灯里「というわけで、私は幻想郷っていうところに来ちゃいました」
霊夢「はぁ、あんた結構大物ね。あんまり困ってなさそう」
灯里「はい。霊夢さんも魔理沙さんもアリスさんも、素敵な人達ですから」
魔理沙「恥ずかしいセリフ、勘弁だぜ?」
灯里「えー!」
Navigation 2.「その、素敵な人たちと…」
「あやややや!
これはご夫婦、どちらへ…とお客様もいらっしゃいますか」
「誰が夫婦よ!」
「ほへっ?」
「っかー、物事をややこしくするやつが来たな…」
「これは心外な。
私は清く正しい新聞記者ですよ?」
「え、えと…」
「あぁ、こいつは射命丸文。
天狗のゴシップ記者だ」
「ゴシップ記者とはこれまた心外。
私は正しい記事を書いているだけですよ?
射命丸文といいます、以後お見知りおきを」
「てん、ぐ?」
「ぷいにゅ?」
天狗といえば、鼻の高いお面を見たことがある。
あの怖そうなお面の種族が、この人?
「ああ。
まぁ天狗ったって別に悪さをするわけじゃ…ないはずなんだが、はた迷惑な奴だ」
「あやややや、またもや心外!
ところで、この方は?」
「外の世界からの迷子さ。
迷子だから返してやらないといけないし、霊夢に相談に行くところだ」
「それはスクープの予感!
私もついでっ…!!!」
「やかましいぜ」
「はひぃぃぃ!!
魔理沙さぁーん、何してるんですかぁ!!」
「ぷいぷーい!!!」
魔理沙さんが持っていたスカーフを天狗さんの顔にかぶせると、天狗さんは方向を失って墜落しました。
「大丈夫よ。
そうそう簡単に死ぬ天狗じゃないわ。
さ、博麗神社に急ぎましょ」
「はひぃ…」
「ふぅ…こんなもんかしらね…」
「おーい、霊夢ぅ~!!!」
箒でしばらく進んでいると鳥居がある建物が見えました。
先ほどから魔理沙さんやアリスさんが言っている「霊夢」さんはどうやらこの神社の方のようです。
というか先ほどから境内を掃除している巫女さんが見えました…あの方なのかなぁと思いながら。
「来たわね魔理沙…と、アリス?
それにお客様もいるようだけど」
「いわずと知れた、迷子だ。
外の世界の人らしいぜ?」
「そう。
私は博麗霊夢。
この神社…博麗神社の巫女よ」
「あ、私は水無灯里といいます。
外の世界でゴンドラを漕ぎながら、観光案内をするお仕事をしています」
「ふうん…あまり聞かない職業ね」
「ほへ? そうですか?
ネオ・ヴェネツィアではふつうのお仕事ですよ?」
「ふうん…なんか、厄介なことになりそうな気がするわね」
「厄介?」
魔理沙さんと私が首をかしげます。
「そう…まぁいいわ、とりあえず…『このメス豚スキマババアが!!』」
「はぁん!!!(ヘブン状態)」
「わぁっ!?」
「来たわね紫。
この子、外の世界の迷子」
「あ、あの…」
「私は八雲紫。
この幻想郷の管理者よ。
…ところで貴方…」
「あ、灯里…水無灯里です」
「そう、灯里さん。
…あなた、失礼だけど、外のどちらの方?」
「え…えっと、ネオ・ヴェネツィアです」
「…それはどこにあるの?」
「ほへ? 火星(アクア)ですけど…」
「アクア?」
魔理沙、アリス、霊夢が同時に声を上げる。
「…失礼だけど、生まれた年を、地球暦にすると?」
「2284年です、けど…」
「えぇ~!!」
「ほへっ?」
急に大きな声を上げた魔理沙さんととアリスさん。
大きなため息をついた霊夢さんと紫さん。
そして何が何だかわからない私とアリア社長。
「紫、今って…」
「外の世界では、201X年ね」
「だったわよね」
「え、えぇ!?」
「ぷいにゅー!?」
「つまり、灯里さんは、未来人ってこと?」
「そういうことになるわね。
灯里さん、ここにはどうして?」
「それが…朝起きたら森の中に寝てて…。
昨日の夜は普通に宿舎で寝ていたはずなんですけど…」
「でも、そういうことだと…」
「ええ、単純に外の世界に送っても、それでは帰ったことにならないわね。
…仕方ない、灯里さん。
一日待ってもらっていいかしら?」
「一日、ですか…」
「その一日でどうするの?」
霊夢さんが口を挟みます。
「未来人を探すわ。
元の時間に戻れるように、ね。
あと、灯里さん。
あなたには『誰とでも仲良くなれる程度の能力』があるわ」
「誰とでも仲良くなれる程度の能力?」
「そう。
幻想郷で通用する特殊能力をそういうわ。
あなたの能力はそう出ているの」
「ほへぇ…」
「では今日一日、この幻想郷で過ごしてちょうだい。
霊夢、魔理沙、アリス、よろしくね」
そういって紫さんは消えていきました。
「誰とでも仲良くなれる程度の能力ねぇ…。
ま、とりあえず人里でも行ってみるか。
それ以外は危険な場所も多いしな」
「よろしく、私は紫が未来人を連れて帰ってきたときまでここで待ってるわ」
「それがいいか。
じゃぁ灯里、アリス…あと、アリア社長?行こうか」
「ええ」
「はひ!」
「ぷいぷい」
「ここが人里ですか…」
「そうさ。
ここの人間には、幻想郷の妖怪は不可侵とされてるからな。
妖怪の中にはアリスみたいに、人里のアイドルになってるやつもいるくらいさ」
「えっ!?
アリスさん、人間じゃないんですか!?」
「あら、気づかなかったの?
私は種族魔法使いの、れっきとした妖怪よ。
もちろん、人食い妖怪じゃないから安心してね」
「ほへぇ…ということは魔理沙さんも?」
「いんにゃ。
あたしゃ、人間だ。
アタシはアリスと違って、人間で職業魔法使いだな」
「ほへぇ…なんだかよくわからないです」
困ったような笑顔を浮かべる私。
「まぁ…一日の間の旅行みたいなもんだからな。
その辺は覚えられればでいいんじゃないか?
よし、ついたぜ」
「ここは…」
たどり着いたのは貸本屋さんみたいで、『鈴奈庵』という看板が出ていました。
「いらっしゃいま…あ、魔理沙さん。
本を借りるなら今借りてる分を返してからにしてくださいね。
アリスさんはようこそ…っと」
「なんだ小鈴、ご挨拶だな。
まぁいい、この子は、外の世界からの迷子だ。
少し事情があってしばらく滞在するから、暇つぶしにここに案内しといたぜ」
「あ、私、水無灯里といいます。
よろしくお願いします」
「ぷいぷーい」
「あぁ、私はここ鈴奈庵の娘、本居小鈴です。
外来本とかもたくさんあるので、楽しんでくださいね」
「まぁでも、ここには妖魔本も多いから、取りつかれないように気をつけてな」
「はひっ!? ij ̄□ ̄ij」
「大丈夫ですよ。
妖魔本をお客様がいるところにおいておくはずないじゃないですか。
魔理沙さんとかアリスさんくらいですよ、ここで妖魔本を出してくれなんて言ってくる人」
「まぁ、そりゃな」
「あ、灯里さん、これなんかどうですか、今日入荷の外来本ですよ?」
「えっと…あ、これは映画雑誌でしょうか。
ヴェネツィア国際映画祭特集ってなってますね。
うわぁ、素敵…。
でも私お金持ってないし…」
「ま、迷子なんだし立ち読みくらいは目こぼししてもらえるんじゃないか?」
「魔理沙さんってば…まぁ、そうですね少しくらいは仕方ないでしょう。
でも魔理沙さんはだめですよ。
その前に借りてる本を返してください」
「…まぁ、そのうちな」
「そのうちじゃなくて!!」
「まぁまぁ小鈴、私が殴ってでも返させるから」
「アリスさんがそういうなら…」
「あ、お店の中見てもいいですか?」
「もちろん、気に入った本があったら言ってくださいね」
そういって、私は店内をめぐることにしました。
「わぁ、本がいっぱい…なんだか、本たちも仲間がいっぱいで楽しそうですね」
「…気に入ってもらえて何よりですが…」
「灯里?」
「はひ?」
「恥ずかしいセリフは勘弁だぜ?」
「えー」
魔理沙さんの突っ込みが決まったところで。
「あと危なくなさそうなところっていうと…」
「命蓮寺かしら?」
「あー、でもあそこの住職苦手なんだよなぁ…」
「住職…お寺ですか?」
「そうよ。
人間でも妖怪でも、なんでもウェルカムのお寺」
「だが、住職の尼僧が少しマイペースで堅物でな。
まぁ、灯里が行きたいっていうなら行こうか」
「決まりね。
あとほかにどこかある?」
「ちょっと遠いけど、守矢神社なんてのはどうだ?
外の世界から来た巫女もいるし」
「ほへ?
巫女って霊夢さんだけじゃないんですか?」
「あぁ、あそこに山が見えるだろ?
あそこの山頂にも神社があって、そこは神様が3人いる。
そのうちの一柱が現人神なんだが、さらに位が高い神様が二柱いるんで、巫女もやってんのさ」
「ほへぇ…神様が三人もいるんですか」
「そう。
二柱はフランクだし、巫女は面白い奴だし、行って損はないぜ?」
「そうね。
行きましょうか、まずは守矢神社かしらね」
アリスさんの声に、私は魔理沙さんの箒に再び乗ることにしました。
~to be continued~