また2ヶ月近く空けてしまいました…
そして感想への返信ができておらず申し訳ございませんm(_ _)m
後もう少しお付き合いいただきますようお願いいたします。
昨日のヴィランテはスタ様を見るべくリアタイしました!!連休中日は翌日気にしなくていい!
デクと死柄木の死闘の果て。
墜落寸前であった“天空の棺”はその役割を果たし、しかしその名を全うすることはなく、地上へと降りた。
意識はあるものの貧血で歩けないトガを、体力気力は消耗しているものの傷はないウラビティが“ゼログラビティ”で浮かべて抱えている。
満身創痍であるが自分の足で歩いているデクの姿を見つけると幾人かが駆け寄った。
「デク!」「緑谷!」
「僕は大丈夫。それより先に彼女を」
騒然となったのは、視線の先に弔が共にいたこと。そして、その腕にはシーツの塊。
包まれているのは葬であった。
弔には軽々抱えられる力はあるが片腕がない。葬にはバランスをとるにも掴まるにも力が残っていなかったので、手足が振れないようにシーツで包んで補強しているのだ。
問題は、常に真っ白に保たれているはずのそれが斑らに染まっていること。
唯一出ている頭部も血塗れで、今にも閉じそうになる瞼を辛うじてわずかに持ち上げている。
その顔色は蒼白。
薄く唇を開いているのは、力が入らないのもあるが、呼吸がうまくできてない。
弔の個性で一命は取り留めたものの、不安定になったAFOと初めて使う個性であったせいか治りが不完全で、直ぐにまた呼吸困難に陥った。
か細い呼吸を繰り返し、油断すると意識が持っていかれそうになる。
血が足りなくてひたすらに寒い。
視界がぼやけているのは焦点が合わないからだろう。
慌ただしい人の声の多さだけは聞き取れた。
人間最後まで残るのは聴覚だ。
「リ・デス、トロ、たちは…」
“天空の棺”から跳んで帰ろうとした弔を止めて地上に降りたのは逃亡したと思われないよう顔を出す必要があったからだ。
死柄木が暴れたことで他のメンバーは拘束ないし足止めはされているだろうから、解除してもらわなければ。
身体がこの状態では指揮も取れない。弔も休息が必要だろうし、実務がある。せめて引継ぎだけでもしておかないと。
かくん、と頭が揺れる。
弾みで喉奥から迫り上がって来るものがあり、こほりと咳と共に血が混ざった。
「医療班!!」「担架急げ!」
仲間の前にヒーローや救急隊が寄ってきてしまった。
「私は、いい…」
「何言ってるんですか!代わります、あなたも救急車へ!」
救急隊員に言われた言葉に、片腕のない弔はきょとんとする。
一歩。
小さな一歩はされど大きな漣を生んでいた。
「あなたたちが誰だろうと、患者を救うのが我々の仕事です!」
葬は朦朧としながらも救急車も処置も嫌がったが生憎と手も足も出ない。
そして当然聞き入れられるわけもなく。
「ワガママ言うなよ。まあ今は大人しくしといてやろうぜ。俺も疲れてんだ。お前血液型何だっけ」
「汎A+…」
「だってよ」
聞き取った隊員が無線を飛ばす。非個性依存型ABO型なら輸血パックの常帯ストックがある。
担架を待つより早いからと、弔はそのまま救急車まで足を進めた。
ストレッチャーに下ろすと、医療班がさらに慌ただしくなる。
「っ!!」
「動かないでください!」
戦いを見届けようと救急車に載せられるのを待ってもらっていたオールマイトは遠目に見つけた娘の姿に、下半身がおしゃかになっているにも拘わらずストレッチャーから降りようとして止められる。
一悶着があったが、皆重傷あるいは重体のためそのまま括り付けられ救急車で搬送された。
麻酔をかけられるまで意識を保たせたのは、3分の1くらい意地である。
次に目が覚めた時は病院のベッドの上。
結果、葬は呼吸器損傷、右腕はしばらく麻痺が残り要リハビリ。出血多量、加えて“崩壊”の影響で全体的に脆くなっている。
あと慢性的な栄養失調及び睡眠不足、過労諸々。
検査の予定どころか問答無用で即刻入院である。
緑谷やオールマイトたち戦闘に加わったヒーローたちも重傷で、同じく入院とあいなった。
血を吸った髪は染料ごと落とさなければならなかったし、手術の際にコンタクトも外されているので外にも出られない。
元の姿は晒したくなかったので、葬も仕方なく療養に専念することになったが、一般的な療養とは程遠い。
「だから!絶対安静と言っているでしょうが!!」
目が覚めると直ぐに呼吸器付けたまま電話で指示を飛ばし、長時間電子機器を操作していたり、食事はおざなり、消灯時間をガン無視してweb会議、忙しいからと回診を後回しにしようとしたりする。
療養とは、と周囲が首を傾げたくなる。
極めつけには入院中に怪我を増やす始末。
呼吸器がダメージを受けているので咽せる事が多く、咳をした拍子に肋骨にヒビが入った。
栄養が足らず貧血状態が改善されない内に寝不足も重ねて眩暈と虚脱でよろめいた際に捻挫。
そんな問題患者ぶりに看護師の悲鳴があがり、とうとうトサカに来た担当医から雷を落とされるのにそれほど時間はかからなかった。
何事か。
先日のAFOによる弔の乗っ取りとデクとの戦闘を受け、取り決めていた交渉が一部再考になったのだ。
元より葬の役割は調整役である。
デジタル化、ペーパーレス推進の世とは言え日本のお役所仕事は重要案件は書類が基本。
しかも内容が内容なだけに機密扱いであるので、ホークスがそれこそ伝書鳩の如く書類やデバイスを運んでいた。「止めたんですよ?」とは彼の談である。
さらには追加で持ち込んだプリンタが紙を吐き出し、それを赤い羽が攫って行く。
「すみません追加でこっちもお願いします。ちょーっとゴネてるトコロがありまして」
「そっちのテーブルに積んで隣に処理済みあるから持って帰ってついでに伝言『最近物騒なので戸締りにはご用心ください』」
「さらっと暗殺予告やめてもらえる?」
警備兼監視付き個室なのをいいことに、部屋の中では外に出すには海苔必須の文書や会話が紅白交えて飛び交っていた。
ついでに医者の怒号も。
本来なら止めるべき推定保護者が同じく入院中である。
雷はそちらにも避雷した。
「まったく!あなたたちは安静と言う言葉を知らないんですか!」
「その節は大変ご迷惑をおかけし…」
何を隠そう、以前の大怪我で入院した際にほとんど同じ内容で注意を受けた張本人であった。
かつてのAFOとの闘いの折、無理を通して退院強行したのをまだ根にもたれている。
ぷんすこと気炎を吐いていた医者は、今度は深々と溜息を吐く。
「お嬢さんから治療の打ち切りの希望が出ています。理由は無保険のため医療費高騰懸念との事ですが」
「継続でお願いします」
「ええ、お父さんとお話ししますと返答してあります」
俊典からすれば、当然治療費だろうと賠償金だろうと支払うのになぜそんな事をと寝耳に水であった。
「そんな事だろうと思いましたよ」
まあ先ず適当に取ってつけた理由なのだろう。
数日同じ建物内にいるが、2人は顔を合わせることが少ない。ほぼないと言っていい。
娘の方は術後目が覚めると父親ではなく部下への連絡を希望した。
片方が車椅子必須なのもあるが、出向いても忙しさを理由に追い返されている。
葬の方が父親の病室を訪ねることはない。彼女の口からどうしているかと重傷の容体を訊くことすらなかった。
守秘義務があるので口にはしないが、毎日面会に訪れているエンデヴァーこと轟炎司と燈矢の方が、幼少期の関係がある分、拗れてはいるが親子の交流がある。
長く医者をしていると家族関係が希薄な患者は珍しくない。
が、一個人として、1ファンとして、これまで無理を押してでも平和を守り続けてくれた彼には穏やかな余生を送ってもらいたいと願っている。
患者に療養の意思がないのも問題だ。
症状を隠されるのも本当にやめて欲しい。
臓腑の欠損が、呼吸の出来ない苦しさが、汗の滲むような痛みが、「大丈夫」「問題ない」わけがないではないか。
それは
当然、俊典も実際言ってはみたのだ。
しかし、「もう休んでいい」「しっかり傷を癒して」「もっと自分を大事に」だの、中身が大体殆ど身に覚えがある内容で強くは出られなかった。
「
一蹴された。一笑もなく。
疑問符すらつかないあたりガチである。
活動限界をもたらした負傷は会見したので周知の事実であったし、現在進行形でしばらくは車椅子の世話になる重傷ぶりでは、棚上げにも程があった。
自身の役に立たなさが嫌になる。
実際、届け物に来たレディ・ナガンからは「役に立たねえ親父だなぁ」と呆れられた。彼女の中でオールマイト株が暴落中である。
元の金髪碧眼に戻った娘を初めて見た時には血のつながりを強固に感じさせされ、本当になぜ気がつかなかったのかと打ちひしがれて、道路で轢かれて干からびた蛙かミミズでも見る目をされた。
「どうかしました?」
「いや…うん…自分の目の節穴加減に呆れてる…」
なお、肝心の娘からの評価に関しては、期待値の絶対値の高低が弾性の強弱と比例する為、下がりもしていないが上がりもしない。前途多難。
「私の気持ちがようやくご理解いただけたようで」
「その節は大変ご心配を……」
見舞いと後処理の手伝いに来てくれているサー・ナイトアイに平謝りするしかなかった。
ちなみにサー・ナイトアイに同行して来たらしい通形が入室一番彼曰くとっておきの渾身ネタを披露した際の葬が同じような顔をしていたのは蛇足である。
「サー・ナイトアイ、これは引っ叩いても仕方がないと思うのですが」
「暴力行為はいけない。ああ、失礼、最近目が霞みがちでね」
「残念ながら今は身体が利かないので見送りますが、ルミリオン、ヒーローやるなら外でやらない方がいいよ」
場の空気が険悪にならなかったのはツカミとしては悪くなかったのだろうが。
葬のなけなしの良心での忠告であった。
ヒーロー相手にヒーローを呼ばれる事態にならないことを祈るばかりだ。
サー・ナイトアイに後頭部を叩かれる通形ーコメディヒーロールミリオンは遠くない未来、基準の見直しはされたが存続されたビルボードチャートにて、見事No.1ヒーローとなりその懸念は回避されるのであるが、それはまたの機会に語られるべきことであろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「もう泣かないでよかっちゃん」
「泣いてねえわ!!」
爆豪はぐしと涙を拭う。
先の戦いで緑谷の中のOFAは失われた。いまはもう残り火が僅かに燻っている程度。
それを聞いてしまってから、ことこの事に関して彼の涙腺はゆるゆるになっていた。泣かれた時は目玉が飛び出るほど驚いた緑谷である。
爆豪を宥めていると、コンコン、とノックのされる音がする。
「あ、はいどうぞ」
「お邪魔するよ」
顔をのぞかせたのは、書類を持った葬だった。
「何しに来やがったヴィラン女ぁ?足でドア開けんじゃねえ」
「片腕使えないんだ。用があるのは君じゃなくて緑谷君。別に何かしようってわけじゃないよ」
緑谷を庇う位置に立ちながら、どの面下げてと爆豪は目を吊り上げる。葬は彼の泣き跡には触れなかった。
「僕?」
「これマスコミ対策の台本。退院までに覚えて。そっちの上の承認は取ってある」
「あ、うん、わかったよ」
緑谷は律儀に礼を言って受け取る。
もう少し何かないのかとも思うが、葬の考える方面ー警戒や嫌悪、容姿の変化に関する事柄を彼に求めるのは難しい。
「身体は大丈夫?」
「ご覧の通り」
内臓をヤると個性使っても治すの難しいらしい。
軽く跛行しているので使えないのは片腕だけではないが、全く使えないわけではないので大して問題はない。
早々に治崎に治してもらいたいが、当たり前だが
「まだしばらくは退院許可も出そうにないし、今だって見回り掻い潜って来てるから、早く戻らないといけなくてね。まあ、個性と腹と腕一本で済んだんだから安いもんだよ」
「個性は戻してもらわないの?」
「“感情支配”は今の弔にとって精神安定剤みたいなものだからね。優先すべきはそっちであって、私は個性がなくても死にはしないよ」
その弔はといえば、まだ辛うじて“超再生”があったので腕も治りさっさと帰った。
見直し中とはいえある程度取り決めもあるし、AFOが残火状態といえど肉体改造によるパワーは健在であるので、市街地の病院施設にいつまでも置いておくわけにもいかず、警察側は歯噛みしていたらしい。
葬も一緒に連れて帰ってほしかったが、全方面から許可が出なかった。
「……そっか」
「私の場合は個性起点が眼なんてわかりやすい急所だから、ダメになることは想定してるんだ。個性が無くたってナイフで簡単に殺せるしタオルでも拘束できる。水飲ませれば大抵は口を割る。言葉ひとつで人は這いつくばるし金で引っぱたきゃ媚び諂うさ」
「最悪の例えをすんじゃねえ…!しかもンだその足洗う気のねえラインナップは!?父ちゃん泣かすなや!」
「何を今さら」
今にも噛みつきそうな爆豪を止めようとしていると、またコンコンとドアノックがされた。
「あ、はい」
カラカラと開いたドアの前には2人の男女。病室を抜け出した葬を追ってきたレディ・ナガンとマスクで顔を隠しているステインであった。
ツカツカと歩み寄ると、ひょいと葬を担ぎ上げる。
「邪魔したな」
「いえ…」
あからさまに不服とぶすくれた葬を抱え、そのまま出て行ってしまった。
その挙動があまりに迅速かつ滑らかで、部屋の主は見送るしかなかった。
「二度と来んな」
中指を立てる爆豪を嗜める。
残されたのは、若干の奇妙な間。
緑谷は天井を見つめる。
数日前に退院する弔がやって来た。先に退院するからと顔を出したそうだ。
「今回はこれで引いといてやるよ」
「何度だって止めて見せるよ」
やった事を許せはしない。だから戦った。止めたかったし、止まってほしかった。
これ以上、悲しみが紡がれないように。
『敵のヒーローになりたかった』と言った彼も、彼らのために全部を壊そうとした。
実際、もう壊したのだろう。
立ち去り間際、弔はポケットに手を入れたまま振り返る。
「せいぜい頑張れ」
その顔に、泣いている少年はいなかった。
だから、OFAを手放す選択をした事には、後悔などしていない。
「かっちゃん」
小さい頃は戦いが終われば世界は自動的に平和になると思っていた。
けれど、そうではないのだ。
彼らが壊したあとに、明るい未来を示せるまで。
もう、壊す必要がない世界を。
「僕は僕の出来ることを探すよ」
止めて見せると約束した。なら、頑張らないと。
無個性に戻ってもできることはきっとある。
「だから、大丈夫。心配かけてごめんね」
「そうかよ…」
爆豪は知っている。
こいつらの「大丈夫」は全くもって当てにならないというか、信用ならない。
何せ実績がある。
何より、己自身が1ミリたりとも納得できない。
爆豪の手がぎゅっと拳を握るのは、包帯に覆われた緑谷の視界には入らなかった。
緑谷出久と爆豪勝己。
2人は幼馴染である。
かれこれ人生の3分の2ほどの年月を共にした。
お互いにお互いの諦めの悪さは知っている。
はずだった。
今回ばかりは見誤ったのは緑谷だろう。
これから約8年の後。
「来い、
差し伸べられる手。
教師という多忙を極める職につきながらも、師や仲間から託されたアーマーをその身に纏い。
万雷の祝福をその背に受けて。
“ワン・フォー・オールヒーロー“デクが再び空を舞うことになるとは。
この時の彼は思いもしなかったのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
未来の無個性ヒーロー
すごい夢を見せてもらったんだ。
あとは、この現実で、僕は僕のできることを
泣っちゃん
↑とか思ったまんまでいさせるかよ。
待ってろや、デク
元問題患者
おま言う案件
反省......
現問題患者
諸々ボッシュートされた
૮( ᵒ̌皿ᵒ̌ )ა不服
ミリオの披露したネタはあれです。映画特典の。
ファンブックでテンちゃんの個性出ましたが!発売前だったので!そして二次なのでセーフ!(?)
救済ポイントとしては、ナイトアイ生存なので、ルミリオンがNo.1になるところを見られます。
かっちゃんは瀕死になっていないので心臓も腕の故障も回避。エッジショットにはそのうち別件で懐くでしょう。
弔(転弧)も生存。弔含め彼らの今後についてはこの後の話で書くつもりです。
あともう少し、お付き合い願います。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
感想・評価・お気に入り登録・ここすき等いただけると幸いです。喜びます。
感想・評価・お気に入り登録・ここすき等いただけると幸いです。喜びます。大事な事なので2(略