仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム 作:ロンギヌス
いよいよ、開幕となる第2シーズン。
今回はまた、別のオリキャラが主要人物となります。
そして、感想欄で既に察している方も数名いらっしゃいましたが、今回はあのキャラクターも参戦します。
それではどうぞ。
なお、活動報告で開催中の第3回オリジナルライダー募集ですが、9月24日の夜中0時を迎えると同時に締め切りとなります。
「こんなキャラクターを送ってみたい!」と思っている方がいれば、お早めにどうぞ。
第17話︰次なるゲームへ!
若槻家の住むマンション。
「はぁ……」
その日、若槻さゆりは部屋のベッドに寝転がりながら、何度目かもわからない溜め息をついていた。
この日は土曜日。
学校が休みであるため、この日は家でのんびり過ごすか、もしくは友達と何処か遊びに行くか。
さゆりにとって、それが普段の休日の過ごし方だった。
しかし今、さゆりは家で過ごす以外の選択肢はなかった。
何故なら……。
「何処に行っちゃったの、紬……?」
小林紬。
さゆりの親友であるクラスメイトが、ある日突然、謎の失踪を遂げた。
両親に黙って家出したまま、行方不明になってしまったのだ。
すぐに警察にも捜索願が出され、紬の顔写真が載った貼り紙も街の各地に貼られたが、現時点で成果らしい成果は得られずにいる。
さゆりにとって一番大切な親友である紬がいない今、さゆりは1人で何処かに出かけようという気持ちには到底なれそうになかった。
「おーい、さゆり」
部屋のドアをノックする音が鳴るが、さゆりはベッドの枕に顔を突っ伏したまま動こうとしない。
数秒ほど経過してから、痺れを切らしたのか、ノックした人物はガチャリとドアを開けて覗き込んで来た。
「たく、また部屋に閉じ籠もる気か?」
「……お兄ちゃん」
さゆりの兄―――“
その音を聞いて、さゆりは僅かにだが枕から顔を上げる。
「昼飯買って来たから、外出しないならそれ食っとけ。俺はこれからバイト行って来るから、留守番頼むぞ」
「ん、わかった……」
「……なぁさゆり。まだ立ち直れそうにねぇのか?」
「……うん、ごめん」
そう言うと、さゆりは再び枕に顔を伏せてしまう。
それを見た修平は困った様子で自身の頭を掻いたが、バイトに向かわなければならないのもあってか、彼はそっと部屋のドアを閉めるのだった。
◆
「んー……参った」
喫茶店【
街の通りから奥まった場所にあるその小さな喫茶店は、レトロな内装が特徴的である。
店内はそこまで広くなく、カウンター席にテーブル席が3つのみと、座れる客の数もかなり限られている。
それでも、この店のメニューがどれも美味しいと評判だからか。
学校帰りの学生や、仕事の疲れを取りたいと思ったサラリーマン、買い物帰りの主婦など、客層は多種多様であり、営業中はそれなりに忙しい状況が続いている。
まさに、知る人ぞ知る名店、といった感じである。
そんなCLOVERの店内にて、テーブル席を水に濡らした布巾で綺麗に拭いて回っていた修平は、家を出る前に見た妹の事を思い出し、悩みに悩んでいた。
(さゆりの奴、思ってた以上に元気なくしてやがる……やっぱ、友達がいなくなったのが原因か)
さゆりの友達であった紬とは、修平も顔見知りだった。
彼から見ても、紬は大人しめで優しい女の子というイメージが強く、さゆりと共に本屋に行ったりしている姿をよく見かけた。
それ故、修平にとっても、その紬がある日突然失踪した件については、心を痛めていた。
同時に、修平は紬が失踪するような事態になった原因についても、推測している事があった。
彼は少し前に、紬と、紬の両親の関係があまりよろしくないのではないかという噂を耳にした事がある。
もしや、紬が両親に黙って家出したのも、両親との関係が悪化したからではないか?
修平はそう考えていた。
もっとも、どれだけ考えたところで、答えなどわかるはずもないのだが。
「どうしたもんかねぇ……」
「何か悩み事か?」
「! 店長……」
その声を聞いた修平が振り向いた先では、キッチンでコーヒーを淹れている女性の姿があった。
店長と呼ばれたその女性は、白いブラウスと黒いレディースパンツを着込み、その上から紺色のエプロンを身に着けている。
ミディアムショートの黒髪に、ブラウンの瞳が特徴的なツリ目は、彼女の凛とした容姿をより引き立てており、正に大人の女性という雰囲気を醸し出している。
そんな店長の瞳は今、修平の事をまっすぐ見据えていた。
「もうすぐ店じまいの時間だから別に良いが、手が止まってるぞ」
「へ? あ、あぁえっと、すみません」
「良いと言った。それで、何か悩んでいるようだな。それも悩み過ぎて、仕事の手が止まってしまうほどの」
「……うちの妹の事なんですけど」
店長から向けられて来る視線に、これは隠せないし、隠す理由もないだろうなと判断した修平は、思い切って話してみる事にした。
「つい最近、妹の友達が突然行方不明になってしまって。それで妹が元気なくしてるんです」
「……ほぉ、それはそれは」
「捜索願も出されてるんですけど、未だに見つからないらしくて……」
自身の悩み事を、素直に明かす修平。
この時、彼は気付かなかった。
行方不明。
その言葉を聞いた店長が、少しだけ間を置いてから相槌を打った事に。
「何とか、妹を元気付けてやりたいんですけど。その方法が何も思いつかなくて……何か、解決する方法ってないですかね?」
「……君は優しいお兄ちゃんだな」
淹れたばかりのコーヒーにミルクと角砂糖を投入し、ティースプーンで掻き混ぜながら店長が口を開く。
「だがすまない。その問題は、私でも解決する方法は思いつきそうにない」
「ッ……すいません、急に難しい事言っちゃって」
「だが、妹さんを元気付けてやりたいという君のその気持ちは、兄としては立派だよ」
角砂糖を混ぜ終わったコーヒーから、芳醇な香りが立ち上る。
それを店長が、そっと修平の前に差し出した。
「私から言える事は1つ。何があろうと、常に妹さんに寄り添ってやれ。それは、その子の兄である君にしかできない事のはずだろう? 家族とは掛け替えのない存在だ。大切にしろ」
「……ありがとうございます」
「フッ……これは、今日も仕事を頑張った君へのサービスだ。飲んでいくと良い」
修平の前に差し出された、店長が淹れたコーヒー。
そのカップを手に取った修平は、いきなり口を付けるのではなく、まず香りから楽しんでいく。
コーヒーを淹れる際、豆の種類や挽き方、淹れ方などにこだわる事で味が大きく変わるのだが、修平は店長が作るコーヒーに大いに満足していた。
「ッ……美味い……!」
「当然だ。私を誰だと思っている? ここの店長だぞ?」
自慢げに笑う店長の姿に苦笑した後、修平はそのコーヒーをグイッと煽った。
そんな彼の姿を見た店長は、満足そうに微笑むのだった。
◆
(―――さて、こんなもんで良いかな)
その夜。
バイトを終えた修平が帰宅した後、店内には店長だけが残っていた。
CLOVERの営業時間は、朝の7時から夜の19時まで。
現在は19時を過ぎているため、入り口のドアにかけられていた札も、既に【OPEN】から【CLOSED】に裏返されている。
店内の床をモップで綺麗に掃除し終えた店長は、身に着けていたエプロンを外し、帰宅の準備に取り掛かろうとした。
その時。
~♪
「!」
服のポケットから鳴り響く着信音。
それを聞いた瞬間、凛としつつも穏やかな雰囲気だった店長は、一瞬にして鋭い目付きに切り替わった。
(呼び出しか……ちょうど良いタイミングだ)
取り出した携帯―――スパイダーフォンを見た彼女は、すぐさまカウンター席に置いていた自身のカバンを開き、その中に入っていた黄色のミッションボックスを取り出す。
その上蓋を開いた彼女は、中に入っていたデザイアドライバーとIDコアを手に取り、IDコアをデザイアドライバーにセットしてから、デザイアドライバーを自身の腰に装着した。
≪ENTRY≫
「待っていたぞ、この時を……!」
≪DESIRE DRIVER≫
◆
「皆さん、こんにちは!」
デザイア神殿のロビー。
複数人の一般人が集められている中、ツムリは普段通りのにこやかな笑顔で、一同に挨拶していた。
「私はナビゲーターのツムリです。ようこそ、デザイアグランプリへ!」
そこからは、いつものようにツムリのデザイアグランプリに関する説明が始まる。
当然、今回のデザイアグランプリも参加している英寿は、既に聞き慣れているツムリの説明を聞き流しつつ、今回プレイヤーとして集められた面々を見渡していた。
(ロポとオルカは……今回はいないのか)
その中に、前回のデザイアグランプリで最終戦まで生き延びた、冴と勇海の姿はなかった。
今回は呼ばれなかったのかと、英寿は若干の寂しさが表情に表れかけたが、それもほんの一瞬だった。
英寿にとって、見知った顔がいたからだ。
「やぁ。久しぶりだね、浮世英寿」
1人の人物が、英寿の隣まで近付いて来た。
それは、長い茶髪を後ろに結んだ眼鏡の青年。
その青年の顔を見て、英寿はフッと笑みを零した。
「誰かと思ったらお前か。ナッジスパロウ」
“ナッジスパロウ”と呼ばれたその眼鏡の青年―――“
「相変わらず、デザグラで連勝を続けているみたいだね」
「あぁ、今回も俺が勝たせて貰う」
「それはどうかな?」
指先でフィンガースナップを決めた大智が、英寿に対して挑発的な台詞を返す。
「果たして、今回も君がデザ神となるのか? 正解は……ノーだ。今回こそ、僕が勝ってみせる」
「大した自信だな」
「君がそれを言うのかい?」
英寿と大智の間に、バチバチと火花が散る。
その時。
「やはり今回も出ていたか」
「「!」」
また別の人物が、2人の近くまで移動して来た。
その人物の顔を見た英寿は、少し驚いたような反応を見せつつもすぐに笑みを浮かべた。
「アンタも参加していたのか。久しぶりだな、先輩」
「その呼び方はやめろと言ったはずだ。貴様にそう呼ばれると寒気がする」
英寿から“先輩”と呼ばれたその女性―――CLOVERの店長は、英寿の事を強く睨みつける。
元々目付きが鋭い彼女に睨みつけられてしまえば、大抵の人間は思わず怯んでしまう事だろう。
しかし、彼女が睨みつけている相手は特に怯む様子はなく、それどころか楽しそうに笑っていた。
「怖い怖い。アンタのそういうところも相変わらずだな」
「英寿、知り合いかい?」
「あぁ。仮面ライダーラミア。俺が初めてデザグラに参加した時よりも前から、デザグラに参加していた女だ」
大智から問いかけられた英寿がそう答えると、CLOVERの店長―――“
「貴様の事だ。どうせまた、訳の分からん願いでも叶え続けてるんだろう?」
「何を願ったって自由さ。それがデザ神の特権だからな」
「本当に癪に障る男だな……私には果たさなければならない事があるんだ。いい加減、いつまでも貴様に邪魔される訳にはいかん」
四葉が英寿に顔を近付け、彼に向かって眼を飛ばす。
それでもなお、英寿は余裕の態度を崩さなかった。
「今に見ていろ、浮世英寿。私は今度こそ、貴様に勝ってみせる」
「へぇ、それは楽しみだなぁ」
「古株同士の因縁、か……なるほど。実に興味深いね」
英寿と四葉が睨み合っている中、その様子を眺めていた大智は面白そうに笑みを浮かべる。
今回もまた、楽しい時間を過ごせそうだと、彼はそう思わずにはいられなかった。
◆
それから数分後。
夜の街に突如出現したジャマーエリア。
プレイヤー達は専用のユニフォームを身に纏い、エリア内の各地に転移させられていた。
『デザイアグランプリ第1回戦は、魔法使いゲーム! 現在、この夜の街に魔導師ジャマトが大量発生しています。皆さんはこの魔導師ジャマトの大軍を全滅させ、街の住人達を守り抜いて下さい。ゲームは第3ウェーブまで。第3ウェーブ終了時点で生き残っていたプレイヤーが、1回戦勝ち抜けとなります』
「第3ウェーブまで生き残る、か。シンプルでわかりやすいね」
「い、いきなり始まるんだ……ど、どうしよう、まだ心の準備が……!」
「魔導師ジャマト……なるほど、そういうのも存在するのか。面白いねぇ」
プレイヤー達がそれぞれ異なる反応を示す中、英寿と四葉は両者共に、とある公園付近に転移していた。
英寿が指でコインを弾き上げる中、四葉は拳をパキポキと鳴らす。
「やる気充分だな」
「手を抜く理由もないからな。貴様の方こそ、余裕ぶっていて足を掬われないよう、精々気を付ける事だな」
「ご忠告どうも、先輩」
敢えて先輩呼びを直さない英寿に、四葉が横目で睨みつけたその時、2人の足元にマゼンタ色のミッションボックスがそれぞれ出現した。
『それでは、ジャマトと戦うためのアイテムを支給します』
ツムリのアナウンスと共に、他のプレイヤー達の足元にも、それぞれミッションボックスが転送される。
英寿と四葉はすぐにミッションボックスを開き、中に入っているレイズバックルを確認した。
「最初はコイツか」
英寿が手に入れたのはブーストバックル。
彼が上機嫌になっているその隣で、四葉は自身のミッションボックスから取り出したバックルをジッと見つめていた。
「プロペラか……まぁ良いだろう」
四葉が取り出したのは、ヘリコプターのプロペラを象った形状をしている灰色の小型バックル―――“プロペラレイズバックル”。
小型バックルである関係上、英寿が手に入れたブーストバックルには性能面で劣るものの、四葉自身は特に落胆する様子は見せなかった。
「そっちはプロペラか。俺のと交換してやろうか?」
「そのうるさい口を閉じてやろうか? 同情などいらん。それに、これはこれで役に立つ」
プロペラバックルを宙に放り、キャッチした四葉は英寿にそう言い放つ。
その時、何かの気配を察知した2人は、即座に気配のする方へと視線を向けた。
「「「ジャッジャッジャッ……!」」」
迫り来るは、金色の衣装に金色のマントを羽織ったジャマト―――“魔導師ジャマト”。
その手には剣を構えており、一見すると魔法の要素は存在しないように見えるが、それは外見だけの話。
魔導師ジャマト達が剣を高く掲げると、魔導師ジャマト達の正面に赤い魔法陣が出現し……。
「「「ジャーッ!!」」」
「「……ッ!!」」
魔法陣から、強力な炎が噴き出された。
左右に回避した英寿と四葉は、両者同時にバックルを右手に構えてから、デザイアドライバーに装填する。
≪≪SET≫≫
2人の背後に浮かび上がる、【BOOST】と【PROPELLER】の文字。
英寿は右手の指先で狐の顔を作り、それを前に突き出してフィンガースナップを決める。
四葉は上に高く振り上げた左腕をゆっくり下ろし、左手で拳を握り締める。
そして2人は、同時にバックルを操作した。
「「変身!」」
≪BOOST≫
≪ARMED PROPELLER≫
≪≪READY FIGHT≫≫
英寿はエントリーフォームとなった上から、赤い装甲を纏い、仮面ライダーギーツ・ブーストフォームに変身。
四葉はエントリーフォームとなった上から、灰色の装甲と共に大きなプロペラ状の武器を装備し、紺色の蛇のような仮面や下半身の前垂れなどが特徴的な仮面の戦士―――“仮面ライダーラミア・アームドプロペラ”への変身を完了させた。
「「「ジャジャーッ!!」」」
「「はぁ!!」」
そしてすぐに2人は駆け出し、向かって来る魔導師ジャマト達と戦い始めた。
振るわれて来る剣を正確にかわし、ギーツはブーストパンチャーで加速させたパンチで魔導師ジャマト達を次々叩き伏せて行く。
ラミアは右腕に装備したプロペラ状の武器―――“レイズプロペラ”で振るわれて来た剣を受け止め、魔導師ジャマトを蹴り飛ばしてからレイズプロペラのローター部分で力強く斬りつける。
そこに他の魔導師ジャマト達が赤い魔法陣を出現させ、再び強力な炎を放射したが……。
「フッ!!」
「「「ジャーッ!?」」」
ラミアがレイズプロペラを正面に向けた途端、ローター部分が高速で回転。
その莫大な推進力によってラミアがまっすぐ飛来し、炎を掻き消しながら魔導師ジャマト達を蹴散らしていく。
魔導師ジャマトを蹴り倒したギーツは、ラミアの戦っている姿を見て感心していた。
「今回のデザグラも、一波乱起きそうだな……!」
◆
「うわあああああ!?」
「いやぁ、来ないでぇ!!」
「た、助け……ぐあぁっ!?」
もちろん、全てのプレイヤーがギーツとラミアみたいに戦えている訳ではない。
今回招集された32名のプレイヤーの内、大半は戦闘など碌に経験した事のない素人ばかり。
そういった面々は無情にも、魔導師ジャマト達によって一方的に蹂躙されていく。
「おやおや、相変わらず容赦がないね」
そんな彼らに助太刀する様子もなく、1人冷静に周囲の戦況を見据えていた大智。
大智が手にしているのは、黄色い星が描かれた青い帽子を被っている、熊のような外見をしたポップなデザインの大型バックル。
両目を閉じて眠っているようにも見えるその大型バックル―――“モンスターレイズバックル”を構えた大智は、それを自身のデザイアドライバーに装填する。
≪SET≫
≪zzz……≫
大智の背後に【MONSTER】の文字が浮かび上がる中、モンスターバックルから寝息のような待機音が鳴り響く。
大智は両腕をL字にクロスさせた状態で右手の拳を握った後、そのポーズを崩してから眼鏡の弦をクイッと上げる動作を取った。
「変身」
≪GYA!≫
そしてモンスターバックルの帽子部分を右手で押し込むと、起きたモンスターバックルの両目が大きく見開き、そして怒ったような顔を浮かべる。
それと共に、大智の右隣には青と黄色によるツートンカラーの装甲が出現。
胸部、両肩に黄色い星が象られている青色の装甲が、そのまま大智の上半身へと纏われ、大智は茶色の雀を模した仮面の戦士へと変身を遂げた。
≪MONSTER≫
≪READY FIGHT≫
「さて、肩慣らしと行こう」
大智が変身した戦士―――“仮面ライダーナッジスパロウ・モンスターフォーム”は指先で眼鏡を上げるような動作をした後、正面から向かって来る魔導師ジャマト達を迎え撃つ。
魔導師ジャマト達はナッジスパロウを剣で斬りつけようとするが、ナッジスパロウは右手で顎に触れ、左手を腰に置いたポーズのまま、魔導師ジャマト達が振るって来る剣を難なく回避し続ける。
続けて、1体の魔導師ジャマトの足を引っかけて転倒させた後、ナッジスパロウは両腕に装備している手甲―――“モンスターグローブ”をガンッと軽く打ち付けた後、高く振り上げた右手の拳を地面に強く叩きつけた。
「フンッ!!」
ボガァンッ!!
「「「ジャーーーッ!?」」」
ナッジスパロウが拳を叩きつけた瞬間、星型のエフェクトと共に地面が爆発し、魔導師ジャマト達を大きく吹き飛ばす。
土煙が舞い上がる中、立ち上がったナッジスパロウは悠々と歩き、魔導師ジャマト達を1体ずつ確実に殴り倒していく。
そこから少し離れた場所では、ナッジスパロウが戦っている姿を眺めていた1人の男が、
「ほうほう、なるほど。これはそういう風に使うのか……それなら」
≪SET≫
黄色い瞳を持つその男―――“
浮かび上がる【DRILL】の文字をバックに、火炎は親指・人差し指・中指を立てた右手を顔の左横に移動させ、3本指を曲げてからトカゲの爪のようにさせた後、ドライバーに装填されているドリルバックルを操作した。
「変身」
≪ARMED DRILL≫
それと共に、火炎の姿が変わる。
その身には茶色の装甲と、大型のドリル型の武器が装備され、火炎は深緑色のトカゲを模した戦士―――“仮面ライダーリザ・アームドドリル”への変身を完了させた。
≪READY FIGHT≫
「さぁ、ジャマトとやらよ。思う存分かかって来ると良い」
そう言って、リザは右腕に装備されたドリル型の武器―――“レイズドリル”のドリル部分を回転させ、向かって来る魔導師ジャマト達を薙ぎ払い始める。
「ハァッ!!」
「ジャ!?」
ギュイイイイインと音を立てながら高速回転するレイズドリルが、向かって来た魔導師ジャマトの頭部を一撃で粉砕する中、離れた位置から別の魔導師ジャマトが青い魔法陣を出現させ、そこから噴き出した冷気で大きな氷塊を出現させる。
「デオズカカ!!」
「フンッ!!」
魔導師ジャマトが飛ばして来た氷塊を、リザは正面に突き出したレイズドリルで木っ端微塵に破壊。
飛び散った氷塊の破片が、リザの姿をより美しく映えさせていた。
◆
「「ジャーッ!!」」
「うわぁ!?」
「くそ、こっち来んなって!!」
一方、街中のとある地下通路でも、高校生と思われる男女のプレイヤーが、魔導師ジャマトに襲われていた。
魔導師ジャマトが振り下ろして来る剣を、上手く回避しながら逃げ続ける2人だったが、とうとう通路の途中で左右から挟み撃ちにされ、追い詰められてしまう。
「「ジャジャ〜……!!」」
「ど、どうしよう……!?」
「くそ、こうなったらやるしかない……!!」
≪SET≫
追い詰められた2人の内、少年が手にしていたのは、蛇口の捻りをあしらった水色のバックル。
【WATER】の文字が浮かぶ中、その“ウォーターレイズバックル”をデザイアドライバーに装填した少年は、そのままウォーターバックルの捻りの部分を回して操作した。
「変身!」
≪ARMED WATER≫
≪READY FIGHT≫
少年の姿が変わり、彼の上半身には水色の装甲が、右手には細長い水鉄砲のような武器が出現。
アルマジロのような特徴を持った仮面の戦士―――“仮面ライダーアルマ”は右手に装備されたレイズウォーターを構え、その銃口を魔導師ジャマト達に向けた。
「喰らえ!!」
ボシュウッ!!!
「「ジャッ!?」」
アルマがレイズウォーターのトリガーを引いた瞬間、銃口から勢いよく放水。
放たれた水が魔導師ジャマト達に襲い掛かり、そのまま押し流していくと思われていた……が。
チョロチョロチョロチョロ……
「……あれ?」
「ジャ?」
勢いがあったのは、最初だけだった。
その後は普通の水鉄砲と同じくらいの水圧でしか放水されず、チョロチョロと流れ出て来る水が、何とも言えない空気感を醸し出していた。
「……いや、ちょ、何だよこれ!? 威力しょっぱ過ぎだろ!?」
アームドウォーターはこれまた特殊な形態である。
使う武器が水鉄砲である以上、放水を行いたい場合は、放水を行うための水が必要になる。
その機能上、近くに水辺さえあれば、かなり強力な性能を発揮できるのだが……悲しいかな。
2人が今いる場所は、水辺がない街中の地下通路。
水の補給など、到底できそうにない場所だった。
「「ジャーッ!!」」
「草太君、危ない!!」
「!? やばっ―――」
相手にダメージを与えられず、怯ませる事すらできない水鉄砲など、魔導師ジャマト達にとって敵ではない。
あまりに役立たずなレイズウォーターの性能に焦るアルマに向かって、魔導師ジャマト達が容赦なく剣を振り下ろそうとした……その時。
≪POISON CHARGE≫
「伏せろ!!」
別方向から聴こえて来た声。
それを聞いて、アルマと少女が咄嗟に頭を押さえてその場に伏せたその直後。
2人と魔導師ジャマト達の間に割って入った1人の仮面ライダーが、その手に構えたゾンビブレイカーを振り回した。
≪TACTICAL BREAK≫
「おらぁっ!!」
「「ジャジャーーーッ!!?」」
ゾンビブレイカーで斬りつけられた魔導師ジャマト達が爆発し、跡形もなく消滅する。
魔導師ジャマト達が消えたのを確認し、その仮面ライダーは伏せていた2人の方へと振り返る。
その顔は、白いハリネズミのような特徴を持っていた。
「大丈夫か?」
「「は、はい……!」」
ハリネズミの特徴を持った戦士―――“仮面ライダートゲッチ”が右手を差し伸べ、アルマはそれを掴んで立ち上がる。
アルマの変身を解除した少年と、その後ろにいた少女の2人は、トゲッチの変身を解除した若い青年に頭を下げた。
「あ、ありがとうございます、おかげで助かりました!」
「気にすんなって。困ってる奴を見かけたら、助けるのは当然だろ?」
若い青年はにこやかに笑いながらそう告げると、2人に自己紹介をした。
「俺は今井透。さっきの姿は、えーっと……仮面ライダートゲッチって名前らしい。まぁとりあえず、よろしくな!」
To be continued……
仮面ライダーギーツ!
大智「あらゆる欲望が渦巻く、デザイアグランプリ……」
四葉「貴様にはいい加減、玉座から降りて貰うぞ」
透「俺にもさ、叶えたいと思ってる夢があるんだ」
英寿「誰が俺の道を阻もうと、最後は俺が勝つさ……!」