遊戯王~平凡な精霊王~   作:雲珠

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第三話 精霊との会合

 

「遊戯君、朝だよ」

「んー……」

 

夜遅くまで遊んでいた遊戯君と私。

そのせいで眠たそうに目を擦りながら………って、寝ちゃ駄目だって遊戯君。

寝惚けている遊戯君を何とか起こし、リビングにまで連れていく。

 

精霊の私は絶対とまではいかないけど、睡眠を必要としない。

まぁ、人間の時の記憶があるから嗜好程度にはするけど。

 

「おはようございます、双六さん」

「おはよー、じいちゃん…」

「おはよう。遊戯は寝惚けておるのか?」

「あはは、そうみたいです。夜中まで起きてましたから」

 

こんなことなら無理にでも寝かしつけるんだったなぁ。

私も原作キャラにあってテンション上がってたみたいだし。

今度から自重しよう。

 

「遊戯、早く食べんと学校に遅れるぞ?」

「え!?」

 

時計を見ると、針は既に8:00を指していた。

通っている学校がどこなのかは知らないけど、確かにマズイかもしれない。

遊戯君は急いでご飯を食べた後、すぐに部屋に戻って行った。

何やら上からドッタンバッタン聞こえるけど……着替えだよね?着替えてるだけだよね?

 

「じいちゃん、おねぇちゃん!いってきまーす!」

「気を付けるんじゃぞー」

「いってらっしゃい、遊戯君」

 

パタパタと走っていく遊戯君を見送った私は、食べ終わった食器を洗うのを手伝う。

だって泊めて貰ったのに何にもしないのはちょっと、ね。

あくまで心は日本人だもの。

 

「お譲ちゃんは学校平気かの?」

「あ、はい。今日は開校記念なのでお休みです」

 

さらりと嘘を混ぜつつ、返事をする。

本当のことは言えないしね。

 

「昨日はどうもありがとうございました」

「いいんじゃよ。ワシこそ礼を言わんとな」

 

その後は「親に事情を~」とか何とか言って、一時精霊界に帰宅した。

 

「さて…」

 

最初にいた“精霊王の樹”に座り、テレパシーで精霊を集める。

暫く待てば、属性や種族ごとにゾロゾロと色んな精霊が集まり始めた。

あ、そこ!仲悪いからって喧嘩するな!

 

流石に種族間じゃ戦争している所も多いが、私の前に来るとピタリと止めた。

うぅん、忠誠心が高いな。

 

《王》

《精霊王》

《我らの王》

《何故お呼びに?》

《何かあったのですか!》

《王よ》

《我々は王に仕えし者》

《邪魔なモノは排除する》

《我らが王》

《王》

 

…………ちょっと訂正。忠誠心高すぎ。

王、王、王と連呼されれば流石の私でも引くわ。

まぁ、敵には回らないようだから良いけどね。

 

「皆、ちょっと聞いて」

 

そんなに大きい声じゃないハズなのに、鶴の一声の如くシンとなる。

うん、なんか感動。

 

「私はこれから何度も人間界に行くけど、緊急時以外は話掛けちゃダメよ?」

《人間界に?》

《何故王自ら?》

《王、我々は不要ですか》

 

いや、何で「話掛けちゃダメ」で「不要」まで発展するんだ。

ついでに「死ぬ」とか言ってる精霊もいるし。

命を粗末にするな!

 

「……分かった。誰もいなかったら良いよ。だけどデュエル中は駄目」

 

デュエル中に話かけられたら、相手の手札とかデッキとか諸分かりだ。

ペガサスのマインド・スキャンなんて比じゃないよ。

下手したらそれより酷い。

 

「じゃ、話は終わり!」

 

そう打ち切って人間界に飛ぼうすれば、精霊たちに止められた。

どうやら、前の王はあまり精霊たちと対話しなかったらしく、姿を見たのは三千年ほど前。

あいつ、ファラオの時代から引き籠りかよ。

それで仕事疲れたとか言ってんの?あり得ないわ~、超あり得ないわ。

 

んで、やっとまとも姿を見れたと思えば私から話かけるな宣言。

………うん、ごめん。そりゃあ死にたい気分にもなるわ。

 

精霊たちの話を聞いてる限り、かなり不憫だったので暫くコッチにいることにした。

特に話すことは無かったが、精霊曰く「いるだけで安心できる」らしい。

人間的に言うと親と子なのかな?ほら、無条件の愛って感じだし。

 

ま、夜になったら向こうに行くけどね。

 

 

 

「うん、すっかり夜だね」

 

精霊たちの反対を押し切って何とか人間界に飛んでくると、空はどっぷりと暗闇に染まっていた。

………どうしよう、今から行っても迷惑な気がする。

 

「よし。ちょっとだけ顔出そう」

 

これでも精霊だ。

見つからないように姿を消すことも出来る。

というわけで、精霊の力を使って(乱用して)遊戯君の家に再びお邪魔する。

 

「うわぁぁあぁん!」

「(な、泣いてる!?)」

「おねぇちゃーん!」

「遊戯、お譲ちゃんは家に帰ったんじゃ」

「やだぁ!!」

 

なんか、すっごい罪悪感が…。

このまま見て見ぬ振りはダメなような気がするので、実体化してチャイムを押した。

 

「どちら様じゃ、……お嬢ちゃん!」

「!…ふぇ…っおねぇちゃん!」

「わ…っ」

 

私の姿が見えた途端に抱きついてくる遊戯君。

か、身体が精霊で良かった!

人間だったら勢いで倒れるところだったよ。

 

「遊戯君…?どうしたの?」

「おねぇちゃん、きゅうにいなくなったー!」

 

私が原因ですね、すみません。

まぁ確かに、学校から帰ってみれば私がいなくなってるもんね。

遊戯君からすれば、突然消えたのと同じだろう。

 

「ごめんね、遊戯君」

 

今回は私が全面的に悪いので、宥めるように遊戯君を撫でる。

 

それにしても、こんな短期間で本当によく懐いたよねぇ。

これは本気で精霊王的な力が関与しているのかどうか調べないと。

もし無意識に使っているのだとしたら、変な悪影響が出かねないし。

 

「おねぇちゃん、もうどこにもいかない?」

「えっと、それは……」

「う…っ」

「あ!そ、そうだ!遊戯君、コレ」

 

雰囲気で私の感情に気付いた遊戯君が再び目に涙を溜める。

私はそれを誤魔化すようにデッキから1枚のカードを取りだした。

そのカードは…

 

「【ブラックマジシャン】!?」

「遊戯君の所に行きたがっていたから、ね」

「ぼくのところに…?」

「そうよ」

 

本当、尋常じゃないぐらい。

私が驚くほど凄かったからねぇ、あの頼み方は。

下手したら土下座でもされる勢いだったし。

そんな趣味は無いから二つ返事で頷いたけど。

 

「遊戯君はそのカード、大切にしてくれる?」

「もちろん!」

「約束よ?たまに確認しに来るからね?」

「うん!」

 

再び会いに来ることを約束し、私はもう一度精霊界に帰った。

……だってデッキから《帰って来て下さい!》の声が五月蠅いんだもん。

 

 

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