会場に着くと、真面目にデュエルしている人が3割、賞金やレアカード目当ての人が2割、諦めている人が5割見受けられる。
………いやいやいや!諦めてる人多すぎだから!
アニメとかではあまり分からなかったけど、海馬君ってそんなに影響力あるのかな…。
まぁ、現実と二次元は違うってどっかの人が言ってたような気もするし、そこら辺は………ねぇ?
「《番号211、608の方はBテーブルにお越し下さい》」
「608………私か」
いきなり呼ばれたけど、大会に付き物の開会宣言とか無いのかな?
それとも私がエントリーする前にやったとか?
まぁ、待たされない分は楽で良いけど。
「あ!キミはさっきの…」
「アナタが相手?」
「そうみたいだね」
私の対戦相手は、どうやらさっきの青年らしい。
どんなデッキなのか楽しみだな。
「ルールの確認は大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「同じく」
不正を監視するための審判に了承を得、デッキをスタンバイする。
先行は相手からだ。
『デュエル!』
LP2000
LP2000
「俺は【黒き森のウィッチ】を召喚し、カードを1枚伏せる。ターンエンドだ」
【黒き森のウィッチ】攻1100/守1200
うーん、厄介なモンスターが出てきたなぁ。
「私のターン、ドロー」
私のデッキは、攻撃力高めのモンスター+効果モンスターが入っている。
更に、今回はそれに加えて【青眼の白龍】が加わっている。
どうなるかは微妙だけど………私は楽しめればそれで良い。
「【キャノンソルジャー】で攻撃!」
【キャノンソルジャー】攻1400/守1300
LP2000→1700
ウィッチとの攻撃力の差分が相手のライフから引かれる。
だが、相手はニヤリと笑うだけだった。
「ウィッチの効果で、デッキから守備力1500以下のモンスターを手札に加える!」
相手が手札に加えたは【ハネハネ】だ。
……本当、面倒臭いカードばっかり使ってくるな。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
「俺は【火炎地獄】を発動。相手に1000、自分に500ポイントのダメージを与える」
「ッ…!」
ユズ LP2000→1000
相手 LP1700→1200
まずい、この時代じゃこのカードはレアカードだったハズ。
つまり目の前にいるこの青年は大会優勝者かそれに相当する人。
……初っ端から強い相手、か。
「(楽しめそうね)」
「モンスターを裏守備表示で召喚し、ターンエンドだ」
攻撃してこない、ということは相手の手札に私のモンスターの攻撃力を超えるモンスターがいないことになる。
とはいえ、カードを1枚も伏せていないとなると明らかに攻撃を誘っている。
…ま、考えてもしかたないか。出たとこ勝負だ。
「【キャノンソルジャー】で攻撃!」
「残念だったね。俺のモンスターは【異次元の戦士】!」
「なっ!?」
【異次元の戦士】攻1200/守1000
【異次元の戦士】の効果は、このカードがモンスターと戦闘を行った時、そのモンスターとこのカードをゲームから除外する。
攻撃を行った【キャノンソルジャー】は【異次元の戦士】と共に除外された。
「モンスターを裏守備表示で召喚。ターンエンド」
まだ通常召喚を行っていない私はモンスターをセットし、ターンを終了した。
「俺のターン!……俺は【アックス・レイダー】を召喚し、攻撃!」
【アックス・レイダー】攻1700/守1150
このカードは確か、遊戯君の親友の城之内君が使っているカード…。
一応私のデッキにも入っている。攻撃力もノーマルカードの中では強いし。
「(…ごめんね)」
【王室前のガーディアン】攻1650/1600
【アックス・レイダー】の攻撃により、伏せていた【王室前のガーディアン】が破壊された。
「俺はこれでターンエンド。キミの番だ」
今の私の手札に【アックス・レイダー】の攻撃力を超えるモンスターはいない。
次のドローが勝負だ。
「私のターン、ドロー!」
―――ドクン…ッ
「!」
引いたカードから、鼓動が聞こえた。
何のカードかは見なくても分かる。
私は静かに周りを見渡した。
「(彼は、海馬君は………いるわね)」
このデュエルを見ている集団よりも、少し離れた場所にいる彼。
遠巻きにだが、このデュエルを見ている様子が窺えた。
良かった。いなかったらこの子に示しがつかなかったもの。
「私は…」
ちゃんと見ていて。
このカードが、アナタを求めているのだから。
「【青眼の白龍】を召喚!」
「な、んだと…ッ!?」
この世界では幻とまで言われる、超レアカードだ。
周りが五月蠅いくらいにざわついた。
背後にも鋭い視線を感じる。
「【アックス・レイダー】に攻撃!」
「ぐぁああぁ…ッ!!」
LP1200→0
流石は最強の座を持つモンスターだけなことはある。
古代エジプトでは、その攻撃力ゆえに「神」と称されたこともあったらしい。
「……負けたよ。おめでとう」
「ありがとう。えーと……」
「名乗ってなかったっけ?俺は楠木智哉。智哉って呼んでくれ」
「私はユズ。楽しいデュエルだったわ、智哉」
「こちらこそ」
お互いに握手を交わし、応援のエールを貰った。
さて、後の問題は海馬君ね。
穏便に済ませられたら良いんだけど…。