仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム   作:ロンギヌス

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遅くなってしまいましたが、お待たせしました。第20話の更新です。

今回、ようやく1回戦に決着がつきます。

それではどうぞ。

あと、活動報告の第4回オリジナルライダー募集も興味がある方はぜひ。









・主なプレイヤー

瑠璃川四葉/仮面ライダーラミア
今井透/仮面ライダートゲッチ
石村火炎/仮面ライダーリザ
朝霞夢乃/仮面ライダーツッキー
五十鈴大智/仮面ライダーナッジスパロウ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ

参加人数:32名

現在生き残っている人数:10名






第20話:これがデザイアグランプリ

街のとある広場。

 

デザイアグランプリ第1回戦【魔法使いゲーム】は、佳境を迎えようとしていた。

 

「ハァッ!!」

 

「「「ジャジャーッ!?」」」

 

レイズプロペラで自在に飛び回り、回転するローター部分で魔導師ジャマト達を片っ端から斬り裂いていくラミア。

 

斬り裂かれた魔導師ジャマト達は、着地したラミアの後方で1体残らず爆散していく。

 

「フンッ!!」

 

「ぜりゃあ!!」

 

その近くでは、ナッジスパロウがモンスターグローブで魔導師ジャマトを殴り倒し、リザがレイズドリルで魔導師ジャマトの顔面を抉って粉砕する。

 

「とりゃあーっ!!」

 

「ジャーッ!?」

 

そしてツッキーもまた、力強く振り回したレイズハンマーで魔導師ジャマトを殴り倒す。

 

一同の奮闘もあって、周囲にいた魔導師ジャマト達はひと通り駆逐されてしまっていた。

 

「ふぅ……ここらのジャマトは、全て片付いたか」

 

「つまり、これで俺達は1回戦勝ち抜けという事か?」

 

「はぁ、はぁ……そ、そうなんですか? やった……!」

 

1回戦を勝ち残る事ができたと思い、ホッと安堵するツッキー。

 

しかし、それをナッジスパロウが否定した。

 

「いや、まだだ」

 

「え?」

 

「忘れていないかい? ツムリから1つの通達があったのを」

 

「……あっ!」

 

ナッジスパロウの問いかけに、ツッキーは思い出した。

 

第3ウェーブが始まると同時に、ツムリから告げられた1つの通達を。

 

 

 

 

 

 

『魔導師ジャマト達を率いるリーダー格のジャマトも出現したという報告が入っています! 皆さん、くれぐれもご用心を!』

 

 

 

 

 

 

「そうだ……まだ、魔導師ジャマトのリーダーが出て来てない……!」

 

「そう。恐らく、リーダー格のジャマトはまだ何処かに潜んでいる。そいつも倒さない限り、このゲームは終わらないだろう」

 

「ふむ、リーダー格のジャマトねぇ。そんなのもいるとは、ますます興味深いものだな……」

 

クククと笑うリザだが、そんな彼を他所に、周囲をキョロキョロと見渡すツッキー。

 

彼女は今、この場にいないトゲッチこと透を探していた。

 

(透さん、あれから何処に行っちゃったんだろう……まさか、透さんまでジャマトにやられた訳じゃないよね……)

 

第1ウェーブで知り合った草太と瑞希は、その次の第2ウェーブで自身が知らない内に退場してしまった。

 

まさか、透まで同じような事になってはいないだろうかと、ツッキーは不安げな様子でスパイダーフォンを開き、現時点で生き残っているプレイヤーの人数を確認する。

 

その結果……ツッキーの悪い予感は、的中してしまった。

 

「……えっ」

 

スパイダーフォンに表示された、現在生き残っているプレイヤーのリスト。

 

生き残っているプレイヤーは、名前の項目が明るく表示されており、それが全部で10名。

 

残る22名のプレイヤーは全て、名前の項目が暗くなっており、その上から赤い文字で【LOSE】と表示されている。

 

生き残っているプレイヤーの中に、透の名前は表示されていなかった。

 

「そんな……透さんまで……ッ」

 

自身の知らないところで、親しくなったばかりのプレイヤーがまた1人、ジャマトにやられて退場してしまった。

 

この事実にツッキーが愕然とする中、そこに他の生き残っているライダー達も集まって来た。

 

その中には、インパルとアイボリーの姿もあった。

 

「あ? なんだなんだ、まだ終わりじゃねぇのかよ?」

 

「チッ、めんどくせぇな。いい加減休みたくてしょうがねぇんだがなぁ」

 

未だ1回戦が終わらない事に、苛立った様子で愚痴を零すインパルとアイボリー。

 

そんな2人の姿を見て、ツッキーはある事に気付き、そちらに視線が向いた。

 

それは、インパルが手にしているゾンビバックルだった。

 

「!? そのバックル、どうしてあなた達がそれを……!!」

 

「あん? あぁ、これか。そこらに落ちていたのを拾ったんだよ。どうせ、退場したライダーが落としたんだろうぜぇ」

 

「こんな良いバックル使ってて死ぬなんて、弱っちいよなぁ」

 

「ッ……透さん……まさか、本当に……」

 

「それは違うな」

 

インパルとアイボリーの言葉を真に受けてしまい、その場に俯くツッキー。

 

しかし、そこに待ったをかける人物がいた。

 

そう、ギーツである。

 

「落ちていたのを拾った? 無理やり奪い取ったの間違いだろう」

 

彼自身も、インパルとアイボリーの行いを直接見た訳ではない。

 

しかし彼が駆け付けた先で聞いた、インパルとアイボリーの下卑た笑い声、そして透の名前を叫ぶ道長の声から、ギーツはこの2人が透をリンチしてゾンビバックルを奪ったのだと推測していた。

 

「あぁ? んだとテメェ、人聞きの悪い事を言いやがって」

 

「俺達がやったって証拠はあんのかよぉ?」

 

「あるさ。お前達の手足に付いてるその返り血が、その証拠だ」

 

「「な、何?」」

 

ギーツがインパルとアイボリーの手足を指差し、2人は咄嗟に自分達の手足に視線を向ける。

 

しかし、2人の手足には返り血など少しも付いていない。

 

首を傾げる2人に、ギーツが不思議そうに呼びかけた。

 

「おいおい、自分の手足を見て何やってるんだ? お前らの手足には別に何も付いていないが」

 

「「ッ!?」」

 

それを聞いて、インパルとアイボリーはハッと気付いた。

 

ギーツの適当な嘘に、まんまと引っかけられたのだと。

 

「テ、テメェ……カマかけやがったな……!!」

 

「あぁ、まんまと化かされてくれたな」

 

指先でキツネの顔を作っておちょくるギーツに、インパルとアイボリーは仮面の下で歯軋りする。

 

そこに、真実を知って怒りを露わにしたツッキーが詰め寄った。

 

「それじゃあ、あなた達が透さんを……透さんを陥れたっていうんですか!!」

 

「……はんっ、だったら何だってんだよ」

 

それに対し、インパルとアイボリーは開き直った態度で答える。

 

「デザ神になれるのは1人だけなんだ。手段なんざ選んでられっかよ」

 

「透っつったか? あのお人好しは扱いやすくて本当に助かったぜぇ。あの間抜けのおかげで、こっちは強いバックルを手に入れる事ができたんだからなぁ」

 

「ッ……そんな事のためだけに、透さんを陥れたって言うんですか!! それも2人がかりで!! ふざけないで下さい!!」

 

「おいおい、こっちは大真面目だぜ? こっちだって、戦わなきゃ生き残れない訳だしなぁ」

 

「そうだぜ嬢ちゃん。これはそう、仕方のない事なんだよ」

 

「仕方ないって……そんな一言で済ませられる事じゃないでしょう!!」

 

「うるせぇな……粋がってんじゃねぇぞ小娘」

 

「あぐっ!?」

 

ツッキーの腹部をアイボリーが蹴りつけ、怯んだ彼女の首を右手で掴み上げる。

 

アイボリーに首を絞められてツッキーが苦しむ中、インパルが嘲笑しながら言い放つ。

 

「どんな手を使おうが、勝った奴が正義なんだよ……! むしろ、こんなゲームで仲良しこよしでいるお前らの方が普通じゃねぇんだ……!」

 

「俺達を恨もうってんなら筋違いだぜ? 奪われる奴が間抜けなのさ」

 

「ぐっ……何が正義ですか……あなた達なんかに、私は絶対負けません!! 絶対に……!!」

 

「へぇ、どう負けないってんだ? あん?」

 

「やってみろよ。やれるもんならなぁ」

 

「「ギャハハハハハハ!!」」

 

下卑た笑い声を上げるインパルとアイボリーに、怒りを抱きつつも悔しげに呻くツッキー。

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

ガァンッ!!

 

 

 

 

 

 

「おぶぇ!?」

 

「!?」

 

「ッ……げほ、ごほっ……!」

 

何処からか勢い良く投げられて来たレイズシールドが、アイボリーの顔面に直撃した。

 

顔面に強い衝撃を受けたアイボリーが地面に倒れ、彼の手が離れたツッキーがその場に膝を突き、咳き込みながらもレイズシールドが飛んで来た方向に視線を向ける。

 

その先には、レイズシールドを投げた張本人であるラミアの姿があった。

 

「おぉ、見事に顔面に当たったな」

 

「ッ……テ、テメェ、いきなり何しやがる……!!」

 

「いや、別に。弱い犬共がキャンキャンとうるさかったから、少し静かにさせてやろうかと思っただけだ」

 

冷徹な口調でそう吐き捨てるラミア。

 

どうやら彼女から見ても、インパルとアイボリーの態度や行いは目に余る物があったようだ。

 

「んだと、このアマァ……痛い目に遭いてぇらしいな……!!」

 

「何だ、貴様も来るのか? 面白い、かかって来ると良い。ルーキー共」

 

「上等だ、ぶっ殺してや―――」

 

「おっと、その辺にしとけ」

 

ラミアに挑発され、怒りのままにゾンビバックルをドライバーに装填しようとするインパル。

 

そこに突然、ギーツがマグナムシューター40Xの銃撃を放ち、インパルの足元に撃ち込む形で待ったをかけた。

 

「ッ……テメェ、邪魔すんな!!」

 

「まぁ待て。喧嘩なら後にしろ……ほら、ゲストのご登場だ」

 

「ゲスト?」

 

ギーツが見上げた先に、他のライダー達も一斉に視線を向ける。

 

その先に見えた光景から、ナッジスパロウはギーツの言葉の意味を理解した。

 

「なるほど……魔導師ジャマトのリーダーがお出ましか……!!」

 

ナッジスパロウが見上げた先。

 

その先の上空には、大きな金色の魔法陣が浮かび上がっており、その上に1体のジャマトが乗り込んでいた。

 

「コワズオズ、ビチャワズオズ……」

 

赤いキノコとキヌガサタケが組み合わさったかのような、不気味な形状をした頭部。

 

黒い外套をその身に纏ったその異形の存在―――“賢者ジャマト”の手には、赤い宝玉の装飾が付いた金色の杖が構えられており、何やら小声で呪文のような何かを唱え始めていた。

 

「ほぉ、魔導師ジャマト達のリーダーか……これは興味深い……!」

 

「つまりだ。奴を倒せば、このゲームが終わるという訳か」

 

「コワズオズ、ビチャワズオズ……!」

 

賢者ジャマトが杖を掲げながら、呪文を唱え続ける。

 

すると、賢者ジャマトの正面に浮かび上がった巨大な緑色の魔法陣が、緑色の電流をバチバチと発し始めた。

 

それを見たギーツが咄嗟に叫ぶ。

 

「ッ……避けろ!!」

 

「オヴォンダ、キョビヴエファーッ!!!」

 

ピシャアアアアアンッ!!!

 

「うわぁ!?」

 

「ぬぉう!?」

 

「くっ!!」

 

「チッ……!!」

 

賢者ジャマトが杖を振り下ろした次の瞬間。

 

緑色の魔法陣から放たれた雷撃が、地上にいるライダー達に向かって降り注ぎ始めた。

 

ライダー達はバラバラに散らばって雷撃を回避し、その中でギーツがマグナムシューター40Xをライフルモードに切り替え、賢者ジャマトに狙いを定める。

 

≪CHARGE≫

 

≪TACTICAL SHOOT≫

 

「フッ!!」

 

マグナムシューター40Xから放たれた1発の銃撃。

 

それは賢者ジャマト目掛けて飛来するが、それに気付いた賢者ジャマトがすぐさま杖を振りかぶった。

 

「ボチャチャ!!」

 

「! へぇ……」

 

賢者ジャマトが杖を振りかぶった瞬間、賢者ジャマトの目の前にオレンジ色の魔法陣が出現し、それがギーツの放った弾丸を防いでしまった。

 

それを見たギーツは特に驚かず、むしろ仮面の下で不敵な笑みを浮かべた。

 

「なるほど、アイツも只者じゃないようだな」

 

「トトキスワスルーッ!!」

 

「「「「「ジャッジャッジャッジャッ……!!」」」」」

 

「うわ、また出て来た!?」

 

賢者ジャマトの指令と共に、再びライダー達の前に複数の魔導師ジャマト達が出現。

 

それらが一斉にライダー達に襲い掛かり、ライダー達もそれぞれの武器で応戦し始めた。

 

「へぇ、面白ぇ……それなら、アイツは俺がぶっ倒してやるよ」

 

そんな中、大胆不敵な行動に出ようとしていたのがインパルであり、彼は賢者ジャマトに狙いを定めていた。

 

強力な力を持つゾンビバックルを手にしている事で、今の自分なら勝てると踏んだのだろう。

 

「俺の強さを見せてやるぜ……!!」

 

ゾンビバックルを構え、ドライバーに装填しようとするインパルだったが……ここで、思わぬ邪魔が入った。

 

「おい、待てよ」

 

「……あ?」

 

それは、インパルと共謀していたはずのアイボリー。

 

アイボリーの右手が、ゾンビバックルを構えたインパルの右腕を掴んでおり、彼の動きを妨害していた。

 

「お前だけずりぃじゃねぇか。俺にも使わせろよ、それ」

 

「あぁん?」

 

アイボリーがインパルの動きを止めた理由はただ1つ。

 

それは、現在インパルが手に持っているゾンビバックルを、自分が使うためだった。

 

もちろん、そう言われたインパルは苛立った様子で言い返す。

 

「何言ってやがんだテメェ。こいつを先に拾ったのは俺だぞ? テメェはすっこんでろよ」

 

「おいおい。誰がお前のチンケな作戦に付き合ってやったと思ってんだ? わかったらとっとと寄越せ」

 

「なっ、テメ、ふざけんじゃねぇ!! コイツはもう俺のもんだ!! 汚ぇ手で触んな!!」

 

「あぁん!? テメェこそ馬鹿言ってんじゃねぇ!! 人が手伝ってやったってのに、恩を仇で返しやがって!!」

 

「何が恩だクソ野郎が!!」

 

段々ヒートアップし、止まらなくなってしまったのか。

 

ゾンビバックルを使用する権利を巡って、インパルとアイボリーは掴み合いの争いに発展してしまった。

 

それも、賢者ジャマトや魔導師ジャマト達との戦闘中にである。

 

「おやおや。この非常時に、あんなつまらない喧嘩をするとはね」

 

「呆れて物も言えんな、全く」

 

これには、近くで見ていたナッジスパロウとリザも呆れ果てる他ない。

 

彼らがやれやれと首を横に振っていたその時、賢者ジャマトに再び動きがあった。

 

「コワズオズ、ビチャワズオズ……!!」

 

賢者ジャマトが杖を高く振り上げると、賢者ジャマトの正面に複数の青い魔法陣が出現。

 

青い魔法陣から白い冷気が噴出し始めているのを見て、身の危険を察知したギーツがその場で叫んだ。

 

「また来るぞ!!」

 

「スワステウン、ツームラタダラヴォモ!!!」

 

「なっ!?」

 

「これは流石にマズいね……!!」

 

賢者ジャマトが杖を振り下ろすと同時に、青い魔法陣から巨大な氷塊が放出され、それが地上に向かって落下し始めた。

 

ギーツやラミア、ナッジスパロウ達が即座に回避に動くが、そんな状況下でも、インパルとアイボリーの争いはまだ続いていた。

 

「危険です!! そこから離れて!!」

 

「あぁ!? うるせぇ!!」

 

「関係ねぇ奴は黙って―――」

 

ツッキーが慌てて呼びかけるが、ゾンビバックルを奪い合っているインパルとアイボリーは聞く耳を持たなかった。

 

しかし、2人の周囲が真っ暗になった事で、ようやく事態に気付いた2人が真上を見上げた……次の瞬間。

 

「「えっ―――」」

 

ドズゥンッ!!!

 

轟音と共に、地上に落下した巨大な氷塊。

 

それが、落下先にいたインパルとアイボリーを纏めて押し潰してしまった。

 

断末魔が上がる間もなく、2人を押し潰した氷塊はその場でバラバラに砕け散り、その破片が周囲に散らばっていく。

 

そして、氷塊が落下した地点の中央には……地面に減り込んだまま、動けないでいるインパルとアイボリーの姿があった。

 

「が、あっ……ぉ……」

 

「ぐ、げふぅ……ッ」

 

巨大な氷塊に押し潰された結果、断末魔すら上げる事もままならないインパルとアイボリー。

 

2人は地面に減り込んだ状態のまま、ボディ全体に少しずつ赤いノイズが走り始め……やがて、2人はその場から跡形もなく消滅してしまった。

 

≪≪MISSION FAILED≫≫

 

「なっ……」

 

ゾンビバックルを遺し、呆気なく退場したインパルとアイボリー。

 

それを近くで見せつけられたツッキーは、ライダーが退場する事が一体どういう事なのか、それを思い知らされる形となった。

 

「これでまた、2人ほど退場か」

 

「バックルに気を取られ過ぎた結果がこれとは……もはや、強い弱い以前の問題だな」

 

インパルとアイボリーの退場を見てもなお、ナッジスパロウとリザは特に興味のなさげな口調で告げる。

 

卑劣な輩だったとはいえ、人が目の前で死んだというのに。

 

それに対する彼らの反応は、あまりにも冷淡だった。

 

「ッ……どうして……」

 

一方で、ツッキーはこの状況に納得していなかった。

 

先程までインパルとアイボリーが減り込んでいた地面を見据えながら、ツッキーは仮面の下で歯軋りする。

 

(こんな事で、あっさり終わるなんて……!!)

 

ツッキーは許せなかった。

 

インパルとアイボリーが透に行った所業が。

 

それほど卑劣な奴らが、こんなあっさりと退場してしまった事が。

 

(こんなの、あんまり過ぎる……!!)

 

インパルとアイボリーが透にやった事は、決して許される事ではない。

 

しかし、あくまで彼らは、このデザイアグランプリで勝ち残る事を目的としていた。

 

そんな彼らが、ここで退場してしまったという事はだ。

 

彼らに陥れられた透は、完全に無駄死にしてしまったという事ではないか。

 

そんな非情過ぎる事実に、ツッキーは心の中で、やり場のない怒りが渦巻いていく。

 

「こんなの……透さんは一体、何のために死んでしまったんですか……!!」

 

「単純な理由だ」

 

ツッキーが投げかけるように零した言葉に、ラミアが答えを返した。

 

「その透という男が、連中にとって都合の良い獲物だったから。それ以外に深い理由などありはしない」

 

「けど、そんなの……!!」

 

「納得できないか? だが、貴様が納得できるかどうかは関係なく、ゲームは続いていく」

 

レイズプロペラで魔導師ジャマトを薙ぎ倒した後、ラミアはあくまで冷徹な口調でツッキーに語りかける。

 

「連中が言っていた通り、デザ神になれるライダーは1人だけ。己の理想のために、ライダー達はお互いを蹴落とし合う。今回、連中が起こした悲劇ですら、デザイアグランプリの歴史上においては、ほんの小さな出来事の1つとして片付けられる」

 

「ほんの、小さな……」

 

「小娘、今だけでも(・・・・・)覚えておけ……これがデザイアグランプリだという事を……!!」

 

レイズプロペラを回転させ、その場から高く飛翔したラミア。

 

彼女はそのまま、上空に浮かび上がる金色の魔法陣に立っている賢者ジャマトに向かって特攻するが、それに気付いた賢者ジャマトがすぐさま杖を振るい、赤い魔法陣から放たれた火炎弾でラミアを撃ち落とそうとする。

 

そんな激しい攻防が上空で繰り広げられる中、地面に膝を突いて俯いていたツッキーの下に、マグナムシューター40Xで狙撃を仕掛けていたギーツが近付いて来た。

 

「納得が行かないなら、納得が行くまで戦い続けろ。彼女が言いたいのは、要はそういう事さ」

 

「!」

 

「それとも、このまま指を咥えて見てるだけで終わるのか?」

 

ギーツは敢えて、少しだけ挑発の込められた台詞をツッキーに投げかける。

 

それに対し、俯いていたツッキーは少しずつ顔を上げていく。

 

「納得が行くまで、戦い続ける……」

 

顔を上げたツッキーの視界に映る、地面に落ちているゾンビバックル。

 

それを見た時、彼女の中で、1つの覚悟が決まった。

 

「私は……!」

 

その場から立ち上がり、ゾンビバックルが落ちている場所へと駆け出したツッキー。

 

そこに1体の魔導師ジャマトが剣を振り下ろそうとしたが、それはギーツの狙撃で阻止される。

 

それにより、ゾンビバックルを拾い上げる事に成功したツッキーは、ドライバーからハンマーレイズバックルを取り外し、代わりにゾンビバックルを装填した。

 

≪SET≫

 

「私は……戦い続ける!!」

 

≪GRAB!≫

 

≪CLASHOUT!≫

 

≪ZOMBIE≫

 

≪READY FIGHT≫

 

ゾンビバックルが毒液を噴出し、そこから形成されていく装甲。

 

それを上半身に装備したツッキー・ゾンビフォームがゾンビブレイカーを右手に構えると、それを見たギーツは自身のドライバーからマグナムバックルを取り外した。

 

「あ、そうだ。さっきのハンマー貸してくれない?」

 

「へ? え、えっと、これですか?」

 

「そう、それそれ」

 

≪SET≫

 

≪DUAL ON≫

 

≪BOOST ARMED HAMMER≫

 

≪READY FIGHT≫

 

ツッキーが先程まで使っていたハンマーバックルを投げ渡され、ギーツはそれをドライバーの右側に装填。

 

ハンマー、ブーストの順にバックルを操作し、“アームドハンマーブースト”の姿へとチェンジしたギーツは、再度ブーストバックルのハンドルを握り締める。

 

≪BOOST TIME≫

 

「俺が奴の所まで打ち上げる。思いっきり跳べ!」

 

「! は、はい!」

 

≪POISON CHARGE≫

 

ギーツの意図を理解したツッキーは、ゾンビブレイカーのポンプ部分を左手でスライドさせると、ギーツの下まで駆け出す。

 

ブーストタイムを発動させたギーツも、構えたレイズハンマーにエネルギーを収束させていく。

 

≪BOOST HAMMER≫

 

≪GRAND VICTORY≫

 

「「はぁっ!!」」

 

跳躍したツッキーが、ギーツの構えたレイズハンマーの上に足を乗せる。

 

その瞬間、ギーツはレイズハンマーを勢いよく振り上げ、ツッキーを真上に向かって打ち上げた。

 

ギーツの手で高く打ち上げられたツッキーは、そのまま賢者ジャマトのいる金色の魔法陣まで一気に跳び上がって行く。

 

その光景は、ナッジスパロウとリザも離れた位置から見届けていた。

 

「向こうの方は、彼女達だけでどうにかなりそうだな」

 

「そのようだね……なら僕達は、こっちの雑兵達を片付けるとしよう」

 

≪GYA!≫

 

未だ数が残っている魔導師ジャマト達に対し、両者は慌てる事なくそれぞれのバックルを操作。

 

モンスターバックルを2回叩いたナッジスパロウが高く跳躍する中、ドリルバックルを操作したリザはレイズドリルを高速で回転させながらまっすぐ突撃し、正面側に立っていた魔導師ジャマトのボディを刺し貫いた。

 

≪DRILL STRIKE≫

 

「ジャッ!?」

 

「ぜりゃあっ!!」

 

1体だけでなく、2体、3体、4体と魔導師ジャマト達を貫いて行くリザ。

 

その真上からは、跳躍したナッジスパロウが右腕を振り下ろそうとしていた。

 

≪MONSTER STRIKE≫

 

「フンッ!!!」

 

「「「ジャジャーーーーーッ!?」」」

 

ナッジスパロウが振り下ろした右腕から放たれる、拳のような形をした巨大なエネルギー弾。

 

その一撃が、地上にいた残りの魔導師ジャマト達を纏めて押し潰し、大爆発を引き起こす。

 

爆炎が吹き荒れる中、地面に着地したナッジスパロウは、眼鏡の弦を上げるかのように指先で仮面に触れるのだった。

 

 

「キョキョビタダラ、クエンッ!!」

 

「ッ!? チィ……!!」

 

一方で、賢者ジャマトの周囲を飛び回っていたラミアは、賢者ジャマトが魔法陣から飛ばして来る岩石をひたすら回避していた。

 

しかし回避はできても、岩石が絶え間なく飛んで来るせいで、ラミアは思うように反撃ができずにいた。

 

(おまけに、接近してもあの固い防御がある……どうするべきか?)

 

半端な攻撃では、賢者ジャマトが出現させたオレンジ色の魔法陣で防御されてしまう。

 

どう攻めるのがベストかと、ラミアが飛んで来る岩石を回避しながら考えていた時だった。

 

 

 

 

 

 

≪TACTICAL BREAK≫

 

 

 

 

 

 

「うおりゃあああああああっ!!!」

 

「ジャッ!?」

 

「!?」

 

賢者ジャマトの真下から、ゾンビブレイカーを構えながら凄まじい勢いで跳び上がって来たツッキー。

 

鎖鋸の高速回転したゾンビブレイカーを投げつけた彼女は、それを防御するべく賢者ジャマトが出現させたオレンジ色の魔法陣に直撃させ、魔法陣を大きく罅割れさせる事に成功した。

 

「ラサツームッ!?」

 

「! ほぉ、やるな……!」

 

賢者ジャマトの防御が崩れかけた事で、好機と見たラミアも動き出す。

 

プロペラ、シールドの順にバックルを操作し、レイズプロペラによる飛行速度が更に上昇したラミアは、左手に構えていたレイズシールドを正面に突き出し、賢者ジャマト目掛けて猛スピードで突撃した。

 

≪PROPELLER SHIELD VICTORY≫

 

「はあああああああっ!!」

 

「ジャッ……ジャーーーッ!?」

 

ラミアが高速飛行しながら繰り出したシールドバッシュは、賢者ジャマトを守っていたオレンジ色の魔法陣を完全に破壊し、防御を破られた賢者ジャマトの体勢が崩れた。

 

その時、賢者ジャマトの目の前まで跳び上がって来たツッキーは、ドライバーに装填しているゾンビバックルを操作し、エネルギーが収束された左腕のバーサークローを高く振り上げる。

 

≪ZOMBIE STRIKE≫

 

「これでも……喰らえええええええっ!!!」

 

「ジャーーーーーーーッ!!?」

 

賢者ジャマト目掛けて、バーサークローを力強く振り下ろすツッキー。

 

その動きはまるで、ゴール目掛けてダンクシュートを決めるバスケの選手の如く。

 

バーサークローによって切り裂かれた賢者ジャマトは、その衝撃で魔法陣ごと大爆発を引き起こし、跡形もなく消え去ってしまった。

 

『ミッション、コンプリートです!』

 

賢者ジャマトが倒された事で、魔導師ジャマトの軍団は遂に全滅。

 

それにより、1回戦の終了を知らせるツムリのアナウンスが鳴り響くのだが……約1名、それどころではなかった。

 

「お、落ちるううううう!?」

 

それは、賢者ジャマトを撃破した後のツッキーである。

 

ギーツの作戦に乗り、賢者ジャマトの所まで大きく跳躍したところまでは良かった。

 

しかし、その後の着地について全く考えていなかった彼女は、悲鳴を上げながら地上に落下しようとしていた。

 

自分はこのまま、地面に強く叩きつけられてご臨終となってしまうのか。

 

危うく走馬灯まで見えそうになったツッキーだったが……その心配は無用だった。

 

「……あ、あれ?」

 

突如、ツッキーの落下がピタッと止まる。

 

何事かと思ったツッキーが上を見上げた先には、右手でレイズプロペラを回転させながら、左手でツッキーの右手を掴んでいるラミアの姿があった。

 

「大丈夫か?」

 

「え……は、はい、大丈夫です」

 

「そうか……なら良い」

 

そう言って、ツッキーから視線を外すラミア。

 

一方でツッキーも、ラミアに対して困惑を隠せなかった。

 

(さ、さっきまでと、雰囲気が違う……?)

 

先程までの苛烈かつ冷徹な雰囲気と違い、今のラミアはいくらか穏やかな雰囲気を醸し出している。

 

これが、ついさっき自身に厳しい言葉を投げかけて来た人物なのか?

 

そんな疑問に駆られるツッキーの手を、ラミアは決して離す事なくレイズプロペラでゆっくりと地上まで降下していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




仮面ライダーギーツ!

ツムリ「この場にいる皆さんが、2回戦進出となります」

火炎「俺とお前さんなら、きっと仲良くできると思ったんだが」

四葉「貴様の気持ちも、決して分からん訳ではない」

???「見つけ出したいのさ……いなくなってしまった“あの娘”を」
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