時は経ち、あれから5年の月日が離れた。
大きい大会には出ていないハズなのに、私の名はそこそこ知れ渡っている。
………まぁ、全国旅行してるから当たり前なのだけど。
これでも61ヶ国の首都や州を渡り歩いたのだ。
我ながら良い行動力だったなぁ。
っと、いけない。話がそれた。
「ついにこの日がやってきた…」
そう。そうなのだ。ついに今日が原作!
最初の方(学園編とかDEATH-T編)は正確な日付が分からなくて飛ばしちゃったけど、何とか王国編には間に合いそうだ。
……え?何で分かるのか、って?
それは勿論、目の前で海馬君が双六さんから【青眼の白龍】を買収しようとしているからです。(キリッ
ま、双六さんは相手にしていないようだけど。
「んー、タイミング悪かったかなぁ」
『!!』
その場にいた全員が入口、つまり私の方に振り向いた。
……なんだろう。お前等全員合わせてるのか、ってぐらい一斉に振り向かれたよ。
気持ち悪っ。
「お久しb「お姉ちゃん!!!」……ぐはッ!?」
ゆ、遊戯君…。
抱き付かれるのは良いですが、タックルは止めて下さい。
油断していた所為でダメージがモロに来た。
けど可愛いから許す!
「あっ…ご、ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。怪我も無いし」
しょんぼりと落ち込んだ遊戯君は、それはもう可愛かった。
何故か遊戯君と出会ってから自分が変態気味になっているのが否めない…。
けど可愛いから許す!
「貴女は…」
「久し振りだね、海馬君。何年振りだっけ?」
「ユズ、さん…?」
・・・・・・・・・・・・・。
「ぶふっ!ふ、くくっ………あははははは!!!」
「!?」
もう駄目…っ!耐えられない!
さん!?海馬君が私に“さん”付け!?
数年前なら外見的に可笑しく無かったけど……。
原作の海馬に言われて、笑いを堪えろって?無理無理!絶対無理!!
「あーもう、お腹痛い…」
片手でお腹を押さえながら、目尻に浮かんだ涙を指先で取る。
やばい、ツボに嵌ったかも。
「………」
「嫌だなぁ、そんなに睨まないでよ」
「一応、感謝と尊敬の念をこめていたのだが?」
「顔に似合わないことは止めた方が良いよ?あと、普通に呼び捨てで。敬語も無し」
「…相変わらずストレートな奴だな」
いや、どっちかというとストレートなのは海馬君限定?
弄ると面白いんだよねー。
面と向かって言われたこと無いのかな?
「まぁ良い。今日はこれで失礼させてもらう」
海馬君はそう言うとジュラルミンのケースを持ち、店から出て行ってしまった。
あーあ、もう少し話したかったんだけどな……。
だって次に話すのは王国編か、それ以降だろうし。
「(……それはそれで良いか)」
今の海馬君と話をしたところで、きっと何も伝わらないだろう。
闇遊戯君、頑張ってマイクラしちゃってね!応援してるから!
「えっと…」
「ん?……あぁ、自己紹介がまだだったね。私はユズ。よろしくね?」
にっこりと笑い、困惑気味だった杏子ちゃんに右手を差し出す。
「私、真崎杏子です。その……遊戯のお姉さん、なんですか?」
「うわぁあぁぁ!あ、杏子…ッ!!」
今更自分の行動に恥ずかしさを覚えたのか、慌てた様子で「違っ!」とか「あれは…!」とか言い出す始末。
見てる分には可愛いんだけど……そろそろ助けてあげようかな。
「私と遊戯君は姉弟じゃないよ」
「そうなんですか?」
「遊戯君が小さい頃からの付き合いだからねぇ。そう呼ばれちゃってるだけ」
「じゃあ遊戯の姉貴代わり、ってヤツか」
城之内君の言葉に、私は薄っすらと笑みを浮かべた。
8年もいなくなって、それでもまだ「お姉ちゃん」と慕ってくれている遊戯君に感謝しないとね。
「うぅ…っ」
若干生温かくなった雰囲気に居た堪れなくなった遊戯君が、カウンターのテーブルに伏せたのだった。