一輪花の咲くまで   作:No.9646

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*本作はpixivでも先行公開しています。

前回のWHMネタは投稿タイミングがストーリーと合わなかったため番外編としましたが、今回は組み込んでいます。
……アニメにジュリアンいましたねぇ!!
アニメだと正史なんですよ最終決戦前のダクマ乱入(笑)
なので、組み込みです!


69話 YOU‘RE NEXT

 

沈み行く夕日と来たり来る夜の狭間。

空が混ざった紫色に染まる頃、それは唐突に始まった。

 

「何だこれは!?」

「ん?」

 

葬は個性を使って弔や脳無の調整が終えたばかりで、酷使した眼を休めていたところだった。

この後は和解交渉についての会議を予定していたので、ぼちぼち人の集まった会議室でそろそろコンタクトの保存液補充しないとなどと考えながら、眼帯の上に保冷剤を乗せてソファにもたれていた。

もう外していいと思うのだが、保護者(レディ)の許可が降りない。

スケプティックの声に、葬は起き上がりついでにドリンクに手を伸ばし口をつける。

 

『ハロー・エブリワン!』

 

モニターに映し出されたのは、やたらと仰々しいオールマイト、の明らかパチモンであった。

 

「ぶっ」

 

葬は口にしたエナドリを噴いた。

同じく映像を目にした者たちも「何だこれ?」「オールマイト?」と首を傾げる。

 

『俺は新しきオールマイト、次代の象徴となる男だ』

 

始まったのは演説。中身に関しては特筆すべきことがない。

 

『こうなったのは、オールマイトが力を失ったからだ。今のヒーローが未熟だからだ。俺は誓う!オールマイト誕生の地であるこの日本で、いや、この日本から、世界の新たな象徴となり飛び立つことを。オールマイトの理想を引き継ぐことを…』

 

否、『何言ってんだコイツ』が占めていた。

なぜだろう、理解しようにも右から左に抜けてゆく。

 

『そう、次は、俺だ!』

 

混ざった声が緑谷に聞こえたので、また巻き込まれているらしい。彼の場合は自ら首を突っ込んでいるのほうが正しいのかもしれないが。

尤もこれはあのオールマイトフリークは放っては置けないだろう。

 

「「「………」」」

 

フリーズしている葬に視線が集まる。

いくつか気遣わしげなものがあるのが余計に刺さる。

 

「…………」

 

葬は停止した思考をたっぷりと吐いた息で再稼働し口を開いた。

 

「ステインはどこだ?」

 

彼は今日は非番である。

足早に場所を確認して向かうと案の定、部屋のモニターが真っ二つになっていた。

 

「ハァ…何だ…俺はこれからはあの似ても似つかぬ紛い物を消しに行かねばならん…!」

 

眼がいつも以上にぎらぎらと血走っていた。

分かりきっていたので「これはダメだな」と振り返って目が合った瞬間に個性をかけ、とりあえずこの過激派厄介ファン代表を縛り上げるようレディに指示する。

何も分からない状態で単騎突撃なんぞされても困る。こんなに個性に簡単に引っかかっているあたり、頭に血が昇っている証拠だ。

 

「暴れるようなら鎮静剤打っていいから」

 

そして会議室に戻りながら、教えられていた電話番号にかける。

ちなみにこの番号にこちらからコールするのは初である。

 

「もしもしオールマイト?何ですかアレ?」

『色々話したいことはあるけど、その反応ということは、君たちの仲間でもないんだね?』

 

葬からの連絡に驚いていたが、ひとまず私事は置く。

 

「少なくとも超常解放戦線(私たち)は無関係ですよ。AFOの方は分かりかねますが、何かこう、系統が違うというか?」

『系統が違う』

 

鸚鵡返しにされるが、他に言いようが思いつかない。

 

「そちらもその様子では違うと願いたいですが、貴方の兄弟とか親戚の類じゃないですよね?」

 

アレが叔父とか身内とか嫌である。

言語化出来ないが何でかわからないけど何か嫌。

記憶にある限り初めて抱く感情で、葬自身正直困惑していた。

答えによっては和解案の再検討を考える(・・・・・・・)

 

『いや違う。私に君以外の肉親はいないよ』

「私という前例があるので俄かに信じがたいところではありますが…いっそ私たちも本当に無関係ってことにしません?」

『しないよ』

「っち」

『舌打ち…』

「だったら早くアレをどうにかしてください」

 

言い捨てて通信を切る。

 

「そんで?どうすんのあのオモシロおじさん」

「つかアレ、お前の身内か何かじゃねえの?」

「聞いてみたけど違うそうだ」

 

荼毘には即答、Mr.コンプレスの問いには数瞬思考して、葬は矢継ぎ早に指示を出す。

 

「先ずは情報収集。CARMINE、さっきの映像の解析を。偵察ドローンを飛ばせ。BROWNは付近にいる隊員は地上からの目視範囲を報告。深追いはするな。人員および物資に被害がないかも確認。スケプティック、連中がジャックした回線を辿れるか。必要ならラブラバをつける」

「要らん!!」

「様になってんなぁ」

 

スケプティックは「あんな奴が居なくとも私が失敗など…」とブツクサ言いながらキーボードを叩く。

手伝う気の微塵もない荼毘はテーブルに足を掛けて傍観姿勢だ。

VIOLETとBLACKの出番はまだないのでいいだろう。

相手の正体は割とすぐに割れた。

レディが偽オールマイトの周囲にいた者たちの顔に見覚えがあったのだ。

 

「何だってこんな連中が出張って来てんだよ」

 

ゴリーニファミリー。2万の構成員を誇るヨーロッパ最大級のイタリアンマフィアだ。

探らせたデータを漁りながらぼやく。

面子からして、あのよくわからないコスプレ男はファミリーのボス、バルド・ゴリーニだろう。元の顔は陰鬱そうな男であった。

 

「先代は()()()だったみたいだし、バルド・ゴリーニもやり方は荒事中心に舵を切ったようだけど別に…どこでどうしてこうなった?」

 

先代が亡くなりバルドの代になってからやや安定を欠いている噂はあるみたいだが、代替りで混乱するのはよくあることだ。後は組をまとめられるかは当人の手腕に掛かっている。

ただこうなると“悪の帝王”の後継として弔を擁立しているヴィラン(ヤクザ者)として無視できない。

日本の平定、などと言い出したのだから、こちらに迎合する手合いではないだろう。

日本はAFOのお膝元である。日本で好き勝手するとはつまり後継たる死柄木に喧嘩を売ったのだから、挨拶くらいしないわけにはいかなくなった。

AFOの後継ー死柄木弔が休眠中な今、代理を務めるのは義妹の葬である。メンツというものがあるので。

今後の方針をリ・デストロたちと打ち合わせる。

 

「戦闘行為を停止してヒーロー連中の手を空けてさっさと片付けさせよう」

「敵に塩を贈るつもりで?」

「連中がやりあってどちらも削れたらそれでいい。あと正直アレ相手にしたくない」

「私情で軍を動かすな!」

 

高速でキーを叩きながらもスケプティックが口を挟む。

 

「考えてもみろ。例えば、デストロの後継を名乗る明らかパチモンの言動だけはやけに仰々しい格も品もない偽物が出たとする」

「ははは!面白い冗談ですな。誅殺以外の選択肢がない」

 

まだ途中にも関わらずリ・デストロが笑って遮り後半でストンと真顔になった。想像したのか痣も出ている。ストレスがひどい。

 

「ごめんちょっと例えが悪かった。忘れて。関係があると疑われることが業腹だってこと。いざとなったら兄さんを叩き起こす」

 

一撃で街を半壊させた“崩壊”なら、あの規模でも問題ない。

こちらと敵対するのなら、彼らが故郷の土を踏むことはない。

ヨーロッパ最大級のファミリーが無くなるのだ、権勢争い後釜争いは必至である。

そちらの市場まで手を出す余裕はないので、その辺りは地元に任せる他ないだろう。

 

「要塞の内部映像接続できたぞ」

 

方々と連絡をとっている間に、スケプティックが要塞内のシステムへ侵入を果たした。

モニターに分割して中の様子が映し出される。

中は圧巻、そして異様の一言に尽きた。

森、雪山、海岸、遊園地、ダンジョン、建物内に街まである。

ただあのまんまのモニュメントはもう少しどうにかならなかったのか。

 

「どうなってんだよこれ…」

「これがアイツの個性?」

 

こんな規模で発動出来る個性が存在するのか。増強薬や装置では説明がつかないが、どういうカラクリかは後でいい。

このご時世、前代未聞などよく聞くことだ。

葬は再度電話を掛ける。

 

「もしもしオールマイト、度々すみません」

 

あちらで連絡が葬からだと気づいたらしいホークスが「何簡単に連絡してきてんすか彼女」とぼやく。

 

「こちらで内部映像が手に入りました。良ければお繋ぎしましょうか?」

『本当か!?少し待ってくれ』

 

あちらで協議しているのだろう。敵対勢力の助力を受けるかどうか。

「ちょっと代わってください」と電話口に立ったのはホークスだった。

お互いに声のトーンが下がる。

 

「奴との関わりは?何を考えてる?」

「アレについては皆無。交渉前のこのタイミングで、こちらも迷惑この上ないのでさっさとそっちでどうにかしてほしい」

 

ホークスは天秤にかける。

先にヒーロー側がぶつかることは決定しているのだ。すでに避難民を取り込まれているのだから、その救出は急務。

死柄木側に出てこられる前に終わらせる。その為には情報が不可欠だ。

 

「こちらの指示には従ってもらう」

「今回に限り聞ける範囲は。安心するといい。約束は守る性分でね」

 

映像の送受信に関していくつか取り決めをし、指定された回線へと繋ぐ。逆探や干渉に備えて、非番のラブラバにも連絡を入れて待機してもらう。

 

「割り込めるか?」

「誰に言っている」

 

スケプティックが鼻を鳴らす。

葬はマイクをセットし、緩めていた首元を正す。

 

「最終確認。無関係主張(喧嘩ふっかける)する方向で行くけど、協調路線取りたい人は?」

 

当然ながら誰も手を挙げなかった。

 

「……代わってくれる人は?」

 

皆揃ってふるふると首を横に振る。

 

「はぁ…」

 

駄々を捏ねても事態が好転することはない。

そんなことは身に沁みてわかっている。

腹を決めて息を吐き出す。

顔を上げれば、そこにあるのは元AFO直属配下にして現在日本にその名を轟かす敵連合、超常解放戦線のNo.2の顔だ。

 

『まさにスクラップ・アンド・ビルド!負の遺産を一掃し新たな伝説が始まる……。この俺の伝説がな、FUFUFU……ん?』

「お話中失礼します」

 

モニターを分割して映し出された葬の姿に、見上げていた緑谷たちからも驚愕の声が上がる。

 

「初めましてDon.ゴリーニ。超常解放戦線最高指導者死柄木弔補佐、死柄木葬と申します。遥々日本にようこそ。お忙しいようでしたのでこちらからご挨拶に伺いました」

 

のっけから慇懃ながらも副音声、あるいは意訳をつけるなら、「他所様(ウチ)縄張り(シマ)で余所者が断りもなく何してんだナメたマネしてんじゃねえぞ」である。

順調に染まっている。

 

「やあやあ!これは先代のお嬢さん。お会いできて光栄だ。俺のことはダークマイトと呼んでくれたまえ。君の父上と話した際に薫陶をいただいてね!自分でつけた」

「格式のあるファミリーと伺っていましたのでDonとお呼びしましたが、まあ、所変われば品変わるものでしょう」

 

日本では個性発現前から存在する極道は歴史と伝統を重んじるが、イタリアではそうではない、と揶揄である。

ゴリーニファミリーは欧州マフィアの顔に泥を塗るのかと。

ついでにファミリーとしての格も低いのかと侮蔑を含んでいる。

 

「それでSig.?日本にはどういった御用で?あとこれは個人的なお願いになりますが今現在進行形で凄まじく居た堪れない思いをしているのでその格好やめてもらえません?」

((切実だぁ))

 

モニター内外、心の声が一致した。

生き別れのそれも敵対関係でギクシャクどころでない父親の姿を真似て赤の他人がその後継を名乗るとか、反応に困る。困惑の極みである。

 

「なぜだい?この力強さ!逞しい姿!肉体美!象徴に相応しいだろう?俺という新しい象徴に!」

茶目っ気(ユーモア)があるのは分かりました。すみません、ちょっと話が入って来ないので普通に喋ってもらってもいいですか?」

 

一言区切りでいちいちポージングをするのをやめろ。

サイドチェストやらフロントダブルバイセップスで見せられなくても本物に抱き上げられたことあるから。

尤も、ポージングがなくても話が頭に入ってこないのには変わらないが。

ダークマイトは何やら思いついたのか「hmm…」と顎をなでる。

 

「象徴たるオールマイトを継ぐ身として、先代の娘ならば俺の娘と言っても過言ではないではないか?よし!オールマイトを引き継ぐ俺が、君の新しい父親になってあげよう! Padre…いやパパと呼んでもいいんだよ!さあ!「間に合ってますのでけっこうです」

(((食い気味…)))

 

「よし」じゃない。義父枠はもう埋まってるのでお呼びでない。

ただでさえ拗れているのにこれ以上ややこしくしないで欲しい。

 

「FUFUFU…恥ずかしがり屋さんめ」

 

会話だけで色んなものがガリゴリ削れる気がする。

()の威を借る狐だからと葬が前に出たが、本気で誰か代わってくれないだろうか。

ペースを乱されるのも良くない。一旦頭から外そうと、葬はヒーローたちへと呼びかける。

 

「現在救助活動中のセミプロ及びプロヒーロー、そして閉じ込められている市民の方々。我々超常解放戦線は状況を鑑み、本日24時までの戦闘行為の停止を宣言します。我々が救助活動を妨害することはありません」

 

それを聞いて安堵する者は少数であった。続いた言葉が問題だったのだ。

 

「なお、今後仮に我々と交戦状態に入った場合、戦場となる可能性が極めて高い要塞内の人命および安全については極力、配慮はいたしましょう」

 

ヒーローたちは危機感を抱く。

 

「これ、やっぱ見捨てる気ですよ」

 

ホークスは断言する。

今ここにいる中では、ヒーローの中では己が最も彼女の思考に近い自覚があった。

極力配慮ということは、それに留めるということ─第一優先事項にはしないと宣言されたも等しい。

中に取り込まれた人間より、外の方が遥かに多いのだ。要塞の移動による被害も考えれば、ダークマイトの討伐と要塞の破壊を優先した方が後々の被害が抑えられる。

配慮した結果、多い方を取ったのだとロジックが出来上がる。

 

「それを学ばせたのは我々の咎か…」

 

社会(多数)の安寧の為に少数を切り捨てるやり方を大人が子どもに示してしまった。

さもそれが正しいと。

脳裏を過ったのは一瞬で瓦礫の山と化した蛇腔の惨状。

自分たちヒーローが救えなければ、ゴリーニたちに利用される以前に、彼等全てが死柄木弔の“崩壊”により崩れ去る。

嫌なら抗え、拒んで争った結果が今だと言わんばかりの宣告であった。

 

「随分と強烈な発破だ。やはり今のヒーローたちの脆弱性がそのように駆り立てるのだろう。だが安心するといい!間も無くこの混乱した日本は、輝かしい新たな時代の到来を迎える。先代の死と共に。俺とて心苦しくはあるとも。しかし!大いなる目的の前には多少の犠牲が必要な「どうぞ」

「んん?」

 

台詞を途中で遮られ、不満気にどういうつもりかと眉を顰めるダークマイトに、葬は表情ひとつ変えずに、冷めた目で、逆に訊き返した。

 

「どうぞ、と。なぜ私が彼の人の命乞いをしなければならないのです?」

 

ヒュッ、とモニターの向こうで息を飲んだのは果たして誰だっただろうか。

反対に内側でphewと口笛を鳴らしたのは荼毘である。

 

「旧態の破壊、大いに結構。破壊をもたらさんとする敵と戦い果てるのならばヒーローの本望でしょう」

「戦い?ならないさ。かつての象徴は力を失った」

「あなたの言うその象徴が、力のみでそう呼ばれていたと本気で思っているのなら、整形よりレーシックをお勧めしますよ」

 

酷くつまらなそうに葬はダークマイトを見下す。

 

「戦いとは、拳を振るうだけではありません。個性がないから、力がないから戦えない?そこにいる事で士気を高めるのであればそれは役割の1つ。指揮・作戦立案・情報収集操作・協力要請・物資調達。やることは、出来ることは山ほどある」

 

超常解放戦線にも当然、直接戦いに向かない個性持ちだっている。

故に役割を分けて部隊編成がされている。

 

「前線で戦う者を支える人々もまた、戦いに身を投じている。戦えない人間というのは、戦う意志のない者のことを言うのです」

 

スピナーはぎゅっと胸から熱いものが込み上げてくるのを感じた。

スピナーは己が小物であると自認している。

個性の“ヤモリ”だって壁に張り付くくらいで大した事はできない。

死柄木兄妹のようなカリスマ性も皆無だし、弔のような強さも、葬のような頭の良さも持っていない。

荼毘のような狂気やコンプレスのような信条があるわけでもなく、トガやトゥワイスのようなトリッキーな働きが出来るわけでもない

それでも、死柄木弔の、友の為に何かをしたいという想いは、確かに胸に燻っている。

ここにいて良いのだと、言われた気がした。

 

「そして人の前に立つ者にとって、勝利とは己が為のものではなく、人の上に立つ者にとって、死は終わりではない」

 

前に立つ者は、後を支える人たちを、後を行く(生きる)者たちの為に勝利をもたらすのだ。

“象徴”が斃れても、たとえその身が死しても、灯された火は後ろへ継がれてゆく。

 

「象徴とは、残り、語られ、継がれるモノ。平和の象徴オールマイトが、革命家デストロが、怪盗王張間歐児がそうであるように」

 

カメラフレームの外でリ・デストロが感激にソッと涙を拭った。

Mr.コンプレスも仮面で表情はわからないが、ちょっと驚いていた。

怪盗王は貧しい人々に富を分け与えた。革命家は今なおその狼煙を高く上げている。

彼等も血を継ぎそれを誇りとしているのである。

 

「補佐、わかってらっしゃる…!」

「え、おじさんこれちょっと嬉しいかも」

 

雄英でその言葉を聴いていたオールマイトの手に力が籠る。

 

「それを理解してなお、君はそこに居るのか…!」

 

志は同じ方向を見据えているのに、とっくに交わっているのに。

手を取る事は拒絶されている。

 

「お前が入れ込むわけだ」

 

レディに縛り上げられたステインも、彼女の端末で映像を見聞きしていて少しだけ、ほんの少しだけ溜飲を下げた。

葬のその精神性はこれまでの成育環境からは誰にも教われるものではない。

言葉1つが、その在り方が、魂に火を灯す。

どれだけ汚され歪められても根幹に在り続けた、継がれ繋がれた生まれ持った資質(ナチュラルボーン)

血と共に正しく継がれた『英雄』の精神。

それを目にすることが出来たのだ。

それでもこの贋物と呼ぶにも烏滸がましい偽物を粛清しに行きたい事に変わりはない。

しかし出来ないように拘束されて転がされている。

うるさいからと沓も噛まされ上にはレディが抑えるように椅子にされていた。

 

「よりによって、幸運にも先代の血を引く君が、偉大なるオールマイトと他を同列に語るとは」

 

困った子供にするように、ダークマイトはやれやれと肩をすくめて首を振る。

葬はそんなダークマイトをじっと画面を見つめた。

 

「どうしたのかね?俺に見惚れているのかな?わかるとも!本来であれば誰よりも長く特等席でオールマイトの姿を見て触れることができた君がその機会を奪われたことは実に哀れなことだ!存分に見るといい!」

「いえ、なるべく直視は避けたいのですが、こうしてちゃんと見るとそれほど似ていないなと思いまして。まあ、確かにご本人に直接お会いしたのはそれほど多くはありませんが」

 

狂信者に付き合って写真やら映像やらはここ数年散々見ているので粗が気になった。

なおオールマイトフリークたちは心の中で揃って肯首している。

当の本人は実の娘なのに顔を合わせたのは正味3ヶ月程度の授業のある時だけである事実に、胸を刺された気分であった。

 

「何より瞳が違う。彼の人の眼はもっと冴えた碧眼(あお)をしている。ちょうどー」

 

葬は左眼の眼帯を外す。今は赤のコンタクトを入れていない。

そこには、生まれ持った本来の。

 

「こんな色をしているのですよ」

 

その瞳は、モニター越しに初めて見たそれに目を見開いた、オールマイトと同じ色をしていた。

 

「ああ…美しい色だ。やはりオールマイトは全てが素晴らしい。人工塗料ではどうにもその色は出なかった」

 

どこにうっとりする要素があったのか。

 

「本質を理解しようともせず、表面をなぞることすらできない。悪党にも悪党なりの矜持や品格というものは必要でしょうに、先代のDonゴリーニも浮かばれない」

 

先代の話を持ち出した途端、ダークマイトの眉がぴくりと跳ねるのを葬は見逃さなかった。

ここか。

 

「先代にお会いしたことはありませんが、ヨーロッパ圏最大のファミリーを率いるにふさわしい方だったと伺っています。その後継がこの様では」

 

わざとらしく嘲笑すれば、ダークマイトの表情に不満が染まるのが見て取れた。

 

「顔が取り繕えていませんよ。せめてオールマイトの真似をして、笑顔くらい振りまいてみたらどうです?ダークマイト」

「FUFUFU…反抗期というやつかな?年頃の女の子は難しい。が、オイタが過ぎる。お仕置きが必要のようだな。この俺がしっかりと躾直してあげよう」

 

画面越しに両者の間に火花が散る。

 

「次はどっちだろうと、こちらはどうでもいいのです」

 

尊大な態度で葬は告げる。

 

「勝った方が、私たちの敵になるだけだ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

血と精神を継いだ者。ただし色々混ざってる。

ゔぃらんにもひんかくとかってだいじだなとおもいました。

その点はお父様を見直した。

 

ヒーローs

意志を継ぐ者たち

違えよ!次は!僕たちだ!

 

平和の象徴

情緒ジェットコースター

 

パチモン野郎

俺が新しい象徴!

そして新しいパパだよ!

 

過激派厄介ファン日本代表

簀巻きにされた。残当。

 

レディ

過言にも程があんだろ

何でヨシと思った??

 





ジュリオやアンナも出したかったけど、葬が2人と相性良くなくて断念しました。
ダークマイトとも相性悪いんですけどね。でもヤツとの絡みはやっとかないと。
葬はより『オールマイト』を演出する為のコスプレ小道具みたいな感じです。
会話は的がでかい巨大要塞と弔の崩壊伝播は一方的にしかならない気がするので葬は強気。
デボラの個性掛かったらどんな夢を見るのか。
耐性高いからかからない可能性の方が高いけど、たぶん小話や幕間の仲間たちが笑ってる日常風景なんだろうなぁ。
自分はそこに居ても居なくてもいいので、普通の生活を送ってる彼等を眺めてる。それだけ。
デボラが洗脳中アンナに「お姉さま」って呼ばせてたのは反射的に「厚かましい(笑)」ってなりました。


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