東方水妖精   作:粟飯原勘一

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 灯里「雨の日って、いつも見ている光景が全く違って見えて、素敵だよね」
 アリス(マ)「雨の日は家にいるわ。濡れたくないし」
 灯里「えー。雨の日にしか見えない素敵なこともありますよきっと」
 魔理沙「まぁ雨の日にしか取れないキノコもあるにはあるけどな」
 灯里「そうじゃなくって…」
 



Navigation 4.「その、驚かし屋さんってば…」

 

 守矢神社を後にした私、魔理沙さん、アリスさんは、今度はお寺の前に来ました。

「ここが命蓮寺。

 人間も妖怪もウェルカムな、幻想郷ならではのお寺よ」

「ほへぇ…神社とはなんとなく違いますね」

「おはようございまーす!!!!」

「はひっ!!!!」

「ぷいにゅ!!!」

「あーったくびっくりさせやがって…響子、普通に話せば聞こえるってよ」

「そうでしたか…って魔理沙さんにアリスさんじゃないですか。

 どうしたんですか?」

「あー、たまには顔出そうと思ってな。

 聖はいるか?」

「いますよー。

 どうぞどうぞ~…っと、お客様?」

「あ、はひっ、私、水無灯里といって…」

「外の世界の迷子だ。

 あ、こいつは幽谷響子。

 やまびこの妖怪だ」

「やまびこ?」

「えっと、山奥に行って、『やっほー』…」

「Yahoo!!!」

「ひっ!」

「ぷいにゅー!!!」

 その言葉に反応して、響子さんが大声をあげたので私はびっくり。

「って声を出すと、こんな風に向こうから声が返ってくるのを「やまびこ」と言うの。

 外の世界ではそれが科学的に解明されたらしくて、忘れ去られたやまびこの妖怪がこの幻想郷にいるってわけ」

「そうなのです。

 では中に行きましょうか」

「はひぃ…」

「ぷいにゅー…」

 と、みんなでお寺の中に入ろうとした、その時…。

「うらめしやぁ!!!」

「ひっ!!!!」

「ぷいっ!!」

「あー小傘、お前もいたのか。

 相変わらず何やってんのさ…って、何うっとりしてんだ…あ、おい灯里! それにアリア社長!」

「灯里ちゃん!」

 突然前から現れた傘を持った女の子の声に私とアリア社長はまたびっくり。

「はぁ…はぁ…」

 私はすでに青息吐息。

「大丈夫か灯里…まったく、小傘に脅かされる人間がまだいるとは…」

 魔理沙さんが少し困ったような…いや呆れたような顔で私を見ていました。

「ごめんねぇ。

 私、多々良小傘。

 唐笠お化け!」

「あ、私は水無灯里…えっと、外の世界からの迷子です。

 こちらはアリア社長です」

「ぷいにゅ」

「あー道理で見たことないと思った。

 でも、久しぶりのごちそう、ありがとう!!」

「ごちそう?」

「こいつは、人が驚いた心を食べる、それが何よりのごちそうなんだが…。

 いかんせん驚かすのが下手で、なかなかそのごちそうにありつけないそうだ」

「えへへー。

 でも今日は灯里さんと、社長さんのおかげで満腹だよ!」

 ケプィとかわいらしいげっぷ。

 小傘ちゃんは、唐笠お化けというのを別にするとかわいらしい女の子です。

「さぁさぁ、中に入りましょう。

 小傘も入る?」

「入るー」

 

「おっしょさまー。

 お客様ですよ」

「邪魔するぜ」

「お邪魔します」

「お邪魔しまーす」

「ぷいぷーい」

「はいはい、あらあら、今日は賑やかね」

 奥から出てきたのは、優しそうな、髪にグラデーションのかかったお姉さんでした。

「今日は魔理ちゃんにアリスちゃんもいらっしゃったのね」

「魔理ちゃん言うな」

「それと…」

「あ、私、水無灯里といいます。

 外の世界からこの世界に迷い込んでしまったみたいで。

 こちらはアリア社長です」

「ぷいにゅっ」

「まぁまぁ、これはご丁寧に。

 ではおもてなししないとね。

 一輪、お茶をお願いしますね」

「はい、少々お待ちを…」

「私は聖白蓮。

 この命蓮寺の住職をしています」

「ご住職なんですね。

 でもなんだか、意外でした」

「意外とおっしゃるのは?」

 不思議そうに白蓮さんが首をかしげます。

「尼さんというと、髪の毛がないものと思ってまして…。

 でも、白蓮さんの髪、とってもおきれいで。

 なんだか、素敵なお城の階段を優雅に下りてくる、お姫様みたいで」

「おい灯里。

 …恥ずかしいセリフ、勘弁だぜ?」

「えー」

「うふふ、お上手ね。

 私、お姫様だなんて言われたの初めて」

 なんだかんだ、白蓮さんもうれしそうです。

「それで魔理ちゃん、今日はどうしたの?

 素敵なお友達を連れてきて…」

「だから魔理ちゃん言うな。

 いや、なんだか紫が言うには、少し手間のかかる場所からの迷子らしくてな。

 外の世界で情報を集めてる間、アタシとアリスで幻想郷で、危険が少ないところを見て回ってるのさ。

 人里、守矢神社、あとはここくらいだろ、幻想郷で人間の危険がない場所といえば」

「あらあらまぁまぁ。

 確かにここには、いい子たちしかいないわね」

「そうかの?

 多少危険なのもおるぞい?」

「ん? あぁ、狸の媼か」

「媼とか言うでない」

 ふと見ると、眼鏡をかけた女性が障子を開けて入ってきました。

「話は聞かせてもらったぞい。

 わしはこの命蓮寺に済ませてもらって居る化け狸じゃ。

 二つ岩マミゾウと申す、よろしゅうに、水無灯里殿、アリア殿」

「あ、はい、よろしくお願いします」

「危険なのって、お前の娘か?」

「娘か…まぁ年上だが、手のかかる娘みたいなものかの。

 あれが危険といえば危険じゃが…まぁ今はもうおとなしいでの」

「あいつ、正邪に心を逆転させられたんじゃねーの?

 昔に比べてずいぶん落ち着いたぜ?」

「そうね。今はいい子ですよ?

 どうやらこの場にはいない女の子の噂話みたい。

 ひとしきりその話で盛り上がったマミゾウさんと魔理沙さん、白蓮さん。

「さて、わしは鈴奈庵でも行ってこようかの。

 あぁそうそう灯里殿」

「はひっ!?」

「そなたには、『人と仲良くなる程度の能力』があるそうじゃが、気を付けなされ。

 人間以外ともこうして仲良くなるということは…外の世界でも、人間以外をも惹きつけてしまうかもしれんからの」

「…はひっ!?」

「ぷいにゅぅい…」

 マミゾウさんからの"忠告"じみたお話を聞くと、ふとサン・ミケーレ島での噂の女性を思い出しました。

 あの時はケット・シーのおかげで帰ってこれましたが…。

 もしかすると噂の君も、ケット・シーも私のその能力に…。

「おいおい、脅かすんじゃねーよマミゾウ。

 でも灯里ちゃんなら…そんな場合でも、仲良くなった"人間以外"に助けられてそうだけどな」

 そういって魔理沙さんが笑いました。

「そう…ですね…」

 そういって私は胸にしているペンダントを握りました。

 そう、私は、大丈夫…。

 

 それから命蓮寺でお話ししていると、すでに日が傾き始めていました。

「さて、もう一か所ぐらい行ってみるか」

「あらあら、紫さんからの連絡があるまでここで休んでてもかまわないのよ、魔理ちゃん?」

 白蓮さんはそう言ってくれます。

「だから魔理ちゃん言うな。

 いや、もう一か所、面白い奴がいる場所に行ってみようかと思ってな」

「どこよそれ?」

 アリスさんが不思議そうに問いかけます。

「紅魔館だよ、紅魔館。

 まぁ、紅魔館というよりも、霧の湖かな。

 お人よし門番でも紹介しとこうと思ってな」

「うー。

 美鈴はともかく…紅魔館は危なくない?」

「大丈夫だ。

 灯里の『程度の能力』なら、誰とでも仲良くできるって。

 というか…アイツの偏屈さも少し治せるんじゃないかと思ってな」

「…アイツ?」

 私が首をかしげます。

「いるんだよ、人と関わろうとしない、知識と日陰の少女が」

「二つ名をそういう使い方しないの」

「というわけで、邪魔したな白蓮」

「お邪魔しました…また、お会いできればいいですが…」

「そうね…あ、魔理ちゃん」

「だからそう呼ぶなって…で、なんだ?」

「小傘、おいで」

「え、あ、はい」

「この子、一緒に連れて行ってあげて。

 灯里ちゃんのことお気に入りみたいだから」

「ん? まぁ、かまわんが」

「ほへ?」

「あ、だめですか?」

 上目遣いに小傘ちゃんがこちらを見ています。

「いや、ダメってことはないが…いいか、灯里」

「私は、いいですよ、断る理由はありません」

 その答えに、小傘ちゃんはぱぁっと明るい顔をしました。

「よし、小傘、ついてこい」

 そういって魔理沙さんも笑いました。

「よし、アリス、灯里、小傘、行くぜ」

「お気をつけて~」

 白蓮さんの声を背中に感じながら、私を乗せた魔理沙さんの箒は飛び立ちました。

 

  ~to be continued~

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