さらには更新予定の曜日や日時も変えての投稿です。
ぜんぜん書けない時期が続いていました。
ユアネクの円盤買ってラストバトルシーンリピート再生したり、サブスクでヒロステ見たりして英気を養っています。
今回から三話分くらいはいつもより分量が少ない(回によってはとても少ない)ですが、完結を優先させて投稿予定です。
おそらく予定数はあと数話になりますが、どうぞお付き合いいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
浮遊感が戻る。
「っ!!」
実際の時間にしてみれば一瞬もかからぬ後、衝撃の反動で吹き飛ばされると同時に緑谷の意識は死柄木の中から放り出されていた。
何があったか、緑谷は思考を巡らせる。
弔の記憶に触れて、彼の心を引っ張り出した。
そこに現れたのは、どこまでも悪意しかない、AFOの意識。
「死柄木!!」
また弔の肉体が変化しようとしていた。
左肩辺りから、ボコボコと肉体が歪な盛り上がりをみせる。
現れたのは、まるで目口鼻の窪みを形作る人面瘡のような肉塊。
それはやがて大きくなり、人の形を模してゆく。
顔が生え、頭、首、肩と形成される。
「弔ぁ!!」
吼える。
それはAFOのものだった。
「この身体は常に最適になるように成長するんだろ。だったら、要らない部分を切り離すってのも、最適な成長だよなぁ」
「弔!お前は!!」
「感謝はしてたんだぜ、先生。拾ってくれて、ここまで育ててくれたことにはさ。まあ、それも自作自演だったってわけだが。それに、もうガキじゃないんだ。あんたのお守りはいらねえよ」
意識は戻った。煌々と輝く光の花に守られている今、弔の精神が呑まれることも壊れることもない。
あとは余計な物を身体から追い出して、身体の主導権を取り戻す。
問題は、それをどうやるかだ。
奇しくも2人が同時にそれを考える。
緑谷は内心臍を、実際には奥歯を噛んだ。
あれの語った事が事実であるのなら、決して許せることではなかった。
OFA継承者たち、死柄木弔ー転弧、葬、青山、たくさんの人の命を奪い、人生を踏み躙って。
ぐっと拳に力を込める。
ここで、終わらせるのだ。
終わらせなければ。
『緑谷』
OFAの中から二代目に呼ばれる声がする。
『方法はある』
強靭な肉体を持つ死柄木に対して決定打がない。こちらは
「どうすれば良いですか!」
それに対する回答は、思いがけないものだった。
『OFAを手放すんだ』
OFAー個性を手放す。
それはつまり。
「わかりました」
対する緑谷は、即答であった。
OFAを失う事の意味が分からないわけがない。ずっと焦がれてた。夢見ていた。
それでも。
「頑張れ」「頑張って」「がんばれ、デク!」
だって、背中を押してくれる人が、人たちが、みんながいる。
聞こえるはずのない距離で、それでも届くのだ。
人の想いというものは。
幾度となく壁はあれど、連綿と築かれてきた道は、確かに今、ここへ、繋がって来た。
繋がりを、連なりを先へー
その為ならば、躊躇う必要がどこにある。
「勝てや!デク!」
そしてその声は弔にも届いた。
破壊音、エンジン音、報道ヘリのプロペラ音、ヒーローへの声援。
強化された肉体でも拾えるか分からないほどの騒音の中でも、掻き消されそうなものだとしても、確かに聞こえた気がしたのだ。
「負けるな!死柄木!」
トガのように抜け出すことはできなかったけれど、はるか上空を喰い入るように見続ける
社会の異物が寄り集まった歪な集団だったかもしれない。
何もかも手のひらの上で踊らされていただけで、全部用意された道筋だったのかもしれない。
けれども、抗うと決めたのは、彼等の救けになりたいと望んだのは、彼を友としたのは、間違いなく弔自身の意思だ。
少なくても、仮にただ1つだとしても、
自然と、唇の端が上がった。
「勝たなきゃなぁ」
それに、応えないわけにはいかないではないか。
弔は動かないはずの右腕を自分の意思で持って動かす。
左側へ、右手で触れた。
パキパキ、ビシビシと、筋繊維が構築されるごとに破壊され、再生し、また崩壊を繰り返す。
「自分の身ごと僕を壊す気か!?自己犠牲なんてヒーローのすることだぞ弔!お前の嫌いな偽善者に成り下がるつもりか!?」
「先生ほんとにボケがきたんじゃねえの?さっき言ったろ?俺は、アイツらのヒーローになりたかった、って。だから、先ずはアンタに勝つのさ」
それすら出来ないようでは世の中なんてこの手で壊せないではないか。
手始めに、AFOを壊す。
弔の意思は決まっていた。
『………』
OFAの意識の底で、与一は継承者たち1人1人の顔を順番に見つめる。
短い人生だった。長い歩みだった。
兄と同時に生まれ落ちたはずの身体は彼に比べて遥かに脆弱だった。
悪逆非道の限りを尽くす彼を止める手立ても力も持たず。
それでも何度も争った、正そうとした。
個性ーかつて異能と呼ばれた力が出現して混迷を極めていたあの悲惨な時代で、彼のー兄の、幼い頃に繋いだ手の温かさを信じたかった。
生前、兄になぜこんなことをするのか問い正したことがあった。
『嫌な事の方がずうっと覚えているだろう? だから人の未来を阻むんだ』
寂しい人だったのかもしれない。
寄り添い続けていたら、何かが変わったのだろうか。
考えても答えはでない。
兄はあまりに多くのものを奪いすぎた。
奪った物を一方的に与えられ続けていた与一は、彼らと出会えたことを、差し伸べられた彼の手を取ったことを後悔なんてしていない。
彼が手を差し伸べてくれたから、全てが始まった。
死してなお共にあった盟友。
駆藤が頷くと、与一はにこりと柔らかに微笑んだ。
『ありがとう。Myヒーロー』
与一は再び意識を緑谷へと向き直る。
『僕たちの力を君に託すよ』
「はい」
力強く、デクは頷く。
「終わらせます。今、ここで」
継承者たちの姿が揺らぐ。
解けて溶けて、八色の光となって身体に宿った。
「外すなよ、緑谷出久」
デクは静かに、しかし在らん限りの想いを胸に頷く。
「OFAーフルカウル」
デクの身体にエネルギーが張り巡り、プラズマのような強大なオーラが迸る。
OFAは器の許容量を超えれば肉体が崩壊する。
死柄木の中には、AFOは一体どれだけの個性があるのか。
そこに叩き込むのだ。
初代となった与一から始まった。駆藤に託され、ブルース、四ノ森、万縄、煙、菜奈、そしてオールマイトへ。
歴代継承者たちの紡いだ力、オールマイトが40年に渡り鍛えた力、プラス、緑谷出久の1年を。
「嫌だ」
AFOが足掻く。
その思考が、剥き出しになった感情が弔の中に流れ込んでくる。
ただひたすらに「嫌だ」「憎い」と。
感情に支配されていた。
少し前の己のように。
『もう終わりにしよう、兄さん』
AFOは、
「UNITED STATES OFー」
デクの拳が、AFOに。
「やめろおおおおお‼︎」
「SMAAAAASH‼︎」
届いたー
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白く塗りつぶされる世界の中で、弔は誰かに抱きしめられた気がした。
温かく柔らかな感覚。
でも母や姉、義妹ではない。
もっとがっしりしていた。
これはきっと。
「おばあちゃん…」
「ごめんな、転孤」
祖母は、志村菜奈は泣いていた。
「私が…私が間違えたんだ。孤太郎を離してしまったから…」
ぽろぽろ。涙が頬を伝い落ちる。
「あの人がー夫が殺されて、孤太郎まで失うことが怖くて仕方なかった。私じゃ守りきれないと…情けない話だよ…私はヒーローなのに」
夫を殺され、息子の存在が知られたら利用される。だから手放した。
菜奈がOFAを継いだのは、まだAFOが全盛の頃だった。
「置いて逝ってしまう事がわかっていたんだ…だから安全な所で、どうか幸せになって欲しかった」
たったひとつ。
遺して逝く者の最期の願い。
祖母は父を愛していた。
父は祖母に愛されていることをわかっていたし、愛していた。
だから置いていかれた事が哀しくて、辛くて、許せなかった。
愛は歪み、歪みは憎悪を育て、憎悪は破壊の意志と化した。
あの家に連なるモノ全てを壊そうと。
それが今やどうだ。
全部仕組まれた事だった。
けれども“感情支配”の効果だろう。
ずっと抱えていた、いつまで経っても鉛のように重く沈んでいたものがすっかりなくなっていた。
憎まなくていいというのは、こんなにも、呼吸が楽になるものなのか。
AFOの束縛が消え、自由になる腕を菜奈の背中に回す。
5指で触れても崩れなかった。
「もういいよ、おばあちゃん」
小さな男の子の声がした、気がした。
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菜奈
生前は孫を抱けなかった。
ようやく
こう、少年漫画とかでよくある宿敵とさらに強大な敵を相手にした共闘パターンのエンドってあっても良くないですか??(ろくろを回す手)
もちろん貫いて勝敗を決するエンドも大好きですが??
二次創作なので別パターンあってもでいいですよね??
あとそろそろ葬を出したいです。
個性とかでちらほら影は見えるけど最終盤でオリ主の出番がほぼないという暴挙をやっているので。
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