仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム   作:ロンギヌス

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お待たせして申し訳ありません。24話、ようやく書けました。

ちなみに先週の土日、作者は『ガッチャード&ギーツ』を見に行きました。

作者は泣きました←

なお、まだ映画を見れていない人達のためにも、感想欄での映画ネタバレコメントは控えるようにお願い致します。










・主なプレイヤー

瑠璃川四葉/仮面ライダーラミア
今井透/仮面ライダートゲッチ
石村火炎/仮面ライダーリザ
猿山信吾/仮面ライダーヒヒ
朝霞夢乃/仮面ライダーツッキー
五十鈴大智/仮面ライダーナッジスパロウ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ

参加人数:32名

現在生き残っている人数:8名







・現在のデュオ

1組目︰●ラミア&○ブートン
2組目︰○ツッキー&◯ナッジスパロウ
3組目︰●リザ&●ギーツ
4組目︰◯ヒヒ&◯クダール





第24話:躊躇わない者

「ジャジャーッ!!」

 

「ッ……チィ!!」

 

白リバーシジャマトが振り下ろして来た槍を、咄嗟に横に回避するラミア。

 

すかさず白リバーシジャマトを蹴り飛ばした彼女は、他のリバーシジャマト達の攻撃をかわしながら、自分達のデュオにスコアが入らなかった原因を探り始める。

 

(おかしい……何故私と杉村で色が違う……?)

 

ラミアが目を付けたのは、スパイダーフォンに表示されているデュオの背景の色の違いだ。

 

先程までラミア・ブートンデュオの背景はどちらも黒だったはず。

 

それが何故か、ブートンの方は色が黒から白に変わっていたのだ。

 

(色が変わるような事態が何処かで発生したのか? だとすればいつ……)

 

考えている途中で、ラミアはハッと気付いた。

 

それは、ゲームが再開されてから間もなくの出来事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『くそ、ただでさえ倒す方法がわからねぇってのにこの数かよ……!!』

 

『『ジャジャジャーッ!!』』

 

『な、ぐあぁっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――まさか、あの時に!?)

 

2体の白リバーシジャマトが、ブートンを左右から同時に攻撃して来た時。

 

この時、背景の色が黒だったブートンは、2体の白リバーシジャマトに挟まれて攻撃された(・・・・・・・・・)事により、色が黒から白に変えられてしまったのだ。

 

「そういう事か……ッ」

 

原因はわかった。

 

ならば取るべき手段は1つ。

 

そう考えたラミアに、黒リバーシジャマトの攻撃に怯んで後退して来たブートンが合流する。

 

「な、なぁ、どうすりゃ良いんだ俺達は!?」

 

「慌てるな。私が何とかする」

 

「へ?」

 

首を傾げるブートンから離れ、ラミアはリバーシジャマト達のいる方へと接近。

 

黒リバーシジャマトが突き立てて来た槍をレイズプロペラで防御した後、ラミアは槍を掴んで黒リバーシジャマトを遠くに投げ飛ばしてから、近くにいた2体の白リバーシジャマトに向かって呼びかけた。

 

「さぁ来い、雑魚共……!」

 

「「ジャ……ジャジャーッ!!」」

 

ラミアが指先で挑発すると、2体の白リバーシジャマトがそれに反応し、ラミアを前後から挟み撃ちにしようとする。

 

それに対しラミアは、レイズプロペラを構えたポーズを取るが、その状態のまま動こうとしない。

 

その光景を見たブートンは困惑した。

 

「お、おい、何やってんだ!? 危ないぞ!!」

 

ブートンが慌てて叫ぶ中、白リバーシジャマト達が前後から同日槍を振り上げ、ラミアに向かって斬りかかる。

 

それを見たラミアは、突然構えていたレイズプロペラをそっと下ろし……。

 

「「ジャーッ!!」」

 

ズギャアッ!!

 

「ぐっ……!!」

 

2本の槍が、前後からラミアの胸部と背中を同時に斬りつけた。

 

斬られた痛みから、ラミアは仮面の下で僅かに表情を歪める。

 

しかしそれもほんの一瞬だけで、ラミアはすぐにレイズプロペラを振り上げ、追撃を仕掛けようとした白リバーシジャマト達を纏めて一閃した。

 

「「ジャジャーッ!?」」

 

「ふぅ……よし、これで良い」

 

ラミアはスパイダーフォンを開き、スコア表を確認する。

 

ラミアの推測通り、ラミアの背景の色は黒から白に変わっていた。

 

「杉村!! 白い方はひとまず放置だ、黒い方を先に片付ける!!」

 

「へっ!? あ、おっ……おう!!」

 

ラミアの叫ぶ言葉に、ブートンは未だ困惑を隠せずにいたものの、ひとまずは彼女の指示に従い、黒リバーシジャマトから優先的に攻撃し始めた。

 

その様子を、ナッジスパロウとツッキーは離れた場所から見ていた。

 

「驚いた。ジャマト達にわざと自分を攻撃させる事で、無理やり自分の色を変えるなんてね」

 

「な、なんて恐ろしい事を……」

 

ラミアがわざと白リバーシジャマトに攻撃された理由はただ1つ。

 

白リバーシジャマトに挟み撃ちで攻撃される事により、自身の色を黒から白に強引に変えるためだった。

 

しかしそれは、一歩間違えれば自らを退場へと追い込みかねない危険な策。

 

それを何の躊躇いもなく実行に移したラミアの胆力に、ナッジスパロウは興味深そうに呟き、ツッキーは驚かされる一方だった。

 

「スコアは意地でも手に入れてみせる……構えろ、杉村ッ!!」

 

≪PROPELLER STRIKE≫

 

邪魔な白リバーシジャマトを掴んで放り投げた後、ラミアはプロペラバックルを操作し、再び必殺技の構えを取る。

 

正面に突き出したレイズプロペラのローター部分を高速回転させ、正面に立っていた黒リバーシジャマトを巻き込みながら猛スピードでまっすぐ突っ込んでいく。

 

「え、ちょ、待て待て待て待て!?」

 

≪SHIELD STRIKE≫

 

「ジャ……ジャーーーーーッ!?」

 

それに気付いたブートンも慌ててシールドバックルを操作し、レイズシールドを正面に突き出す。

 

それにより、ラミアのレイズプロペラに巻き込まれていた黒リバーシジャマトがレイズシールドと挟まれ、大爆発を引き起こした。

 

爆発の衝撃で態勢の崩れたブートンが地面に転ぶ中、ラミアはスパイダーフォンに映るスコア表に視線を向ける。

 

ラミア・ブートンデュオのスコアには、200ポイントが加算されていた。

 

「よし、これでようやくか……ッ!?」

 

「ア、アンタなぁ! やるんならもっと早めに言ってくれよ! こっちも心の準備ってもんが……ねぇ聞いてる!?」

 

ブートンの抗議の声は、スパイダーフォンの画面を注視しているラミアには聞こえていなかった。

 

スパイダーフォンの画面に映る、それぞれのデュオのスコアは、ラミア・ブートンデュオとヒヒ・クダールデュオがそれぞれ200ポイント、リザ・ギーツデュオが600ポイント、そしてツッキー・ナッジスパロウデュオが1000ポイント。

 

現時点では、ツッキー・ナッジスパロウデュオがリードしていた。

 

「出遅れてしまったか……早いところ取り戻さなければ……!」

 

 

時は戻り、数分前。

 

リザ・ギーツデュオの2人と、ヒヒ・クダールデュオの2人は、とある遊園地のヒーローショーのステージにてリバーシジャマト達と対峙していた。

 

ギーツとリザがそれぞれの武器で順調にリバーシジャマト達を相手取っている一方、ヒヒは未だ及び腰のクダールに苛立っていた。

 

「おい、さっさと動け!! まだ1体しか倒せてねぇだろうが!!」

 

「そ、そんな事言われても……さっき倒せたのだって、たまたま攻撃が当たっただけで……」

 

「うるせぇ!! 良いから働けっつってんだ!!」

 

「ひぃ!? わ、わかったから、お願い蹴らないで……!!」

 

ヒヒがクダールの尻を蹴りつけて無理やり前進させる中、近くで黒リバーシジャマトの首を掴んでいたリザは呆れた様子で溜め息をついた。

 

「やれやれ。チームワークがなってないな、向こうさんは」

 

「好都合だ。この隙に俺達は一気に稼がせて貰おう」

 

「「ジャジャジャッ!?」」

 

ギーツはマグナムシューター40Xで数体の黒リバーシジャマトを狙撃し、ステージ外へと吹き飛ばす。

 

それから構えていたマグナムシューター40Xを下ろし、ドライバーを半回転させたギーツはその場でリボルブチェンジを行い、マグナムフォームの装甲を下半身側に装備した。

 

「よっと」

 

≪REVOLVE ON≫

 

「さて……リザ、そこで構えてろ。俺がそっちに飛ばす」

 

「フッ、良いだろう」

 

≪DRILL STRIKE≫

 

ギーツの指示を受け、ステージ上に待機したリザはドライバーのドリルバックルを操作し、レイズドリルにエネルギーを収束させていく。

 

その間に、ギーツは前方にいる3体の白リバーシジャマトに狙いを定めた。

 

「はっ!」

 

「ジャッ!?」

 

3体の内、一番前に立っていた白リバーシジャマトが振り下ろして来た槍を両手で難なくキャッチしたギーツは、そのまま白リバーシジャマトを自身の方へと引っ張り寄せ、白リバーシジャマトの腹部に右足で膝蹴りを喰らわせる。

 

その際、展開していない右足のアーマードガンが上方向に弾丸を放ち、白リバーシジャマトに大ダメージを与えてから強く蹴り飛ばし、後方の2体も巻き込んで転倒させた。

 

「リバーシなら、こういう事もできるよな?」

 

≪MAGNUM STRIKE≫

 

「「「ジャッ!?」」」

 

マグナムバックルを操作し、ギーツは立ち上がろうとしている前方の白リバーシジャマト目掛けて、右足でハイキックを繰り出す。

 

その蹴りが一番前の白リバーシジャマトに命中した瞬間、即座に展開されたアーマードガンから火力の上がった弾丸が連射され、3体の白リバーシジャマトを纏めてステージ上に吹き飛ばしていく。

 

「フンッ!!」

 

「「「ジャジャーーーッ!!?」」」

 

そして吹き飛んだ先で待ち構えていたリザが、正面に突き出したレイズドリルで3体纏めて貫き、白リバーシジャマト達が爆散。

 

白リバーシジャマト達が跡形もなく消滅した後、リザ・ギーツデュオのスコアには一気に600ポイントが加算された。

 

「フッ、なるほど。一度に複数体を纏めて倒せば良い……という訳か」

 

「あぁ。本来のリバーシも同じだ。同じ色で挟めば、一度に複数枚裏返せるだろう?」

 

一気に高得点を獲得し、順調なリザ・ギーツデュオ。

 

その様子を近くで見ていたヒヒは、仮面の下で小さく舌打ちする。

 

(チッ……やっぱ、このままじゃ他の連中に勝てねぇな)

 

こうなった以上、取るべき手段は1つ。

 

ヒヒはクダールの首根っこを掴んで引っ張り寄せ、「うっ」と呻く彼の仮面を右手掴みながら小声で語りかけた。

 

「おい、こうなりゃ手段は選んでられねぇ……精々、俺の役に立って貰うとしようか」

 

「ッ……わ、わかってるよ……」

 

ドスの利いた声で告げるヒヒに、クダールはすっかり怯え切った様子で頷く。

 

ここからヒヒ・クダールデュオは、ある行動を開始する事となる。

 

 

「皆さん、お疲れ様でした」

 

数十分後。

 

デザイア神殿のサロンに戻って来た一同に、ツムリは普段通りのにこやかな笑顔で現在のランキングを伝えた。

 

「現在のランキングは、ツッキー・ナッジスパロウデュオが1位、リザ・ギーツデュオが2位、ラミア・ブートンデュオとヒヒ・クダールデュオが同率3位となっています。再びリバーシジャマトが現れるまで、しばらくお待ち下さい」

 

ツムリがそう告げて立ち去った後。

 

英寿は不敵な笑みを浮かべながら、カウンター席に座っている四葉に後ろから声をかけた。

 

「何やら不調みたいだな。先輩」

 

「そろそろ手が出るぞ貴様……何の問題もない。ここから一気に挽回すれば良いだけの話だ」

 

「あのさぁ、俺を挟んで喧嘩すんのやめてくんねぇかな……?」

 

英寿と四葉の2人が変わらず火花を散らし合い、間に挟まれた哲夫が2人の圧で縮こまっているその一方。

 

離れた場所のソファに座っていた清が、切り傷のできている右頬を痛そうに擦っており、それに気付いた夢乃が歩み寄った。

 

「あの、大丈夫ですか? その怪我……」

 

「へ? あ、えっと……ジャマトに思いきり殴られちゃってさ。だ、大丈夫、放っとけばすぐ治るから……はははっ」

 

「駄目ですよ、そういうのはちゃんと手当てしないと! ほら、こっち来て下さい! ギロリさん、救急箱ってありませんか!」

 

「え、あ、ちょっ……」

 

何かを誤魔化すように笑う清だったが、そんな彼を放っておけなかったのか。

 

夢乃は清の手を掴むと、すぐにカウンターの方にいるギロリの所へと向かって行く。

 

その様子を、火炎と大智は別のソファに座って眺めていた。

 

「お優しいねぇ、彼女。この面子の中で一番の癒しだ」

 

「まぁ、少し真面目過ぎる気もするけどね……」

 

火炎と大智がそう語り合う中。

 

壁際のソファに座っていた信吾は、カウンターでギロリから救急箱を借りている夢乃と清の姿を眺めながら、静かに笑っていた。

 

(さて、まずは1人目だ……しっかりやれよな……)

 

怪しげに笑う信吾。

 

そんな彼の様子にただ1人気付いた四葉は、誰にも見られないところで密かにスパイダーフォンを取り出していた。

 

(あの男……念のため、もっかい張らせておく(・・・・・・)か……)

 

スパイダーフォンが変形し、蜘蛛の姿に変わる。

 

四葉の手から離れた後、スパイダーフォンは近くの壁に張り付くと、そのまま天井へと移動を開始した。

 

 

「痛てて……っ」

 

「あ、すみません! 大丈夫ですか?」

 

「う、ううん、大丈夫。ちょっと染みただけだから」

 

その後。

 

ギロリから救急箱を借りた夢乃は、清を病室まで連れてから、彼の顔の切り傷を手当てし始めた。

 

消毒液が傷口に染み込み、僅かに表情を歪める清だったが、何とか我慢して夢乃の処置を受け続ける。

 

「凄い、手慣れてるんだね夢乃ちゃん」

 

「私、学校ではバスケ部のマネージャーをやってて。幼馴染がよく怪我するたび、私が手当てしてたんです」

 

「そっか……凄いなぁ。俺なんか何やっても駄目駄目で。今回のゲームだって、猿山さんの足引っ張っちゃって……」

 

「無理もありませんよ。こんな命懸けのゲーム、清さんの反応が普通だと思います……はい、処置終わりました」

 

「あ、ありがとう……」

 

「いえ、どういたしまして。あ、ちょっと」

 

消毒した傷口にガーゼを貼り、無事に処置を終えた夢乃。

 

清が礼を告げた後、夢乃は救急箱をギロリに返すべく、一度病室を出て行った。

 

「……」

 

夢乃が出て行った後、清はチラッとベッドの下に置かれているカバンに目を向ける。

 

それは夢乃が普段から所有していたカバン。

 

そのカバンの中には、彼女がゲームで使用しているデザイアドライバー、そしてゾンビバックルとハンマーバックルが入っていた。

 

「ッ……ごめん、夢乃ちゃん……」

 

この場にいない夢乃に謝罪する清。

 

その表情は、どこか罪悪感のようなものに満ちていた。

 

 

翌日。

 

戦いの舞台は、ジャマーエリアが発生したとある造船所区画へと移る。

 

今回は全てのデュオが同じ場所に集結していたのだが……この日、一同は思わぬ事態が発生していた。

 

「そんな、どうして何処にもないの……!?」

 

デザイアドライバーを装着した夢乃は、自身のカバンの中を必死に漁る。

 

しかし、どれだけ漁っても、彼女が探している物は見つからなかった。

 

「夢乃さん? 一体、何があったんだ……?」

 

「あ、大智さん! どうしよう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のバックルが、何処にもないんです……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バックルの紛失。

 

そんな夢乃のトラブルは、すぐさま他の面々にも伝わった。

 

「バックルを紛失した……!?」

 

「そうなんです……ゾンビバックルも、ハンマーバックルも何処にもなくて……!」

 

「誰かに盗まれた……? だとしたら、一体誰が……」

 

「おい、どうなってんだ!!」

 

そんな中、夢乃と同じトラブルが発生している人物がいた。

 

哲夫もまた、デザイアドライバーだけ装着した状態で慌てている様子だった。

 

「俺のシールドバックルが何処にもねぇ!? おい、誰が盗みやがったんだ!!」

 

「え、杉村さんも……!?」

 

夢乃だけでなく、哲夫もシールドバックルが紛失してしまっていた。

 

そのせいで、彼は他のプレイヤー達に疑いの目を向け始める。

 

「少なくとも俺は知らないな」

 

「あぁ、俺も知らん」

 

「本当か!? 嘘じゃないだろうな!?」

 

哲夫が英寿と火炎に問い詰めているその一方で、彼や夢乃が困り果てている様子を、離れた場所で笑いながら眺めている人物がいた。

 

(へへっ、少しはやるじゃねぇか。腰抜け)

 

「……ッ」

 

信吾だ。

 

彼は隣に立っている清の肩に手を置きながら小声で語りかけ、清はばつの悪そうな表情で視線を逸らす。

 

そう、全ては信吾が仕掛けた悪巧みだった。

 

相方である清に、他のプレイヤー達が所持しているバックルを盗ませ、戦力を低下させる事で戦況を引っ掻き回す事を目論んでいたのだ。

 

「なぁアンタら、俺達のバックルを知らねぇか!?」

 

「あん? さぁ、知らねぇな。だろ、相棒?」

 

「ッ……う、うん」

 

哲夫から問いかけられた信吾は当然、知らないフリを決め込む。

 

信吾の手を肩に乗せられた清も、彼に言わせられる形でそれに同意する他なかった。

 

しかし……。

 

「いや、それは違うな」

 

「あん?」

 

この状況を静観していた四葉が、ある一手を打ち始めた。

 

「貴様らだろう? バックルを盗んだのは」

 

「はぁ? おいおい、さっきの言葉が聞こえてなかったのかぁ? 俺達は何も知らねぇっつったろ。それとも何だ? 俺達がやったっていう証拠でもあんのかよぉ?」

 

信吾はニヤニヤ笑いながら、四葉に向かってそう言い放つ。

 

無駄だ。

 

証拠なんてある訳がない。

 

そう高を括っていた信吾だったが……四葉が次に取った行動で、その表情は一変した。

 

「あるさ。ここにな」

 

「……は?」

 

思わず呆けた表情を浮かべた信吾に、四葉はスパイダーフォンを取り出し、その画面を見せつける。

 

その画面には……デザイア神殿内の通路の曲がり角で、信吾が清を暴力で脅している姿が映り込んでいた。

 

『お前、ちょっと他の奴らからバックル盗んで来い。戦いはできなくても、それくらいならできるだろう?』

 

『なっ……だ、駄目だよ、そんなやり方……他の皆に迷惑が……ぐっ!?』

 

『黙れ。テメェに拒否権なんざねぇんだよ』

 

清の髪の毛を掴み、乱暴を働く信吾。

 

その光景と、会話の内容が一部始終撮られていた事を知り、信吾の表情が僅かに引き攣った。

 

「テ、テメェ、いつの間に……ッ」

 

「1回戦でのあの2人組と言い、汚い手を使って来るプレイヤーは少なくないからな。警戒を強めておいて損はない」

 

「流石だな、先輩」

 

英寿や大智と同様、過去のデザイアグランプリにも参加経験がある四葉。

 

故に彼女は、1回戦で退場したインパルやアイボリー、そして信吾のような汚い手を使うプレイヤーへの対策として、スパイダーフォンによる他のプレイヤーへの監視を行うようにしていたのだ。

 

そんな四葉の警戒心の強さに、英寿が感心した様子で笑いかけ、そんな彼を横目で強く睨みつけた四葉はすぐに視線を信吾の方へと戻した。

 

「ッ……じゃあ、清さんが私達のバックルを……」

 

「ふ、ふざけんじゃねぇよ!! 面倒な事しやがって!! 俺達のバックルを返せ!!」

 

「ひっ!? ご、ごめんなさい!! 彼に脅されて、言う事を聞くしかなくて……ッ」

 

もう誤魔化しようがないと判断したのか、哲夫に詰め寄られた清はすぐさま、哲夫と夢乃に頭を下げて謝罪する。

 

信吾は舌打ちし、清の髪の毛をガシッと掴んだ。

 

「チッ……んなあっさりと白状してんじゃねぇよ、腰抜け野郎が!!」

 

「痛ッ!?」

 

「ち、ちょっと!! やめなさい!!」

 

「ぬぉ!?」

 

「ッ……夢乃さん、駄目だ!!」

 

清に乱暴を働く信吾の行いが見ていられなかったのか。

 

夢乃は信吾を強く突き飛ばす事で、彼から清を引き離す。

 

それを見た大智が慌てて夢乃に向かって叫ぶが、もう遅かった。

 

≪プレイヤーへの攻撃は違反行為です。スコアを減点します≫

 

「えっ……あぁ!?」

 

「遅かったか……」

 

アナウンスと共に投影されたモニター画面では、ツッキー・ナッジスパロウデュオのスコアが減点され、600ポイントにまで下がってしまう。

 

これには、大智も頭を抱える事しかできなかった。

 

「ははははは!! 馬鹿な女だ!! 感情に身を任せて減点されてやんの!!」

 

「くぅ……ッ!!」

 

事情がどうあれ、プレイヤーがプレイヤーに攻撃を仕掛けるのは違反行為。

 

同じデュオである信吾と清はともかく、違うデュオである夢乃が信吾を突き飛ばした行為は、運営側から違反行為と見なされてしまったのだ。

 

指差しながら愉快そうに笑う信吾に、夢乃は悔しげに唇を噛む。

 

「つうか、俺なんかに構ってて良いのかよ? ジャマト共がすぐそこまで迫って来てんだぜぇ?」

 

「「「「「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ……!」」」」」

 

信吾が告げた通り、一同が振り向いた先からは、複数のリバーシジャマトがゾロゾロと姿を現した。

 

手持ちのバックルが残っている英寿、火炎、大智、四葉の4人はすぐさまバックルを構え、ドライバーに装填して変身する。

 

≪≪≪≪SET≫≫≫≫

 

「「「「変身!」」」」

 

≪MAGNUM≫

 

≪ARMED DRILL≫

 

≪MONSTER≫

 

≪ARMED PROPELLER≫

 

英寿はギーツ・マグナムフォームに、火炎はリザ・アームドドリルに、大智はナッジスパロウ・モンスターフォームに、四葉はラミア・アームドプロペラの姿に変身し、リバーシジャマト達と交戦を開始。

 

しかしこの内、同じデュオであるギーツとリザは白リバーシジャマトを順調に倒していくのに対し、相方が手持ちのバックルを失っているナッジスパロウとラミアは、このままではリバーシジャマトを倒す事ができないため、この2人は苦戦を強いられた。

 

「ッ……全く、面倒な事をしてくれたものだね……!!」

 

「はん、管理が杜撰な馬鹿共が悪いんだよ……変身!」

 

≪SET≫

 

≪ARMED CHAIN ARRAY≫

 

≪READY FIGHT≫

 

信吾は変身できない夢乃と哲夫を嘲笑いながら、チェーンアレイバックルをドライバーに装填し、ヒヒ・アームドチェーンアレイの姿に変身。

 

手元に出現したレイズチェーンアレイを振り回し、襲い掛かって来た黒リバーシジャマトに鉄球を勢い良く叩きつけた。

 

「おい、何してやがる!! さっさと変身しやがれ鈍間が!!」

 

「ッ……わ、わかってるよ」

 

≪SET≫

 

≪ARMED CLAW≫

 

≪READY FIGHT≫

 

ヒヒに怒鳴られ、清もクローバックルをドライバーに装填し、クダール・アームドクローの姿へと変身。

 

レイズクローを構えたクダールは、夢乃と哲夫の方に振り向き、もう一度頭を下げて謝罪した。

 

「ッ……本当に、ごめんなさい」

 

「清さん……」

 

夢乃が心配そうな表情を見せ、クダールは更に罪の意識に苛まれる。

 

自分はバックルを盗んだ立場なのに。

 

こんな自分に、彼女はまだそんな顔をしてくれるというのかと。

 

そんな気持ちを抱きながらも、クダールは視線を逸らし、他のライダー達が戦っている戦場へ向かっていく。

 

 

「オラァ!!」

 

「ジャーッ!?」

 

レイズチェーンアレイの鉄球を振るい、黒リバーシジャマトに喰らわせるヒヒ。

 

そこに合流したクダールが、レイズクローを振るい黒リバーシジャマトを擦れ違い様に斬りつけた。

 

黒リバーシジャマトが爆発し、ヒヒ・クダールデュオのスコアが400ポイントにアップする。

 

「なんだ、割と普通に戦れるんじゃねぇか。なら始めから本気出せや!!」

 

「うっ……!?」

 

ヒヒがクダールを蹴りつけ、クダールが地面に尻餅をつく。

 

その様子を見ていたリザは呆れた様子でヒヒに語りかけた。

 

「扱いが随分ぞんざいだな。もう少し優しくしてやったらどうだ?」

 

「うるせぇ、俺に指図すんな。大体、俺の足ばっか引っ張りやがるこのグズが悪いんだ。俺の思い通りに動かない奴はゴミ(・・・・・・・・・・・・・・・)なんだよ!」

 

「……!」

 

ヒヒの発言に、黒リバーシジャマトと戦っていたラミアの動きがピタッと止まる。

 

それに気付かないまま、ヒヒは一同に向かって言い放つ。

 

「何だ、文句あんのか? 文句があんならかかって来いよ! まぁ、どうせ無理だろうがなぁ!」

 

「くっ……!!」

 

「あ、あの野郎……!!」

 

スコアが減点される以上、他のプレイヤー達は自分を攻撃できない。

 

つまり、自分が攻撃される事はない。

 

夢乃と哲夫が悔しがる姿を見て、ヒヒは高笑いが止まらなかった。

 

その高笑いしている声を聞きながら、ラミアはゆっくりと振り向き、仮面越しにヒヒの後ろ姿を強く睨みつけた。

 

「思い通りに動かない奴はゴミ……か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕の思い通りにならないのなら、そんな奴はいらないよねぇ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「! ラミア……?」

 

ラミアの様子に気付いたギーツが呼びかけるも、ラミアはそれを無視し、自身のドライバーからプロペラバックルを取り外す。

 

エントリーフォームの姿に戻ったラミアは、そのままヒヒのいる方へと前進していく。

 

彼女は一体何をするつもりなのか。

 

首を傾げるギーツだったが、その疑問はすぐに解決する事となる。

 

「借りるぞ」

 

「!? なっ……」

 

ラミアは移動する途中、白リバーシジャマトを殴り倒していたナッジスパロウのドライバーから、本人が了承するよりも前にモンスターバックルを勝手に取り外す。

 

エントリーフォームの姿に戻ってしまったナッジスパロウは、ラミアが取った突然の行動に困惑を隠せなかった。

 

「ッ……一体、何のつもりかな」

 

「安心しろ。終わったらすぐに返してやる」

 

≪SET≫

 

ナッジスパロウが不審に思う中、ラミアは彼から(勝手に)拝借したモンスターバックルを、自身のドライバーへと装填。

 

モンスターバックルの頭部分を、右手で強く叩いた。

 

≪GYA!≫

 

≪MONSTER≫

 

≪READY FIGHT≫

 

閉ざされていたモンスターバックルの瞼が再度開き、ラミアはその身にモンスターフォームの装甲を装備。

 

両腕のモンスターグローブを軽く振るい、襲い来るリバーシジャマト達を薙ぎ払ったラミアは、前方にいるヒヒの後ろ姿を正確に捉えていた。

 

(ペナルティーを背負う事にはなるが、あの手の輩は放置しておくと後々厄介な事になる……ならば)

 

「早急に潰すのみ」

 

≪GYA!≫

 

モンスターバックルの頭部分を2回連続で叩き、ラミアは右腕のモンスターグローブにエネルギーを収束させていく。

 

その光景を見たギーツやナッジスパロウは気付いた。

 

彼女がこれから何をやろうとしているのかを。

 

「おっと、これは……」

 

「彼女、まさか本当に……?」

 

2人の予想は的中する。

 

ヒヒの後方まで近付いたラミアは、右腕を大きく振りかぶりながら、トーンの低い声でヒヒに呼びかけた。

 

「歯を食い縛れ」

 

「へ?」

 

ラミアの台詞を聞いて、ヒヒが何かと思い後ろに振り向いた……次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の眼前には、モンスターグローブの強烈な一撃が迫って来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪MONSTER STRIKE≫

 

「フンッ!!!」

 

ドゴォンッ!!!

 

「ぼぱぁ!!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

凄まじい轟音と共に、仮面を力強く殴りつけられたヒヒ。

 

積まれていたコンテナを突き破る勢いで吹き飛んだ彼は、地面を何度も転がり続けた後、仰向けに倒れた状態のまま静かに変身が解除された。

 

左頬が赤く腫れ上がり、白目を剥いたまま気絶した信吾がピクッピクッと小さく痙攣している中、他のプレイヤー達は目の前で起きた光景に、開いた口が塞がらなかった。

 

「……へぇ」

 

ただ1人、英寿だけはその光景に思わず笑みを浮かべていたのだが。

 

なお、殴り飛ばした張本人はと言うと、信吾が気絶したのを確認した後、拳を開いた右手をぱっぱと軽く振っている始末である。

 

≪プレイヤーへの攻撃は違反行為です。スコアを減点します≫

 

「無論、手加減はしている」

 

すぐ近くに投影されたモニター画面では、ラミア・ブーデュオのスコアが減点され、200ポイントから一気に0ポイントに下がってしまう。

 

しかし、彼女はその事に対し、動揺する様子は全く見せなかった。

 

「自分は絶対殴られないだろうと確信していたようだが……残念だったな、新人(ルーキー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やると決めたその瞬間、私に躊躇いはないぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モンスターバックルを取り外し、再度エントリーフォームの姿に戻るラミア。

 

後頭部の長い辮髪を華麗に靡かせながら。

 

気絶していて聞こえていないヒヒに対し、彼女は冷徹な口調でそう言い放ってみせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




仮面ライダーギーツ!

ツムリ「第2回戦リバーシゲーム、終了です!」

英寿「相変わらず、何処までも俺を追い詰めてくれる先輩だ」

大智「警戒すべきは、浮世英寿だけではなかったか……ッ」

四葉「人を化かすのは、狐の専売特許ではないぞ」
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