一輪花の咲くまで   作:No.9646

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毎週のごとくアニメに泣かされています。
来週で今期最終話かぁ…アーマードマイトお披露目まではやって…!!


71話 一つ一つ①

 

AFOとOFA、因縁を持つ2つの個性。その継承者たちの邂逅は一瞬で打ち切られた。

 

「弔」

 

一歩斜め後ろを歩き、前が止まった為に同じく足を止めた葬が咎めたのだ。

ただ一言、名前を呼んだだけで。

弔は「へいへい」とわざとらしく肩をすくめる。

 

「うちの補佐は口煩くてな」

 

緑谷は少しだけショックを受けた。

葬は緑谷や周囲の顔見知りークラスメイトや教師を一顧だにすることもなかった。

前は少しでもこちらを向いてくれたのに。

近くにいた爆豪が「ハッ」と鼻を鳴らす。

 

「無視かよ。イイゴミブンだなァ補佐さんよぉ」

 

安い挑発にみみっちいなと思いつつも素通りする。

 

「お?爆豪くんじゃん。久しぶり。神野ぶりかぁ?」

「ああ゛?」

 

メンチの切り合い。

誘拐犯とその被害者。しかも爆豪の方は、自分が攫われたがためにオールマイトを終わらせた自責の念があった。

 

「安売りしない。大人げないよ」

「ちょっと、かっちゃん」

 

いちいちケンカをふっかけていてはスケジュールが押す。予定というものがあるのだ。

 

「お前もやるんだろ?」

「当然」

 

そこは打ち合わせ済みである。

見本を見せてやろうじゃないかと、弔以外の視線もシャッター音もレンズもマイクも無視して、1年ほど前に数ヶ月だけ通った校舎の玄関を潜る。

但し無視できない相手が現れたとなっては別だった。

警護に当たる面々と別れ、中に通されると、娘の姿を見つけ、オールマイトがガタリと椅子を蹴立てて立ち上がる。

“平和の象徴”と誘拐された娘の親子の対面に、凄まじい倍率の抽選で内部での取材権をもぎ取った報道陣がカメラを向ける。

その中には雄英の経営科生徒の姿もあった。

内部での取材に関しては戦線側も「戦闘区域になる可能性がある場所に来るのだから、何があっても一切自己責任と」条件付きで承諾しているが、実際に学生が交じっているのに葬は僅かに眉を顰めた。

それをどう受け取ったのかは知らないが、オールマイトも眉根を下げる。

 

「お久しぶりです」

「ああ」

「長くなるようならまた後ほど」

 

有無を言わせぬうちに葬は会釈して切り上げる。

拍子抜けするほどに短い、淡々とした挨拶のみにオールマイトも周囲も面食らった。

 

「エンデヴァー、少しよろしいですか」

 

そして息子の姿がない事にやや消沈しつつ、まさか接触されるとは思っていなかったエンデヴァーは訝しげに凄む。

 

「開始前に直ぐ済む用件を済ませても?」

「何だ」

 

葬は用意していた封筒を差し出した。

 

「荼毘ー轟燈矢の身体検査結果です。本人の承諾はとっています」

「なっ⁉︎」

 

エンデヴァーはひったくるように封筒を受け取る。

 

「半年程前にドクターをして何故生きているのか不思議と言われた状態です。本人の気力のみだと」

「……‼︎」

「あなたが何もせずとも、彼はもう長くはない」

 

エンデヴァーの顔が歪む。

葬はカメラに顔が映らぬように僅かに身体の向きを変え、そっと声を落とす。

 

「今度はちゃんと全身お返ししますよ。()()()()()()()顎の骨だけでなく、ね」

 

はく、とエンデヴァーが息をするのを忘れたように静止した。

山火事の時、燈矢の遺体は見つからなかった。

下顎部の骨の一部のみを残して、灰になったと。

しかし、息子は生きていた。

その言葉の意味を理解して、纏った炎がその心の様そのものに轟と燃え上がる。

 

「貴様‼︎」

「エンデヴァー‼︎」

 

葬に掴みかかるエンデヴァーをホークスとベストジーニストが止め、オールマイトが割って入り娘を庇う。

弔たちはあらかじめ「軽いジャブを入れる」と伝えていたので静観の姿勢だ。

葬は乱れた襟元を直す。

 

「お気遣いなく。私は相手が戦闘専門職だろうと怒鳴られるのも殴られるのも慣れていますから。何の訓練も受けていない一般市民や小さな子どもではないので」

「性格悪ぃの」

 

弔は嗤う。

隠す気など微塵もない、明白な当て擦りである。

実はこの2人、周囲どころか本人たちが認識しているより相性が悪い。

金で買われ、道具()として扱われ、暴力の中で育った葬にしてみればエンデヴァーの所業は当然許せるものではなかったし、過去や古巣の大人たちを思い起こさせるものであった。故に燈矢のことも止めるわけもなく協力したのだ。

エンデヴァーにとっても、葬は越えようとした男(オールマイト)の娘で、期待の末子と同じ歳でその最高傑作より才能に溢れ、亡くしたと思っていた長男と共にヴィランとしてこちらを追い詰めると同時に彼への蜘蛛の糸。

お互いにお互いの地雷を満載しているのである。

 

「落ち着けエンデヴァー」

「そうですよ、エンデヴァーさん。向こうの思うツボです」

 

これは口撃であり、先制攻撃だ。

冷静さを失わせ、相手の自滅を誘う。AFOの得意とするやり方である。

上背があり筋骨隆々としたエンデヴァーに対して、葬は細身の少女。

それが胸ぐらを掴まんと迫ったのだ。それもカメラの前で。

今の絵面一つとっても非難は避けられない。

向こうはとことんエンデヴァーを貶めるつもりらしい。

荼毘が楽しげに口角を吊り上げている様が目に浮かぶようだった。

こうなると自分たちもコスチュームでなくスーツにするべきだったとベストジーニストは後悔を滲ませる。

戦闘になる可能性に備えて自分たちや警備に当たるヒーローたちは武装しているが、向こうはきっちりブラックスーツ。

話し合いで済ませようという意思表示。

持たれる印象が違う。

2度目の悔しさであった。

 

「…すまなかった」

 

エンデヴァーは少し冷静になった頭で謝罪する。

10年前では直接関わることなどできない。この娘が何かしたわけではない。

そもそも自身が燈矢に向き合っていれば、あの日あの場所へ行っていれば。

 

「こちらこそ。お時間をいただきありがとうございました」

 

葬は黙礼だけして踵を返す。

全員が着席。

 

「時間になりましたので始めさせていただきます」

 

会談は形式的なものであった。

主には要望書の提出である。

戦線側代表としてリ・デストロが一部抜粋して読み上げを行う。

内容は、簡単にまとめるなら法の不備や個性に関する思想教育の在り方など現体制への不平不満を八橋に包んで体裁を整え、それに対する是正要求。

対価として、組織的な戦闘はじめとする反政府運動の停止及び脳無の廃棄をはじめとした戦力の削減、一部幹部の身柄引き渡しなどを盛り込んだものである。

会談が進む中、ホークスは警戒していた。

こちらも戦闘に備えて戦力も体制も準備はしているが、相手は一撃で街一つ半壊させる“崩壊“を使い、オールマイト並みのパワーと耐久を備えた死柄木弔がいる。

現在どこまで回復しているのか、すっかり破壊された病院跡からはめぼしい情報は回収できなかった。

一時確保したドクターも不自然な死を遂げている。

さらには戦闘力としてリ・デストロも侮れない。

彼は偽物が公安部隊を壊滅させている。あちら主導の為に始終和かだが、その隣にいるのは死柄木葬だ。彼女の“感情支配“ならリ・デストロの“ストレス“の最高打点がいつでも瞬時に出せる。

そしてその死柄木葬。

この距離と対面式という状況は彼女にとって有利。

“感情支配“は弱発動なら表面上は発現がはっきりとは分からない。

数秒思考を乱されるだけでも動きは鈍るのは身を以って知っているし、その時間が稼げれば“崩壊“が来る。

更には部屋の外や屋外にもヴィラン側の警護が待機している。

実によくできた布陣だ。

対して、こちらはエンデヴァー、外にはOFAーデクを始め出来る限り戦力は揃えたが、カメラ(民間人)が入っているために迂闊な動きは出来ないしさせられない。

背後にいる上層部に約束を反故にさせないための公開対談かと考えていたが、どうやらまだ腹に一物も二物も隠しているらしい。

ヒーロー自体数が少なくなっている。

オールマイトは既にOFA(個性)を緑谷に譲渡しているし、何より彼は()に強く出られないだろう。

ホークス自身、荼毘に背中を焼かれた後遺症で翼は減り、義翼で補正している状態。

しかし、ホークスの警戒をよそに、無難に、恙なくと言えば聞こえがいいか。

あっさりと、何のトラブルもなく終了したのである。

最後にニコニコ顔のリ・デストロが要望書を渡しながらカメラ目線を向けている。社長時代で培った完全によそ行きの仮面である。

戦線側は質疑応答に応じるらしく、彼が残るようだ。

革命家としての面が割れてからの方が生き生きしている。

報道陣のいる会議室を後にし、会談を終えた面々は控え室に借りている部屋へと戻った。

もっとも、終わったのは公開する部分(パフォーマンス)だけだが。

 

「それでは、各自指定の場所に移動してください」

 

各々が席を立つ。

この後は、表に出せない話し合いだ。

政治的な面が強いものはトランペットに任せている。

なので葬の担当はもう少し細かい部分だ。

場所を移し、机を挟んで向き合う。

 

「初めまして。ヒーロー公安委員会委員長代理、目良です。よろしくお願いします」

 

─────────────────────────

 

その頃、会場外ではー

 

「オールマイト、大丈夫かな…」

 

デクたち雄英生も警備にあたっていた。

プロヒーローが減っているのだ。

職員は当然として、仮免を取得していて地の利のある彼らも駆り出されていた。

 

「デクくん…うん、大丈夫だよ!オールマイトだし!」

 

同じ区域を担当するウラビティが励ます。

 

「…そうだね」

「でもびっくりしたよね。2人が親子だなんて」

「うん、驚い「出久くん!!」うわっ⁉︎」

 

背後から抱きつかれ、緑谷は素っ頓狂な悲鳴を上げた。

 

「トガヒミコ⁉︎」

 

そこにいたのは、紛れもなく敵連合のトガヒミコだった。

デクは退院後、あれからも訓練は欠かさず続け、4th“危機感知“も会得した。

けれど後ろから抱き付かれるまで、全く反応しなかった。

つまり、彼女に敵意はない。

トガは頬を染め、瞳をきらきらと輝かせていた。

そこにあるのは、ただただ、純粋な好意。

 

「大好きだよ出久くん!私の恋人になって!」

 

─────────────────────────

 

「おい蒼炎、もっと画面をこっちによせろ!リ・デストロのお姿がよく見えないではないか!」

「自分ので見りゃいいじゃねえか」

「お前の端末の方が画像がいい!あと音量もあげろ!ああもう黙れ!リ・デストロのお声が聞こえんぞ塵ども!」

 

ぎゃいぎゃいと中継動画を見ながら騒いでるのは外典である。

リ・デストロの護衛にと立候補しついてきたのだ。

広範囲高威力の個性を操る2人は当然のごとく持ち場は屋外。

2人ともある程度空中戦ができるとあって、待機場所は屋上だ。

荼毘はそこそこに機嫌を持ち直していた。

自身と父エンデヴァーに関する報道が葬とオールマイト親子のそれに掻き消され一時はどうしてやろうかと考えたが、葬の予測と策も一興と思い直す。

更にはリアルタイムで流れてくる轟炎司の表情を見て溜飲を下げた。

 

「ほらよ、勝手に見とけ」

 

もうしばらくハイライトはないだろうと、端末を外典に渡す。

近づく気配も気になっていた。

コツ、とブーツが屋上の床を踏む。

 

「燈矢」

 

荼毘はニィと笑って振り返る。

 

「よお、焦凍」

 

─────────────────────────

 

 

他方、雄英高校の教員であるプロヒーローたちも警備にあたっていた。

イレイザーヘッドはプレゼントマイクと共に、会場外に待機している。

弔の“崩壊“対策にイレイザーヘッドの抹消が必要だが、その弔の側には葬がいる。

対象を見ていなければならないイレイザーヘッドと、燐光を見た者の精神を操る葬の“感情支配“。

先の戦いでは上手くいったが、当然警戒されているだろう。

更にはTOP3がいるとは言え、スピードも力も桁はずれの弔相手だ。

念の為近くに“コピー“のファントムシーフを待機させているが、こうして姿を見せずに目視できる場所から見ているしかない。

 

「何事もなく終わればいいんだがな」

「そう上手く行くかぁ?」

 

会場入りした際に遠目から2人を観察したが、彼らから殺意や敵意は感じられなかった。

あの時も、邪魔さえ入らなければ、話し合いができない相手ではないのだ。

前回は説得しきれなかったが、今度こそ。

上手くまとまれば、これ以上の犠牲は生まずに済む。

だからどうかと祈るような気持ちでいた、その時。

 

「「‼︎」」

 

気配を察して、2人はバッと後ろを振り返り警戒態勢をとる。

何もないところから現れた“ワープゲート“。

黒霧ー

 

「しョウタ、ヒザし…」

 

違う。

 

これは、彼は。

 

「白雲…?」

 

─────────────────────────

知ってる顔がいたのでちょっかいかけてみた。

 

荼毘が警備要員なので代打。

体育祭の時に生放送公開土下座させておけばよかった!!

 

それぞれ

再会




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