遊戯王~平凡な精霊王~   作:雲珠

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第二話 突撃訪問です

 

「ここは………ってか高い」

 

気が付くと、何故か私は地上から数メートルもある巨木の枝に座っていた。

もし私が高所恐怖症だったらどうするんだろう…。

まぁ違うんだけどね。

 

「よ、っと」

 

木から飛び降りると、私の身体は浮いた。

そう、文字通りに。

流石は精霊王の力だ。

 

一度も使ったことが無いはずなのに、何故か私は“知って”いる。

これが世界の補正とかいうヤツだろうか?

 

「ま、いっか。どうでも」

 

考えても仕方のないことは考えない。それが私。

重要なのは、私という精霊王が“存在する”こと。

つまり、存在さえしていれば何をしたっていいのだ。

 

「原作にでもちょっかい出すかな」

 

折角こっちの世界に来たのに、関わらないなんて勿体無い。

だが学校には通わない。

そもそも戸籍とか無いし。

 

あ、でもその前にデュエルの大会とか出てみたいかも。

 

「やること沢山あるなぁ」

 

今が原作のどの辺なのかも知りたいし、取り敢えず人間界に行こうかな。

デッキ?そこら辺の精霊に言えばカードになってくれるよ。多分。

 

 

 

はい、という訳で来ました人間界。

 

時間帯は見事に真昼。

来るところを見られないよう、場所には気を付けましたよ。

えぇ気を付けましたとも。

 

「さて、遊戯君の家はゲーム店だから……、っと」

 

言ってる傍から見つけました。

特徴的な“亀”の文字が看板になっている店。

 

「(ん?なんか、中が騒がしいような…)」

 

恐る恐るドアを開けてみると、デュエルモンスターズのデッキを持った子が沢山いた。

……もしかして、今日この店でデュエルモンスターズの大会でもやってるのかな。

だったら仕方ないよね。後日訪ねよう。

 

「おねぇちゃん、だれ?」

「!」

 

び、ビックリした…。

いきなり後ろから話しかけられたら誰でもそうなるよね、うん。

ゆっくりと振り返ると、そこには小さい遊戯君………………………小さい遊戯君?

 

「(えっ、小学生?まさかの小学生!?)」

 

内心で慌てている私と違い、遊戯君はきょとりと首を傾げる。

畜生、可愛い←

 

「おねぇちゃんもさんかするの?」

「参加…?」

「じいちゃーん!」

「あ、まっ…待って!」

 

私の静止の声も聞かず、遊戯君は店の中に入って行った。

なんか、この後の展開が予想付く。

まぁ可愛いから許すけど。

 

小さく溜め息を吐き、店に入った。

 

「じいちゃん!」

「おぉ、帰ったのか遊戯」

「うん!ただいま!あのね、じいちゃん」

「なんじゃ?」

「あのおねぇちゃんも、さんかするって!」

 

店に入ると、すでに私が参加する方向に話が進んでいた。

遊戯君、行動早いね。

 

「えっと、突然すみません」

「別にいいんじゃよ。エントリーは始めたばかりじゃからな」

「そうですか」

 

ふぅ、良かった。

割り込み参加とかしたら印象が悪くなるしね。

流石の私も痛い視線の中でデュエルはやりたくありません。

 

それにしても、精霊たちをカードにしておいて本当に良かった。

これでデッキがありませんとかだったら話にならなかったよ。

 

「ねぇ、おねぇちゃんはどんなデッキつかうの?」

「私?私はね……」

 

今回、私の使うデッキは闇属性が中心のデッキだ。

バトルシティ編に入ったら上級モンスターを出すのにはコストがかかるので、今の内に上級モンスターを入れておく。

今のところ、上級モンスターは【デーモンの召喚】とか【ブラックマジシャン】かなぁ。

 

そして流石というか、遊戯君はやはり【ブラックマジシャン】に反応した。

うんうん。好きだもんね。

 

そんなことを話している内にエントリーの締め切り時間となり、大会が始まった。

 

「よろしくね」

「こちらこそ」

『デュエル!』

 

私の第一戦の相手は中学生くらいの男の子。

どんなカード使ってくるのか楽しみだ。

先行は私から。

 

ちなみに、ルールは王国編と変わらないよ。

 

「私はモンスターを裏守備表示で召喚。カード1枚伏せ、ターン終了」

「僕は【音女】を召喚。攻撃します」

 

【音女】攻1200/守900

 

《王、ごめんなさい》

「!……私のカードは【幻影の壁】よ」

 

【幻影の壁】攻1000/守1850

 

【音女】の攻撃力は【幻影の壁】の守備力より下。

相手のライフはその差の650ポイントが引かれる。

 

LP2000→1350

 

「う…」

「【幻影の壁】の効果発動。このカードを攻撃したモンスターは相手の手札に戻る」

「え!?」

 

効果により【音女】は相手の手札に戻った。

 

……それにしても、今の声って絶対に【音女】だよね。

いきなり話かけられたからビックリしたよ。

精霊界に戻ったら緊急時以外はデュエル中に声をかけないように言っておかないと。

 

「…ターンエンドです」

「【人食い宝石箱】を召喚。ターンを終了」

 

【人食い宝石箱】攻1600/守1000

 

「僕はモンスターを裏守備表示で召喚し、カードを1枚伏せます」

「私の番ね」

 

伏せられたカードが気になるけど……。

構っていたら何時まで経っても攻撃なんて出来ない。

 

「私は【デーモンの召喚】を攻撃表示!」

 

【デーモンの召喚】攻2500/守1200

 

「【デーモンの召喚】!?」

「裏守備モンスターに攻撃!」

 

レアカードに入る【デーモンの召喚】の驚いている男の子。

裏守備モンスターは【ハープの精】だった。

勿論、守備力2000に対し、こちらの攻撃力は2500だ。

向こうのカードが破壊された。

 

「く…!僕はカードを裏守備表示で召喚」

「私のターン。私は【守備封じ】を発動」

 

守備で逃げようったって、そうは問屋が卸さない。

【守備封じ】の効果により、裏守備モンスターが攻撃表示に変わる。

 

【月の使者】攻1100/守1000

 

「【デーモンの召喚】で攻撃!」

「うわぁ!」

 

LP1350→0

 

よし、これで一勝!

 

「おねぇちゃんつよいんだね!」

「そんなこと無いよ。手札が良かっただけ」

 

可愛い遊戯君に微笑み返し、その後も順調に勝ち進んでいった。

結果、優勝しました。

 

良かったぁ、こっちの世界でも私の戦術が通じて。

でも色々と公式と違うカードとかあったから、そこら辺は注意しないとね。

今まで普通に使っていたカードがレアカードの可能性もあるし。

 

「おめでとう」

「ありがとうございます」

 

双六さんからの言葉を貰い、大会は終わった。

他の参加者も帰ったし、私も一度精霊界に帰ろうかな。

 

「おねぇちゃん、かえっちゃうの?」

 

じわりと目尻に涙を溜め、私を見上げてくる遊戯君。

くっ、そんな技どこで覚えたんだ!

私を悩殺する気か!

 

「かえっちゃやだぁ!」

「ゆ、遊戯君…?」

 

やばいです。

犯罪的にやばいです。

ちょっと理性がアレになるくらいやばいです。

ていうか、限界値超えます。余裕で超えてます。

 

わ、私にどうしろと!?

 

「珍しいの。遊戯がここまで懐くとは」

「そうなんですか?」

「普段は人見知りが激しい子じゃからな」

 

ぐりぐりと頭を押し付けて抱きついてくる遊戯君を撫でながら、少しばかり思考にする。

もしかして、私が精霊王だから人見知りしないのかも。

ほら、私って人じゃないし。(心は人だけど)

 

「もし良かったら、今日は泊って行かんか?」

「え、でも「おねぇちゃん…」………分かりました。お邪魔させて貰います」

 

はい負けました。

完敗です。

 

こうして、暫くの間武藤家にお邪魔することになりました。

 

 

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