遊戯王~平凡な精霊王~   作:雲珠

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第五話 別れと約束

 

「………」

 

私は精霊王の樹に背中を預け、思考の波に漂っていた。

考えるのは、遊戯君のことだ。

彼は原作に向け、ちゃくちゃくと進んでいる。

それは非常に喜ばしいことだ。

 

だが、その側に私が居ていいのだろうか?

 

正直言って、遊戯君が私に懐いてくれたのは嬉しい。

けれど、それではいけない気がした。

このままでは遊戯君は私を頼るようになってしまう。

それでは駄目だ。彼は、私以外の………いや、“人”との関わりを持つべきなのだ。

 

「そろそろ離れ時期かなぁ」

 

私も世界中を見て回りたいし、丁度いい頃合いなのかもしれない。

だからと言って、繋がりを断つ訳ではない。

たまには会いに来るし、手紙も出す。

精霊界を介せば飛行機とか面倒なモノに乗らなくて済むし。

 

「後は遊戯君に伝えるだけ、か」

 

それが一番言い難いんだよねぇ。

泣かれたり抱きつかれたりしたら最後まで言える自信が無い。

最終手段としては、手紙や双六さんを通して伝えるって方法もあるけど……。

やっぱり自分で言って、納得してもらいたい。

それが私なりの誠意になるから。

 

「……言うなら早いほう良いよね」

 

私はスッと目を閉じ、人間界の扉を開いた。

 

 

コツリ…

 

私が降り立ったのは、遊戯君の家の前。

時間帯は夜だが、前みたいに非常識な時間ではない。

 

「……ふぅ」

 

深く息を吐き、震える手でチャイムを鳴らす。

数秒もすれば双六さんが私を迎えてくれた。

 

「今日はどうしたんじゃ?」

「少し、遊戯君にお話しがあって」

 

いつもと違う雰囲気の私に気付いたのか、双六さんは黙ってリビングに上げてくれた。

 

「おねぇちゃん!」

「こんばんは」

「ワシは席を外した方がいいかの?」

「いえ、居て下さい」

 

その方が遊戯君も少しは安心出来るだろう。

私は静かに遊戯君を見据えると、ゆっくりと話し始めた。

 

「遊戯君。明日から私、遠いところに行くことになったの」

「とおい、ところ…?」

「そう。だから、暫く遊戯君と会えなくなるわ」

「しばらくって、どれくらい?」

「……長くて8年くらい」

「!!そんなのやだ…ッ!」

 

案の定、遊戯君は私の言葉を聞いてくれなかった。

双六さんは私の様子で予想は付いていたのか、あまり驚かない。

……さて、遊戯君にはどうしたら納得してもらえるかな。

 

「遊戯君」

「やだやだやだ!ずっといっしょにいてよ!」

「遊戯君、」

「やだったらやだ!」

 

ブンブンと首を横に振り、小さくすすり泣く遊戯君。

私は彼に手を伸ばし、優しく抱きしめた。

 

「遊戯君、聞いて?」

「……ひっく…ぐすっ…」

「私とした約束、覚えてる?」

「やく、そく…?」

「そうよ」

「…おぼえ、てる」

 

彼は小さくだが、頷いてくれた。

うん、偉いね。

 

その様子を優しい笑みを浮かべ、私は言葉を紡ぐ。

 

「だから、絶対に会いに来るわ。永遠の別れじゃない」

「……ほんとに、あいにきてくれる?」

「えぇ。毎日とはいかなくても手紙も出すから」

「やくそくだよ?」

「約束する。絶対よ」

 

遊戯君の小指と私の小指を絡め、しっかりと約束を誓った。

 

大丈夫。また会えるわ。

必ず、ね。

 

 




色々と直したい場所がありすぎて困る。
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