一輪花の咲くまで   作:No.9646

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26話 死穢八斎会③

 

────────ー

先に仕掛けたのはルミリオンだった。

ルミリオンー通形は最高峰のヒーロー養成校最上級生。

その中でもBIG3と呼ばれ、最もNo.1に近いとさえ言われる。

粒ぞろいの下級生クラスを2人除き丸々瞬殺した実力者だ。

以前1Aと模擬戦をしたとき、緑谷は通形の動きを予測して見せたが、葬はそれ以上の精度と反応。

体格やパワーはこちらが上。

しかし、身の熟しや一撃が恐ろしく速く鋭い。

『黒衣』とは、かつて職場体験の時に手合わせをしたことがあったが、その時の比ではない。

あの時は、磨けば光り輝く原石、経験値不足の発展途上、いや、そう思わせていたのだろう。

 

(あの時は、手加減されてた!)

 

確実に。

それに気づかぬまま、トレーニング中に愚かしくもアドバイスなんかの高説を垂れて、“透過“の話もしてしまった。

既に個性については知られてしまっている以上、情報面でのアドバンテージはない。

むしろあちらの個性が、己の知っているものでいいのか、効果範囲や発動条件が正しい情報であるのか分からなくなった分、警戒が必要になった。

しかも接近戦、肉弾戦以外の手法を持たない己では、相手にダメージをあたるにせよ抑え込むにせよ、接触時には個性を解いていなければいけない。

さらには戦闘にもつれ込んだにせよ、保護対象であることに変わりはない。

 

(とんでもなく、戦い辛い!)

 

この3年間、ルミリオンは雄英で、サーの元で扱かれて経験を積んできた。

ルミリオンは自分が凡才だと理解している。

だから血の滲むような努力を重ねてきた。

それでもまだ足りない。

目の前にいる相手は、天賦の才を持ちながらもこれまでの人生全てを潰されて戦いの技術を仕込まれてきたのだ。

無理矢理、心と命を削って。

だから。

 

「俺はここで、君を止めなきゃならない!」

「救けるとほざいて結局はそれか」

「救けたいから止めるんだ!」

 

少なくとも眼を見てしまえば即1発アウト。視線を見て予測することは制限される。

正面からの攻撃は不可。

地面に沈んで下から狙いに行くが最小限の動きで躱され、フェイク、フェイントが随所に仕込まれた攻撃、時には受け流すようにいなされ、その反動すら利用して攻勢に持ち込まれる。

左右の壁との距離は保ったままならば視覚外からの強襲は下のみ警戒すれば足りる。

よほどの統率か信頼か、組員二人は後ろに下がって傍観の構えだ。

それでも葬が危なくなれば割って入るだろう、警戒は怠れない。

 

「さっきはごめん!確かに俺は、一瞬でも君が救けを求めてないんだと思った!でもそれは!君が、これまで救われなかった君の心が!絶望してるからじゃないのか!」

 

物心つく前に人身売買なんて極悪非道な犯罪の被害者となって囚われ、傷つけられ、弄ばれて。

10数年間誰にも救けてもらえず、見つけてもらえないまま。

手を伸ばすこともできず、差し出される腕もなく。

泣くこともできず、声も拾ってもらえず。

涙も流せぬまま、作った笑顔を貼り付けて。

 

「ヒーローは!苦しんでる女の子を見捨てたりしない!俺は君に後悔して欲しくない!絶望したまま生きてほしくないんだ!」

 

ルミリオンは叫ぶ。

必死に、届いてくれと。もう戦わなくていいと。

それに対する返答は、鉛玉だった。

 

「後悔なんかとうにした。絶望なんか乗り越えた。乗り越えて、踏み越えて。私は今ここに、自分の足で立っている。余計なお世話だよ」

「余計なお世話はヒーローの本質なんだ!焼かせてもらうよ!あっつ熱だ!」

「今日は小春日和の予報だったが外れたか?」

 

振り抜かれるナイフを躱して距離をとる。

 

(…うすら寒いってか!)

 

二重の意味で。

揺れない、ぶれない、折れない者同士の衝突。

その均衡は突如として崩れた。

ルミリオンは“透過“で沈んでは飛び出し、また沈む。

撹乱を狙い、機を図る。

1対1なら攻撃が来ると分かっている。

戦法は定石通りのカウンター狙いのはず。

 

(今!)

 

葬の左背後から、避けられない距離で彼女に組み付く。

 

「くっ…⁉︎」

 

体格差と腕力差に、葬が一瞬体勢を崩した。

腕を捻り上げて銃を落とす。

足元を払って組み伏せようとした、その瞬間。

 

「っ‼︎」

 

ズキリと脇腹に痛みが走る。

葬の掌には、小さな小さな護身銃(デリンジャー)

 

「ー⁉︎」

 

突然、ぐらりと視界が歪んだ。

そこに、掴んだ手を振り解いて、刃を逆さにしたナイフの柄が顎に叩き込まれる。

個性が、使えなかった。

 

「ーガッ、ハっ…⁉︎」

 

ぐらんぐらんと脳が揺れる。踏ん張ろうとしたが力が入らない。

膝から崩れて、ルミリオンは地に臥した。

 

「何の仕込みもないわけないだろう」

「やっぱ喧嘩は身ひとつでやるべきだよな。刃物だの銃だの、道具は邪道だ」

(薬か…!)

 

葬はホルスターにナイフを収めると、落とした銃を拾い上げる。

 

「手足は潰させてもらうよ。今は薬で麻痺しているから大丈夫だろうが、後で痛むから早めに処置はしてもらってくれ」

 

パシュン、と立て続けに4回。両腕両足を撃ち抜かれた。

痛みはほとんどない。

ヒーロースーツが白いせいか、流れ出る血がじわじわと広がって行くのが目立った。

動けないこちらを見下ろしながら「ルミリオン」と呼ぶ葬の声は静かなものだった。

 

「君が救える100万の中に私はいなかった。空いた1人分は、他の誰かの為に使ってやってくれ」

 

ルミリオンは動かない身体を必死に動かそうとして、手を伸ばす。

けれども伸ばした腕は、遠ざかる少女に届くには短すぎて。

自分の無力さが、ひたすらに悔しかった。

────────────────ー

 

葬はルミリオンを行動不能にして乱した服装を直す。

シャツは車に着替えが積んであったはずだ。

 

「こいつ殺さないのか?」

「生かしておいた方が後からくる連中の荷物になる。死体にするより生きてる足手纏いの方が重荷だろう」

 

なので止めは刺すなと釘を刺す。

乱波は戦えない相手に興味はないし、天蓋は「さすが葬様」と感心していたので、この場でルミリオンが殺される事はないだろう。

使った薬は個性抑止薬と麻痺系の混合剤。本来であれば個性暴走を起した対象者を鎮める為に開発中の物。即効性と小型化に重点を置いたため、持続性はごく短時間だ。

ルミリオンは強い。同世代の中でも群を抜いて、プロを含めても。

個性自体は扱いづらいハイリスクなものだが、それを使い熟す技術も、瞬間的な判断力も備わっていて、しかも攻撃無効。

だからこそ、葬は使える物は全て使った。

上着を脱いで手持ちを見せたのも、一撃必殺の個性の特性も、保護対象である自分の身も。

全て使ってただ1発の弾を撃ち込むためだけの(ブラフ)にした。

致死毒でもないが、ただ出血はあるので後はサー達に早く拾って貰えることを願う。

すると早速、上衣を着直していたところに、到着した足音。

 

「黒衣さん…⁉︎」

 

緑谷出久ーデク。

サー・ナイトアイもいる。

 

「やあ、デク。サー・ナイトアイも、お久しぶりです」

 

ルミリオンを迎えた時のように、葬は努めて和やかに2人を出迎えた。

体力にも弾にもまだ余裕はあるが、連戦は避けたいところである。

葬と血を流して倒れるルミリオンを見つけて、駆け寄ろうとしたデクをサーが制止する。

 

「掴みかかられそうになったんで応戦したんだ。過剰防衛とは言わないでくれよ。学生とはいえ、3年間近く訓練を受けたセミプロ相手だ─乱波、投げてやれ」

 

「おらよ」と乱波は倒れたルミリオンをむんずと掴み上げ、サーへとぶん投げた。

 

「「ルミリオン‼︎」」

 

放られた身体をデクとサーが受け止める。

 

「君が…やったの…⁉︎ルミリオンは、僕たちは君を救けに来たんだ!君はAFOに脅されてるんじゃ…⁉︎」

「その話はルミリオンに聞いたよ。どう救けてくれるのかと訊いても具体案が何も出てこなくてね。断ったんだ」

「何で…」

 

デクは葬に近づこうとして、サーに引き止められる。余計な刺激をされては困るのだ。

 

「何で!命懸けで人を救える君が!守る為に戦うと言える君が!人の幸せを願える君が!みんなを騙して!たくさんの人を危険に晒して!傷付けて!何でそんなに平然としてられるんだよ!」

「だからさ」

 

淡々と。

 

「救いたい命があった。守りたいものがある。幸せになってほしいと願う人がいる。だから私は命懸けで戦える。ちゃんと死ねるし、ちゃんと殺せる」

 

葬は抱えられたままのルミリオンに視線をやる。

 

「君やルミリオンは学生だし、1度限りは見逃すよ。ここで私たちとやりあってもいいが、その場合彼の命の保証はしてやれない。帰り道はわかるだろう?」

 

控えていた天蓋と乱波に送ってやれと命じ、背を向けようとする。

 

「待て!」

「まだ何か?早く治療しないとルミリオンが本当に死んでしまいますよ?そうだ、サー・ナイトアイ。彼にはちゃんと良く言っておいていただけますか。殴られて育った人間を、暴力で従わせようとするのはやめてくれ、と」

 

私だからいいけど、と続けるのは牽制である。OFAとプロ相手に真っ向勝負はごめんだ。

2人がぐっと動きを固める。

 

 

「それにここまで来られたと言うことは、もう“未来予知“で視たのでしょう。それとも熱烈に惹かれるような口説き文句でも聞かせてもらえますか?この先全くの未定だし安全も生活も何の保証もない。けど“保護“はするから代わりにお父様や兄さんの情報は喋ってくれ、とそういうことなら聞けませんよ」

 

表向き順当であるなら、葬は“保護“された後病院での検査入院、事情聴取、児童保護施設での監督付の生活を送ることになる。

しかし、義父や義兄の情報を喋らなければ警察施設に収監されたままになるだろう。つまりは“救い“に対価を求められる。果たしてそれは保護(救い)と言えるのか。

逃げられない、抵抗できない状態で口封じに殺される可能性だって考え得る。AFOが捕まったくらいでその影響力が払拭できるはずがない。他に関しても、葬は喋られたら困る情報を多く握っている。

 

「私はすでに2ヶ所、児童保護施設と看板を掲げた場所にいたことがある。どちらも、保護とは程遠い所でした」

 

保護施設に移ったところで、そこが安全である保証はない。実際、かつていた所はそうだったのだ。全てではないが、そういう場所が少なくとも二つ以上あることはすでに知っている。それが氷山の一角であるとも。

事前調査をされたところでその調査結果が正しいものであるのか、調査をした人間は。

ましてや“保護“を受ければ子どもたちと引き離される。下手をすれば分散。そうなれば葬は彼らの安否を知る術をなくしてしまう。

 

「ルミリオンにも言ったけれど、デク、そしてサー・ナイトアイ。私が仮に今この場で君たちの手を取ったとしよう。しかし、君たちにできるのはそこまでだ。事件にしろ事故にしろ、ヒーローの出番はその場限りなんだよ」

 

葬はゆっくりとした口調で毒を流し込む。個性など使わずとも、人の精神は蝕める。

 

「事件事故はその場が解決すればはい終わり。多くの人にとってはそうだろう。所詮は対岸の火事。刺激的な良い見せ物。舞台の観劇と同じだ」

「そんなことはない!」

「では問おう、デク。君に、少し前にセミプロになったばかりの16歳の学生に何ができる?」

 

答えを待たず、葬はサーにも問いかける。

 

「そちらはどうですか?ヒーロー、サー・ナイトアイ。ああ、責任をもって、などと言うのは止めてくださいよ。貴方のとれる責任など、せいぜい進退くらいなものでしょう?馘でも命でも、賭けてみますか?」

 

サーは口を噤む。

己の覚悟や命を無価値と断じられたからではない。

何一つとして、懸念事項を払拭する手立てがない。

一介の公務員でしかない彼に葬のこの先をどうこうする権限はないし、彼女を納得させるだけの状況を用意できる力もない。

デクに至っては一学生に過ぎない。

出来ないと答えれば決裂は明らか。

すでに視た未来と、現状と、ルミリオンが負っている怪我とを推測っての沈黙。

今はそれしかない。

予想の範疇の回答(リアクション)に、葬は鼻を鳴らす。

 

「残念だよ。サー・ナイトアイ。私はつまらない男は趣味ではないんだ」

「待ってくれ、君はー」

「だったら君は!」

 

あらん限り叫ぶデクは、何故か泣くのを堪えるようで。

 

「だったら君のことは誰が救うんだ‼︎」

 

葬は(かぶり)を振るう。

 

「お気遣いどうもありがとう」

 

言葉とは裏腹のざわりと肌が粟立つような気迫。

決して怒鳴るでもがなるでもない。

 

「ただ、あまり見縊ってくれるなよ、デク」

 

声量が大きいわけでもない。

 

「なあ、ルミリオンは強いだろう?実際、やり合ってみて強かったよ。流石サーの弟子、雄英のBIG3。けれど、小手先の技術の差とは言え、私は彼に競り勝った。前にいた所でもね、私はずっと他の子たちより前にいた」

 

サーもデクも制されたわけでもないのに、声が出なかった。

2人を見据える赤い瞳の奥に、囂々と燃え盛る炎があった。

 

「前に立つ者が後ろにいる者を守る。そのために賭けるもの捨てるものが己の身一つ命一つなら、躊躇う理由がどこにある。覚悟はとうに決めている!」

「「ー‼︎」」

 

鮮烈にして苛烈。果敢にして不屈。

2人は、その狂気的なまでの精神を知っている気がした。

 

「犠牲になる多くの人の事を考えろと言うのはやめてくれ。いつだって、誰かの幸福は誰かの屍の上に咲くもの。誰が屍になるかの違いだけでしかないのだから、論じるだけ無駄だ」

 

葬にとって優先されるのは家族ともいうべき他の子どもたち。

彼等は葬にとっての人質だろうが、AFOから明言されたことはない。

何よりAFOにとっても彼らは葬の人質以上の価値がない。

今の状況が最良ではないことは理解している。それでも。

 

「話は終わりかな?では、私はこれで失礼させてもらうよ」

 

踵を返そうとした時、突如、天井が崩れた。

否、分解されてすぐさま修復された。

ストンと細い人影が降り立つ。

 

「治崎」

「まだこんな所にいたのか」

「思いの外足止めを食らってね。よく場所がわかったな」

「それは私が」

 

天蓋がスッと手を上げる。ルミリオンとやり合っている間に通信端末で知らせたのだろう。

強力な敵の増援に、意識を切り替えたサーが投擲用の超質量印を構える。

 

「廻!お嬢!」

 

さらに彼らの背後からは玄野たちが。

このままやらせれば、1人2人死人が出るだろう。

無益な争いや被害は葬の望むところではない。

 

「そろそろ本当にお暇しようと思っていたところさ。治崎、お客さま方が装置の誤作動で地下倉庫への通路に入り込んでしまったらしい。袋小路で立ち往生しているようだから、送って差し上げろ。怪我人もいるようだから丁重に」

「ここで始末すればいいだろう。死体があがらなきゃあいい」

「却下だ。外に仲間がいる可能性がある。何のために私が個性なしでやったと思ってる?」

 

ルミリオンと戦った時、葬は個性を使わなかった。

ヒーローが持っているのは個性の不正利用の取締権限。個性を使わない限りは捕縛対象とならない。

且つここは死穢八斎会の私有地だ。公共の場ではない。

意図的に彼らに向けて個性を使用して攻撃しない限り、ヒーローたちは手出しができない。

 

「でなければ先に向こうから手を出させろ。保護対象が拒絶している上に急迫した危険がない状況で手を出せば向こうの非になる」

「保護対象?」

「言ってなかったか?彼らは私を救けに来たのさ」

 

は?と治崎は一瞬訳が解らないと間の抜けた顔をした。

義理とは言え悪の帝王の娘で、大物殺人鬼なんかを含めて従えて、ヤクザを顎で使う、返り血に顔色ひとつも変えない葬と、彼女を救おうという行為が式で繋がらなかったのだ。

どうあっても理解できないと、治崎は早々に考えることを放棄した。

 

「まあ英雄症候群の奴の考えることだ。イカれてやがる。まともに考えてわかることじゃぁない。夢見がちになる現代病が蔓延してんだ」

 

治崎は血を流したままサーに抱えられたルミリオンに目をやる。

 

「そいつも哀れなもんだな。救けにきたのに、救けようとした相手に殺されかかって。その怪我じゃあこれから先、手足が使い物になるかも分からねえ。こいつに関わらなきゃ、まだ夢を見たままでいられたかもしれないのになぁ」

 

治崎が壁に手をつけた。

 

「頭のおかしい病人のお前らに現実を教えてやるよ。お前らは求められてない」

 

葬と他とを隔てるように、壁が生成されていく。

 

「病人は帰ってさっさと寝なきゃいけねぇよなぁ。こんな()()()()()にいないで」

 

同時に、葬は背を向けて。

 

「黒衣さん!」

 

振り返ることはなかった。

 

────────────ー

通形の手術は無事成功した。

四肢を撃ち抜かれた彼は病院に救急搬送、直様緊急手術となった。

相当の出血があったが、幸い命に別状はない。

 

「ミリオ、体の調子はどうだ?痛みは?」

 

警察、学校など関係各所への連絡を一通り終え、翌日もサーは通形の病室に見舞いに訪れた。

 

「はい、大丈夫です」

 

通形はまだ顔色は悪いが、上体を起こしていられるし、受け答えもはっきりしている。

痛み止めも効いているようだった。

サーは包帯の巻かれた痛々しい腕に視線を向ける。

彼の手足が以前のように動くかは、まだ分からなかった。

 

「すみません、サー…俺、何もできませんでした…」

 

通形にいつもの溌剌とした笑顔はなかった。

 

「死柄木葬を止められなかった…声を届けられなかった…俺じゃ、彼女を救えなかった…」

 

通形の瞳に涙が溢れる。

それはパタリ、パタリと白いシーツに小さな水玉を作った。

彼女は言った。

後悔も絶望もとうにしたと。

彼女は、もう救われる事を諦めてしまっている。

何が100万を救うヒーローだ。

何がBIG3だ。

 

「絶望したままの女の子1人救えないで!何がヒーローだ!」

 

ぐうぅ、と通形は唇を噛む。

 

「ミリオ…お前の所為じゃない。私の見通しが甘かったんだ」

 

サーの大きな手が、通形の頭を撫でる。

例え手足が不自由になっても、通形はその事を嘆いていなかった。

己を傷付けた相手すら救う事を願える、心優しいルミリオン(ヒーロー)のままだ。

サーのその眼は、個性を発動していた。

 

「大丈夫。お前は誰より立派なヒーローになる。私などより立派な、強いヒーローに。その未来だけは変えてはいけない」

「サー…」

 

サーはいつもより小さく感じる彼を抱きしめた。

 

「今だけだ。今だけは泣いていい、ミリオ。泣き終わったら、また笑っていなさい」

 

ぐっ、とまだ包帯だらけの腕に力がこもる。

ただ、それは以前よりずっと弱かった。

 

「う…うぅああああ…!」

 

張り裂けるような哀哭。

しばらくの間、溢れる涙も声も、枯れることはなかった。

──────────────────────────

 

原作の治崎&エリちゃんポジ兼任。

 

ルミリオン

緊急手術。命は助かったけど色々大ダメージ。

乗り越えてもっと強くなる未来のヒーロー。

 

デク

無意識だけどずっと黒衣さん呼び。

 

サー・ナイトアイ

大前提の信用がないのだと理解している。

多勢に無勢、怪我人もいたので断腸の思いで引き上げた。

 

ファットガム&烈怒頼雄斗

見せ場はなかったけど上で増援が行かないように頑張っていた。

せやかて床ぶち抜かれたら防ぎようがないやん!

 

八斎會

殆ど処罰なし。

葬は犯罪者扱いでなく保護対象なので逃亡幇助に当たらず。

公務執行妨害がせいぜいで罰金と監視強化が精一杯。

 

 




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ほら!ここまで誰も死んでない!ちゃんと救済!

ガバ設定補足(ご都合主義捏造)
ヴィジランテでイレイザーヘッドが明らか暴力事件なのにナックルダスター(無個性。ただの頑丈なおっさん)は個性の不正使用に当たらないため捕縛対象外判定していたので、個性さえ使わなければ警察管轄なのかなと。(ただ一方で原作ではオールマイトが轢き逃げ捕まえている)
個性使用有無も立証責任は原告側だろうし。
且つ、葬はルミリオンに対し2度退去勧告をしました。
この段階ではまだ武器の所持も判明していませんし、天蓋たちも制止し戦闘意思も示していません。抵抗は言葉での拒絶のみです。
先に力づくでの捕獲を示唆したのはルミリオン。
戦闘訓練を受けている仮免持ち(セミプロ)からの戦闘意思を示されてからナイフを抜いています。
正当防衛か過剰防衛で済む状況を狙いました。かなり無理矢理ですが。仮に葬が危なくなって護衛2人が手出ししても同じです。(第三者(この場合は葬)を守るためも含まれる)
またルミリオンはあくまでセミプロなので、令状なし一時保護の権限を持っていないと仮定しています。(仮免試験が9月と?月の年2回らしいのでプロ試験は12〜2月あたりかなと想定)未成年者保護ってけっこうハードル高いんですよ。
治崎たちも葬が止めたことで対人個性使用がなく、治崎は私有地内での対物使用のみ。
逮捕されるとしたらファットガムたち相手にしてる下っ端連中が個性使えばくらいで組はほとんどノーダメージ。建築法違反はありそうですが、ヒロアカ世界の人規格だとどうなのか?
銃刀法違反とかで現逮ならいけますがそうするとルミリオンの治療が間に合わない可能性がありました。
結果、葬は逃走、依然として保護対象のままです。
これ以外にも理由がありますが、それは追々のお話で。
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