仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム 作:ロンギヌス
感想は一言、どちらも面白かったです。来週また2回目見に行こうと思っています。
そんな話はさておき、お待たせしました。今回からデザイアグランプリ第3回戦が始まります。ライダー達の活躍をどうぞご覧あれ。
あと、活動報告で第2回オリジナルライダー募集を実施中です。興味が湧いた方はぜひ。
・主なプレイヤー
小林紬/仮面ライダーハーム
我那覇冴/仮面ライダーロポ
宗像勇海/仮面ライダーオルカ
浅利切人/仮面ライダーターボン
雪ノ下幸/仮面ライダーホワイティー
榎本龍之介/仮面ライダーグリズ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ
参加人数:30名
現在生き残っている人数:5名
「う~ん、美味しい~♡」
デザイア神殿のサロン。
そのカウンター席にて、紬はギロリお手製のストロベリーパフェを堪能していた。
苺の甘酸っぱさと生クリームが絶妙にマッチしており、紬は幸福感でいっぱいになっていた。
「ギロリさん、これすっごく美味しいです!」
「ありがとうございます。喜んで頂けて、光栄です」
紬が美味しそうに食べているのを見て、ギロリも穏やかな笑顔を見せる。
そんな中、離れた位置のソファに座っていた英寿と勇海は、向かいのソファに座っている冴と語り合っていた。
「今日は休ませてやってるのか。鬼コーチもたまには優しいんだな」
「その言い方やめて。運動させ過ぎて体を壊してしまうといけないから、適度に休ませてあげてるだけよ」
「それで? 紬ちゃん、少しは強くなれた?」
「……以前に比べたら、多少はマシになってきたところね。思ったよりもポテンシャルはある」
「だそうだ。良かったな、ハーム」
「ふぇ? い、いえそんな、私なんてまだまだですよ」
そう言いつつも、冴からそれなりの評価を貰えたからか。
紬は照れた様子で頭を掻いていた。
しかし、そこに水を差す人物がいた。
「ふん、謙虚過ぎるのも考え物だな」
壁際のソファに座り、ゼリー飲料を口にしていた龍之介。
彼は照れている様子の紬に対し、どこか不満げな様子だった。
「今でも覚えているぞ。2回戦で貴様が見せたあの攻撃を。あんな物を見せつけておいてその態度とは、どこか気に喰わんな」
龍之介の脳裏に浮かび上がる、ビートフォーム姿のハームが繰り出した必殺技。
一度に複数のジャマトを倒した技を直に見せつけられた龍之介からすれば、紬の今の言動は気に入らなかったようだ。
「あ、あれは英寿さんに、戦い方を教えて貰ったからで……」
だが、当の本人は凄い事をした自覚はないようで、やはり謙虚さを崩す様子はない。
龍之介は鼻を鳴らす。
「ふん……まぁ、貴様がどれだけ謙虚であろうが、俺にはどうでも良い。このゲームは勝利に貪欲な者こそが勝つ戦い。どれだけ力があろうと、やる気のない貴様では頂点を掴み取れまい」
「それはどうかな」
「何?」
そこへ待ったをかけたのが英寿だった。
彼はティーカップを手に取り、紅茶を口にしてから告げる。
「最後まで何があるか分からないのがデザイアグランプリだ。もしかしたらハームの方が、アンタより活躍するかもしれないぞ?」
「馬鹿な、あり得ん。こんな小娘如きに一体何ができる? 俺を嘗めるのも大概にして貰おうか」
「はわわ!? お、お二人共、喧嘩は駄目ですよ〜!!」
一触即発の空気になり始めた英寿と龍之介を、紬が慌てて宥めに入る。
その時、ギロリが一同に呼びかけて来た。
「お二人共、お話は一旦その辺で……皆さん。つい先程、ジャマトが出現したという報告が入りました。至急、準備をお願いします」
「お、来たか。3回戦の開幕だ」
「チッ……今に見ていろ」
ジャマト出現の報が入り、一同はすぐにその場から動き出す……が。
「うぅ……まだ食べかけなのに……」
紬のみ、まだ食べかけのストロベリーパフェを名残惜しそうに見つめていたのは、ここだけの話である。
◆
「皆さん、大変お待たせしました。これより、デザイアグランプリ第3回戦を開始します!」
デザイア神殿のロビーに集まった一同。
ツムリが開始を宣言すると共に、5人はその場から一瞬で別の場所へと転移させられた。
そこは、大勢の客で賑わっている大きな遊園地だった。
『第3回戦は遊園地ゲーム。現在、皆さんのいる遊園地はジャマトの集団に襲われています。皆さんはこれから、ジャマトを1体残らず倒し、遊園地に平和を取り戻して下さい。ゲーム終了時点で、スコアの一番低かったプレイヤーが脱落となります』
「っ……あれは……!!」
紬が見据える先では早速、遊園地の客達がジャマトに襲われていた。
貴族のような恰好をした“貴族ジャマト”が率いる“近衛兵ジャマト”の集団が、遊園地のアトラクションに乗ろうとしていた客達を襲い、客達は悲鳴を上げて逃げ回っている。
「大変、急いで助けなくちゃ……!」
「無理はするなよ、ハーム」
≪≪≪≪≪SET≫≫≫≫≫
英寿達はドライバーを装着し、それぞれ自分のバックルを装填。
変身ポーズを決め、一斉にその場で変身を遂げる。
「「「「「変身!」」」」」
≪MAGNUM≫
≪ZOMBIE≫
≪ARMED CLAW≫
≪NINJA≫
≪BEAT≫
≪≪≪≪≪READY FIGHT≫≫≫≫≫
ギーツ・マグナムフォーム。
オルカ・ゾンビフォーム。
ロポ・アームドクロー。
グリズ・ニンジャフォーム。
ハーム・ビートフォーム。
5人の仮面ライダーはそれぞれの武器を構え、ジャマト集団に向かって駆け出した。
「ふっ!」
「はぁっ!!」
「「「ジャーッ!?」」」
客達に襲い掛かろうとしていた近衛兵ジャマト達を、ギーツがマグナムシューター40Xで狙い撃ち、怯んだ個体をロポがレイズクローで次々と切り裂いていく。
その間に、ハームが逃げ遅れている客達の下へ駆け寄り、ジャマトのいない方へと逃がしていく。
「皆さん、今の内に逃げて下さい!」
「た、助かった!」
「ありがとうございます!」
ハームが避難誘導を行い、客達は彼女に礼を述べてから安全な方角へて逃げていく。
そんな中、一組の男女が、焦った様子でハームの下へ駆け寄って来た。
「あ、あの!! この辺りで、小さい男の子を見ませんでしたか!?」
「あの変な怪物達から逃げてる途中、私達の子供が何処かで逸れてしまったみたいで……!!」
「えっ!?」
それは、逸れてしまった息子の安否を案じる夫婦だった。
二人の息子が逸れてしまっている事を知り、ハームは慌てて事情を聞く事に。
「えっと、その子の名前は!?」
「あ、青木瞬太です!! 小学2年生の男の子で……!!」
「青木瞬太、小学2年生の男の子……わかりました! 私がその子を探し出して、必ずお二人の下まで送り届けます! あなた達は先に、安全な場所まで避難して下さい!」
「は、はい、お願いします!!」
「どうか息子を……!!」
夫婦を先に逃がした後、ハームは遊園地内の何処かにいる小さい男の子を見つけ出すべく動き出す。
その様子を見ていたグリズは、下らないと言わんばかりの様子で小さく鼻を鳴らしていた。
「ふん、馬鹿な女だ。倒すべきジャマトを無視して人助けとは……」
「そう言うアンタは、人を助けようって気にはならないの?」
「俺達に課せられたミッションはあくまで、この遊園地に蔓延るジャマト共の討伐だ。他の事に気を取られて、本来やるべき事を疎かにするなど、プロにあってはならん失態だろう?」
「アンタの場合、人としては大失態も良いところだと思うけどね」
「好きなだけ言っていろ。この勝負も俺は勝ってみせる。頂点に立つのはこの俺だァ!!」
オルカの陰口など気にも留めず、グリズは近衛兵ジャマト達の方へと向かっていく。
彼は逃げ遅れている客や園内スタッフ達に対し、少しも興味を抱いていないようで、オルカは呆れた様子で首を左右に振った後に客やスタッフ達の救助に向かって行く。
◆
「よいしょお!!」
「ジャ!?」
その後。
ハームは近衛兵ジャマトを相手取りながら、とある夫婦が逸れたという男の子を捜索していた。
向かって来る近衛兵ジャマトをビートアックスで叩き伏せた後、ハームは近衛兵ジャマトに襲われていた客達を逃がしていく。
それから彼女はメリーゴーランドに辿り着いた。
「ん……あれっ!?」
「「「ジャ~♪」」」
「「「「「うえええん……!」」」」」
ハームの視線の先では、数体の近衛兵ジャマトがメリーゴーランドの馬に乗って遊んでいた。
しかもよく見ると、その近くでは数人の子供達が、一ヵ所に集まって泣いている。
どうやらメリーゴーランドに乗って遊んでいたところを、近衛兵ジャマト達に無理やり降ろされてしまったようだ。
「コラァーッ!! 子供達を泣かせるなぁー!!」
「「「ジャーッ!?」」」
楽しむのは良いが、それで子供達を泣かせるのは問答無用でアウトである。
ハームは怒りのままにビートアックスを振るい、メリーゴーランドの馬に乗っていた近衛兵ジャマト達を叩きのめして粉砕していく。
メリーゴーランドを占拠していた近衛兵ジャマト達を倒した後、ハームは一旦変身を解除し、子供達の方へと駆け寄った。
「君達、もう大丈夫だよ!」
「ぐすっ……お姉ちゃん、誰……?」
「あ、えっと……お姉ちゃんはね、あの悪い怪物をやっつけに来たの!」
子供達に素性を聞かれ、紬はとりあえず誤魔化しつつ、安心させるように微笑む。
すると、泣き止んだ子供達は次第に笑顔を浮かべ始めた。
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「さっきお姉ちゃんがなってたアレ何? 超かっけー!」
「あはは、ありがとう。アレについてはごめん、お姉ちゃん説明下手だから上手く言えないな……あ、そうだ!」
紬は改めて子供達を見る。
人数は5人、男の子が3人で女の子が2人。
紬はこの3人の男の子の中に、青木瞬太という名前の少年がいないか尋ねた。
しかし……。
「ううん、知らないよ」
「僕も知らない」
「僕も」
「そっか……ここにいないってなると、一体どこに……?」
当てが外れた紬は、子供達をひとまず安全な場所まで誘導した後、すぐに他のアトラクションを捜索する。
コーヒーカップ、回転ブランコ、観覧車など、一通り探す紬だったが、青木瞬太という少年は未だ見つからない。
一体どこにいるのか、必死に探し続けていた紬はふと、とあるアトラクションの前に到着した。
「っ……まさか、ここにはいないよね……?」
それは、大きなお化け屋敷だった。
見るからにおどろおどろしい雰囲気を醸し出すそれに、思わず引き攣った笑みを浮かべる。
だが、この中にもまだ逃げ遅れた人が隠れているかもしれないと思い、紬は再びハームの姿に変身した後、意を決して中へ入った。
「うぅ……真っ暗過ぎるぅ……!」
ホラー系が苦手なハームにとって、お化け屋敷はできる事なら絶対に入りたくない場所である。
しかし、もし逃げ遅れている人がいるのなら、決して無視はできない。
ハームは怖いのを必死に我慢しながら、真っ暗なお化け屋敷の奥深くまで進んで行く。
「い、いきなり驚かせて来たりなんてしないよね……?」
「ジャ~……」
「いや、でも、遊園地自体がジャマトに襲われてるから、流石にお化け役の人達も逃げた後かな……?」
「ジャジャ~……」
「うぅ、でもやっぱり怖いものは怖い……もしいるなら、早く見つけてさっさと出ないと……」
「ジャ~……」
「……ねぇ、ちょっと待って。何か聞こえない?」
「ジャ?」
「いや、確かに聞こえるんだけど……何だか、すすり泣くような声が……」
暗闇の中を進むにつれて、微かに響く小さな泣き声。
徐々に大きくなっていくその声は、男の子が泣いている声だった。
ハームはすぐに声の聞こえて来た部屋へと入り、そこで泣いている少年を発見した。
「ねぇ君! どうしたの?」
「ぐすん……パパとママと、逸れちゃったのぉ……!」
「! もしかして、君が青木瞬太君かな?」
「えっ……? どうして、僕の名前を知ってるの……?」
「実はね。君のお父さんとお母さんから、君を探すように頼まれたの」
「ジャッ」
「え、パパとママが……!?」
その少年―――青木瞬太はハームの話を聞いてパッと顔を上げる。
ハームは瞬太の頭を優しく撫でながら、彼を連れて両親の下へ行くべく歩き出した。
「さぁ、ここから出るよ。私がパパとママの所まで連れて行ってあげるから、もう安心だよ」
「本当……!?」
「うん、本当だよ」
「やったぁ! ありがとうお姉ちゃん!」
「ジャ~♪」
「うん! じゃあ早速外に……」
ここで、ハームはようやく気付いた。
さっきから、明らかに変な声が聞こえている。
自分の声でも、瞬太の声でもない、聞き覚えのある声。
ハームが恐る恐る振り向いたその先には……。
「ジャッ」
「あっ」
ハームと瞬太を覗き込んでいる、近衛兵ジャマトの姿があった。
お互いの視線が合い、数秒ほど沈黙が続いた後……ハームの方から先に悲鳴を上げた。
「……きゃあああああ!? い、いつの間にいいいいい!?」
「ジャジャーーーーーッ!!」
「気付くのが遅い!!」と言っているかのような反応を見せた近衛兵ジャマトが、その手に構えた剣をハーム目掛けて振り下ろして来た。
ハームは瞬太を後ろに隠し、即座にビートアックスでそれを防御した。
「よりにもよって、こんな所で襲って来ないでよぉ!!」
「「「ジャジャジャーッ!!」」」
「ぎゃあああああ!? 他にもいっぱい出て来たあああああ!?」
直後、箱やロッカーなどからも次々と近衛兵ジャマトが飛び出し、ハーム達に襲い掛かって来た。
それに驚かされたハームは悲鳴を上げながらも、向かって来る近衛兵ジャマト達をビートアックスで斬り伏せていくが、1体の近衛兵ジャマトが剣を構え、瞬太の方へと狙いを定めた。
「う、うあぁ……!?」
「ジャ~……!!」
「!? 危ない!!」
≪SET≫
≪REVOLVE ON≫
「ジャッ!?」
瞬太に向けて振り下ろされた剣をビートアックスで受け止めたハームは、空いた左手でシールドバックルをドライバーの左側に装填。
その状態からドライバーを半回転させ、ハームはその場で宙に浮遊しボディが変化を遂げる。
近衛兵ジャマトが驚いて後退する中、ビートフォームの装備が下半身側に移動したハームは続けてシールド、ビートの順にバックルを操作する。
≪DUAL ON≫
≪BEAT ARMED SHIELD≫
「はぁっ!!」
アームドシールドの装備を上半身に纏い、“アームドシールドビート”の姿になったハームは、近衛兵ジャマトが振るって来た剣を右腕のレイズシールドで受け止め、壁際まで追い込まれる。
しかしその状態から、ハームはビートの装甲を纏った右足を近衛兵ジャマトの腹部に押しつけ、再びドライバーのバックルを操作する。
≪BEAT SHIELD VICTORY≫
「うおりゃあ!!」
「「「ジャジャーッ!?」」」
ハームは右足で近衛兵ジャマトの腹部を蹴りつけ、近衛兵ジャマトの全身に強力な振動波を流す。
続けてレイズシールドで近衛兵ジャマトを力強く殴り飛ばし、吹き飛んだ近衛兵ジャマトが他の近衛兵ジャマト達を巻き込む形で爆散した。
「はぁ、はぁ、疲れた……」
複数の近衛兵ジャマトを一人で相手取る羽目になり、ハームはその疲れから一度その場に座り込む。
しかし、まだ拙い部分もあるとはいえ、一人だけで複数のジャマトを倒す事ができた。
(私も、ちゃんと強くなれてるんだ……!)
拳をギュッパギュッパと握り締めながら、ハームは自らの成長を強く実感した後、後ろの物陰に隠れていた瞬太に呼びかけた。
「瞬太君、大丈夫? 怪我とかしてない?」
「うん、大丈夫!」
「そっか。良かった」
瞬太に怪我がないと分かり、ホッとするハーム。
その時だった。
≪SECRET MISSION CLEAR≫
「へ?」
部屋の中に突然鳴り響く、シークレットミッションがクリアされた事を知らせる電子音。
ハームはスパイダーフォンを開くと、そこに映し出された文章を確認する。
「【ジャマトに襲われている一般人を20人以上助け出す】……?」
ここに至るまで、既に大勢の客やスタッフ達を助け出して来たハーム。
そのおかげなのか、いつの間にかシークレットミッションをクリアしていた彼女の足元に、1つのミッションボックスが出現した。
「あれ、前のと色が違う……?」
今回、ハームの足元に現れたミッションボックスはオレンジ色。
しかし、2回戦でシークレットミッションをクリアした時、ミッションボックスの色は白だった。
前回と今回とで、何故ミッションボックスの色が違うのか。
その理由はハームにはわからなかったが、ひとまず貰える物は貰っておこうと、ハームはミッションボックスを開いた。
「! これって……!」
そこに入っていた物を見て、ハームは驚いた。
それは、バイクのハンドルのようなパーツが取りつけられた、赤い大型バックルだった。
それを手に取ったハームは、ある事を考え始めた。
「大きなバックル……そうだ、これなら……!」
◆
一方、コーヒーカップエリアでは。
「はぁっ!!」
コーヒーカップのアトラクションの付近で、ロポがレイズクローを振るい、襲い来る近衛兵ジャマト達を片っ端から斬りつけていた。
しかし近衛兵ジャマトの数は多く、次々とロポを取り囲み始める。
「くっ……数が多い上に、無駄にしぶとい……!!」
現在、5人のプレイヤーの中で唯一、大型バックルを所持していないロポ。
小型バックルのスペックだけでは流石に厳しくなってきたのか、彼女は少しずつだが押され始めていく。
このままではマズいと思ったロポが、何とか逆転の術を思いつこうとした時だった。
≪ROCK FIRE≫
「!?」
突然聞こえて来た、ド派手なロックンロールのBGM。
驚いたロポと近衛兵ジャマト達の動きが止まったその直後、近衛兵ジャマト達を強力な炎が襲った。
≪TACTICAL FIRE≫
「「「ジャーーーッ!?」」」
「!? もしかして……!!」
「冴さん、これ使って下さい!」
炎に焼かれた近衛兵ジャマト達が倒れ伏す中、再びビートフォームの姿に戻ったハームが、瞬太を連れて駆けつけて来た。
ハームは瞬太に預けていた赤い大型バックルを受け取ると、それをロポのいる方に向かって大きく投擲。
ロポは慌てて両手でキャッチすると、投げられて来た物の正体を知って驚愕した。
「ブーストバックル!? あなた、どうして……!?」
「たくさん鍛えてくれたお礼です!!」
「……全く、本当に律儀な子」
≪SET≫
右手でサムズアップするハームの姿を見て、仮面の下で小さく苦笑するロポ。
とはいえ、せっかく貰ったからには使わせて貰おうと思ったのか。
ハームから受け取った赤い大型バックル―――“ブーストレイズバックル”をドライバーの左側に装填したロポは、クローバックルを再び操作した後、続けてブーストバックルのハンドル部分を回して操作する。
≪DUAL ON≫
ロポの左側に浮かび上がる【BOOST】の文字。
それと共に、バイクのマフラーのようなパーツが付いた赤い装甲が出現し、それがロポの下半身に装着された。
≪BOOST ARMED CLAW≫
ライダーの身体能力を大幅に向上させる形態―――“ブーストフォーム”の装甲を纏い、ロポは“アームドクローブースト”の姿に変化。
再度レイズクローを装備したロポは、少し屈んだ姿勢を取ってから近衛兵ジャマト達を睨みつける。
≪READY FIGHT≫
「最速で駆け抜ける……!!」
「うわっ!?」
ロポが地面を蹴った瞬間。
両足の装甲に付いているマフラーから炎が噴射し、彼女はこれまでとは比べ物にならない圧倒的なスピードで、コーヒーカップエリア全体を駆け抜け始めた。
その目に見えないほどのスピードにハームが驚く中、ロポは近衛兵ジャマト達を擦れ違い様にレイズクローで切り裂いていく。
ブーストバックルの機能で攻撃力も大幅に上昇しているため、近衛兵ジャマト達は1回切り裂かれただけで呆気なく爆散していった。
「冴さん、足速っ……!!」
元々“霊長類最速”と謳われているアスリートとはいえ、こんなにも速いスピードで動けるなんて。
想像を上回るロポの走力に、ハームは驚きを通り越して感心していた。
「これで、ラストォ!!」
「「ジャジャーッ!?」」
その場にいた近衛兵ジャマト達を、瞬く間に殲滅してみせたロポ。
彼女はそのままコーヒーカップエリアを離れ、他のエリアにいる近衛兵ジャマト達の殲滅に向かっていく。
◆
「皆さん、大変順調のようですね」
デザイア神殿のロビー。
ツムリは仮面ライダー達がジャマト達と戦っている姿を、空中に投影された大きなモニターで眺めていた。
一同が問題なくジャマトを倒せていっている事に、彼女は安堵しているようだ。
そんな彼女が特に注目しているのが、紬ことハームだった。
「これまでに比べて、力が格段に上がっているようですね。これも我那覇冴様のトレーニングによる賜物でしょうか……ッ!?」
その時だった。
突如、別のモニターに映し出された遊園地の全体マップ。
その観覧車エリア付近に、謎の存在が小さな赤い点として映し出された。
「これは……!?」
マップを操作し、その赤い点の正体を知ったツムリ。
彼女は慌てて、エリア内で戦っている仮面ライダー達に呼びかけ始める。
◆
その観覧車エリアでは。
≪TACTICAL SHOOT≫
「はぁ!!」
「「「ジャーッ!?」」」
ギーツ、オルカ、グリズの3人が、近衛兵ジャマト達を薙ぎ倒していた。
ギーツがマグナムシューター40Xで的確に狙い撃ち、オルカがゾンビブレイカーの鎖鋸で荒々しく両断し、グリズが2本に分離させたニンジャデュアラーで一閃する。
近衛兵ジャマト達がどんどん倒されていき、それらを率いていた貴族ジャマトは慌てた様子で逃げ出そうとしていた。
「ジャ、ジャジャーッ!?」
「おっと、逃がさないよ」
しかし、ゾンビフォームの能力を駆使したオルカが、地面から生やしたゾンビの腕で貴族ジャマトの足を掴み転倒させる。
そこにギーツとグリズが狙いを定める。
「アイツがこいつらのボスって事だな」
「ならば、倒せば高得点だな……スコア1位は俺が貰う!!」
「ゼラリン!! デガラサ、デガラサーッ!?」
ギーツがマグナムシューター40Xをライフルモードにして構え、グリズがニンジャデュアラーの二刀流で貴族ジャマトに攻撃を仕掛ける。
ゾンビの腕に掴まれて逃げられない貴族ジャマトは、焦った様子で抜け出そうとしている。
このままギーツとグリズが仕留めにかかると思われた……その時。
『皆さん、緊急事態です!』
「「「!?」」」
遊園地全体に聞こえて来た、ツムリのアナウンス。
それを聞いたグリズ、オルカ、そしてギーツの3人が動きを止める。
「緊急事態?」
「全く、一体何だこんな時に……」
『たった今、エリア内に強力なジャマトが現れました! プレイヤーの皆さん、充分にお気を付け下さい!』
「強力なジャマト?」
焦った様子で呼びかけて来るツムリの言葉に、3人が首を傾げた時だった。
ズバァンッ!!
「「「ッ!?」」」
3人のすぐ近くに存在する大きな観覧車。
その観覧車のゴンドラが1台、謎の斬撃音と共に真っ二つに切断され、それが3人に向かって飛ばされて来たのだ。
「な、何だぁ!?」
「ゴンドラが……くっ!?」
「今のは……!!」
飛んで来た真っ二つのゴンドラを回避した3人は、観覧車の方へと視線を向ける。
その先には、1台のゴンドラの上に立っている謎のジャマトの姿があった。
「ポアビビチャラサ……」
そのジャマトは、ポーンジャマトとは頭部の形状が大きく違っていた。
馬の顔が2つ付いた、サボテンのような緑色の頭部。
豪華な鎧を装備したボディ。
その両手に握られている1本の長い刀剣。
凄腕の剣士のような雰囲気を醸し出しているそのジャマト―――“剣豪ジャマト”は地上に降り立つと、今も怯えている貴族ジャマトを守るかのように仁王立ちする。
「何だ、あのジャマトは……!?」
「間違いない、ツムリが言っていたのはアイツの事だな。見た感じ、貴族様に雇われた用心棒ってところか」
オルカとギーツは、前方に待ち構えている剣豪ジャマトを見てひしひしと感じていた。
剣豪ジャマトが醸し出す、これまでのジャマトとは比べ物にならない程の強大な力を。
しかし、そんな剣豪ジャマトを見てもなお、グリズは臆さず構え直した。
「面白い、どれだけの力を持っているか……見せて貰おうか!!」
「ッ!? 待てグリズ、下手に突っ込んで良い相手じゃ―――」
「俺に命令するなと言っただろう!!」
ギーツの忠告に耳を貸さず、グリズはニンジャデュアラーを構えて剣豪ジャマトに突撃する。
それを見た剣豪ジャマトも刀剣を両手で構え、グリズを迎え撃とうとする。
両者の刃が交差したその瞬間……。
「!?」
グリズの姿が煙に包まれ、一瞬でその場から消える。
驚いた剣豪ジャマトが見たのは、地面に落下した木の人形。
変わり身の術で、剣豪ジャマトを欺いたのだ。
(馬鹿め、貰った!!)
そして本物のグリズが、剣豪ジャマトの背後に現れ、ニンジャデュアラーで斬りかかろうとする。
これは決まった!
そう思ったグリズだったが……剣豪ジャマトの実力は、彼の想像を大きく上回っていた。
「ヴァテビ!!」
「!? 何……ッ!!」
剣豪ジャマトは即座に刀を背の後ろまで回し、グリズの一撃を受け止めた。
その反応速度にグリズが驚いた直後、剣豪ジャマトはその状態から身を翻し、グリズのニンジャデュアラーを上に高く打ち上げ弾き飛ばす。
そこから刀を振り上げてグリズの胸部装甲を強く斬りつけ、グリズを吹き飛ばしてみせた。
「ケエインアジ、テテリラ!!」
「なっ……ぐわあああああ!?」
強烈な一撃を喰らい、大きく吹き飛んで地面を転がされるグリズ。
仰向けに倒れた状態で止まった彼に、剣豪ジャマトが追撃を仕掛けるべく駆け出そうとする。
「ッ!?」
しかし、即座に立ち止まった剣豪ジャマトは、一発の銃撃を刀で器用に防ぐ。
剣豪ジャマトが振り向いた先には、マグナムシューター40Xを向けているギーツと、ゾンビブレイカーを構えているオルカの姿があった。
「英寿君……!」
「あぁ。こいつはまた、手強い相手になりそうだ」
「ポラトキョキョエビ……キョキョチャンツ、ビビスジテキョ……!!」
剣豪ジャマトは刀を構え直すと、ギーツとオルカの方へと駆け出していく。
2人も警戒態勢に入り、向かって来る剣豪ジャマトを迎え撃つのだった。
To be continued……
仮面ライダーギーツ!
龍之介「この俺が負けるなどあってはならない……!!」
紬「助けたいと思ったから、助けただけです!」
英寿「不敗神話、見せてやるよ」
≪GET READY FOR≫
≪BOOST & MAGNUM≫
※JYAMATO DATA※
・剣豪ジャマト
デザイアグランプリ第3回戦『遊園地ゲーム』にて突如現れたジャマト。ベースは【ナイトジャマト】。
頑強な鎧を装備した剣士の姿をしており、その巧みな剣術はあらゆる敵を両断する。
なお、この剣豪ジャマトの出現は【ゲームマスターの管轄外】である。