騙されたことが、嘘に気づけなかったことが悔しいんじゃない。辛くて苦しい思いをしている女の子がいるのに気づけなかったことが!すぐそばに救けが必要な人がいるのを気づけなかったことが!君に手を伸ばせなかったことが悔しいんだ!」

 

だから、とルミリオンが手を差し伸べる。

 

「今ここに、救けにきた!一緒に行こう」

 

差し出された手を、葬は冷ややかな眼で眺めていた。

 

「救ける、ねえ」

 

葬は同年代の彼らよりは、世の中というものを知っているつもりだ。葬だけならまだいい。けれども葬の後ろには、他の子ども達がいる。

 

「どう救けてくれるのかな?」

「え?」

「だから、具体的に、どう救けてくれるのかと聞いているんだ。保護を受け入れたとして、これまでの事は?住む場所は?生活はどうする?保護施設行きか?監視や行動制限は?私はまだ未成年なんだ名目上でも保護者が必要なんだかそれはどうするんだ?私がその手を取ったところで、君はその後のことに何一つ口を出す力もないことは理解しているか?兄さんのことは?保護を受け入れるということは私に兄を裏切れと言っているのだとわかっているのか」

 

意地の悪い問いであることは分かっている。

そも、一学生から答えが得られるとは期待していない。

 

「それ、は…今の俺じゃあどうしようもないかもしれない!けど!今のままじゃ絶対にダメだ!サーも、他のヒーローたちも力になってくれる!それに、死柄木弔のことは、罪を犯した以上は償わな「もう結構」

 

葬はルミリオンの言葉を遮り、嘆息する。

 

「お粗末なのはぶら下げてるモノだけにしてくれ」

「待ってこの空気感でそういうこと言う⁉︎」

「葬様、女性がそのような事を口にされるのはあまり…」

 

元は仏門に身を置いていた天蓋から小言が溢れる。隣の乱波はゲラゲラ笑っていた。

 

「大事なんだろう?ユーモアとやらは。それに、お互い言葉を尽くしたところで意見なんて変わりはしないんだ。これくらいの方が気楽でいいだろう」

 

ピリ、と気楽とは程遠い緊張感が再び走る。

 

「…聞いては、くれないんだね」

「聞ける道理がない。それとも、力づくで従わせるか?これまでの連中と同じように?」

「っ…!」

 

ルミリオンが言葉に詰まる。

 

「それにもう気がついているんだろう?」

 

相手をよく見て、行動を予測する。それが彼の戦い方。

故にルミリオンは人をよく見ている。

 

「なあ、ルミリオン。君には私が救けを求めているように見えているのか?」

「!!」

 

答えはない。それが答えだった。

だって彼は現れてから一度も、葬に近づこうとはしていない。

それは彼女をヴィランとして警戒している証拠だ。

 

「3度は言わない。退け」

 

ゾッとするほどに冷淡な最終通告。

葬は待った。

いや、次の言葉など分かりきっている。

「君と」と沈黙を破ったのはルミリオン。

きつく握られた拳が一旦開かれて、再度、固く握られる。

 

「君と、戦いたくはない…けれど、どうしても、どうあっても行くというなら、俺はここで君を止める!」

「私も、できることなら君と戦いたくはないよ。けど、まあ、やる気なら仕方がない」

 

葬はスーツの上着を脱いで天蓋に放る。

シャツの上には両脇にそれぞれ銃とナイフを収めたホルスター。

袖の捲り上げ、首元を緩める。

 

「手出しは」

「「しない/いたしません」」

 

黒革の手袋(グローブ)を嵌めた手で、ホルスターからナイフを引き抜いた。

 

「では、やろうか。ルミリオン」

 

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葬VSルミリオン

職場体験の時は模擬戦だった。けど、今度は

 

デク&サー・ナイトアイ

間に合え!

 

ファットガム&烈怒頼雄斗

上でヤクザたちの応援行かないように頑張っている。

なお関西弁は似非。烈怒頼雄斗って入力しづらい!

 

 




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エリちゃんの部屋にあるのは例のぷいきゅあフィギア。
写真飾っても特に問題なしヤクザの親分の義理の娘と孫同士仲良くても不思議じゃないでしょう?くらい。
今後治崎はおじさんになるのかおとうさんになるのかはまだ未定。今の保護者はおじいちゃん。
原作よりは遥かに仲良しなので、もしかしたら授業参観とかにくるかも(笑)
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