一輪花の咲くまで   作:No.9646

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今回は間違い投稿ではありません。
本編は通常通り更新予定です。

本日3回目は4DX2Dに行ってみました!初体験!結構動く!∑(゚Д゚)
特典第二弾の色紙もゲット!
この前8/11に映画第3段のWHMも地上波放送していたので、番外編として映画ネタです。

映画ネタにするとヴィランなのであまり出張れない。
特に潜入中の①2人の英雄と離脱後の②ライジング。
そこそこ書けそうなのが③WHMと④ユアネクスト
時期は③はデクたちがエンデヴァー事務所でインターン中なので、弔が改造の頃かな。
シリーズだとオリジン②〜③の身元バレ直前あたり。
でもやっぱりヴィラン側なのでストーリーは変えない程度にしてみました。
※基本pixiv版先行ですが、ハーメルンは改稿版にしているため内容が異なる部分があります。


番外編①

 

オセオン国、その中でも栄えた都市部は喧騒に満ちていた。

車も多く、葬の乗る車もまたハイウェイを走る。

 

「ん?」

 

窓の外に警察車両が見えた。

クラッシュした車両を囲むように警察官の姿があって、氷漬けになった車のそばに、見覚えのある紅白頭があった気がした。

 

「あれはー轟くん?」

 

なぜこんな所に、日本から遠く離れたオセオンに彼がいるのか。

 

「葬」

 

呼ばれて振り返り、くいと顎で示された方向に注視する。

遠いが、景色の中に伸びる黒いエネルギー帯と何かから逃げるように飛び回る人影。

遠視鏡を使って拡大すれば、その人物は見間違えようもなく。

 

「緑谷君まで?」

 

緑谷出久は誰かを抱えていた。

 

「追えるか?」

「はいよ」

 

レディがアクセルを踏む。

ハンドルを捌き車線から車線へと動線を変え、何台も追い抜いて行く。

葬が位置を確認していると、緑谷に向かって一筋の光が飛んでゆくの見えた。

それは数を増やし、彼を追い詰める。

 

「追っ手がいるな」

 

やがて緑谷が川に飛び込むのを見届けて葬は手元に視線を戻す。

水流の向きと河川の形状や周辺を調べ、着岸地点を割り出すのだ。

緑谷は1人ではなかった。他者に無理をさせるのを避けてそんなに遠くには行かないだろう。

車を走らせているとその間にニュース速報が入った。

それは緑谷出久が一般市民を含む12人を殺害し逃亡しているというものだった。

 

「彼はまた何に首を突っ込んだんだ?」

 

葬は声と肩を震わせる。驚愕からではなく、笑いからであった。

しばらく車を走らせると、郊外に出て木が多くなったあたりで彼らを見つけた。

 

「緑谷君!」

 

手を振って声を掛ければ、緑谷が驚愕の表情を浮かべる。

 

「君はー⁉︎」

「知り合い?なんだよ迎え来たじゃん脅かすなよぉ」

「とりあえず乗りなよ」

 

緑谷はだいぶ渋っていたが、状況がそれを許さず、2人は車に乗り込んだ。

タオルを貸してやり、葬も後部座席から助手席に移る。

 

「ニュースで見たよ。しかし意外だね。君がやらかすなんて。過剰防衛?過失致死?やるなら日本でやってよ。バレる前ならどうにかしてやれるから」

「違うんだ、僕も何が何だか…」

「冗談だよ。これが爆豪君なら「ついにやったか」くらいはいうところだけど。あとは峰田君が軽犯とか、ルミリオンが公然猥褻とかなら、まあ納得はするかな」

 

合宿のアレは未遂で、かつ女の子たちが良い子ちゃんだったから内輪で済んだだけでダメなやつだ。

 

「日本ってもしかして聞くより治安悪い?」

 

緑谷と一緒にいた茶髪の少年がぼやく。

 

「この状況だけど、挨拶はいる?」

「いいや、やめとく。こいつと知り合いってことはアンタもヒーロー?」

「いや。私はどちらかと言うと彼らと追いかけっこをする側さ。今の君たちと同じようにね。だから私が君たちを警察に引き渡すことはないから、安心するといい」

 

安心要素が微塵もなくて、少年は肩の鳥のような生き物と同じ表情で固まる。

 

「君は、なんでこんなところにいるんだ?さっきのヴィランは、君の仲間、じゃないよね?」

「今回は個人的な用事。連合ともお父様とも関係ない。少なくとも私は君に追っ手を差し向けた覚えはないよ。理由がない。今回はたまたま見かけただけ。君たち、これからどうするつもり?」

 

まだノープランだったようで、2人は話し合いを始める。

狙われているのは彼らというより彼らが持っているトランクのようだ。なぜこのトランクが狙われているのかはわかっていないらしい。中身を聞くようなことはしない。

果ては警察相手に脅迫して金を取ろうと言い出すあたり、だいぶ切羽詰まっているらしい。

「それじゃあ本当に犯罪だよ…」と緑谷も止めていた。

 

「警察はやめた方がいい。追っ手とグルかは知らないけど、味方ではなさそうだ」

 

12人殺害という割に被害者の氏名も目撃証言も現場からの報道映像も出てこないし、SNS上にも出回っていない。逆に探せば駅前広場で2人に向けて発砲する警察官の姿や、玉突きに突っ込んだ警察車両の動画が出てくる。

違和感しかない。

 

「これだけ大々的にやっておいて間違いでしたじゃ国際問題確実。生かして帰す気はないと思うよ。死人に口無しさ」

 

セミプロとはいえ、他国のヒーローそれも未成年を顔出し実名で公開指名手配しておいて問題にならないはずがないのだ。

証拠の捏造、口裏合わせといった根回しにかかる時間を考えれば、解決は早い方がいい。

 

「密航で良いなら日本に帰るとき一緒に連れて行ってあげるけど、どうする?」

「密航って言ってるあたりダメだよね!?」

 

正規のパスポートなんて使えなし、葬はそもそも戸籍がないので作れない。

緑谷も今は指名手配中なので、正攻法でオセオンから日本に戻るのは厳しいだろう。

 

「僕たちが追われてるのはオセオン警察だ。だから、隣国のクレイドに行けば、追ってこられないと思う」

 

敵の勢力圏外に出れば仲間たちとも連絡が取れる。他のヒーローにも助けを求められるだろう。

結果、少年の方も不承不承ーやや自棄気味ではあったが了承した。

 

「なあ、この車どこに向かってる?」

「とりあえず市街地から離れてるよ」

「国境に向かう前にちょっと寄ってもらいたいところがあるんだ」

 

向かった先は市街地から外れた、貧困層が暮らすスラムのような場所だった。

その中の建物でもない、トレーラーハウスが彼の家らしい。

 

「ロロ!ララ!」

「あ、兄ちゃんおかえりー」

「お帰り!」

 

少年が飛び込むように駆け込むと、弟妹だろうよく似たまだ幼い子どもたちが出迎えた。

 

「よかった、無事だった…」

「兄ちゃん?」

 

2人を抱きしめ、少年は安堵する。

1番怖いのは、家族を人質にされること、大切なものたちに危害が加えられることだ。

 

「君の身元はまだ割れてないようだけど、急いだ方がいい。匿ってくれるところは?」

「ねえよ…そんなもの」

 

葬が窓の外を眺めると、タバコをふかしながらこの辺りではお目にかかれない車を物見遊山に眺めていた女を見つけた。

 

「彼女知り合い?」

「あ、ああ」

 

訊ねるといわゆるご近所さんらしく、人物的にはこの辺よくいるタイプで問題はないようなので外に出て声をかけた。

 

「シッターをお願いしたいんだけど、幾らなら受けてもらえる?」

 

彼女は車と護衛の女を見比べて、一瞬ふっかけようかとも思ったが多少色を付けるに留めて答えた。

それでもスラムだ。一般相場より安い。

 

「OK、日給で5倍出す。仕事はあの子たちのお守り。秘密厳守。何かあったらー分かるね?」

 

親指と人差し指を横にして頭を弾くジェスチャー。

女は自分の勘を褒めた。目の前の少女は世間知らずのお嬢さんじゃなく、どこぞのファミリーの娘さんだろう。この辺りじゃこういう勘が働かない奴から死んでいく。

数日分前払いと簡単な契約をまとめて戻り、茶髪の少年の方が運転出来るらしいのでーオセオンの免許事情にまでは詳しくないので聞かないがー近くの住民から古びたトラックを即金で買上げた。

 

「気前いいねえ」

「ダメだよ!受け取れないよ!」

 

ヴィランからの供与になってしまいかねないので緑谷は頑なに断ったが、少年の方が受け取るべきだと言い募る。

 

「では、これは君に。好きに使うといい」

「そんじゃお言葉に甘えて。やっぱ金だよなぁ。はあ、今回の仕事ダメになっちまったし、次もらえっかなぁ」

 

車が彼の物になり、緑谷は仕方なく項垂れる。しかしいつまでもそうしている時間もないので、国境までかかる道のりを考え、最低限であるが必要なものを買って積み込む。

そこまで手伝ってやる義理はないので、空いた時間でロロとララと遊んでいた。

その辺の木材やベニヤとゴムで作った飛行機のおもちゃを気に入って、2人で飛ばして追いかけている。

 

「あの子たちは君が?」

「ああ」

 

子どもたちを見守っていると、彼らの兄が荷物を積みにきたので話しかけた。

彼のトレーラーハウスには、大人が暮らしているような形跡がなかった。

 

「どこでも1番に煽りを受けるのは小さい子どもなのは変わらないね」

「そっちも訳ありってわけだ?世知辛いねえ、

世の中ってのはさ」

「血のつながりはないけど、何人か。何をしてでも、彼らにはちゃんとした生活をさせてやりたい」

 

それこそ、世界を敵に回しても。

言葉少なに、お互いの境遇が良いものでないこと、真っ当な暮らしや稼ぎ方などしていないことが悟れた。

尤も、先ほどから言葉の端々に不穏な単語はちらほらあった。

金の使い方といい、着ている服や車に護衛付き。大して年も変わらないでこれなのだから、相当な御仁仕えなのだろう。

愛玩扱いだろうとそうでなかろうと、真っ当とはほど遠い深く暗いところにいる人間だ。

 

「おにぃーっきゃ!」

「おっと」

 

兄に駆け寄って来たララが躓いた。

転びそうになったのを葬は抱き止める。

すると、ぽん、と頭上で音がした。

 

「きゅい?」

 

現れたのはハリネズミのような生き物だった。

一般的にアプリコットと呼ばれるカラーに近く、少し黄みが強い。つぶらな碧い眼をぱちくりと瞬かせ、ピンクの鼻をひくひくさせてキョロキョロと周りを見回す。

 

「これは、君の個性?」

「きゅ?」

 

ハリネズミは一緒になって首を傾げていた。

 

「ララ〜大丈夫か?転ばなくてよかった。けど、ダメだろ他所の人に個性かけちゃ」

「ごめんなさい…」

「アンタも悪い。妹はまだ小さくて、個性の制御が甘いんだ」

「構わないよ。それでコレは、ララの個性はどんな個性なのかな?」

 

このハリネズミは葬の精神を具現化したものらしい。

害はないらしく、早ければ1日、遅くとも数日で消えるとのことだ。

気にするなとばかりに「ちちち」と可愛く鳴くそれにレディの視線が痛いくらいに注がれている。

ハリネズミは葬の意思とは別に動くようで、ララたちと遊び始めた。

弟妹たちに友好的なハリネズミの様子を見て、ロディはようやく、少しばかり態度を軟化させた。

 

「…あーロディ・ソウル。さっきは挨拶いいって言ったけど、やっぱ名前知らないのも不便だったわ」

「イチカ・クロエ。死柄木葬の方が通りが良い。葬がファーストネーム。日本に来る事があったら歓迎するよ」

 

もごもごと言い訳がましく付け加えるロディに右手を差し出す。

 

「ぴぃ!」

 

ピノというらしい鳥もサムズアップしていた。

 

「お待たせ」

 

着替えてきた緑谷が戻ってきた。

顔の割れている彼はコスチュームのままにしておくのは目立つので、古着のオーバーオールに帽子を目深に被って変装している。

 

「緑谷君、君コスチュームか制服着てないとほんと童顔だね」

「日本人って幼く見えるって本当だったんだな」

「そんなに!?」

 

葬に対して「同じ歳だよ!?」と緑谷は抗議の声を上げるが、何故か今ひとつ説得力が感じられなかった。

元クラスメイトは事実のはずなのだが。

無視して出発準備に戻った。

ロディがトラックに乗り込みエンジンをかける。

 

「色々ありがとう」

「ヒーローがヴィランに礼を言ってどうするの」

「それでも、こうして助けてもらったことに変わりはないから。ねえ、君もー」

「緑谷君」

 

葬は緑谷の言葉を遮る。

 

「応えが決まっている誘い文句はナンセンスだよ」

 

羽ばたく空を見上げいずれ巣立つ雛と、陽の当たらない泥の中で咲いた花では、在れる場所が違うのだ。

ただほんの少しの間、時間が交わっただけ。

 

「君は、何で僕たちのことを助けてくれたの?」

「なぜって、君は助けが必要だったじゃない?」

 

立場の違いはあるが、異国の地で顔見知りが困っているのを見捨てるほど薄情ではない。

関わりを持った小さな子たちが怖い思いや危ない目に遭うのは出来ることなら回避させたい。

 

「やっぱり君はー」

「おーい、そろそろ出ようぜ」

 

ロディが緑谷を呼ぶ。

もう時間だ。

 

「今の君に私をどうこうする力も余裕もないだろう?君は先ず自分の事を考えなよ」

「必ず解決して日本に帰るよ。次は、()()()だ」

 

緑谷とロディを見送り、葬は市内のホテルの部屋へと戻った。

横ではレディが個性で出てきたハフリネズミー葬から出てきたハリネズミだからハフリネズミ。レディはもっとかわいい名前がいいと駄々をこねたが、すぐ消えるらしいのでーに夢中になっている。

 

「きゅいきゅい」

「かわいいなぁ〜」

「ちちち」

「何してもかわいいなぁ」

 

背中を撫でたり、頬擦りしたり。腹側に指を差し込んだり、掴んでもらったり。

かわいいもの好きの彼女は骨抜きになっていた。さっきから「かわいい」しか言っていない。

働き詰めだし、レディには色々よくしてもらっているからいいだろう。

明日の夜の便で帰国予定だ。

商談も問題なく、良い額になった。

個性消失薬の研究に融資したい、ガス状の薬の開発をという先方が完成の暁にどんな使い方をしようが、売った側には関係のないことだ。注射針の通らない個性でも利用できるし、包丁だって料理用に売っているものである。

葬は荷物を取り出すついでに、処分していこうと押し付けられた経典をぱらぱらと捲る。治崎の土産にしてもいいが、日本語訳版持ってたのでいいだろう。

 

「人類の救済ね…救いなんてものがあるのなら、苦労はしないよ」

 

そのまま、ゴミ箱に投げ入れた。

ーーーーーーーーー

取引相手はご存じヒューマライズ。

何に使うかなんて野暮なことは聞きませんよ。

最近気がつくと身の回りでハリネズミ柄の小物が増えている。

 

ロディ

苦労するなぁお互い。

親近感あったので時間があれば親しくなれそうな相性。

御稚児さんどころか10万人規模テログループのNo.2だと知ったら青褪める。

 

緑谷

何でいるの!?

他のヒーローに連絡したいけど連絡できず、一般人のロディもいるし他に借りられる手もないしでおろおろ。

日本に帰ったら今度こそ!

 

ララ

個性は捏造。

ロディは自分の相棒(ピノ)出せてるから、心の擬獣化を短時間出せる、みたいな。

 

レディ

かわいいハリネズミ柄の雑貨を買っている。




以下他映画で書こうとしたネタの切れ端です。
①は影でウォルフラムたち手引。
お互い何も知らない時期に「おじさま」として親しいメリッサと友人のデイヴに「雄英での教え子の1人だよ」って紹介するとか。
身バレ後が大変気まずいやつ。

② 最初に被験体になる前のナインを案内して少し話すくらい。元No.9同士。
それと最後に弔がナインを始末する時に、保護者組2人とそれぞれ残りの口封じに出てくるかな。
弔が花畑でナインを崩した頃に葬から電話が来て、
・洞窟の瓦礫から這い出ようと身を起こした女性が狙撃され落下した岩の下敷きになる。
・氷漬けのまま乱切りにされた破片が崩れ落ちる
・「終わりました」と電話をする葬の後ろに、本島で拘束されていたミイラの足だけが見える
弔の「帰るぞ」で全員ワープゲートで撤収

④は今書き途中です。書き上がったら投稿したいと思っています(思っています)

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