そもそも定評がなくても短い←
ふわりと柔らかい風が私を撫でる。
目を開けると、綺麗な青が広がっていた。
「……帰って来たんだっけ」
上半身を起こし、周りを見渡す。
そうだ、私は精霊界に帰って来たんだ。
まぁ、私は人間界に戸籍が無いから、帰るところは此処しかないんだけどね。
《王よ》
「ん?……あぁ、どうしたの?」
声を掛けられた方向には、片膝を付く【ブラックマジシャン】がいた。
いや、正確には“マハード”と呼ぶべきか。
《この度は私の願いを叶えて下さり、光栄にございます》
「気にしなくていいよ。私はアナタ達に幸せになって欲しい」
《勿体無きお言葉です、王》
願いというのは、彼が“遊戯君の所に行きたがっていた”というヤツだ。
そんなに畏まれてお礼を言われるほどじゃない。
今までの精霊王がどうだったのかは知らないけど、私は民を幸せに出来る王でありたい。
私は静かに笑みを漏らし、空を見上げて呟いた。
「そろそろ行こうかなぁ」
人間界に。
遊戯君との約束もあるし、デュエルモンスターズの大会にも出てみたい。
そんなに大きい大会には出れないけど、町内会あたりだったら大丈夫かな?
危ない橋を渡りそうになったら即逃げればいいだけだし。
一回逃げれば後はこっちのモノだ。
「じゃあ皆、留守はよろしくね」
《お任せ下さい、王》
他の精霊たちにも一、二言の言葉を交わし、人間界へと飛んだ。
「あ、おねぇちゃん!」
「こんにちは、遊戯君」
再び遊戯君の家へとやって来た私。
ぱたぱたと駆け寄ってくる遊戯君を可愛いと思いながらも、その手にある金色の箱に目がいった。
ウジャドの目が特徴的なソレは、私の記憶を深く抉った。
「(千年、パズル…!)」
「おねぇちゃん?どうかしたの?」
「あ、ううん。その箱…」
「これ?じいちゃんからもらったんだ!」
ニッコリと笑う遊戯君に、原作の面影を見た気がした。
だけど、これが完成するのは8年後。
遊戯君が高校1年生になってから。
まだまだ時間はある。
「中には何が入ってるの?」
答えは知っているが、下手に口走って疑問を持たれては駄目だ。
今の内に遊戯君から聞けば心的に楽になる。
「……だれにもいわない?」
「大丈夫。誰にも言わないわ。……教えてくれる?」
「うん!あのね、」
耳元でコソリと教えてくれた遊戯君。
その千年パズルに何を願っているのかも教えてくれた。
「(親友が欲しい、か)」
大丈夫よ、遊戯君。その願いは必ず叶う。
私は知っている未来を言う訳にもいかず、静かに遊戯君の頭を撫でた。
「頑張ってね」
「うん!」
原作まで、あと8年。
取り敢えず千文字クリア