あの後、マリクの父親に「今回のマリクの行動はファラオの意思だ」とか何とか言って、今回の件は不問にしてもらった。
やっぱり権力(?)って大事だね。
私が精霊王だと発覚した途端、態度が変わるんだから。
「(遊戯君とかにも畏まられたら、ちょっと悲しいけど…)」
まぁ、彼なら普段通り接してくれるだろう。
その前に私がバラさなきゃいい話だし。
「…うっ……」
「おはよう」
「!あ、貴女は……」
椅子に座り、目が覚めた彼に笑いかける。
彼には私の正体を話しておかないといけない。
きっと、必要なことだと思うから。
「リシド」
マリクの闇と痛みを共有する、彼には。
「……貴女の正体は、分かっています」
「そう。聞いていたのなら話が早いわ」
実際、彼があの時起きていたのは知っていた。
それでも黙っていたのは、話を円滑に進めるため。
「話し…?」
「単刀直入に聞くわ。あのマリクを見ていた?」
「……はい。ですが、マリク様はあんなこと出来るハズありません…!」
「彼はマリクであってマリクではない」
「?」
リシドは意味が分からないというように首を傾げた。
ま、それが普通の反応だし。
「あのマリクは、マリクの心の闇によって作られた人格。所謂、二重人格よ」
「マリク様の…?」
「今は私の力で眠っているけど長くは持たないわ。それに、私はもうココにいる訳にいかない」
全国を見て歩きたいし、デュエルの大会にも出てみたいし←
「なら、どうすれば…っ!」
「アナタの顔に刻まれた古代文字」
「……これが、何か…?」
「それはマリクの苦痛を共有するためのモノでしょう?」
「何故、貴女がそれを知って…」
彼の問いに、私は意味深に笑う。
アニメで見たから。なんて言えないので、勝手に勘違いして欲しい。
出来れば「精霊王だから」が一番無難だけどね。
「その刻まれた文字の意味は大きく、そして重い。アナタにとっても、マリクにとっても……ね」
気を付けなさい。
それが、あのマリクを封印できる唯一の方法なのだから。
私はそう言うと、椅子から立ち上がった。
「今のはどういう意味…ッ!」
「そのままの意味よ。私なら助けてあげるけど“私”はもう手を貸さない。これはアナタたち人間の問題なのだから」
精霊王の“私”は、あまりこちらの世界に干渉できない。
私の下の存在とはいえ、神であるオシリスを呼び出したせいで力も大分弱まっている。
精霊界での休養が必要になるかなぁ…。
「もう行くわ。そろそろ、私の力も限界みたいだし」
「待って下さい!私は…!」
「生きなさい。マリクにとって、アナタの存在は支えであり家族よ」
私はリシドの目を大きく開かれるのを見ながら、精霊界へと姿を消した。